真・恋姫†無双-白き旅人- 第十七章
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「はぁ〜・・・良い天気だなぁ」

 

「そやね〜〜」

 

 

賑やかな、成都の街並み

そんな中を、2人は・・・一刀と霞は、一緒に歩いていた

恋人よろしく、“腕を組みながら”

 

 

「なぁ、霞

歩きにくいから、やっぱ止めないか?」

 

「嫌や♪」

 

 

“キッパリ”と、彼女は笑顔を浮かべ言い放つ

そんな彼女に対し、彼は“はぁ”と深く溜め息を吐き出すことしかできなかったのだ

今の彼には、彼女の言葉に反論することは、ましてや反対などは絶対に出来ないからだ

というのも・・・

 

 

 

「ウチはあんな頑張ったんやから

ご褒美の一つも、あってええやろ?」

 

 

ーーーという、彼女の一言から始まったからだ

もっとも、その言葉に対しては反論の余地はない

彼女は休むことなく、その“神速”の名に恥じぬ働きをしてみせたのだ

さらに急がせる為とはいえ、“成都、陥落”と嘘の手紙まで持たせてしまった

彼としても、それくらいの願いならば聞いてあげたいと思っていた

 

 

 

「けど・・・こう、恥ずかしいっていうかさ」

 

「な〜に、今さら恥ずかしがっとるん?

そんな、付き合いたてのカップルやないんやから」

 

「あのさ、なんていうか

俺がいない間にみんな、随分と天界語っていうか・・・俺の国の言葉を、覚えたんだな」

 

「風がな、一刀の喋ってた言葉とか全部覚えとってな

それを纏めて、本を出したんよ」

 

 

“勿論、ウチも貰ったで”と、霞は笑う

それに対し、一刀は苦笑を浮かべていた

 

 

「なるほど

流石は風さん、ってか」

 

「おかげで、ウチらはある程度なら話せるで

例えばホラ、一刀達の国の人が住む家のことを・・・」

 

「家のことを・・・?」

 

「“ゲイパレス”っていうんよね♪」

 

「断じて違う!!!!!」

 

 

“風さん、間違ってますよ!!”と、彼は声高々に叫ぶ

もしそうだとしたら、世界中が大パニックだ

“世はまさに・・・性の、大航海時代!!”である

 

 

 

「あれ、違うん?

ほんなら、アレや・・・えっと、そう確か“ペンタゴン”」

 

「一家に一軒、ペンタゴン!!?

なにそれ、凄い防衛力高そう!!!」

 

 

“ていうか俺、風の前でそんなこと言ってねーよ”と、彼は大げさに頭を抱えながら叫んだ

ここまできたら、その本の内容が激しく気になるところである

まぁ今までの会話で彼女が普通に使ってきた感じでは、そこまで間違いだらけというわけでもないのだろうが

 

 

 

「・・・って、こんなとこでツッコんで時間潰してる場合じゃなかった」

 

「そうやで

早う、宿に荷物取りに行こうや」

 

「ああ、そうだな

折角の休みだし・・・早くとってきて、ブラブラしてようぜ」

 

「せや

夜には、“宴”もあるしな♪」

 

 

“宴”と、その部分をやや強調しながら

彼女は、本当に嬉しそうに微笑む

その笑みにつられ、彼もまた優しげな笑みを浮かべていた

 

さて、ここでささやかな疑問があると思う

霞の言った、“宴”についてだ

 

この話をするためには、時を少々遡らなければならない

昨夜・・・といっても時間的に言ってしまえば、今日の明朝のようなものなのだが

全てが、王塁との一軒が終わった直後にまで

 

時を、遡るとしよう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪真・恋姫†無双-白き旅人-≫

第十七章 飛び出せ、成都を!!〜嘘と絆と新たな舞台と〜

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

昨夜

成都城内、玉座の間

其処には現在蜀の王、桃香をはじめとする蜀の重鎮たち

法正と王塁の師弟

それから、一刀達の旅のメンバー

 

 

ついでに縄でグルんぐるんになった淳于瓊と、その弟子である関平の姿があった

 

 

 

 

 

「ありがとうございました、御遣い様

おかげで、助かりました」

 

 

と、開口一番にそう言ったのは蜀の王である桃香だった

その言葉に、彼・・・北郷一刀は、“はは”と苦笑を浮かべる

 

 

「そんな、改まってお礼を言われることでもないよ

俺は唯、目の前で困ってる子を放っておけなかっただけなんだから」

 

「それでも、ありがとうございます」

 

 

そう言って、彼女はニッコリと微笑む

まさか、ここまでお礼を言われるとは思っていなかったのだろう

やがて諦めたように、彼は“どういたしまして”と言葉を吐き出した

 

 

「ていうか、こっちこそごめん

その、幾ら急がせる為だったからって、成都が陥落したなんて紙送っちゃってさ」

 

「あはは、いいんです

実際、そうなりそうだったんですし」

 

 

“だとしたら、かなり笑えない話なんですけどね”と、言いながらも彼女は笑った

そんな中、居心地が悪そうに咳払いをしたのは王塁だ

これに慌てて、彼女は笑うのを止めた

 

それを横目で見つめ、王塁は軽く会釈して話し始めたのだった

 

