真・恋姫†夢想 異伝 「最後の選択者」 序幕
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まえがき

 

 

本作はBeseSon原作、『真・恋姫†夢想』の二次創作作品です。

 

以前まで書いていたものを見直し、再起動させようと思い至り、この度改めて最初から初めさせて頂くことになりました。

 

以前から御覧頂いていたTINAMIユーザーの皆様には、多大な御心配と御迷惑をお掛け致しました。本当に申し訳ありません。

 

手前勝手な理由では御座いますが、御説明致します。

 

 

 

理由としては、第一には恋姫シリーズの新展開。

 

『英雄譚』もそうですが、何より『革命』がスタートしたのが大きかったです。おおよその流れは同じでも、キャラクター増加と、

 

各ルートが単独で作品となっていることで、ストーリーには相応の変化がありましたので。

 

 

 

第二には、私自身の心境の変化です。

 

身内に不幸があり、そのために諸々の意欲を削がれてしまい、筆を手放しこそしませんでしたが、明らかに筆の乗りが悪くなって

 

おりました。折悪く、というのは語弊がありますが、その頃から仕事もさらに忙しくなり、益々乗りが悪くなってしまい……。

 

単なる言い訳なのですが、愈々私も身内の不幸が普通にあるような年齢になったのだなと、改めて思いましたね。

 

私自身、一度死を覚悟するような出来事がありまして。医師から「本当に死にかけたんだ」と言われ、背筋が凍りました。

 

 

 

以上二つの理由で、一度整理しようと思い立ち、今日まで色々と見直していまして。再び、筆を執らせていただきたいと思います。

 

重ね重ね、大変申し訳ありませんでした。

 

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○備考@:ヒロインについて

 

 

本作は無印『恋姫†夢想』の朱里ENDの延長にある物語となっており、従ってメインヒロインは朱里(諸葛亮)となります。

 

彼女はメインヒロインであると同時に、もう一人の主人公としても扱われます。

 

 

 

○備考A:時系列について

 

 

現代世界では3年と少しの年月が経過しており、一刀と朱里は共に聖フランチェスカ学園高等部を卒業し、大学に進学しました。

 

聖フランチェスカ学園は、少子化の影響で共学化された元女子校で、一刀が高校2年生の時点が共学化後の初年度となっています。

 

 

物語の開始時点では西暦2009年の設定です。これは、『聖フランチェスカ学園』という舞台設定を共有する『春恋*乙女』の

 

発売が2006年であり、無印『恋姫†夢想』にも冒頭少しだけ登場する一刀の悪友・及川佑は『春恋*乙女』でも主人公・早坂

 

章仁の同期として登場しているため、それに合わせたものです。あの物語の背景に、一刀も混じっていたのでしょう。

 

そして、朱里が2009年4月時点で同学園を卒業、大学に進学しているためには、2006年度時点で同学園1年度に在籍して

 

いる必要があるため、朱里は『春恋*乙女』のヒロインである早坂羽未、桐生ソーニャと同期になっています。

 

 

一刀と朱里が外史から帰還したのは、2006年4月初頭。つまり、一刀が聖フランチェスカ学園に編入し、男子寮に取り敢えず

 

荷物だけ運びこんだであろう時期(入寮式は多分、始業式の後で別に行う筈。細かい設定は憶えてません)となります。

 

無印『恋姫†夢想』では冬期休暇中の課題のことで歴史資料館に赴き、左慈と遭遇しているので、時間が戻っていることになって

 

いますが、パラレルワールドへの漂流を扱う作品であれば、時間の前後程度は些細な問題だと判断し、これで進めます。

 

 

 

○備考B:外史の呼称について

 

 

無印『恋姫』の舞台となった外史を『分岐の外史』、『真』の舞台となった外史を『閉じた輪廻の外史』として纏めて呼称します。

 

後者は『輪廻の外史』とも。

 

 

『分岐の外史』は、無印では誰がメインになるかでルートが分岐したので、無印からのヒロインである朱里、愛紗、鈴々、星、翠、

 

紫苑の各ルート及び、全ての恋姫が一刀の世界に飛ばされたルート、そして一刀が現代世界に去ることなく外史に留まるルートの

 

