真恋姫無双 美陽攻略戦 第四ターン
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 美陽攻略戦

 

 

 

 (はじめに)

 

 

           キャラ崩壊や言葉づかい等で間違いがあると思いますが

                          ……できれば気にしないでください。

 

   

 

 

           今回『SS作品史上初(かな?)話の戦略地図』を作成し、巻末に添付

           致しました。イラストレーターでないので専用ソフトがないことから

           ペイント機能で作成されしております。

        

           本編の地図は三国志関連資料を参考にペイント機能で作成しました。

           目測による模写の為、大まかな位置程度で縮尺等は合っていません。           

 

 

 

 

  (前回のあらすじ)

   

       

       月と禁断の兄になってしまった一刀、それに激高し軍師パンチを炸裂する詠

 

 

 

 

 

 

 

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第四ターン

 

 

 

   

   その頃、県城美陽の郊外では、所々に松明や篝火が灯され

    騎兵の侵入を防ぐ為の馬防柵が何十にも構築されていた。

     その外周では美陽の周辺の邑から狩り出された男たちが壕を掘り起こしていた。

 

 

   

   作業している人夫たちはこの手の作業に慣れておらず

    作業効率が著しく悪く人夫達を取り締まる伯長は鞭と罵声をもって作業を促していた。

     その中で、一人の人夫が足を滑らし運んでいた残土を溢し伯長から鞭を打たれていた。

    

    この様子を見ていた人夫達は次は自分の番ではないかと戦々恐々として作業をしていた。

 

 

 

 

   また、ある区画にある高台に設けられた敵の動きを監視する望景台には

    夜目のきく数人の弓兵が四方を監視しており

     その眼下では子供・老人にかかわらず弓矢の届く範囲にある植物を伐採し

      女たちが地面を丸太で叩いてならしていた。

 

    これにより障害物となるものを無くし弓兵の視界が広がるようにしていた。

 

 

 

 

 

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   青年、と呼ぶにはまだ幼さが残る男は

         構築している陣の作業状況を確認する為に辺りを散策していた。

   

 

   青年は鎧は着けず、藍色の道衣を着て

           腰には長剣と小さな

                   『馬』

                     と言う一字が刻まれた緑白の玉壁を吊るしていた。

 

 

   

   一晩のうちにせめて、外周部分の防衛設備を設置しなければならず周辺の民を狩りだし

   作業を行ったが、やはり時間が足りず作業は思ったほど進展しているとは言えなかった。

 

 

 

   陣の中では、数十棟にもわたる馬小屋が設置されていた。

               多数の馬がさきほどの流星の爆発に驚き、興奮して嘶いていた。

 

   

   

   流星の爆発の影響はなにも家畜だけに悪影響を及ぼしただけではなく、

   無知な兵卒や天文を知らぬ羌族の戦士たちにも不安を蔓延させるには十分な効果だった。

 

 

 

 

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     この事態に、青年は白い眉を寄せ考えていた。

      

 

     昼夜を問わず東南の空のあった流星を使い

            

              『漢王朝の滅亡を予言する凶星』

                      

                         という流言を青年は董卓の軍勢に流した。

 

   

     しかし、間者の報告ではその流言をした者たちは

         直ちに軍規に照らし処刑され、将兵の間ではこの流言はすぐにかき消された。

 

 

 

 

     そして報復とばかりに、こちらの連合軍に

 

          『天地の社稷を司る皇帝に刃向かうことは神に逆らうことだ』

 

                              と数日前から流言が流された。

 

 

   

      多くの兵たちの間に流された流言はなんとか広がるのは防げた。

        しかし、辺境出身の兵や羌族の戦士たちについては、

             流言を流した者を処刑する手段で一時的に鳴りを潜めた。

 

   

          だが、先ほどの流星の爆発で、また兵卒の間で流言が広がるだろう。

 

 

 

        一枚岩でない連合軍の特質をよく理解し、

                      自軍の防諜対策を完璧にして統率している。

 

 

 

        さすが、董家の姫 なかなかどうして生半可な小手先では通用しないな。

 

 

 

 

