英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
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2月7日―――

 

連合本陣からの重要な要請達成の翌日を”休養日”にすることを決めたリィンはレボリューション内を徘徊していると食堂で意外な人物たちが集まっているのを見てその人物たちに近づいた。

 

〜レヴォリューション・3F・食堂〜

 

「―――以上が私達の代の”鷲獅子戦”の内容よ。」

「トールズに来る前のリィンさんがまさかそのような獅子奮迅の活躍をしていたなんて……」

「ふふっ、さすがはエリス先輩ご自慢の”リィン兄様”ですわね♪」

「……からかわないでちょうだい、ミルディーヌ。でも、その頃の兄様の活躍を目にすることができなかったのは残念ですね……兄様と共に”本国”に留学していた事で兄様の活躍をその目にすることができた姉様が羨ましいです。」

「言っておくけど、その頃の私はまだ”見習い侍女”で当然”鷲獅子戦”を観戦できるような立場じゃなかったから、私も直接”鷲獅子戦”での兄様の活躍を目にした訳じゃないわよ。」

エーデルガルトが説明を終えるとアルフィンは驚きの表情を浮かべ、小悪魔な笑みを浮かべたミュゼに視線を向けられたエリスは静かな表情で答えた後エリゼに羨望の視線を向け、エリスに視線を向けられたエリゼは苦笑しながら答えた。

「ならば、リィンが持っている”鷲獅子戦”を録画した映像データを貸してもらってそれを端末で見てみたらどうだ?”鷲獅子戦”の映像データは訓練兵卒業時に”訓練兵時代の思い出の品”として”鷲獅子戦”の参加者全員に配布されているから、リィンも持っているはずだ。」

「え………そのような物もあるんですか!?」

「フフ、是非見てみたいですわね、当時のリィン少将の勇姿を♪」

ドゥドゥーの指摘を聞いたアルフィンとミュゼは興味ありげな表情を浮かべ

「まあ、リィンの事ですから恥ずかしがって誤魔化すかもしれませんから、その時は私達が持っている映像データを貸してあげますよ。」

「クク、妹とまで婚約を結ぶ程の重度のシスコンのリィンがエリス嬢ちゃん達が”鷲獅子戦”の映像データを見た事を知れば、恥ずかしさのあまり悶えるんじゃねぇのか?」

「別に”鷲獅子戦”でのリィンさんは人に知られて恥ずかしがるような事はしていませんが……――――――あら、リィンさん。」

リシテアの申し出を聞いた後ある事を推測しておかしそうに笑っているフォルデに困った表情で指摘したステラは自分達に近づいてきたリィンに気づくとリィンに視線を向けた。

 

「ハハ……随分と珍しい組み合わせで何を話しているかと思っていたら……懐かしい話をしていたんだな。一体どういう流れでその話に発展したんだ?」

「最初は私達”元エレボニア組”が訓練兵時代の話で花を咲かせていたのだけど……」

「そこにお茶を楽しむために偶然食堂を訪れた私達が姉様やエーデルガルトさん達が集まっている所を見つけて、姫様の提案でエーデルガルトさん達と交流し、その交流の過程でいつの間にか兄様の訓練兵時代での重要な出来事である”鷲獅子戦”の事について話して頂けたのです。」

リィンの問いかけに対してエーデルガルトとエリスがそれぞれ答え

「アルフィンの?……確かによく見れば、メンフィルに帰属する前はエレボニアの領土の出身や貴族だったメンバーばかりが集まっているな。」

「フフ、厳密に言えばフランツさんも元エレボニアの領土出身ですから、”全員”という訳ではありませんけどね。」

エーデルガルト達を見回して呟いたリィンにステラは苦笑しながら答えた。

「まあ、それは仕方ないさ。ちなみに何でアルフィンはエーデルガルト達との交流を提案したんだ?」

「…………メンフィル帝国軍の訓練兵時代のリィンさんの話を聞きたかったこともありますが、事情は違えどかつてはエレボニア帝国から他国であるメンフィル帝国へと所属する国を変えた元エレボニア帝国の人々が祖国であるエレボニア帝国を捨てる切っ掛けになった理由――――――エレボニア帝国やアルノール皇家に対する”不満”や”怒り”等を知りたかったのです。ちょうどミルディーヌも一緒でしたから、”黄昏”を超えた後のエレボニアの為に活動するミルディーヌにとってもエーデルガルトさん達の話は何らかの”糧”にもなると思いますし。」