 

 

「んんっ・・・ところで、御遣い殿

実は明日、御遣い殿に感謝の意を込め・・・ささやかながら、宴を催そうと思うのですが」

 

「あ〜、気持ちは嬉しいんだけどさ

そういうのって、あんまり・・・」

 

「「参加しますっ!!」」

 

「ーーーはい、何となく予想はしてました

してましたけど、なんか納得がいかない」

 

 

と、まぁご覧の通り

一刀が返事するよりも先に、雪蓮と霞が声を揃えて返事をしてしまったのだ

それも、息ピッタリに

 

“普段は喧嘩するくせに”と、一刀は溜め息を吐き出していたのだ

 

 

「まぁ、いいか

どうせ明日は成都で休んでから、その次の日に出発する予定だったから」

 

「「やったぁ♪」」

 

 

“お酒ktkrwwwww”と、声をあげ二人ははしゃぎはじめる

そんな二人を横目に、一刀は再び溜め息を吐き出していたのだった

 

 

 

 

「・・・それでん、アチシはどうして縛られてるのかしらん?」

 

「自分の胸に聞いてみろ」

 

「あらん、アチシの胸が揉みたいのならそう言ってくれればん・・・」

 

「黙れ、サイクロプおろろろろろろrrrrrr」

 

「うわぁ!!?

一刀がツッコミながら、盛大に吐き出したぞっ!!?」

 

「あわわ、どうしましょう!?」

 

 

“大丈夫か!?”と、慌てて彼の背中をさするのは華雄だった

その隣では、雛里がいつものように“あわわ”言っていた

 

 

「アチシのあまりの魅力に、もう体の中のモノが飛び出しちゃったのねん

あぁ・・・罪な、アチシ♪」

 

「師匠、お願いです

御願いですから、ちょっと黙っててください」

 

 

と、笑顔のまま言ったのは関平だ

因みに彼女は、先ほどから淳于瓊を縛っている縄を持っていた

 

 

「んもう、関平ちゃんったら冷たいわん」

 

「いえ、これはもう一方的に此方が、というか師匠が悪いですから

縛られたのだって、自業自得でしょうに」

 

 

そう言って、関平は疲れたように溜め息を吐き出す

まぁ、大方彼女の言ったとおり

 

ーーーあの後、一連の事件に終止符を打った後のこと

一刀は、追われていた

それはもう命がけ、尻をかけ

自身が長年想っていた相手だと気付いた淳于瓊から、お尻をおさえながら必死に逃げていたのだ

瞬間、それまでの緊迫した空気は何処へやら

その光景に、ある者は焦り、ある者は笑い

場は、一気に和やかなものになったのだった

 

その後、暴走する淳于瓊は雪蓮、華雄、霞の武闘派三人組によって文字通り“鎮圧”

このように、縄でグルングルンとなったのだった

 

それからすぐ、王塁は自身が指示を下した者達を桃香の前に平伏させ

自身も、深く頭を下げ・・・“忠誠”を誓った

 

 

 

 

「それにしても、本当にありがとうございました

“こんなんでも”、私の大切な師匠だったので

天の御遣い様には、幾ら感謝しても足りません」

 

「いや、気にしないで

縄とかは、淳于瓊がいつの間にか自力で引きちぎってたし

正直、“ソイツを助けようとかは一切思ってなかったから”

ぶっちゃけた話ね」

 

「あわわ

なんだか、お二人とも物凄いことぶっちゃけてましゅ」

 

 

ぶっちゃけていた

そして、雛里は噛んでいた

それでも、誰も其処にはツッコむことなくスルーを決め込んだようだ

 

 

 

「ま、ひとまず一件落着ってことで

今日はもう、寝よう・・・俺、もうすっげぇ眠いんだ」

 

「はわわ、そうですね

御遣い様達のお部屋は、此方で準備しておきますので

今日は、どうか此処にお泊り下さい」

 

「ん〜、時間も時間だし

そうさせてもらおうかな」

 

 

彼の言葉に、朱里は笑顔で頷いた

本当は荷物があったので、宿に帰りたかったのだ

流石に、もう時間も時間だった

彼は今猛烈に、寝台に沈み込みたかったのだ

睡眠欲には、やはり勝てない

 

 

 

「宴の詳細・・・正確な時間などがわかり次第、声をおかしますので

明日は、それまではどうかご自由に行動なさってください」

 

「ん、わかったよ」

 

 

そんなこんなで、成都の件の後

一刀達は、城内にお泊り

後日は、ささやかな宴が催されることとなったのだ

 

 

 

 

 

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「よし、これで大丈夫だな

他の細かい荷物は・・・」

 

「持ったで

つっても食料とかも、もうギリギリやったし

あんま、なかったけどなぁ」

 

「そっか

なら、戻るついでに色々と買っていこうか」

 

「そのほうが、ええやろうなぁ」

 

「あ〜・・・その前に、お昼ご飯かな」

 

「せやな

そういやもう、そんな時間やったんな」

 

 

 

等といいながら、宿屋を後にしたのは時間で言えば昼も中ごろのあたりだろうか

ほどよく、お腹が空いてきた頃合いであった

そんな状態だったのだ

ブラブラする、買い物をする

ということよりもまず、食事をしようと思ったのは仕方のないことであろう

 