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   白眉の青年が、次の一手をどうするか考えているところ

   兵卒たちが何か騒いでいるのが聞こえた。

 

   その様子が気になり近づいてみると

 

   一人の太った兵士が周囲の兵士たちに盛んに話しこんでいた。

 

 

   青年は聞き耳を立てみると

 

    「・・・俺たちは、お偉いさんが栄耀栄華になったとしても、おこぼれを頂戴できない」

 

                  と太った男は周りの兵士に同調を求めるように話していた。

 

 

 

 

   兵としてこの戦に出ていれば、ろくに作物が取れない邑にいるよりメシにありつける。

    しかし、この前の戦で、俺の同郷のヤツが犬のように殺され、

                        葬式も挙げられず壕の中に埋められた。

 

 

   最近になっては、蛮民のヤツラばっかり油の乗った肉を食い、

                        俺たちのメシは少なくなってきている。

 

 

   それなのに、次に起こる戦では官軍は十万もの兵がきやがる。

       蛮民のヤツラは、馬を持っているから旗色が悪くなったら真っ先に逃げるが

          俺たちはこの2本の脚しかないから、ヤツラの盾になって死んじまう。

 

 

 

 

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   青年はこれ以上話が続くことは危険だと

   腰にある長剣を抜き周囲の兵士を掻き分け、太った兵士の首元に素早く長剣を突きつけた。

   周囲の兵士たちは、余りにも急に起こったため、息を呑んで青年と太った兵士を見ていた。

 

          太った兵士は、ヒッ とその場に座り込んでしまった。

 

 

 

  「 キサマに問う。

         この陣にいない蛮民が何時、油の乗った肉を喰らっているのを見たのか?」

 

      太った兵士は、首元にある剣を凝視しながら、

                前の戦でヤツラと一緒だったときに見たんです 

                                      と言った。

 

 

  「 更に問う。

         いつ、次の戦に官軍の兵十万が来て、蛮民が参戦すると分った?」

 

      俺の伍(部隊の最小単位で五人で一小隊となる。)で、

                        長安に親戚がいるヤツから聞いたんです。

 

 

 

 

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   青年は長剣を軽く引いた。

 

 

   太った兵士の首元から薄っすらと血が滲んだが、

                     痛みより恐怖で顔から冷や汗を流していた。

 

 

   長剣を太った兵士の首元から少し離し、青年は そうか。と笑った。

   

   

   太った兵士もつられるように弱々しく笑った。

 

 

 

   青年は笑うのを止めて、太った兵士に言った。

   「お前は嘘をついている。

     一つは、蛮民は一度もこの陣に来ていない。

     二つは、我が軍は戦が終了し欠員となった兵の補充はぜず、全兵の入れ替えする」

 

         太った兵士は、血の気が失せるように青い顔になっていった。

 

   太った兵士は、

   先の戦のあと県城 望垣の徴兵の時に入って、日が浅いから兵の入れ替えは知らなかった

                                       と言った。

 

   これを聞いて白眉の青年は笑いながら言った。

   「 またお前は嘘を言っている。

         我が軍では占領した県城や邑から兵目的での徴兵は一度もしていない。」

 

   

        太った兵士は全身を震わせて、周辺にいる兵士たちは固唾を呑んで見ていた。

 

 

 

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   「・・・・・・・戯れだ」

            と青年は長剣を降ろし、太った兵士に微笑むように言った。

 

          太った兵士が安堵し、ため息をついた。

 

 

 

          しかし次の瞬間、青年は素早い速さで、太った兵士の首を刎ねた。

 

 

   

    周囲の兵士は何が起こったのか、判断が出来ず呆然としていた。

      青年は血を吹き出しながら痙攣している太った兵士の体を蹴り転がした。

    先ほどまで生きていた兵士の体は

            ビクビクと痙攣を起こしながら周囲に血の池を作っていた。

 

    そして、白眉の青年は転がっている兵士の頭に足を置き、周りにいる兵士達に言った。

 

     「コイツは敵の間者だ。同じように流言を吐く者がいれば、このように斬る!」

 