「姫様………」

「ふふ、やはり私へのお心遣いもあったのですね。」

リィンの質問に対して答えたアルフィンの答えを聞いたエリスは静かな表情でアルフィンを見つめ、ミュゼは苦笑していた。

 

「エレボニア帝国やアルノール皇家に対する”不満”や”怒り”と言っても、リィン達もそうですが、私やドゥドゥー、フォルデ先輩は”百日戦役”でそれぞれの故郷がメンフィル帝国に占領され、戦後そのままメンフィル帝国の領土に帰属した事でなし崩し的にエレボニア帝国人からメンフィル帝国人になったようなものですから、このメンバーの中で実際にそういうものがあるのはエーデルガルトとステラくらいじゃないですか?………ただまあ、実際異世界(ディル=リフィーナ)にあるメンフィル帝国の”本国”での普段の生活を考えると、”血統主義”で身分に五月蝿いエレボニア帝国より”実力主義”で貴族、平民問わず国民全体に身分や種族等と言った”差別”が”悪い事だという考え”が浸透しているメンフィル帝国の方が過ごしやすいというのは事実ですが。」

「そうだな………俺達の頃の黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)はリシテアやリィンも含めて身分が”貴族”出身の者達の比率が高かった為入学当初はクラスメイト達と上手く付き合っていけるか”不安”を抱いていたが皆は最初から”身分”等気にせず親しく接してくれた事に安心すると共に驚いたな。――――――メンフィル帝国の貴族はエレボニア帝国の貴族達と”根本的に違う事”に。」

「そもそも”血統主義”のような”親の七光り”で威張ったり平民達を虐げてきた貴族達は”幻燐戦争”時に一掃されたって話だからな。しかもメンフィル帝国の上層部――――――特に古参のファーミシルス大将軍閣下やルース将軍閣下、セラ神官長やエルサリス元帥閣下は全員上流階級出身じゃない上それぞれの実力でその地位を任されているし、それぞれの皇族につく親衛隊員も当然実力者揃いで、その皇族に至っても相当な実力者と”皇族も含めて国全体が実力主義という風潮”なんだから、メンフィル帝国で”血統主義”の連中はやっていくことは厳しいだろうな。……まあ、その点を考えるとよくステラはすぐに順応して、やっていけた事にはちょっとだけ驚いていたぜ?”アルゼイド”や”ヴァンダール”のような武闘派の貴族のエーデルガルトと違って、ステラはまさに典型的な”お嬢様”だったからな。」

「フフ、元々私は身分で人を差別するような心の狭い事をする貴族達に疑問を抱いていましたから、むしろメンフィル帝国に亡命してからの生活は私自身にとって新鮮で過ごしやすい人生ですね。」

「私の実家の”フレスベルグ家”は元々はアルバレア公爵家の”ご意見番”を務めてきた事から、”武闘派”と呼ばれるような貴族ではなかったのですが………というか、実家が代々”武闘派”だったフォルデ先輩にだけはそれを言われる筋合いはないのですが。」

アルフィンの話に対して答えたリシテアの話にドゥドゥーは頷き、口元に笑みを浮かべたフォルデに視線を向けられたステラは静かな笑みを浮かべ、エーデルガルトはジト目でフォルデを見つめて反論した。

 

「あの…………皆さんの話からエレボニアに対して思う所があるのはエーデルガルトさんとステラさんとの事ですが……お二人の事情はリィンさんからある程度聞いていますが、やはりお二人がエレボニアに対して思う所がある根本的な原因は”血統主義”である事なのでしょうか……?」

「……そうですね。別に私もそうですが私の家族も殿下達”アルノール皇家”を恨んでいた訳ではありません。前アルバレア公や政府に裏切られた事もそうですが、”血統主義”に染まった事で様々な”歪み”を生じさせ続けているエレボニアの先は長くない事を悟った事も理由の一つです。――――――勿論そういう風に考えるようになったのも”実力主義”であるメンフィル帝国の登場も関係していますが。」

「私は実家や婚約者から逃れる為には国家間の立場的に一番手が出しにくいかつ貴族出身の私には利用価値がないと判断してくれる国がメンフィル帝国しかないというのもありますが、私が実家から家出する原因となったのは”尊き血”を保ち続ける為に私の意にそぐわない結婚を強要しようとした実家の方針に嫌気が差したからというのもありますから、エーデルガルトさん同様”血統主義”も原因の一つですね。」