 

「どっか、良いとこあったかな」

 

「ん〜・・・そうやねぇ」

 

 

ともあれ、まずは腹ごしらえ

そんなことを考えながら、2人が歩いていた時だった

 

 

 

 

「御遣い様〜〜!」

 

「ん・・・?」

 

 

ふと、彼を呼ぶ声が聞こえてきたのだ

其の声に、振り向いた彼の瞳に映るのは、一人の男の姿

見覚えのある男が、此方に向い走ってくる・・・そんな姿だった

 

 

「周倉さんっ!」

 

 

やがて近づいてくる男、周倉に向い彼は笑顔を浮かべ

大きく手を振って見せたのだ

それに対し、周倉は照れくさそうに頬を掻きながら“ペコリ”と頭を下げた

 

 

「お久しぶりです、御遣い様っ!」

 

「うん、久しぶりだね

はは、元気そうで嬉しいよ」

 

「御遣い様こそ

昨日の雄姿、見てやしたよ」

 

 

そう言って、彼は屈託なく笑う

そんな彼の言葉に、一刀は首を傾げるのだった

 

 

「あれ?

なんで、周倉さんが知ってるの?」

 

「あぁ、そういや言ってやせんでしたね」

 

 

言って、“いっけねぇ”と笑う周倉

彼はそれからグッと親指をたて、こう言ったのだ

 

 

「この周倉・・・御遣い様のおかげで、めでたく手に職をつけたんでさぁ!」

 

「おぉ〜!

そっか、そうだったんだ

それで今は、いったい何をやってるのかな?」

 

「御遣い様に、言われたじゃないですか?

“土木関係がいいんじゃないか?”って

だから、とりあえず大工職のもとに弟子入りしたんですがね・・・今では、代理で仕事を任せて貰えるほどになりやしたよっ!!」

 

 

“天職ってやつすかね?”

そう言って、彼は豪快に笑ったのだ

本当に、楽しそうに、笑っていたのだ

 

 

「これでも、まぁ一応は“職人”

ですから、俺も攫われてたんでさぁ

丁度、お師さんが留守だったからってのもあるんでしょうがねぇ」

 

「そうだったんだ」

 

 

一刀もまた、笑っていた

彼のそんな姿が、本当に嬉しくて

が、そんな中・・・

 

 

 

 

 

「あの、一刀?

そろそろ構ってあげんと、袴の子泣いてまうんちゃうかな?」

 

「「あ・・・」」

 

 

二人は、すっかりカヤの外となってしまった霞の存在を思い出した

というか、一刀に至っては腕を組んでいるにも関わらず忘れていたのである

直後、2人は慌てて頭を下げたそうな

 

ーーー因みに、彼女は寂しさのあまり半泣きだったとか

 

 

 

 

 

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「へぇ〜、そないなことがあったんかぁ」

 

「まぁ、そんな感じかなぁ」

 

 

と、笑いながら言ったのは、先ほどまで泣きそうだった霞だ

因みに、場所は人で賑わう飲食店の中

その中の一席に、一刀達三人は座り、昼食を食べていた

案内してくれたのは、周倉である

話を聞けば、彼もちょうど昼食を食べに行こうとしていたらしい

ならばと、周倉がこの店まで案内してくれて現在に至るわけだ

それから霞に聞かれ、周倉と一刀が出会った時のこと

一刀の旅に、雛里がついて来た切欠などを話していたのである

その話を聞き、霞の機嫌はいつの間にか良くなっていた

 

 

 

「今でも、信じられませんよ

山賊だった俺が、今や成都の街の職人だなんて・・・」

 

「信じられないなんて、そんなことはないさ

周倉さんには、それだけの“腕”があったってことだろ?

それなら、素直に喜びなって」

 

「で、ですかね?」

 

 

“そうだよ”と、笑う一刀

そんな彼につられ、周倉は照れくさそうに笑う

この光景に、霞は微かに笑みを浮かべながら酒を呑んでいた

 

 

「それにしても、御遣い様は相変わらずですね」

 

「相変わらず?」

 

「ええ、相変わらずでさぁ

俺の時と同じように、あの王塁って奴にも手を差し伸べるなんて・・・ほんと、変わってまさぁ」

 

「変わってるって・・・俺が?」

 

 

“マジで?”と、彼が見つめたのは霞だ

そんな彼の問いに対し、彼女は“マジや”と笑いながら返した

 

 

「ま、そこが御遣い様の良いところなんじゃないですかね

実際に、俺はそれで救われましたから」

 

「そんな、俺はべつに・・・」

 

「ええやん、一刀

人の好意は、素直に受け取っておかなアカンよ」

 

「霞・・・わかったよ」

 

 

“そうするよ”と、彼は諦めたように笑う

謙虚も過ぎれば、なんとやら

たまには、素直に受け取っておくべきだという

霞の言葉を、胸に響かせながら

 

 

その後、三人は食事を終え

やがて仕事の為、周倉は二人に頭を下げ仕事へと向かっていった

“ありがとうございました”と

笑って、そう言いながら

それから二人は買い物を済ませ、城へと向かっていたのだった

 

