幻想卿に男が降り立ったようです10
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、、あの日からもう一週間立った。一週間も立ったのに何故かあの時と違って、ホームシック状態にもならなかった。というか、家でじいちゃんがどんな気持ちでいるかもあまり考えず、当分ここに居ようと思って居座っている。潔い自分に偉いと言いたい。

空を飛ぶかわいいスズメを見て和やかな気持ちになり心地よいため息をついた。

あれ。後ろが騒がしい、、さっきまで神社の中整理してたからなぁ、、来客が来たのかな?始めてみる人だった。

「ぁあー!もうっ!いつもみたいにHにちょっかいかけるのも命がけになったじゃないの!」

「そんな事相談されてもわたしからは あ。そう。 としか答えられないわよ」

「あんたが原因なんじゃないの?!」

「なんだその私が全ての問題の現況みたいないい方は!」

 

「いっつもそうじゃない!」

 

「うるさい!今回はあっちのせいだ!」

見ているといきなり話を振られてビクゥ!と体をはねさせた。

「えぇ?!おれかよ!てか、問題なのはちょっかいをかけるほうだろうが!、、、、で?」

俺は溜めに溜めた想いを伝える

 

「だれこの人。」

 

「あら?知らないのあなた」

 

疑問そうな一言。いや、初対面に知る知らないもないだろうに、、、、、。

 

 

そこに居た女性は紫布地に赤黒い水玉の入ったカボチャスカート、プカンっとスカートが丸まっている。上の服も赤見掛かったカボチャウェア。これも両袖が小太りする様にぽっこりと膨れている。

 

手にはお姫様がパーティーに付けていく様なシルク製の手袋(手袋?)を付け、ネックレスや指輪を豪勢に着飾っている。しかしそれに反する様に顔には化粧をしていない。一目でそれが判るほど明細がわかるきめ細かい素肌だ。目は高く釣り上がり、高貴な人を思わせる顔立ちをしている。口元もすきっとしており心地よい。俗にいう、、なんといったか。ツンといっただろうか。ソレだと思った。

それを強く思わせたのは表情だけではない。確か、ツンというのは 主人公に突っかかってきたり、罵倒する物などのはず。 それを思わせたのは彼女の身に着けたネックレスやリング、イヤリングなどの装飾品が全てクモである事で判断していた。クモを装飾する人は、気性が荒く、御高く見てる人間だとじいちゃんが言っているのを思い出す。

こんな森の茂る古い神社には居ない様なお嬢様風の女の子だった。

 

「蜘蛛女よ。」

「蜘蛛女?」それを聞いて、変に納得してしまった。約1週間前の俺なら信じるはずのない事だが、納得してしまった。

「あなた。あれよね?最近噂になってる、、「魔獄の手」」

「、、は?まごく、、てなに?」

「あら。知らないの?すごい噂になってるわよー。ここら辺だったらその名前を出せば皆うなずくんだから。知ってるって。」

勝手に噂が一人歩きしてる、、絶対そうだ、、。

「噂って、、だれが情報源、、、、ぁ、、、」

すぐ検討が付く。最近視線を感じると思っていた。時々フラッシュするわシャッター音をしたりでやばい気がして霊夢に相談したら案の定見たこともない

「文新聞」とやらに俺の写真がどうどうと写っていた。

俺はめっぽう写真が苦手な物でその新聞を破り捨てたが、、そこに書かれてたってとこか、?

いい迷惑だ!てか!そう言うのって勝手に乗せていいのか!

しゃしんの苦手な俺はそれをひきずること五日でやっと立ち直りここで仕事をしていたのに、いやな事を思い出した、、。

不快な気持ちを掻き出す様に頭をわしゃわしゃする。

髪の毛をむちゃくちゃにした俺を不思議そうに見ている蜘蛛女さんが話しかけてくる。

「、、君って、、どうみても普通の男よね。それだけだと」

「、、てか、普通の男でいたかったんですがね、、まさかこんな事になるなんて思いもしなかった物で、、」

「、、ま、私からしたらあなたはただのごはんでしか、、、」

「食わんといて!」霊夢の後ろに逃げ込む。 

 

ちょ、くっつくな!て、、どこさわって、、て離れなさい!

