女として死んでいる 6
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その後の話

帰ると言っても、そのまま部屋に帰った訳ではない。

暗くなって来たので、4人で夕飯を摂る為に、食事処に入る。前と同じ処だ。

肉と魚と野菜のメニューがある。

「肉で、1番高いやつを。」

「魚を頼む。」

「野菜をお願いします。」

「肉で、1番安いのを。」

 

「ところで、カニワさん。報酬は何に使うのですか?」

ツキノワが私に尋ねる。

「考えてない。」

「そうですか。でしたら、私に預けてみませんか? 投資です。投資。」

「・・・分かった。今、預ける。」

「ありがとうございます。」

「はい。」

「はい。」

「・・・で、そろそろ帰りましょう。」

食事処でちょっとした豪遊をして、冷静になった3人はヨッカガイの言葉にめざとく反応する。

「帰りましょう。」

「帰ろう。」

「帰る。」

3人とも同意する。

4人で食事処を出る。

「ごちそう様でした。カニワさん。」

「ああ。」

私が全金額を出した。

「ありがとうございましたー。」

4人は帰路に着く。

「カニワさん」

「カニワ」

ヨッカガイとヨウカのセリフが被る。

「ヨウカからどうぞ?」

「・・・カニワ、そろそろ私は天界に帰ろうと思う。また来る。けど・・・。」

「言いたい事があるなら、はっきり言って。」

「淋しい。それに心配だ。」

「心配?・・・分かった。明日は征伐クエストはなしにしとく。」

「さびしいのならば、またすぐ来れば良いのではないですか?」

「私もそう思う。できるだけすぐに戻る。」

「慌てないで、ゆっくり戻ってね。」

「ああ。」

あいも変わらず、男らしい返事だと感心する私、カニワ。

「じゃ、これで一旦お別れだ。」

上空へ舞い上がるヨウカ。

それを目で追う私とヨッカガイとツキノワ。

見えなくなるまで追う3人だった。

 

ヨウカがみえなくなった途端、ヨッカガイとツキノワが

「カニワさん、帰って寝ましょう。3人で。うふふ。」

「カニワさん、後でゆっくりね。」

と豹変する。

「あはは、性的な意味でなく、ね。」

と私は日和るのだった。

私は2人と腕を組んで歩く。

これで私が男だったなら、さぞ楽しいんだろうな。と思ってしまう。

両手に花なのだから。

ちなみにヨッカガイの容姿を説明すると、白いYシャツに青いスカートに赤髪の美少女ときている。

なぜスカートなのかと言うと、本人曰く、シンプルイズベストだと言う事らしい。

シンプルかどうかはともかく、Yシャツにスカートという事でギャップがあって私は好きだ。

私が男だったならという事を言ってはみたものの。

「私はカニワさんが女性だからこそ良いんです。」

「同意するわ。カニワさんが男性なんて考えられない!」

と否定されてしまった。

帰る途中で、こうした会話はあったものの、特に何事もなく帰れた。

枕を3つ用意して、ベッドに倒れ込む。

色々とあったが今日は充実した1日だった。

「おやすみなさい。カニワさん。」

「おやすみなさい。カニワさんー。」

「おやすみ、ヨッカガイ、ツキノワ。」

こうして、私を含めた3人は1日を終えた。

説明
女は健常者だった。
しかし、女として欠落していた。
何がかと言われると、はっきり言葉には出来ないが、何かが、欠落していた。
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