 

「そういえばさ・・・」

 

「ん?」

 

 

そんな中、ふと思い出したように一刀が呟く

それに、霞は歩みを止めた

 

 

「華雄や雛里、雪蓮は何をしてるんだろう?」

 

「ああ」

 

 

“それな”と、霞は笑う

それから見つめた先、成都の城を瞳に映しながら

彼女は、言うのだった

 

 

 

「皆・・・それなりに、エンジョイしとるみたいやで?」

 

 

 

 

 

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「エンジョイなんて、してないわよーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

成都城内にある一室

そんな中叫ぶのは、孫策こと雪蓮だった

その顔には、明らかに疲れが見て取れる

 

 

「なに、ワケのわからないことを叫んでおるのだお前は」

 

 

そんな彼女の奇行に、同じく部屋の中にいた春蘭は眉を顰める

隣では、同じように秋蘭が若干引きながら溜め息を吐き出していた

 

 

「叫んでいる暇があったら、さっさと“コレ”を片付けんか」

 

「姉者の言うとおりだ、雪蓮殿

でないと、宴には参加させられないぞ?」

 

「うぅ〜・・・」

 

 

二人の言葉

叫んだ時とは打って変わって、彼女は弱々しく頷いていた

さて、そんな彼女の目の前

そこに注目してもらいたい

 

ーーー其処には、大量の“書簡”が積まれていたのだ

 

 

 

「冥琳殿からの“お仕置き”だ

甘んじて受けるのだ、雪蓮殿」

 

「は〜〜〜ぃ・・・」

 

 

さて、ここまで聞けば勘の良い人ならば気付いたかもしれない

彼女の目の前に、文字通り“山積み”された書簡

これらは全て、雪蓮が留守の頃から勝手に国を出ていった後までの間に溜まった・・・他ならぬ、“彼女自身の仕事”だった

魏国から出発する直後、2人は冥琳から言われたのだ

 

『呉にすぐさま帰り次第、アイツにはたっぷりと“お土産”を送ってやる予定だ

それをアイツが蜀にいる間に受け取れた場合は、よろしく頼んだぞ』

 

という感じで

因みに・・・呉から成都までの間、この書簡を“速攻”で運ぶさい

彼らの、“イイ男達”の活躍があったのは

最早、言うまでもないだろう

メタなことを言ってしまえば、あまり触れたくないから、その部分はごっそりと端折るが

 

ーーーともあれ

冥琳が言うとおりの状況になってしまったのだから、もはやコレは仕方のないことで

雪蓮はこれらをやらなくてはいけないし

その様子を、春蘭と秋蘭は監視していなくてはいけないのだ

 

しかし・・・

 

 

 

「こんなの、今日中に終わるわけないじゃな〜〜い!」

 

「何を言う、雪蓮

このようなもの、気合でなんとかしろ!」

 

「ちょ、気合!?

アンタ、見てるだけだからって無茶言ってんじゃないわよ!?」

 

「ああ、そうだ

私は見てるだけだな

お前がその山に苦しむ姿を、堂々と見ているだけだな」

 

「ぐっ・・・」

 

「なぁ、今どんな気持ちだ?

山のような書簡とにらめっこして、なぁ今どんな気持ちだ?

なぁ、どんな気持ちなんだ?」

 

「ぐぬ、ぬぬぅぅぅ・・・覚えてなさいよ!!」

 

 

吐き捨てるように言うと、彼女は鬼のような形相で書簡を処理していく

その姿に、噴き出すのは春蘭・・・と、秋蘭

 

 

「ちょっと、なんで秋蘭まで笑ってるのよ!?」

 

「いや、気にしないでくれ

ホラ、早くしないと宴に間に合わないぞ?」

 

「く・・・あ〜〜〜〜、やってやろうじゃない!!!

この江東の“小覇王”の名は伊達じゃないって、見せてやるわよっ!!!!」

 

 

 

“小覇王”の名が、果たして今の行動に関係あるのだろうか?

なんて、疑問もよそに

 

 

彼女は必死に、書簡との睨めっこを再開するのだった・・・

 

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

「は、はわわ!?

雛里ちゃん、この本凄いでしゅ!」

 

 

と、場所は変わって此処は朱里と雛里の部屋

その部屋の中、椅子に座りながら、何かの本を読み興奮した様子で諸葛亮こと朱里は言う

対して、その向かいに座る雛里は若干恥ずかしそうに頬を赤く染めていた

というのも、朱里が今読んでいる本

それに関係しているのだ

 

 

 

「まさかこの、たった一年の間で・・・雛里ちゃんが、ここまで“BL”を己のモノとしていたなんて!!」

 

「あわわ、朱里ちゃん声が大きいよ〜!」

 

 

まぁ、なんだ、その

今、彼女が言ったとおりである

朱里が現在、読んでいる一冊の本

それはなんと、雛里が自分で書いた本だったのだ

因みに、タイトルは【御遣いと、忠義の士〜俺の崙義弩主(ロンギヌス)を、見てくれ・・・コイツを、どう思う?〜上巻】である

誰がモデルになっていて、どのような話がもとになっているのかは、想像に任せよう

 

 

 

「けど、本当にすごいよ雛里ちゃん!