霊夢がイラつく様に俺を追い払う。食うという単語がルーミアやフラン以来怖くて仕方ない。巻き込まれない様に逃げ込む癖がついてしまった。「ぁー。だいじょーぶよー。別に食う気ないからー」

「、、、ほんとに?」警戒をしながらそう声を絞るとかるーくあーないないだいじょーぶ。だから帰ってコーイ。と言わんばかりな表情で呼ばれてしぶしぶ向かう。

「で。その蜘蛛女さんは、、」「才蛛よ。(さいも)」「は?」「名前よ。」「、、才蛛さんはなんでここに?その相談というかクレームを言いに来たってとこですかね?」

 

「クレーム、、そうね。そんなとこよ。」

「で?結局どうしろと言うのかしら?こっちは朝飯ヌいて気が立ってたりするんだけど。」

今回は保存庫にほんとに何もなかったわけで朝飯を抜いてる霊夢と俺。俺は朝飯抜くことはあるからわかるのだが、これは中々きつい物で、霊夢はこれをかなりの回数やっている様で余裕そうだったんだが、、なるほど。気は立っていたか。

以外だった為へぇ・・とこぼすが別に何も言われない

「イライラしてるなら好都合な事よ。」と才蛛。

「・・・なぜかイヤな気しかしないわね」霊夢の顔がゆがむ。アレほど歪んでも汚いとは言えない程綺麗な顔なのが不思議だ。

「ストレス発散に一発どう?」そういってこぶしを握りこんでニコリと上品にわらう才蛛。

「やっぱり!」と霊夢がしぇーっ!のポーズ。自然にするもんなんだな。

「いやよ!?絶対やだから!」

「ぇー。それでも神を奉る神社のヒロイン兼看板のひとことぉー?」

「神もくそもないわ!ここに神なんざいないわよ!神いるならつれてきて見なさい!」

「連れて来ようか?」

「あいつら呼ばないでよ?呼ぶなら金運の神呼べよ?」

「あ、なら無理だ。ざんねーん」

「あんたほんとどつきまわされたいかぁ!」

「だから、どつき合おうって言ってんのよ。判んないかしらねぇー。」

「もっとストレス溜まるわよ!ワタシは絶対しないか、、、、、、、」

はっとした表情がニヤリと口元を吊り上げる。この顔は綺麗じゃない!えぐい顔だ!

その顔が一ミリもズレル事無くグリッ!と俺の方を向く。怖ぇ!

「、、、つまり、ケンカできたら満足なのよね?」霊夢が再確認を取るように質問するいやな予感しかしねえよ!

「お。ヤル気になった?」

「あれとケンカして。わたしは見物ね。」

、、、おい。箒の先っぽを俺に向けてるのは何だよ?どういう意味だよ?いやな予感的中かおい?

「なるほど。おk−。」え?承諾すんの?!

「ちょちょちょ!霊夢どういう意味よ!?俺売った?俺を売ったよな今!」

「だめなの?」

「お前人間止めちまえ!」

「人間を否定される程ワタシは落ちぶれちゃったかしらぁ?あれぇー?」

「あんた性根腐ってやがんなまじで!この間もおれのサイフから金を勝手に賽銭箱に入れようとしてたし!マジ金の亡者!もしくはめんどくさがりの王!」

「言いたい放題すぎんじゃない?!ワタシにだって人権あるから訴えるわよこら!」

そう言って陰でこそこそと俺に耳打ちする。

「考えて見なさい。あんたの手。力の名前はなに!」

「ぇ?、、えっと、「全てを掴み全てをはじく程度の能力」だっけ?」

「そ。つまりあなたがその手で攻撃を弾きまくるだけでだいじょぶって訳!」

「な、、なるほ、、って!まて!俺の手に当たらなかったらどうす、、」

「がんばれ!ワタシは応援してるZO!」

「おま、ちょ、、っ!」俺の背中をドンッ!と押して才蛛の前に突き出す。

俺はガッチン!と動きがぎこちなくなる。

「で?_あんたがワタシのケンカの相手してくれるの、、?」

「ぇぇーー、、っと、、、、うん。」

消え入りそうに俺がいうとそっか。と腰に手を突っ込み何かを探す様に弄った。そこから取り出したのは、西洋の服には不似合いな鞠だった。手鞠。昔の貴族の遊び道具。簡単に言えばサッカーのボールに当たるもので、それをけり続け地面につけないように永続的に続けるゲームに用いるもの。、、ぁ、でもそれは蹴鞠だ。これは手鞠用の小さい鞠だった。