    この青年の一言で、周りにいた兵士たちは正気に戻ったのか、

              一斉に直立して白眉の青年に対して左掌を右拳を包む礼をとった。

 

 

   青年は太った兵士の着ていた服で血のりが着いた剣を拭って

                      何事も無かったかのようにその場を出て行った。

 

 

 

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   兵たちから見えない位置に来ると、動揺を抑えるため青年は顎に手をおいて考えた。

   あの場に居るかも知れない別の間者を考え咄嗟に嘘を付いたが、殺した間者が言って

   いたことはほぼ正しい情報であった。

 

   

 

             官軍はかなり数の間者を放っているようだ。

   

   

    この陣から10里はなれた山間に羌族の陣を隠し、次の戦で連合軍と羌族の戦士達が

     共同で官軍と対決する為に、この地に大部分の兵が集結していた。

 

 

    このことは将軍達と一部の長しか知られていない、前線指揮官である曲長から最

     下層の兵卒に至るまで今回の羌族との共同戦は隠されていたはずだった。

 

 

    更には、連合軍の本拠地である州都金城からこの県城美陽までの補給路は長くなった

     ことから、兵站物資の輸送が遅れるようになり、現在兵に支給される糧食を調整して

      いることを知っていた。

 

 

    

    そして、次の戦では董卓軍の他に、

             派遣される官軍の存在をほのめかし士気を削る

                               という工作までしてきた。

 

 

 

 

 

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    「このような手の込んだ策を得意とする『董卓の鬼才』が動いている証拠か・・・だとしたら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  次回につづく

 

 

 

 

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(あとがき)

 

 

 

    はじめまして、この度は  美陽攻略戦 第四ターン をご覧になって頂きまして

 

 

    ありがとうございました。

 

     今回は前回と対照的なミスをしてしまい、逆に多く書き過ぎた為誤字チャック等が

     

     出来なくなることから後半部分を次回のターンにしました。後半部分は近日中に

     

     データアップ致しますのでお待ちください。

 

 

     今回の目玉商品(?)は、『戦略地図』を添付しました。赤の線が官軍の進行ルートで

     緑が反乱軍の侵略ルートを示しています。そして地図の中央にある緑色のポイント

     が今回の戦の中心となる県城の美陽・望垣・楡中です。 その上には渭水という河

     が流れており、左下には孔明が死んだ五丈原と夏侯淵が死んだ定軍山があります。

     縮尺はデタラメですので、大体ココいらかとお考えください。

       

 

  

 

    最後まで、本編をお読み頂きましてありがとうございました。

 

 

 

 

説明
第4回目の投稿です。
読みにくい点や日本語がおかしい部分があるかもしれませんが、宜しくお願い致します。
今回は、この戦いを理解しやすいように戦略地図を添付致しました。
閲覧ユーザーが1000人になりました。皆様大変ありがとうございます。

※最近知った技ですが添付している図が読みづらいと感じた
方は図をクリックして「名前をつけて画像を保存」をしてください。
そして保存された図は拡大縮小で細かく見ることができます。
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
3753 3156 47
コメント
>jackry様 コメントありがとうございます。領土の変動もさることながら三国がかってに官職を創設するのでこちらはもっと大変になります。本編では面白さ重視の為あまり目くじらを立てないようにしています。(笑)(thule)
>ブックマン 様コメントありがとうございます。あと数ターンしたら董卓軍の防諜対策が出ますのでお楽しみください。(thule)
諜報戦面白かったです。(ブックマン)
>トーヤ 様コメントありがとうございます。創作自由と言っても読まれてナンボと考えておりますので色々と試行錯誤していきたいと思います。けど同時期に投稿して閲覧数が向こうが物凄く高いとどこがいけないのかとヘコんでしまいます。(萌えをモット出せばいいのかな?)(thule)
更新お疲れ様です。これは見易いです。これからも頑張って下さい(トーヤ)
>キラ・リョウ 様コメントありがとうございます。 何だかんだ言っても戦争モノですから                                                  何ヶ月もしないで領土が取った取られたと言う関係ですからね。。。(thule)
三国志の地図はややこしいですね・・・(キラ・リョウ)
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