計8つのルートが存在し、それぞれ一度経験しています(確か、一刀が外史に留まるルートもコンシューマ版に存在した筈)。

 

 

『閉じた輪廻の外史』は途方も無く長い時の中で『真』の各ルートが繰り返されたもので、終端を迎える度に突端に戻され続けた

 

ということになっています。蜀、魏、呉、漢の計4つのルートをそれぞれ無数に……漢ルートの一刀は迷族一行の荷物持ちですが。

 

というか、漢ルートの主人公は華佗なので、一刀としてもこのルートの記憶はほとんど残っていないようです。

 

 

また、一刀が最初に経験し、終端を迎えた時に朱里と共に現代世界に飛ばされた外史を『始まりの外史』、『輪廻の外史』を経た

 

二人が記憶を取り戻し、後にしたのが『前回の外史』、本作の主要な舞台となる外史を『今回の外史』と、特に区別して呼称して

 

います。

 

現在の一刀達がいる現代世界もまた外史であることには違いないので、外史として扱います。

 

 

 

○備考C:度量衡等の単位について(使用頻度が高いもの)

 

 

●1里 = 約400m……漢代の基準に基づく

 

 

●1尺 = 約23.09cm……漢代の基準に基づく(※現代世界における「尺」は我々の世界と共通)

 

 

●1斤 = 約226.67g……漢代の基準に基づく

 

 

●1刻 = 約120分……十二時辰に基づく

 

 

 

○備考D:視点変更について

 

 

文中で度々、視点を変更しながら物語を描いていく形を取っています。(side:○○)という形で文頭に表記します。

 

基本的には一刀と朱里がメインですが、他のキャラクターの視点で物語が動くこともあります。

 

 

客観視点では(No side)と表記します。

 

 

キャラクター視点については、主人公二人以外のキャラクターは「主人公二人共が、或いはどちらか一人が真名を預かった者」に

 

限定したいと思います。それ以外の場合はノーサイドとなります。

 

 

 

○備考E:登場キャラクターについて

 

 

改訂前からいるキャラクターについては立ち位置等の変更は無しのまま、新たに『英雄譚』のキャラクターを追加していく形での

 

展開となる予定です。なので、

 

 

・劉協(献帝)

 

・劉弁(少帝)

 

・劉宏(霊帝)

 

・趙忠

 

・何進

 

・何太后

 

・麋竺(※)

 

・麋芳(※)

 

 

※……コラボレーション先のキャラクター

 

 

以上7名については、改訂前からのキャラクターを引き継がせて頂きます。細かい設定は変えるかもしれませんが……。

 

また、同じTINAMIユーザーである黒天様との御縁で、『一刀と猫耳軍師』シリーズとコラボレーションをさせて頂いており、

 

何人かのキャラクターが本作に登場します。

 

麋竺、麋芳も『猫耳軍師』シリーズからの客演となります。『猫耳軍師』シリーズは、無印『恋姫』が舞台の二次創作作品であり、

 

麋姉妹は無印でも「北郷軍」の構成員として存在が言及されています。そのため、一刀と朱里は当然ながら面識があるのです。

 

本作は無印から地続きの物語なので、二人と面識のある麋姉妹は『猫耳軍師』の麋姉妹、ということにさせて頂いています。

 

旧版で登場済みなのは劉協と麋竺・麋芳姉妹です。

 

改訂前には出番が無かったキャラクターが大半なのですが(特に、劉協以外の朝廷関係者)、どうかこのまま進めさせてください。

 

 

設定的な理由は作中でいずれ。『英雄譚』キャラクターの出番も、何かしらの形で用意したいと思っています。

 

 

 

○備考F:キャラクタライズについて

 

 

原作キャラクターは基本的に『真』基準となります。『英雄譚』以後の新キャラクターは『革命』基準です。

 

一部、無印基準或いは『真』をベースに無印の要素を付加してキャラクタライズしているキャラクターもいますが、無印時点では

 

恋姫が現在の半分以下しかおらず、必然として数は限られます。無印にしか出ていないキャラクターは当然無印基準です。

 