ソレは軟球ボールの少し大きくなったぐらいの大きさで、カノジョの手から少し色彩が見える。少し汚れているが赤黄色黄銅色と中々綺麗だ。

「じゃ。ケンカ開始ってことでー」と霊夢は神社の賽銭箱に腰をかけてにやけている。

こいつ、、

 

「レディー」と霊夢が言うと才蛛が投球するポーズを取る。野球のフォークを投げる形に似てる。まだレベルの低い人間は、構えでどんな魔球かがわかったりする。彼女はそのタイプだった。

「ファイト!」霊夢が手をたたき合わせ、甲高いパンッ!と破裂音がすると同時に才蛛のポーズはゆっくり崩れて行きなだらかに勢いのついた腕を振り切り鞠を投げつけてきた。

その細腕に似合わない超豪速球。200は切っていると一目でわかる。だが俺はあの時、、

輝いていた。そんなもん、、止められて当然だ!

「うぉ、、りゃ!」と左手で弾き返す。鞠はバリッン!粉々になったガラスを踏み潰す様な音と共に横に飛ぶ。

「どうだー!」神雅は勝ち誇りガッツポーズを取る、が、鞠は横に飛んだら才蛛を中心に回り今度は右に飛んでくる!

「なっ、、!」

スピードは先程にさらにスピードを足した様な速さ。それにギリギリ反応してしゃがんで避ける。

グォンッ!とまるで松0選手のバットの下にいる様な音が上を通る。

その鞠は勢いを殺さずまた同じ動きで才蛛を中心に回転し、また右側から飛んでくる。今度は角度をつけている様で、それはしゃがんだ俺にクリーンヒットする位置。

それを見て身体を無理矢理引っこ抜く様に後ろに跳ぶ。俺の立っていた位置にその手鞠は触れると、そこの雑草ごと地面を抉り取った。大きく抉れた地面はまるで学校で使う鉄球の数十キロ足した物を落とした様だ。

それで軽く神雅の口からヒッと悲鳴がこぼれる。

鞠はそのままのスピードのままカノジョの手に戻っていく。それを何事もなくキャッチした才蛛。

「ど、、どうなって、、っ!」神雅は鉄球に成り代わった手鞠を警戒した形を取る。いつでも後ずさりできるポージング。

それを見て笑う声が聞こえる。

「アハハッ。あんた目ぇいいみたいね。普通の人間って、コレくらいでも当たるモンなんだけどねぇー。大抵は。」掌で手鞠をもてあそぶ。ソレはさもビニールボールを手の上で跳ねさせる幼児の様。先程の地面を考えると信じられない光景だ。

 

「ほらほらっ!つぎつぎー!」そう言ってまたポージングを取る。やはりそれはフォークを投げる前の様な形。

その形が崩れ始めて、今度はスイングさせる腕が見え始め、その手から白球ではなく手鞠が飛んでくる光景を俺はスローモーションを見る様な気分で睨んでいる。内心何故かスゥ、、と力が抜ける様に頭に血が回る。

 

その鉄球は神雅の脳天を粉砕せんと言わんばかりのスピードをつけ頭に迫る。ソレを左手でおもいきり右に弾くと、また才蛛を中心に回りスピードを増した状態で左側から弾が飛んでくる。それはまるで投げ縄の様、、、なげなわ?

「そう、、かぁ!」と思い切りしゃがみこむ。するとその弾が上を通ろうと迫ってくる。

その手鞠にタイミングを合わせ左手を深く握り込み歯を食いしばらせて、下から押し上げる様に殴り込む。

「・・っ!」それに焦る様なそぶりを見せたのは才蛛だった。才蛛は足を深く踏み込んだ。まるで背負い投げをする様なそぶりをしだす。球はその勢いのまま上に飛んだが、途中でピンと引っかかる様に放物線を描き始めた。彼女のいる位置を中心に、放物線を描き彼女のずっと後ろの地面にその鉄球とかした手鞠はドンッ!と音を立ててめり込む。そこら一体に砂埃が立ち込めた。