特にこの“御遣い様”が“徐盛”向かって言う“×××も、●●●も、確かに足りないが、それよりなにより貴様には・・・早さが足りない!”っていう台詞なんて・・・」

 

「だから、声が大きいってばぁ〜〜〜!!!」

 

 

・・・うん、本当に自重してほしい限りである

 

白昼堂々、仕事もせずにこのロリ二人は、先ほどからずっとこのような会話を繰り広げていたのだ

まったく、困った二人である

 

もし仮に、こんな時に誰か部屋に訪ねてこようものなら・・・

 

 

 

 

 

 

 

「諸葛亮様、法正です

今夜の宴のことで、少々・・・」

 

「それに、ここ!

物語の最後に“徐盛”が御遣い様に向って“私は・・・この×××は、永久に貴方様の●●●と■■■する為に”なんて・・・」

 

「だから、朱里ちゃん!!

もう、本当に勘弁して・・・」

 

「お話が・・・ある・・・ん・・・・・・」

 

「「・・・あ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

(^ω^)慌てない慌てない、ひと休みひと休み

 

 

 

 

 

 

 

「どっこい、しょおおぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!!!」

 

「「法正さぁぁぁぁあああああああん!!!!???」」

 

 

まぁ、こうなるよね

 

運悪く部屋に入ってきてしまった法正は、一心不乱に扉に頭を叩きつけていたのだ

そんな彼女の行動に、2人はあっという間に我にかえる

 

 

「大丈夫です!!大丈夫ですから!!

今急いで、記憶を消してますかるぁぁぁんぼるぎーーーーーーーーーーーーーーに!!!!!!」

 

「ちょ、ほほほほ法正しゃん!!

落ち着いてください!!」

 

「私は至って冷静です!!

そうです、きっとこれは夢なんです!!!

まさかこの私が尊敬するお二人が、白昼堂々仕事もせず、そのようないかがわしい本を読んでいるはずがないのですから!!!!」

 

「「うぐっ!?」」

 

 

“善意が痛い”

 

二人は胸をおさえ、泣きそうになりながらそう思う

 

 

「目覚めよ、私!!!!

この悪夢から、早く私を連れて行ってくだっしゃらぁぁぁあああああ!!!!」

 

「「法正さーーーーーーーーーーーーーーーん!!!??」」

 

 

おまけに、“悪夢”と呼ばれる始末

二人のライフは、もはやゼロだった

 

ともあれ、このままでは法正の命が危ない

そう思い、2人が法正を止めようと必死になって・・・数分後のこと

貧血で倒れた彼女を衛生兵に任せ、何とか事なきを得たのだった

 

ただし、扉は原型を留めていなかったが・・・

 

 

 

 

 

扉「解せぬ・・・」

 

 

 

 

 

 

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「はぁ・・・ビックリしたぁ」

 

 

と、先ほどに比べ随分と落ち着いた室内でそう零したのは雛里だった

その言葉に同意するよう、朱里もコクンと頷く

 

 

「ごめんね、雛里ちゃん

その・・・雛里ちゃんに会えて、私嬉しくって、その・・・」

 

「朱里ちゃん・・・」

 

「よかったぁ・・・雛里ちゃんが元気で、本当に、良かったぁ」

 

 

そう言って、朱里はボロボロと泣きながら

雛里に抱き着いたのだ

そんな彼女のことを、雛里も同じように泣きながら受け止める

 

 

「一年間も、何も連絡がなかったから

何か、あったんじゃないかって、ほんとに・・・心配で」

 

「ごめん、朱里ちゃん

勝手に、出ていったりして」

 

「うぅん、いいんだよ、もう

こうして、無事に帰って来てくれたんだから・・・」

 

 

それから、しばらくの間

二人は、声をあげて泣いた

思い切り、懐かしむよう、泣き続けた

 

そしてーーー数分後

 

 

 

「落ち着いた、朱里ちゃん?」

 

「雛里ちゃんこそ」

 

 

今度は、そう言って笑う二人の姿があった

もう、思う存分に泣いた

あとは、こうして笑うだけである

 

 

「朱里ちゃん」

 

 

ーーーそんな中、雛里は思い出したように話し始める

 

突然のことだった

今までの笑顔が、そこにはない

その声色はいつものように小さく、だがとても真剣なものだったのだ

 

 

「雛里ちゃん・・・?」

 

 

恐る恐る、そんな雛里の様子に戸惑いを覚えながら朱里が口を開く中

彼女は、雛里は意を決したよう

 

 

「ごめん・・・朱里ちゃん」

 

 

其の場で、大きく頭を下げたのだった

 

 

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

「あ、あぁぁぁ・・・」

 

 

場所は変わり、ここは成都城内の中庭

そこに、彼女はいた

華雄・・・元・董卓軍の武将にして、一刀の現在の旅のお供

そんな彼女は今、“泣いていたのだ”

それこそ、数分前の朱里や雛里と同じように

大粒の涙を、ボロボロと流しながら・・・彼女は泣いていた

 

目の前にいる、一人の少女の前

跪き、頭を垂れながら・・・

 

 

 

 

「お久しぶりです・・・華雄さん」

 

「董卓様も・・・よくぞ、ご無事で」

 

