魔神達の幻想入り 第H話
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あの強い衝撃を受けた瞬間、俺は死ぬのかと思っていた。やはりこの世界は、俺の肌に合うものではなかったというわけだな・・・

俺はその覚悟で意識を遠ざけていった。助けようとするボーマンダも急いで降下するが、速さについていけれずに俺と何かは森の中へ消えていった。

 

ジュウゴロウ「・・・っ・・・」

ゆっくりと目蓋が開き始める。眩しくてよく見えないが、どうやらあの世に着いたらしい。それに声も聞こえる。

死神がお待ちかねのようだなと思ったが、俺の前に突然疑問が浮かび上がった。

ジュウゴロウ「・・・生きてる?」

気がつくとどこかの部屋の布団で眠っていたのだ。和風なイメージもある部屋は、間違いなく誰かの家だ。そして隣には、先ほどぶつかった何かがあった。その正体は少女である。

どういうことだろう?少女が何故あんな速さで飛んできたのか・・・それよりもおかしかったのは、その瞬間を見たあのときにはポケモンに乗っているのではなく、彼女自身で飛んでいたのだ。それも羽を生やして・・・

「気がついたかしら?」

ジュウゴロウ「! おまえが俺とこいつをか・・・?」

声は左横から聞こえた。脇が露出した赤い服装を着ている少女だ。

「単に言えば魔理沙が見つけてきてくれたのよ。ゴール地点にいても来なかったら様子を見に行ってたらそのカラスがあんたの上に被さりながら気絶してたわ」

ジュウゴロウ「ちょっ・・・もとはと言えば、こいつが勝手にぶつかってきたんだ!」

俺は間違いなく殺されるとの危険を感じて布団から飛び起き、奥の壁まで身を引いてしまう。

「へぇ〜・・・顔を赤くしてるけど?」

ジュウゴロウ「男に惚れる筋合いなどない!!」

畜生、好き放題に言いやがる女だ。そんな中でまた1人誰かが入ってきた。あれは・・・魔女!?

そういえば魔理沙とかって言ってたけど、まさかこいつが・・・?

「よぅ、随分と凄い妖獣を連れてるもんだな。すぐに仲良くなれたぜ!」

ジュウゴロウ「何?」

その瞬間、魔女の後ろにボーマンダがのそっと入ってきた。しかも懐いている。

ジュウゴロウ「他人には容赦なく威嚇するポケモンなんだぞ!?なのになんですぐ懐くんだ!?」

「そうか?普通に仲良くなれたんだけど・・・」

即答的な回答によってもはや俺はパンク状態になっていた。

「・・・話を変えるけど、貴方、外来人ね?」

ジュウゴロウ「そうだが?」

「やはりあの妖怪ね、毎回落としているという・・・」

あの妖怪・・・まさか!

ジュウゴロウ「八雲 紫か」

「知ってるの?」

ジュウゴロウ「あいつには借りがある。現れたら半殺しにするつもりだ」

俺は指をポキポキと鳴らしていた。

「まさか・・・彼女に反抗したんじゃないんでしょうね?」

ジュウゴロウ「クソ女って言ったからな。そしたらカードを取り出して、俺とそこにいるボーマンダを叩き落しやがった」

「なんか凄い暴力家だな、お前・・・」

魔女はゾゾッとした顔になる。やはり怒らせた顔はそれほど怖いものか・・・

と、そんな話をする俺だが、まだ2人の名前を聞いてないことに気づく。

ジュウゴロウ「ところで、お前たちは誰なんだ?最低でもここの主という可能性はあるが・・・」

「私は博麗 霊夢。ここ博麗神社の巫女よ」

「霧雨 魔理沙だぜ!魔理沙って普通に読んでくれよな!」

ジュウゴロウ「そうか・・・俺はキバシ ジュウゴロウ。そっちにいるのが俺の仲間、名はボーマンダだ」

ボーマンダはガウッと低く吼えて挨拶する。

霊夢「さて、神社に来たのならまず、お賽銭して頂戴よね」

ジュウゴロウ「賽銭?まぁいいけど・・・」

とりあえず面に出る俺は目にした賽銭箱にとりあえず500円をポーンと投げる。

霊夢「はい、ありがとうございまーす」

税金を取られた気がする・・・それが俺の心の中に流れ込んでいた。

魔理沙「なぁジュウゴロウ!あんたが倒れてるときにこんなものを拾ったんだけどさ」

ジュウゴロウ「えっ、それって・・・」

俺は一瞬だけ何か殺意を覚えた気がした。

 

ポケギアがぶっ壊れているのだ。

 