 

「・・気付くの速すぎない?」

「いやいや。蜘蛛って連想したら一瞬でわかったよ。」そう言って神雅はにやけた。

「あんた。糸使ってたんだろ?それをあの鞠にはっつけて振り回してた。だからあんたを中心に回ってたんだ、。」

神雅はそう言って拳に力を込める。

「もしそうなら、そこで中心にいたアンタを止めるならコレだろうと思った。球を打ち上げられたら、どう頑張っても振り回すなんてできねえからな。」

 

「・・案外目ぇ以外に頭も回るみたいね。」

そう言うとなにも所で手をくいっとまるで紐を手繰り寄せる様なそぶりをすると、ソレと同時に地面にめり込んだ手鞠はボゴンッ!と取れ、その手の中に滑り込んでいく。パシィンと、乾いた音が軽くなる。

光が不自然に起こる。それは蜘蛛の糸が光に照らされ照った物だった。

光はワイヤーの様に細い。光を受けても跳ねる光は極々わずか。

「、、じゃ、どんどんいこっか。」

そういうと鞠をポンッと落とす。すると普通の鞠の通りポンポンと跳ねて転がりいつかは止まる。そしてりょうてを背に任せずっと突っ立ったまま動かなくなった。

シィーン、、と時間が過ぎる。なぜ止まったか判らず、攻撃していいのか迷いつつ声をかけた。

「お、、おい?」

そしてその声に起きた様に動き出す。スッ、、と両手を流す様に振り出す。それが合図といわんばりに、細かいガサガサッと音が近づいてくる。その音は小さい。が、それが幾十、百という数字となり音が大きく変化していた。

なんだ、、?!それに警戒する。

その瞬間カノジョは言う。

静けさに力を一瞬緩める瞬間、その時の表情は太陽をバックにうつくしく光こちらの警戒を削がせる。本人にはそんなつもりはないのだろうが、こっちはもうその表情にドッキドキなっている。

 

「『線殺符:スピル・レネッティバー』」

 

カノジョは涼しげにいう。

その瞬間がさがさという音が一気に近くなる。近づいてきている。その音が近づいてこちらの警戒心を寄り高くさせる。そして目を凝らす。そして気がつく。

俺の2m程先に、異常なスピードをつけたあのワイヤーらしきものが重なり網状となり存在していた。それは俺に近づいてくる。俺はそれに気付き急いで後ろに下がる。それに間に合わず、靴が片方脱げてしまった。脱げた靴はその速いネットを通り抜けていった。様に見えたが、その網が通って少し時間がたつとバラバラに靴は崩れていく。形はドレも同じ、

ワイヤーがあの一瞬で靴をサイコロ状態にしたと言うなら触れたら俺はリアルサイコロステーキになってしまう!

はだしの足を必死に庇いながら後ろにドンドン下がっていく、跳ねて後ろに下がり、タイミングをつけて横に逃下ようとして気付く。この糸、、どこからでているんだと。

その糸のさきには漫画一冊ほどのでかい蜘蛛がびっしり陳列していた。

その尻から糸がでており、それがいくつも折り重なって網に見えていたのだ。

それに気付くと寒気がした。というより、コレほどでかい蜘蛛、、みたことがない。

 

それにゾッとして気味悪くなった。

横に逃げると蜘蛛は俺を素通りしおれの後ろにあった木をいくつもサイコロ状態にしていつしか止まった。

「し、、洒落になってない!てかこんなでかい蜘蛛、、みたこと、、!」

なぁ〜にいってんの。と才蛛「ココは幻想卿よ?不可能なんてないの。」

そういわれて納得してしまった自分がばからしい。だがそんな頭で変換する間もない。

すぐ前方に蜘蛛の陣が完成している。それはフォーメンションを組むように移動してこちらに向かってくる。ズドドと蜘蛛の走る音が近づく。それに反応する様に目に力を入れる。

 

深く踏み込んで、、前方に飛ぶ。それに才蛛は驚いたが、神雅はただ走る。風の切れる音。ヒュウオ、、と耳に注がれる音。草木が風や揺れを受け擦れる音。

 