 

月・・・またの名を、“董卓”

あの反董卓連合軍の折に、桃香のもとに保護され

“侍女”という形で、董卓という名を捨て真名である“月”と名乗り過ごす彼女

そんな彼女の姿に、華雄は心底安堵したように息を吐き出した後

こうして、泣いてしまったのだ

 

 

「申し訳御座いません・・・私が、愚かだったばかりに」

 

「そんな・・・華雄さんは、私の為に頑張ってくれました

勿論、他の皆さんもです

ですから、一人で気に病むことはないですから」

 

 

“だから、涙を拭いてください”と、笑う月

そんな彼女の優しさに、華雄はさらに泣いてしまうことになる

 

それから数分後のこと

ようやく落ち着きを取り戻した華雄は、乾いてしまった涙の後を擦りながら笑った

 

 

 

 

「それにしても、本当にお元気そうでよかった

それに、賈駆・・・おっと、今は詠か

詠や呂布に陳宮も、皆も元気そうで何よりだ」

 

 

そう言って、彼女が見つめた先

そこには霞を除く、かつての“董卓軍”の面々が揃っていたのだ

 

 

「ええ、一時はどうなることかと思ったけど

案外、こんな生活も悪くないわね」

 

 

と、そう言ってお茶をすするのは賈駆こと、今の名は詠である

彼女はもはや着慣れてしまったフリフリの“仕事服”を見つめ苦笑を浮かべる

これに同意するかのよう、月は笑顔を浮かべたまま頷いた

 

 

「こんな風に、皆で集まってお茶を出来るなんて

当時は、思いもしなかったもんね」

 

「まったくですぞ

音々と恋どのも、初めは驚きました」

 

「ん・・・」

 

 

月の言葉に、陳宮こと音々は両手をあげ笑う

そんな彼女の頭を撫でながら、呂布こと恋は笑顔を浮かべ頷いていた

 

 

「それに、これからは・・・華雄も、一緒」

 

「む・・・?」

 

 

ふと、恋の口にした言葉

それに対し、華雄はというと

 

 

「うむ・・・そうか・・・」

 

 

と、何処か遠くを見つめたように

寂しげな表情を浮かべたまま、そう言うのだった

 

 

「そんな日々も、まぁ・・・良いのかも、しれないな」

 

「華雄、さん?」

 

 

そんな彼女の様子に気付いたのか、月は静かに声をかける

彼女だけではなかった

他の三人も、華雄の様子に気付いていたのだ

 

 

「董卓様・・・ではなく、今は月様、ですか」

 

「はい、そうです

そう呼んでいただけたら、私は嬉しいです」

 

 

この言葉に、華雄は“はい”と笑う

それから、真っ直ぐと月を見据え・・・頭を下げたのだ

 

 

「貴女様がどのような境遇にあろうとも、一度誓った忠誠が消えることはありません

私は今でも、貴女様の家臣であり、貴女様の刃であります」

 

「華雄さん・・・」

 

 

戸惑う月

そんな中、華雄は申し訳なさそうに、こう切り出したのだ

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、月様

それを承知で、主である貴女に・・・お願いが御座います」

 

 

 

 

 

 

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ーーーー†ーーーー

 

さて、時間はもう大分経ってしまい・・・今は、夜も中頃

外はもうすっかりと暗くなってしまい、出歩く者もいなくなった時間帯

玉座の間にて、ささやかながら宴が開かれていた

と、いっても・・・

 

 

 

「「酒ーーーーー!!!!」」

 

 

規模などは、もはや関係がないとばかりに

暴走する人物が、早くも二名いた

言わずもがな、霞と雪蓮である

 

霞は昼間にも、少し飲んでいたはずなのだが

それでも、やはり好きなものは好きなのだろう

 

雪蓮に至っては、もはや説明するまでもない

今この場にいるということは、彼女はあの“地獄”から解放されたということだ

 

その反動が、一気に来たのだろう

 

 

 

「まったく・・・少しは、落ち着いて飲めないのか、あの二人は」

 

 

と、その光景に溜め息を吐き出したのは華雄だ

その隣では、雛里がクスクスと笑いを零している

 

 

「御遣い殿も、ご遠慮なさらずに

これは、貴殿の為に開かれた宴ですよ?」

 

「はぁ、まぁ・・・努力しますよ、趙雲殿」

 

 

そんな中、彼の杯に酌をしたのは趙雲こと星だった

微かに、笑みを浮かべながらのことである

 

 

「それにしても、驚きました

“あの日”、危うく切り殺しそうになった御方が・・・ここまで、ご立派になっておられるとは」

 

 

“あの日”というのは、一刀が初めてこの世界にやってきた時のことだろう

あの日、彼が最初に出会ったのは星・風・稟の三人

その際に彼は誤って風の真名を呼んでしまい、危うく星に殺されるところだったのだ

まぁ当時はこの“初見殺し”な設定を知らなかったので、仕方ないと言えば仕方のないことなのだが

それから、幾分かの時が過ぎていき

星は桃香のもとへと仕官し、風と稟とは仲間として再会することになる

 

 

 

「最後に会ったのが、三年前の成都での宴でしたな

まぁその時は、お話を聞こうと思ったらいなくなっていたので・・・何も、お話は出来なかったのですが」

 