アルフィンの質問に対してエーデルガルトとステラは静かな表情で答え

「そういえば……前から気になっていたが、ステラが家出する原因になった婚約者って一体どんな人物だったんだ?俺達もステラがメンフィル帝国に亡命した理由は知っているが、その人物が何者か等については聞いた事がないよな?」

「……言われてみればそうだな。」

ステラの話を聞いてある事が気になったリィンは仲間達を見回して訊ね、リィンの疑問にドゥドゥーは頷いた。

 

「……前カイエン公唯一の息子である長男にして、ユーディット皇妃達の兄にあたるナーシェン・カイエン。それが私の”婚約者”だった方です。」

「ええっ!?前カイエン公の……!?という事は……」

「フフ、ナーシェン兄様の婚約が決まった瞬間婚約者が行方を眩ませたという話は将軍やお祖父様達から聞いた事がありますが……まさかその婚約者の方とこのような形でお会いする事になるとは、人生わからないものですわね。」

ステラの答えを聞いて驚いたエリスはミュゼに視線を向け、ミュゼは苦笑しながらステラを見つめ

「そうですね……私もアルフレッド公子にご息女がいるという話は耳にしていましたが、まさかそのご息女がその若さでヴァイスラント新生軍の”総主宰”という立場を務めている事を知った時は正直驚きました。」

ミュゼに見つめられたステラは静かな表情で答えた。

 

「よりにもよってあのナーシェン・カイエンが婚約者ですか……ステラが実家どころか祖国を捨てるのもわかりますよ。」

「……その口ぶりだとカイエン公のご子息はやっぱりエレボニアの貴族達の間では有名な存在だったのか?」

同情するような目でステラを見つめて呟いたリシテアの言葉が気になったリィンは不思議そうな表情で訊ねた。

「ええ。前カイエン公に頭が上がらない貴族達のナーシェン・カイエンに対する評価はあたり触りのないものだけど、良識がある貴族達の間ではまさに”父親そっくりの典型的な愚かな貴族の子息”として有名だったわよ。」

「そ、そうか……あれ?そういえばそのナーシェン・カイエンって今どうなっているんだ……?ユーディット皇妃陛下とキュア嬢はクロスベルに亡命して”クロスベル側のカイエン公爵家”としてクロスベルに所属して、ミュゼが”エレボニア側の暫定次期カイエン公爵家当主”を名乗っているが……」

エーデルガルトの説明を聞いて冷や汗をかいて表情を引き攣らせたリィンはある疑問を口にした。

 

「フフ、ナーシェン兄様でしたら内戦後クロワールが逮捕された事を知るとすぐにレミフェリアの親戚筋を頼ってレミフェリアに”亡命”したとの事ですわ。最も、現在のエレボニアの状況をどこかで耳にしたのか厚顔無恥にも私に『昔の事は水に流してこれからは共に手を取り合ってオズボーン宰相からエレボニアを解放しようじゃないか』という理由でナーシェン兄様がヴァイスラント新生軍の総主宰に並ぶ地位に就けるようにすることを頼む手紙を送ってきましたわ。――――――勿論、”エレボニアは戦時中の為、戦時の最中に手紙は失われて届かなかった事にして”手紙はその場ですぐに破って処分しましたが♪」

リィンの疑問に対して苦笑した後笑顔で答えたミュゼの答えを聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「………そういう所も相変わらずですね、あの人の愚かさは。」

我に返ったステラは呆れた表情で溜息を吐き

「……皆さん、貴重な話を聞かせて頂きありがとうございました。わたくしにとっても貴重な機会でしたわ。あの……ちょうどいい機会ですから、実はエリゼさんにも聞きたい事があるのですが……」

アルフィンはエーデルガルト達を見回して感謝の言葉を述べた後エリゼに視線を向けた。

「え………」

「……アルフィンさんは私に何を聞きたいのでしょうか?」

アルフィンの疑問を聞いたエリスは呆け、エリゼは静かな表情で訊ねた。

 