周りを感じ、目の前の蜘蛛の軍団を見ていると、蜘蛛達は糸を吐き出した。全ての糸が繋がっていき、ドンドン形を作り出す。その形は六角形で、さらにその六角形にそって中央にさらに六角形が続く形となっている。それはまさに巣だった、蜘蛛の巣が張られ、それが体当たりをしにくるという異様な光景をみた迫力は絶大だ。それも先程の切れ味なのだろう。と神雅は理解していた。だからこそ。

そんな糸を、  “受止めてやり返してやろう”と思えた。なぜか思った。その目には怒りの炎が燃えている。スイッチがカッチーンと入った様子。

幻想卿にくると嫌でも度胸がつく。まだ一週間という短い滞在時間で、ある程度の度胸と心の器、さらに筋力がついている神雅は(器が大きいにもかかわらず)プッチンしてしまってムキになった結果、

受け止めてやり返すという答えにたどり着いたのだ。

走る足をブレーキをかける足に一瞬で切り替える。地面を踏みしめる音が響き、それを無視して六角形の陣は俺を切り裂かんと近づいてくる

 

完全に動きが止まりきる前に触れる糸の陣に勢いをつけて左手ではっけいを打ち出す

六角形の陣に手が触れると、キュンっと音が鳴る。それと同時に陣をくみ上げる土台、蜘蛛達がピギッ、、、 ギィギ、、と声を上げた。陣は、、前方に吹き飛ぶ。まるで砲台が揺るがぬ様に前方一直線に吹き飛ぶ陣に、巻き込まれる様に尻に糸を引いたかなりグロテスクな蜘蛛が飛んでいく。それをみた才蛛は反応して上に飛び上がる。

その下を蜘蛛の陣が通り過ぎる。その陣は何本もの木を切り裂いて動きを衰えさせた。

動きが止まりきると陣を張っていた蜘蛛はぐったりする間もなく生命の危機を逃れる為四方八方に散らばる。

 

「・・チィ・あんた・・人間だよね?あんたみたいな命知らずは何人も見てきたけど、、

生きてた奴、、あんたで3人目よ?」

「そうか。ならこのままあんたもノックアウトして勝利して更なる高見を目指そうか?」

舐めるな。さすがにあんたにまで負けると私のプライドズタズタだ!」

 

「蜘蛛のプライド。きっと淡いんだろ?・・俺が掴み、引きちぎってやる!」

 

 

完全に怒りスイッチの入った神雅がステップ早目に突っ込む。

それに動じることなく才蛛は服袖に隠れている手首から糸を吹き付ける。

今回の糸は太い。まるで縄の様だったが、それゆえに避けることも簡単だ。左に跳ねて避ける。その糸が当たった木がミシリと音を立てた。

それに答える様に才蛛はその糸を手繰り寄せる。それに応じる様に木はミシミシミシっ!と音を立てて抜き取られる。

それは勢いを付け、背を向けた神雅にぶち当たった。「・・・かっ、、!」

バウンドした神雅が弾き飛ばされた。吹き飛んだ神雅は才蛛の横を通りすぎ、木に叩き付けられズルズルとずり落ちて行く。

 

才蛛は糸を振り回し、遥か2,3m超えた大木を振り回し、神雅を押しつぶさんと投げつける。

「私さ、。自分の満足行く答えがほしい訳よ。てか今ケンカに付き合ってもらってなんだけどさ」

神雅は痛む体を抑えながらよろよろとギリギリ避ける。衝撃波に吹かれ軽く足がもつれてこけそうになる体に渇を入れ踏み込む。

「弱い物いじめがすきなんだよね。こうみえても私、蜘蛛だしね」

それが功を奏し深いダッシュを生み出す。才蛛はにやけながら投げつけた大木をさらに引き戻し、走り込む神雅の背をめがけてバウンドするが、神雅はそれを読み取りその大木を、、掴んだ。大木の一片を握り込み受止めた。

ミシリッ、と大木にめり込む。指がかるがると大木に食い込んでいく。

それを見た霊夢は肘手をついた手を顎から離す。それを見て一番驚いていたのは才蛛だ。

人間の力を遥かに超えた力を見せ付けてきた挙句、次の様な言葉が飛んできたのだから。「弱いもん?ばかいっちゃいけねえよ」神雅はその大木を大きく振りこみながら言う

「よわっちいのが人間だっていうなら俺は許さない。」ステップを測り

「俺がその言動。ぶっっ返してやる!」思い切り投げ飛ばした

 