 

但し、『英雄譚』以前の恋姫も、それ以後の恋姫の影響は当然受けるので、キャラクタライズは『真』と若干異なるものになると

 

思われます。人間関係が変われば当然のことなので、これは御容赦を。

 

 

客演キャラクターについては、出展元でのキャラクタライズに準拠させて頂きます。

 

 

主人公二人については、出展こそ原作ですが、二人が辿ってきた経緯の特殊性から、オリジナルの領域に片足を突っ込んでいます。

 

予めご了承ください。

 

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※注意事項

 

 

原作からの改変度合いが、かなり激しいと思いますので、以下の点が「許せる」方に読んで頂ければなと思います。

 

生暖かい目で見守って頂ければ幸いです。

 

 

・シリアス重視。ギャグ成分は薄め。

 

 

・修羅の道を歩む、一刀と朱里。

 

 

・一刀は種馬にならない。ヒロインが朱里一人とは言わない。それに伴う、原作とは異なる形でのトラブル多発。

 

 

・主役二人+αの(あくまでもその殆どは努力による)異常なまでの能力。

 

 

・若干では済まないかもしれないオリキャラ。原作キャラが原作とは異なる立ち位置に居ることもあり。

 

 

・『無印』から『真』を経ての外史。『英雄譚』及び『革命』の要素は入っていても、原作通りの形では具現化しない可能性が大。

 

 

 

以上となります。

 

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――昼下がりの坂道。一組の男女がのんびりと坂を上る。

 

「やれやれ……毎度のことながら、あんなに注目されては買い物がやり辛いじゃないか」

 

品物がみっちりと詰まった買い物袋を四つも手に持った青年が空を振り仰ぎ、溜息と共にぼやいた。

 

 

 

――彼の名は北郷一刀。かつて『外史』と呼ばれる異世界、中国は『三国志』の外史において、永きに渡り戦ってきた青年である。

 

 

 

「仕方が無いですよ。私達、二人揃ってかなり目立ちますもの。一人でも目立つのに……ね?」

 

青年よりは少ない、二つの買い物袋を抱えた少女が、そんな青年のぼやきに苦笑を返した。

 

 

 

――彼女の名は北郷朱里。元は外史の住人であり、長きに渡り一刀と共に戦ってきた、三国時代の偉才・諸葛亮孔明その人である。

 

 

 

外史を繋ぐ門をくぐり、聖フランチェスカ学園の噴水広場に帰還したあの日から、三年の時が経過していた。

 

今はこうして、二人で平和な日々を送っている。一刀の元居た世界が再構成されることで、朱里という存在を受容したこの世界で。

 

そう簡単なことではなかった。今迄生きて来た永い歳月の大半を戦いに費やしてきた二人には、寧ろこの平和こそが異質なもので

 

あり、これを日常として受け止めるには非常な困難が伴ったのだ。

 

それほどまでに、二人は戦いというものに染まっていた。

 

「まあ、私もちょっとやり辛いなあ、という感じはありますけど」

 

それでも、二人は諦めることだけはしなかった。

 

数奇な運命の果て、輪廻の輪から解き放たれたその先で、漸く手にしたこの平和。一度は手にして、奪われて、そして取り戻した。

 

例え虚実定かならぬものであるといえど、手放したくはなかったから。

 

「注目されるのは慣れているとはいえ、あの世界とこの世界じゃあ、些かどころではない違いがあるからな」

 

近傍の大型商業施設での買い物を済ませ、その帰り道。二人は、自分達に変に注目する人々への愚痴を叩き合っていた。

 

一刀にせよ、朱里にせよ、戦乱の世界で名を馳せた歴戦の将である。人々の上に立ち、国を束ねたのだから、今更注目を集めると

 

いう程度のことで緊張したりといったことは、有る筈も無い。

 

しかしながら、現代の日本においては、注目されるというのは別の意味を伴うことが、往々にしてある。

 

例えば、世間に顔を知られた有名人であれば、街を歩けば注目を集めよう。

 

だが、二人のこの世界における立場は、勉学に精励し、青春を謳歌する一介の大学生であり、至極一般的な日本国民に過ぎない。

 