「ああ、あのときか」

 

 

それは、本当にタイミングが悪かったとしか言えないだろう

何故ならその時彼は、宴の場からこっそりと姿を消し

あの川原で、一人の少女と

最後の別れを、言っていたのだから

 

 

「ごめんね

ちょっと、色々あってさ」

 

「構いませぬ

今、こうしてお話できているのですから」

 

 

“それはそうと”と、彼女は思いだしたよう呟く

それからニッコリと微笑んだ後、ゆっくりと頭を下げたのだった

 

 

「昨夜のこと・・・この私からも、改めてお礼申し上げる」

 

「そんな、別に・・・いや、わかったよ

その気持ち、ありがたく受け取っておく」

 

 

“だから、顔をあげてよ”と、彼は笑った

その言葉を聞き、彼女は“忝い”と、同じように笑う

 

 

「ほら、折角の宴なんだ

楽しまないと、損だろう?」

 

「そう、ですな」

 

 

“ならば、楽しむとしましょう”と、星

賑やかになっていく、玉座の間

 

夜が更けていくにつれ、其の場は段々と賑やかになっていったそうな・・・

 

 

 

 

 

-10ページ-

ーーーー†ーーーー

 

此処は、成都城内にある中庭

何やら楽しそうな声が響いてくるのを聞く限り、まだまだ宴は続くのだろう

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

とそんな中、息を吐き出したのは他ならぬ一刀だった

彼は近くにあった木に背を預けると、そのままゆっくりと座り込む

それから見つめるのは、夜空に浮かぶ美しい月

“満月”

それが三年前に見た月とよく似ていて

 

彼は、ただ一人笑う

 

 

「良い月だ・・・」

 

 

言って、彼は空になった杯に酒を注ぎ

ゆっくりと飲み干した

 

 

「本当に・・・良い月だな」

 

「ああ、そうだな」

 

 

と、そんな彼の言葉に同意するよう

声が響いたのだ

其の声に反応し振り向いた先

其処には春蘭と秋蘭・・・それから、霞・雪蓮・雛里・華雄といった面々が、いたのである

 

 

「全く、いきなりいなくなるから・・・心配したのだぞ」

 

「はは、ごめん

ちょっと、夜風に当たりたくなっちゃってさ」

 

「ならば、一声かけていけ

また、いなくなったのではと、泣きそうになってしまったぞ・・・姉者が」

 

「ちょ、秋蘭!!?」

 

 

“プッ”と、吹き出しそうになったのは

恐らく、一刀一人ではないだろう

 

そんな空気の中、秋蘭は微かに笑みを浮かべたまま言った

 

 

「次は、何処へと行くのだ?」

 

「次は・・・荊州に、向かおうかなって思ってる」

 

「そうか

私と姉者も、明日には成都を発つのだが・・・」

 

 

と、そこで言葉を止める秋蘭

彼女は一瞬ためらった後、ようやく決心が固まったのか

 

彼に向い、手を差し伸べながら・・・こう、言ったのである

 

 

 

 

 

「一緒に・・・魏に、帰らないか?」

 

「秋蘭・・・」

 

 

 

 

 

真っ直ぐと、彼を見つめ手を差し伸べる秋蘭

そんな彼女に対し・・・彼は、フッと柔らかな笑みを浮かべる

 

それから・・・“その手をとることなく”、其の場から立ち上がったのだった

 

 

 

 

「悪い、秋蘭

俺・・・魏には、帰れない」

 

「北郷・・・」

 

「それと・・・此処から先は、俺一人で旅をする

皆とは、此処でお別れだ」

 

「「「「っ!!」」」」

 

 

突然の告白

それに、四人は驚き声をあげた

 

 

「もう、雛里ちゃんだって・・・わかってるんだろ?

俺は、皆に“嘘”をついてるんだ」

 

「・・・一刀さん」

 

 

“嘘”

この言葉に、雛里が“ピクリ”と体を震わせる

それから、ゆっくりと、震える声で

彼女は、言葉を紡ぎ始めた

 

 

「知ってました

気付いてました

一刀さんが、私の考えた“策”とは、違う考えをお持ちなのは

もう、気付いてました」

 

 

“策”

それは、雛里が一刀と共に旅をする切欠となった

あの、出会った時のことだ

 

“彼が魏に帰る為に、彼女が考えた策”

 

しかし、いつの日か彼女が気づいてしまった

彼が・・・一刀が、もっと別の思惑を胸に、行動しているのだということに・・・

 

 

 

 

「一刀さんが、本気で魏に帰る気があったのなら

あの建業での一件があった時点で、もう十分な機会があったはずでした

それだけじゃないです

今回のような秋蘭さんからのお誘いを、断るはずがありませんから」

 

 

“だから・・・”と、彼女は躊躇いながらも

ゆっくりと、言い放ったのだ

 

 

「貴方が、何か“別の理由”でこの大陸を旅してしているのだということに

私は、気付いていました」

 

「そっか

けどさ、だったらわかるだろ?