大木は横向きになりながら吹き飛び、才蛛に迫る。才蛛はその下を潜る、という方法で避ける。上に大木が通り過ぎていく。その大木が通り過ぎて立ち上がると、

グンッと身体が引っこ抜かれる様に地面から足が離れた

「?!なにが・・・」

大木に張り付いた糸がまだ手首から離れていなかった。大木と共に後ろに吹き飛ぶが、

空中でその糸を切り離す。

「あんたの悠々とした態度を、、」「?!」

 

そこには完璧にステップや距離、歩幅を合わせて飛び上がった神雅がいた。手を大きく振り上げて、力を込め飛び上がった腕が握り込まれている。

「俺が二倍にして弾き変えす!!!」

その最高の一撃が、才蛛の頬にめり込んだ。深く、深く殴り込んで、その身体が遠くに吹き飛んだ。スピードが増しその一撃を受けた体は地面に叩き付けられ大きく跳ね上がり、身体を地面に擦りつけ離れていく。動きが止まった。完璧に呼吸音もしない。荒荒しい息を吐き出した。何度も吐き出して目の前にある自分の力を見た。

女の子を殴り倒す。それにはもう殆ど抵抗がなくなってしまっているのはショックだったが、まさかあれをたおしてしまうだなんて、、しかも、あんな巨木、、むりやり抉り掴んだけど、、、どうなってるんだこれは?

自分の奇奇怪怪絶対不可な状態に苦戦しのた打ち回る。

悩んでいると霊夢が横で手を打ちながらこっちに歩いてくる

「はいはーい。終わった終わった。さ、さっさとこれ片付けるからあんた部屋でケガ直しときなさいー。」

そういって俺の首根っこをつかむと後ろに乱暴に投げ出される。

紙雅は地面に大きくしりもちをつきキャインっ!と犬の様な鳴き声をあげる

「ちょっ・れ、霊夢さん!あんた初めて会った時とはまた違う扱いではないですか!?そのときの俺はもちっと大事―に見守られてた気がするんだが!?」

「時がたてば人は変わるのよ。」

「人に対する態度を変動させるほどに!?」

「時として人間は進化するのよ。」

「進化する感覚が短すぎる!」

「人間の進化ってきまぐれよね。ほーんと。」

そういって手のひらであっちいけ、の形をとっていたのでしぶしぶながらに紙雅は神社に歩いていく。そこに残るのは大きく荒れた森や土、葉っぱなどとそこに横たわる蜘蛛女 

才蛛。 「・・・・行ったわよ。」霊夢がそういうと「お。そう?んじゃ」答えたのはその倒れた才蛛だった。目をパチっとしっかり開きすくっと軽々と立ち上がる。どこにも疲れた様な節が見あたらない。

 

「あんた。なんで手加減したのよ。」

「ほー。人里の人間でしかも 特別に あんたに守られたあれを殺れば私がどうなるか私自身自覚してないとでも?」

「わかってんじゃん。」

「てか、あれなに?思いっきり折ったばっかの大木を握りこんでたんだけど。ほんと、人間なんだよね?」

「そのはずなんだけど、、どーも、あの手って、、「すべて掴み」ってフレーズ、どうも掴んだものの重さとか体積とかを、そのもの無視させるってとこがあるのかしら、、まぁ、」

そういいながらお茶をすすりながらため息

「ほんと。厄介者抱え込んじゃったわ、、」

「ご愁傷様」

「人事と思って。」

「人事じゃなければ拍手などしないわ」

「拍手するな!消すぞ!」

「消すな!ちいさいこの命を軽々と!」

そう強気に講義しながら逃亡する蜘蛛女を追跡し仕留めんとする巫女を尻目に、絆創膏を至る所に貼り付けている所である少年は消毒液の染みる痛みに耐えている。

 

それがいったいどんな消毒液か知るよしもなくそれを使い耐える様はかわいそうでしかない。ほんとに。

「いちち、、、はぁ、、、やべえ、、俺の夏休みが不幸で埋まる、、、、」

そう宣言する少年の顔には笑顔は失せていた。

 

説明
ごばぁー!、、、、、ひさしぶりすぎる!
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幻想卿 蜘蛛女 

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