つまり、その「別の意味」に該当するということ――ようは「浮いている」のだ。

 

ただでさえ特徴的な容貌を持つ二人。それだけで浮いて見える上に、纏う雰囲気も一般的な日本人とは決定的に違う。

 

その点で言えば、あの世界でも二人はどちらかといえば浮いた存在であったものの、同時に二人が確かな能力と実績を持つ著名な

 

人物であったためだろうか、その注目とは概して好意的なものが多かった。

 

だが、この世界では単に浮いているだけ。その注目とは概して好奇と懐疑であろう。

 

「そうですね。ただ、場合によってはあまり変わらないと思いますけど」

 

「まあ、な。今も昔も『なんだコイツ』と思われるような奴は変な注目を集めてしまうからな。だが、携帯のカメラは駄目だろう」

 

「マナー違反ですね。すぐに撮影出来る環境が整ってしまっているというのも、考え物かも知れませんね」

 

「個々人のモラルに期待するしかないだろうな。刃物がそこらのコンビニで販売されているのと同じだよ」

 

それでも、このように流してしまえる。限度はあるが、注目されること自体には慣れているのだから、怒りまでは湧いてこない。

 

「物騒な例えですね」

 

「結局はそうだろ?」

 

「はい。まあ、諦めるしかないということですね」

 

結局、こうして話の種にしかならないのだ。二人への害意があるのでもないのだから、一々目くじらを立てる必要は無いのである。

 

命を狙うような輩を常に警戒することの必要性は、皆無とは言えないが相当に低い。然るに、幾つかの愚痴で流すのだ。

 

 

 

――無論、狙うような輩がいるとするならば。どちらを狙っても間違い無く指先一つで潰される未来しか無いのだが。

 

 

 

今も昔も変わらず、何処に行っても浮き気味の二人のことである。浮いているのなら浮いているなりに、そのまま馴染むしかない。

 

この世界に馴染むことは諦めておらずとも、浮いていることにはとうの昔に諦めがついていた。

 

「……ふっ」

 

「ふふっ……」

 

二人は愚痴をそこで止め、笑い合った。

 

くだらない愚痴を叩き合って、笑い合える。永きに渡る戦いの末に漸く得た報酬としては、あまりにも見合わないのかもしれない。

 

しかし、二人にとってそれはどうでも良いことだった。見合わないにしても、これが二人が望み得る最高の報酬なのだから。

 

或いはこれが、二人にとっては望外の報酬である節すらあった。

 

地位だの、名誉だのと、二人はそのようなものに興味は無かった。抑々、まさか報酬が得られるとは思ってもみなかったのだから、

 

何であれ望外の報酬だと言えた。

 

「さてと、今日の――んと、メールだ」

 

今日の夕飯はどうしようか――そう朱里に訊ねようとしたその時、携帯電話の着信音が鳴った。

 

戦いの中で何処かに置き去りにしてしまっていた、かつての一刀の携帯電話は、管理者によって回収された。これは機種変更した

 

ものだ。回収された方の携帯電話を使い続ける気にはなれず、契約更新の際に機種変更し、古い方は処分していた。

 

そう、心機一転を図るために。自分の思い出の中だけにしまっておき、残っている幾つかのデータごと処分したのである。

 

メーラーを開き、新着メールを確認する――メールは一刀の友人である、及川佑からであった。

 

「誰からですか?」

 

「及川だ。『助けてくれ、ホンマ』だと」

 

「……また彩萌ちゃんの不興を買ったんですね、及川さん……あの人、本当に懲りないですね。もう二十歳になるのに……」

 

「あいつが懲りたらこの世の終わりだな」

 

「妙な説得力がありますね……でも、そんな扱いで大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

ワイはいつまでそないな扱いなんや!――とは、及川の魂の叫びだが、それに対する一刀の答えは、誠に残念ながらこれであった。

 

さらに残念なことに、一刀達と親しい友人達――早坂章仁・羽深兄妹、芹沢結衣佳、織戸莉流、桐生ソーニャ――も、これと同じ

 