俺は、君を騙していたんだ

だから・・・雛里ちゃんはもう、無理してついて来る必要はないんだよ

勿論、他の皆もね」

 

 

“だから・・・もう、いいんだ”と、彼は笑う

その言葉の後

重苦しい、沈黙が辺りを包んだ

 

そんな中、その沈黙を破ったのは・・・

 

 

 

 

 

 

「嫌よ」

「嫌や」

「嫌です」

「断る」

 

 

 

 

 

 

雪蓮・霞・雛里・華雄・・・四人の、見事に合わさった声だったのだ

 

 

 

 

 

 

-11ページ-

ーーーー†ーーーー

 

「なっ・・・」

 

 

その、あまりにも驚きの展開に

彼は戸惑っていた

そんな彼の側に歩み寄り、笑うのは・・・雛里である

 

 

「あの日、私はこうも言いましたよね?」

 

 

 

 

『この策を考えたのは私ですし

それに・・・見てみたいんでしゅ

御遣い様が、これから何を為していくのかを』

 

 

 

 

「私は、まだ見届けていません

貴方が・・・一刀さんが、これから何を為していくのかを

私はまだ、見ていきたいんでしゅ」

 

「雛里ちゃん・・・」

 

 

“今、さりげなく噛んだよね?”と、彼はまた同じことを思い

クッと、思わず笑いそうになった

 

 

「私も同じだ・・・」

 

「華雄・・・」

 

 

次いで、前に出たのは華雄だった

彼女は彼を見つめ、フッと微笑を浮かべる

 

 

「言っただろう?

私は・・・お前を守る斧だとな」

 

 

 

 

『我が名は“華雄”!

天より舞い降りし“白き流星”を守護する“斧”なり!!

その命、惜しくなくばかかってこい!!!!』

 

 

 

 

「あの言葉は、あの時の想いは

今でも、違えることはない」

 

「華雄、それは・・・」

 

「無論、董卓様・・・月様からの許可はいただいた」

 

 

“我ながら、矛盾するようなことを言ってしまったがな”と、彼女は苦笑する

そんな彼女の肩を叩き、笑うのは霞だった

 

 

「ウチは、一刀が何と言おうが着いて行くで

言ったやろ?

ウチが、一刀を見張ったるって」

 

「霞・・・」

 

 

 

 

『任せとき

もし天が無理やり一刀を連れ帰ろうとしても、ウチが止めたる

そんで、この旅が終わったら・・・絶対に、また華琳達に会わせたるわ』

 

 

 

 

「私も、一刀と一緒に行くわよ

何て言うのかしらね

私の勘が言ってるのよ・・・ついて行かないと、絶対に後悔するって」

 

「雪蓮・・・」

 

「な〜んて、言ってみたけど

やっぱり、もっと単純な理由かしら

私が、一刀と一緒にいたいだけってね♪」

 

 

 

 

『そんなの・・・一刀と一緒にいたいからに、決まってるじゃない♪』

 

 

 

 

 

「なんだよ、もう・・・」

 

 

言いながら、彼は笑う

 

ーーー笑いながら、泣いていた

 

 

「はじめに言っておくけど

俺がいったい、何をしようとしているのか・・・それについて、俺はきっと皆には話さないと思うよ?」

 

「構いません

私はそれでも、貴方を信じられます」

 

 

雛里は、迷うことなく言ってのける

 

 

「俺はきっと・・・皆が思っているよりも、良い奴なんかじゃないよ?」

 

「関係ない

私は、深く考えるのが苦手でな」

 

 

華雄は、“そんなの、知るか”と笑う

 

 

「俺は、嘘つきなんだよ?」

 

「そんなん、三年前に勝手に消えたので知っとるわ」

 

 

霞は、軽く皮肉を入れながら言ってみせる

 

 

「俺は・・・」

 

「あ〜、もう!

もう、そんなグダグダ言う必要もないでしょ?

私たちは、私たちの意思で、“此処にいるのよ”」

 

 

雪蓮は、一刀の頭をコツンと叩き笑って見せる

 

 

 

「皆・・・」

 

 

それが、彼は嬉しかった

泣きながら、笑ってしまう程

それくらい・・・嬉しかったのだ

 

それと、同時に・・・

 

 

「ありがとう・・・」

 

 

“苦しかったのだ”

胸が張り裂けてしまうくらいに、苦しかったのだ

 

何故、苦しかったのか

“辛かったのか”

 

その意味を、彼はまだ語ることはないだろう

語ろうとはしないだろう

 

だから、彼は“嘘つき”なのだ

 

 

 

「一緒に・・・行こう」

 

 

 

 

 

ーーーかくして

“絆”は深まり

“謎”も深まり

 

物語は、また新たなページを紡いでいく

 

次なる舞台は・・・“荊州”

 

 

多くの思惑渦巻く、“混迷の地”だった

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・続く

-12ページ-

★あとがき★

 

どうもです

十七章、公開します

 

ようやく、成都編が終了します

一行は次なる、荊州へと・・・

 

 

では、またお会いしましょう

説明
十七章、これで成都編は終了となります

この話に関しては、一行が本当の意味での仲間になった瞬間でしょうか
当時、かなり力をいれた記憶があります

どうか、お暇つぶしにどうぞ



序章
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真・恋姫†無双 恋姫†無双 白き旅人 成都編 

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