「その……やはりエリゼさんは今でも1度目のユミル襲撃の件で内心わたくしに対して”怒り”や”不満”等を抱いているのでしょうか……?」

「あ………」

「…………」

「……アルフィンさんは何故そう思われたのでしょうか?」

気まずそうな表情を浮かべたアルフィンの質問にエリスとリィンは辛そうな表情を浮かべ、エリゼは静かな表情で訊ね返した。

「わたくしがリウイ陛下の手配によってリィンさんの部隊に配属されるようになってからも、何となく避けられたりしているような感じがしまして……以前、エリスがリィンさん達と共にリウイ陛下に呼ばれてメンフィル帝国の本国に向かってから中々帰って来ない件でトールズを訊ねた際のわたくしの無知さに”怒り”を抱いていた様子でしたから、エリゼさんがわたくしを避けるのも無理はないと思っていますが……」

「姫様………」

「………………別に私はユミルの件でアルフィンさんを避けていた訳ではありません。そもそもユミルの件でアルフィンさんは身分を含めた”全て”を捨てられて兄様の下に来られたのですから、それがユミルの件に対する”償い”だと理解しています。――――――トールズに保管されていたヴァリマールを徴収したあの日からそれほど日は経っていませんでしたから、あの時アルフィンさんにとってショックとなる言葉を口にした私は近くにいない方が覚悟を決めてメンフィル軍に来られたアルフィンさんが少しでも過ごしやすいと思って避けていただけです。」

アルフィンの話を聞いたミュゼが複雑そうな表情を浮かべている中、エリゼは気まずそうな表情を浮かべて答えた。

「姫様が……?あの、姉様は姫様に一体何を仰ったのでしょうか……?」

「…………メンフィルとエレボニアの戦争勃発寸前の状況に陥ったのは、ユミルが北の猟兵達に襲撃される原因となったアルフィンさんがユミルに滞在していた事を指摘したのよ。」

「それは………」

「……まあ、決して間違ってはいない指摘ね。」

「そうですね。とはいってもそれを皇族相手にも躊躇わずに指摘できるなんて、さすがはあのリフィア殿下の専属侍女長を務めているだけあって、とんでもない度胸がありますよね、エリゼは。」

エリスの質問に答えたエリゼの説明を聞いたリィンが複雑そうな表情で答えを濁している中、静かな表情で呟いたエーデルガルトの意見に頷いたリシテアは興味ありげな表情でエリゼを見つめた。

 

「そうだったのですか………あの、エリゼさん。わたくしはあの件についてわたくしは気にしていない所か、むしろわたくしの無知さや皇族として失格だった部分をハッキリと言ってくださった事には感謝していますわ。ですからあの件を気にしてわたくしを避けるような事をする必要はありませんわ。それに………わたくしとしてもエリゼさんとはもっと親しくなりたいと思っているんです……エリゼさんはわたくしの親友のエリスの双子の姉であり、リィンさんの妹君でもあるのですから。」

「………――――――承知しました。改めてよろしくお願いします、アルフィンさん。」

アルフィンの話を聞いて目を丸くしたエリゼは静かな笑みを浮かべてアルフィンを見つめ

「はい……!ふふっ、でもわたくしとしてはもう少し親し気にして頂いても構いませんわよ?それこそエリゼさんもそうですがミュラーさんのリフィア殿下やオリヴァルトお兄様に対する気安い口調や扱いでも全く気にしませんわ。勿論エリスもよ。」

「ひ、姫様……さすがにそれは恐れ多過ぎます……!」

「ふふっ、ですが今の姫様は正確に言えば”アルノール皇家としての身分は捨てられています”からエリス先輩がその件を気にする必要はないのでは♪」

エリゼの答えに嬉しそうな様子で頷いた後に答えたアルフィンに視線を向けられたエリスは冷や汗をかいて疲れた表情で答え、ミュゼは小悪魔な笑みを浮かべてエリスを見つめた。

 

「そういう問題じゃないわよ、ミルディーヌ!」

「ハハ………何にせよ、二人のわだかまりが解けたようで何よりだな。」

「まあ、リィンにとっても二人にわだかまりがある事は他人事じゃねぇからな。――――――何せ、”将来”を考えると自分のハーレムメンバーは仲良し同士でいてくれた方が色々と助かるだろうからな♪」

ミュゼに対して反論している様子を見て苦笑しているリィンに対してフォルデはからかいの表情で指摘した。

「う”っ。」

フォルデの指摘に対して反論できないリィンは疲れた表情で唸り声を上げ

「リィンの女性関係で思い出しましたけど、再会した時にリィンが婚約している事もそうですが、その相手がエリゼを含めた多くの女性達だって話を聞いた時は私達も驚きましたよね。」