答えを無情にも突き付けるであろう。尤も、及川は「愛すべき馬鹿」なので、皆も分かった上で及川を弄っているのだが。

 

「まあ、一刀様もその手の経験が御有りですからね。人の評価とは、日頃の行いがものを言うものですから」

 

「そういう朱里はどう評価を下すんだ?」

 

「……難しいですね。実の所、一刀様の場合は境遇が特殊過ぎて、単純に『多情』だの『種馬』だのと評するのは安易に過ぎます」

 

「そうかな?」

 

「それ以前に一刀様が有していた、あらゆる繋がりが全部まとめて切れてしまったのです。繋がりを求めるは自然な欲求でしょう」

 

「フォローありがとう……」

 

一刀とて、皆が分かった上で自分を弄り倒したり、雑に扱ったり、時には理不尽な実力行使をしていたことは理解している。

 

朱里も、時折辛辣な物言いはしたが、寧ろ彼女の場合は一刀の擁護に回ることが多かった。心中で思っていたことは否定しないが、

 

同時にそんな一刀がどうしようもなく好きだったし、加えて頭の良い彼女は、客観的に見ればお互い様なのを理解していた。

 

どちらにせよ、愛情表現の範疇でしかないのだ。但し、及川の場合、例え恋人であっても擁護はしてくれない。

 

「及川にはこう返信しておくよ。『知らん。男ならちゃんとフォローしろ』ってな」

 

「なんだかんだと、一刀様は数十人相手にそれをちゃんとやってくれていましたからね。説得力が半端なものではありません」

 

「ふっ……奴とは年季が違うのさ」

 

「老け込むにはまだ早いですよ、一刀様……ふふっ」

 

そんな日常を、笑い合う。久しく忘れていたそれこそが、二人が死闘の末に得た、得難い報酬。

 

そして運命を、人生を愛すること。或いはいつか終わるかもしれないそれを、心底から愛し続けることこそ、二人の新たな戦いだ。

 

例え、その身が永久に数多の世界を彷徨う、まつろわぬ者に成り果てようとも。

 

躰の創も、心の瑕も、多く、そして深く。しかし、既に静かな疼きに変じたそれらは、押し寄せる日常に埋もれ始めていた――。

 

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――作られた外史。

 

 

 

 

 

 

 

――それは、新たな物語の始まり。

 

 

 

 

 

 

 

――終端を迎えた物語も、望まれれば再び突端が開かれて新生する。

 

 

 

 

 

 

 

――物語は己の世界の中では無限大。

 

 

 

 

 

 

 

――そして閉じられた外史の行き先は、ひとえに貴方の心次第。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――閉じ、開かれ、繰り返された外史。

 

 

 

 

 

 

 

――それを望んだのは誰だったのか。

 

 

 

 

 

 

 

――平和の時代に生きる青年を、幾度も戦乱の世に誘い続けたのは誰だったのか。

 

 

 

 

 

 

 

――平和を願い旅立った少女を、幾度も戦乱の世に挑ませ続けたのは誰だったのか。

 

 

 

 

 

 

 

――愛し合う恋人達を、その記憶を奪い続け、幾度も敵味方に引き裂き続けたのは誰だったのか。

 

 

 

 

 

 

 

――それは、誰にもわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――作られた外史。

 

 

 

 

 

 

 

――それは、新たな物語の始まり。

 

 

 

 

 

 

 

――終端を迎えた物語も、望まれれば再び突端が開かれて新生する。

 

 

 

 

 

 

 

――されど、今は未だ。

 

 

 

 

 

 

 

――外史の扉は、開かない――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                         真・恋姫†夢想 異伝 「最後の選択者」

 

 

 

                                 第零章

 

 

 

                         『儚き平和の謠 ― In Slight Sleep ―』

 

 

 

 

 

説明
読者の皆様には、大変な御心配と御迷惑をおかけしまして、誠に申し訳ありませんでした。

最後の更新が、今から四年前。

此度、『最後の選択者』は再起動致します。

至らぬ点ばかりで、ごめんなさい。

未だ粗が目立つ拙作では御座いますが、どうかよろしくお願い致します。

※2021/05/05 記述ミスを発見。訂正しました。
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