真・恋姫†無双〜黒の御使いと鬼子の少女〜 69
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「ふぅ〜」

 

 厠で用を済ませてから、店員にお代わりを注文して戻ってくる。

 

「すまん、今戻った」

「“っ!!!!!!!!!!!!!!”」

「え? な、何事?」

 

 二人の普段見られない慌ただしい様子に思わずにこちらも少し驚いてしまう。

 

「な、何でもありませんよ?!」

「そうでしゅ! ありませんですっ!」

 

 ……なんか、最近こういった“圧”に滅法弱くなった気がする。

 

「あ、はい」

 

 とりあえず何でもないんだな、と思い込んで席に座る。

 

「っと、茶のお代わりも注文しておいたが……」

「そ、そうですね! 飲んでしまいましょうっ!」

「ひゃい!」

 

 で、二人は急いで杯を開けようとして、

 

「“ごふっ!”」

 

 同時にむせた。

 

「………………なぁ、本当に」

「“何でもありませんっ!”」

「………………………………なんだかなぁ」

 

 一体何があったのだろうか。詳しく聞きたいのだが、聞けないこの雰囲気どうすればいいのだろうかと悩んでいるうちにお代わりが届き、言葉少なくなったので結局そこで店を出ることになってしまった。

 

 そして、城に戻るまでそのままの状態で戻ってしまったのだった。

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 城に戻った俺たちは早速引っ越しの準備をするために各所へ散って作業を始めた。しかし、俺だけは作業に入らないで雪華の元へ向かっていた。

 

「雪華、いるか?」

「玄輝? いるよ」

 

 扉を開けると片づけをしていた雪華がそこにいた。

 

(改めて見ると、こいつの格好もだいぶ変わったもんだ)

 

 茶色の外套はもはや着られることはなく、ところどころほつれていた着物はこの国のしっかりした服になり、顔にも影は無くなったように見える。

 

(…………俺がこいつに残せるものは何があるか)

 

 いや、その問いの答えはよくわかっている。ならば、後は話すだけだ。

 

「雪華、すまんが手を止めて聞いてくれ。大事な話だ」

「……なに?」

 

 俺の雰囲気から嫌な予感がしているのか、さっき感じなかった影が出てきてしまう。

 

(だけど、言わなくちゃならん)

 

 雪華と目線を合わせ、その肩に手を置いて話を始めた。

 

「……下手に長引かせるのは、好かんから単刀直入に言う。俺はこの引っ越しが終わった後、一時的にこの陣を出る」

「えっ? なんで、なんで? この前残るって……」

「……ある場所で白装束がいるかもしれないって情報を得たんだ」

「っ! だ、だったら私も行くっ!」

 

 前に出ようとする雪華の体をやさしく止めて、俺は首を横に振る。

 

「……雪華、今回の旅にお前を連れていくつもりはない」

「なんでっ!」

 

 途端に涙ぐむ雪華だが、その体をゆっくりと抱きしめてから話を続ける。

 

「……お前には、ここに残ってほしい。白装束の事を覚えていられる者として。今現状で覚えていられるのは俺たちだけだ」

 

 まぁ、もう一人いるが、あれは当てにならない。何せ神出鬼没だ。出会えたところで、劉備の所にいてほしいと頼み込んでそうしてくれるとも限らん。

 

「もし、劉備たちに白装束が襲い掛かってきたとき、みんなを助けられるのはお前しかいない」

「……わたし、が?」

「そうだ。あいつらを覚えていられる、お前だけが頼りになる」

 

 雪華を体から離してその眼をしっかりと見て話を続ける。

 

「俺は自分である程度はどうにかできる。だが、お前は今一人では戦えない。だから、ここに残って皆を助けてやってほしい」

「……………」

「………身勝手なことを言っているのは、分かっているつもりだ。だが、頼む」

 

 そう言って頭を下げる。

 

 流れる静寂。だが、いつまでも続こうが頭を下げ続ける覚悟はしている。

 

「…………玄輝」

 

 だが、その静寂は思ったより早く終わる。

 

「……戻って、くるよね?」

「ああ、当たり前だ。必ず戻ると約束する」

 

 雪華からの問いに即答すると、彼女は鼻をすすりながらも首を縦に振ってくれた。

 

「…………わかっ、ぐすっ、た」

「……すまん恩に着る」

 

 俺はもう一度抱きしめてその頭をやさしく撫でる。

 

「……ねぇ、玄輝」

「ん? どうした?」

 

 抱きしめたまま問い返すと、彼女は自分から体を離して真剣な表情で話を始めた。

 

「お願いが、あるの」

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どうもおはこんにゃにゃにゃちわ。作者の風猫です。

 

昨日と今日と夏らしい天気で、喜ばしいと同時にこれからあの暑さがやってくると思うととろけてしまいそうになります。

 

おまけに外に出るときはマスクをしないと安心できない世の中。熱中症にはくれぐれもお気を付けください。

 

次でようやっと70と、筆が遅いなんてもんじゃありませんが、なにとぞこれからもよろしくお願いします。

 

誤字脱字がありましたらメッセージで教えていただければと思います。

 

 

ではまた次回。

 

またチョコミントアイスが売られるようになって嬉しい作者でした。

説明
白髪の鬼子と黒の御使いの、守るために戦い抜いたお話

オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話です。

大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。
































ちゃんとオリジナルの話もありますよ?(´・ω・)
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鬼子 蜀√ 真・恋姫†無双 

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