「そうね。何せ唯一の”欠点”が恋愛方面で”超”がつく”鈍感”だった”あの”リィンが複数の女性達との関係を結ぶなんて、天地がひっくり返ってもありえないと思う程の出来事だもの。」

「ああ。一番近くにいたエリゼの気持ちにすら気付かなったのに、俺達の予想もつかない状態だからな、今のリィンは。」

「て、”天地がひっくり返る”って……そこまで言うか!?というかドゥドゥーの口ぶりだと、まさかみんなエリゼの気持ちに気づいていたのか……!?」

口元に笑みを浮かべたリシテアの話にそれぞれ同意したエーデルガルトとドゥドゥ−の答えを聞いたリィンは冷や汗をかいた後疲れた表情で声を上げ、その様子を見ていたエーデルガルト達黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)出身のメンバーは黙り込んだ。

 

「……まさに”今更何を”、ですね。」

「クク、エリゼちゃんが俺達に最初に挨拶に来た時点で俺やドロテアと言った勘のいい連中はすぐに気づいたし、それ以外の連中もお前とエリゼちゃんの様子を見ていたら全員エリゼちゃんの気持ちには気づいたぜ〜?」

「むしろあれ程妹を大切にしているリィンが何故その妹の気持ちに気づかないのかが不思議だったな。」

「リィン自身が鈍感なのもありますが、逆に関係が近すぎてエリゼが自分に対して”家族以外の感情”を抱いているなんて夢にも思わなかったんじゃないですか?」

「というかリィンの事だから、トールズ士官学院に留学してからも”相変わらずの無自覚”でトールズに通っている女生徒がリィンに”そういった感情”を抱かせるようにしたのでしょうね。」

「ふふっ、その推測は間違いなく当たっているかと。私も独自で何度か”Z組”の方々と接する機会がありましたから、”Z組に所属しているある女生徒の中にリィン少将に対して明らかにクラスメイト以上の感情を抱いている方”がいらっしゃることに気づきましたもの♪」

呆れた表情で呟いたステラの言葉を切っ掛けに黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)出身の者達はそれぞれのリィンに対する感想を口にし、ミュゼは小悪魔な笑みを浮かべ、それらを聞いていたリィンは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「うふふ、その頃のリィンさんとエリゼさんの様子を是非見たかったわよね♪」

「え、えっと……私は何となくですが想像はつくのですが……」

「…………………………」

からかいの表情を浮かべたアルフィンの言葉を聞いたエリスは気まずそうな表情を浮かべて頬を赤らめて黙り込んでいるエリゼに視線を向けた。

 

「それよりもエーデルガルトさんの推測を聞いて気づきましたけど……もしかして、黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)の女生徒の中にもリィン少将に対して”クラスメイト以上の感情”を抱いている方がいらっしゃるのでは?」

「ええっ!?」

小悪魔な笑みを浮かべたミュゼの推測を聞いたリィンは驚きの声を上げた。

「あー………」

「その件については”件の人物がいたことを仮定して、その人物のクラスメイトとしての気遣いでノーコメント”とさせてもらうわ。」

「あ、変な勘違いをされる前に言っておきますけどあたしはリィンの事を”ただのかつてのクラスメイトかつ友人”としか思っていませんよ。あたしは”超”がつくシスコンかつ鈍感野郎なんて”友人”としては付き合えても、”恋人”や”夫婦”としては絶対に付き合えませんから。」

「……………………………」

一方フォルデは一瞬ステラに視線を向けた後困った表情で答えを濁し、エーデルガルトは静かな表情で答え、リシテアはリィンに念押しをし、ステラは目を伏せて黙り込み、フォルデ達の反応を見たリィンは冷や汗をかき

(あの、姉様。兄様達の昔の話を聞いてから何となく気づいていましたけど、やはりステラさんが……)

(ええ…………―――貴女の予想通りその”やはり”よ。)

その様子を見て察しがついたエリスはエリゼに小声で訊ね、訊ねられたエリゼは静かな表情で答えた。

 

その後徘徊を再開したリィンは意外な組み合わせの人物達――――プリネ、レン、エヴリーヌ、クロード、フェルディナント、ローレンツ、ドロテア、レジーニア、ルシエルがブリーフィングルームで談笑している様子を見つけ、それが気になったリィンがプリネ達に近づくとリィンの接近に気づいたプリネがリィンに声をかけてきた――――――

 

 

 

説明
第98話
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