おそらく、あの少女とぶつかって・・・と、その時、中からあの少女が目を覚ましたのか、外に出てくる。

「いや〜さっきは酷い目にあってしまいましたけど・・・あや?霊夢さん魔理沙さんどうしました?」

霊夢と魔理沙とボーマンダはさっと俺の場から離れていた。

そして今のは俺はなぜかかしら、紫の炎が燃え上がりながら少女に鋭い眼光を向けた。

ジュウゴロウ「テメェ、ちょっと面に出ろ」

「あやややぁ!?私何か悪いことしました!?」

逃げたいと思っても、殺気のせいで足をすくませて動けなくなる少女。まさに蜘蛛の巣に捕まった蝶だ。

「ご、ごめんなさいぃぃっ!!なんだかよく分からないですけど許してください!!」

ジュウゴロウ「誤って済む俺じゃないぞ」

俺の右手が急に青白い炎に包まれ、その中から一枚のカードが出てくる。

霊夢「あれはスペルカード!?」

魔理沙「お、おい!空が急に暗くなってきたぜ!?」

風も吹き、晴れた空は急に雲によって暗くなり始める。

ジュウゴロウ「さぁ答えろ。天国に行きたいか、地獄に行きたいか・・・」

「ひぃぃぃっ!!どちらも行きたくないですぅぅっ!!」

ジュウゴロウ「それなら無だ、貴様を無に送ってやろう」

カードから黒い風が吹き荒れ始める。霊夢はこのままだとヤバいと感じたのか、彼女もまたカードを取り出す。

霊夢「ジュウゴロウ!私の神社を壊すような真似はよしなさい!」

ジュウゴロウ「何言ってんだ?俺はこの女に用があるんだぜ?壊しはしないさ・・・」

完全に暴走怪物と化した俺は、カードをグシャッと握ると体は風に包まれながら自然に浮き上がりだす。

ジュウゴロウ「風神「ダークサイクロン」!!」

俺の足から物凄い風の塊が発生し、少女に向かって、流星のスピードで飛び蹴りをする。

速い!と感じた霊夢は結界を張るが、あり得ないほどの威力に結界は5秒で大破寸前となる。

魔理沙「恋符「マスタースパーク」!!」

真横から物凄い光がしたと思いきや、巨大レーザーが俺に直撃した。物凄い苦痛を浴びる俺は一気に5メートルも吹っ飛ばされた。

霊夢「ちょっと!あんたのほうが危ないじゃないの!!」

魔理沙「どっちにしたって壊されかけてたんだそ!?」

ジュウゴロウ「テメェ・・・よくもやりやがったな」

怒鳴りあう2人と怯んでいる少女の3人はその方向に振り向く。全身から今までにない巨大な炎に包まれた俺が傷だらけで立っている。

さらにまたカードが出て握った瞬間、今度は両手から黒い電気が集まり始め、両手をか○○め波のような構えを取る。

ジュウゴロウ「黒雷「ダークスパーク」!!」

黒い巨大レーザーが発射される。しかも魔理沙が打ったマスタースパークの威力では比べ物にはならないほどである。

と、その時、ボーマンダが霊夢たちの前に出て破壊光線を発射。鍛え上げたポケモンであるゆえ、その威力は俺の放っているレーザーと互角に渡り合った。

激突する間に異常なエネルギーが増幅していき、次の瞬間には爆発を起こして、俺とボーマンダはその衝撃で後ろへ引きずられながら足を下げる。

ジュウゴロウ「ぐっ・・・うぅっ・・・」

ついに俺は燃え尽きたようにバタンとうつ伏せに倒れる。意識は残っているが、反動が強すぎてるせいで体が動けない。

一方のボーマンダも同じく反動で動けなくなっていた。

魔理沙「しかしなんだったんだ今の。私のマスタースパークに似たカードを使いやがったぜ・・・!?」

霊夢「あの炎はもしかしたら・・・憤怒かもしれないわ。彼は憤怒を操って、自らのパワーに変える能力を持つのよ。しかしこんな恐ろしい外来人、見たことないわ・・・」

霊夢も冷や汗をかくような光景を見て、そう答えた。

オーバーヒートでもしたように疲れきった体を起こしたのは、それから10秒後である。いつの間にか元の俺に戻っていた。

ジュウゴロウ「思いっきり吐き出したから体がまだ痛いけど・・・霊夢、俺に能力があるのは本当なのか?」

あの話を聞いて俺は驚いた。確かにあの時、俺は無意識で攻撃してしまったけど、その威力は俺の予想を超えているのが分かった。それにしても、真ん中に残っている黒いコゲ跡は近くで見ても恐ろしく感じる。

霊夢が言うには、あのカードが出てきたのは憤怒が起こした奇跡に過ぎないということで、俺はそんな恐ろしい力を操るものだと思うだけで気味が悪い。

ジュウゴロウ「ところでアイツは?」

霊夢「私の後ろよ」

霊夢の後ろには、怯えながら隠れている少女がこっちを見ていた。

「あの・・・まだ怒ってますよね・・・?」

ジュウゴロウ「いや、気が晴れたからもう怒ってなどない。でもどうするか・・・ポケギアが壊れてしまってはどうにも・・・」

「会長さーん!!」

突然空から声が聞こえた。この声ってまさか・・・!

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第H話でした。

ジュウゴロウもついにスペルカードを使用&能力判明!!

まさに魔神というイメージが存在するキャラですね。要は怒りを消費して戦うような仕組みですが、怒りが無いと元の状態に戻ってしまいます。因みにどこぞの仮面戦士の台詞はあくまでもジュウゴロウの気に入った台詞らしいです。

次回でいよいよ合流!第10話にご期待ください。

説明
ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。
※射命丸を傷つけるシーンがあります。ファンの皆様には大変申し訳ありません。
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