恋姫英雄譚 鎮魂の修羅33
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梨晏「ふぅ・・・・・ここに来るのも久しぶりだね」

 

鴎「梨晏はそうだったわね、暫く荊州で働いていたわけだし・・・・・私はお忍びで何度も来ているけど」

 

一刀「ここが二人の本来の拠点なんだよな」

 

梨晏「そうだよ」

 

現在、三人は建業の町中をそれぞれの馬を引いて移動していた

 

一刀は、もの珍しそうに視線があっちにこっちに移動していた

 

鴎「まぁ、梨晏はもともと孔融に仕えていたんだけどね」

 

梨晏「そうだね、正確に言うと孔融様の次に劉?様に仕えていたわけだけど、あの人達への義理は果たしているつもりだし・・・・・今はもう孫の将だと思っているよ」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

確か呉の国は孫権の代に建国されたのであって、その時から孫呉やら東呉といった呼び名が広がり、建業もその時から拠点となっているはずである

 

まだ漢帝国が辛うじて健在で、帝もいる状況で呉皇帝など名乗ろうものなら、それこそ拙いことになってしまうのであろうが

 

しかし、聞いた話によると建業は江東に次ぐ第二の拠点であって、呉という地名はあるが呉という国は未だ無く、東の呉の国となるこの地も統一の最中だと聞く

 

やはりここでも微妙に歴史との矛盾がうかがえる

 

梨晏「ん〜〜〜・・・・・もういいかな」

 

羽織っている外套の中を覗いて、納得がいったのが梨晏は外套を脱いだ

 

鴎「やっと脱いだわね、いったい何を隠していたのよ?」

 

梨晏「べ、別に何も隠してなんかないよ!////////」

 

鴎「嘘つきなさい、あんな頑なに外套を脱ごうとしなかったくせに、何かを隠していたのは見え見えよ」

 

梨晏「本当に何も隠してないんだってば!////////」

 

一刀によるキスマークが消えたのはいいが、今度はそれを追及され若干狼狽えてしまう

 

梨晏「それはそうと、一刀はここに来たことあるの!?////////」

 

この話の流れは不利だと悟り、強引に話題を一刀方向に持って行こうとする

 

こうなった殆どは自業自得とはいえキスマークを付けたのは一刀なのだから、これくらいの意趣返しはしてもいいだろう

 

本人が覚えていないのでは意趣返しもクソもないのではと思うが

 

一刀「いいや、俺が華佗と回っていたのは主に北方のほうだからな、ここにも来たかったんだけど結局来れなかった」

 

梨晏「そっか、だったら私が案内してあげようか♪」

 

一刀「嬉しい提案だけど、まずは美羽に会わないとな」

 

梨晏「まぁ、一刀の目的はそっちだからね」

 

鴎「この地も今の主は袁術だけど、それも何時かは取り返すわ」

 

一刀「おいおい、武力で取り返すとか、俺がこれまでしてきた事を水の泡にするような事は止めてくれよ!俺も美羽とは色々と話を進めていることは知っているだろうが!」

 

鴎「それは知っているけど、自分達の実力で取り返せないというのが、なんていうか・・・・・不完全燃焼というか」

 

一刀「ちゃんと返還されるんだからそれでいいだろうが!まったく、これだから好戦的な奴らは!」

 

これでは仮に無血返還が成されたとしても、その後が心配になってくる

 

そうこうしているうちに三人は建業の城へと到着した

 

明命「あ、鴎さん!お帰りなさいませ!」

 

城壁の上には、これまた忍?の子が元気よく出迎えてくれた

 

鴎「今帰ったわ、明命!梨晏を連れて来たわよ!」

 

明命「梨晏さん!お待ちしておりました!」

 

梨晏「明命、相変わらず可愛いね、この〜♪」

 

明命「そ、そんな可愛いなんて・・・・・て、えええええ〜〜〜!!!?一刀様!!!??」

 

一刀「洛陽以来かな、明命」

 

明命「どうして一刀様まで!!!??」

 

鴎「それは後で説明するから、開けてくれる!?」

 

明命「承知いたしました!」

 

穏「あれあれ〜、どうしたんですか〜、明命ちゃん〜」

 

???「どなたかいらっしゃったのですか?」

 

その時、呉の巨乳軍師とその見習い軍師が裏から階段を上ってやってきた

 

明命「穏様、亞莎!たった今、鴎さんが梨晏さんを連れてきました!それになんと、一刀様まで♪」

 

穏「あらあら〜、これは大変なお方が来たものですね〜」

 

亞莎「一刀・・・・・って、天の御遣い様の!!?」

 

片眼鏡をかけ直し城壁から下を睨むように覗き込み、一刀の姿を確認した

 

亞莎「あのお方が皆様がおっしゃっていた、御遣い様・・・・・」

 

穏「亞莎ちゃん、あまり待たせるのは駄目ですよ〜、大殿様に早くお知らせしませんと〜」

 

亞莎「そ、そうですよね!大変失礼しました!」

 

穏「明命ちゃん、早くお通しして下さいね〜♪」

 

明命「了解であります♪」

 

そして、開け放たれた城門を通り、三人は入城した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美羽「一刀や〜、待っていたのじゃ〜♪」

 

玉座の間に入るなり美羽が抱き付いてきた

 

一刀「おおい、いきなり抱き付いてくる奴があるか」

 

美羽「だって、一刀に会うのが待ち遠しかったのじゃ〜♪」

 

一刀「しょうがない奴だな」

 

腕を首に回し頬ずりをしてくる美羽を優しく抱きしめてあげると、嬉しそうに身じろぎした

 

一刀「巴、七乃さんも久しぶりです」

 

巴「ええ、久しいですね、一刀」

 

七乃「お久しぶりですね〜、一刀さん〜♪」

 

その後ろには、かつて洛陽で真名も預けてもらった美羽の重鎮がいた

 

雷火「ほほう、この小僧が噂の御遣いか」

 

包「ふ〜〜〜ん、見た目は合格としておきましょうか」

 

一刀「え〜〜、こちらは・・・・・」

 

更にその後ろにいる二人の人物が気になった

 

雷火「話には聞いておるぞ、天の御遣いにして幽州宰相である北郷一刀殿・・・・・わしは張昭、字は子布と申す、袁術軍の内政筆頭を務めておる」

 

包「私は魯粛、字は子敬です、一応張昭様の弟子をさせていただいています」

 

雷火「こら、一応とはなんじゃ!?」

 

包「え〜〜〜、これでも控えめに言ったつもりなんですけど、駄目でした〜?」

 

雷火「なんじゃその人を子馬鹿にした物言いは!?もうお主は何処にも連れて行ってやらん!」

 

包「ひゃわわ!?ごめんなさい、控えめ過ぎましたお師匠様〜!」

 

一刀「張昭、魯粛・・・・・」

 

確かこの二人は、孫策の代から孫家に仕えていた人物のはずである

 

魯粛だけは、もともと袁術に仕えていた政治家で、袁術が滅んだのを皮切りに孫策に鞍替えをしたはずである

 

しかし、目の前の張昭、魯粛は袁術に仕えているという

 

なにやら、この二人から怪しい気配を感じていると、苦手な人の声が聞こえてきた

 

炎蓮「よう北郷、久しぶりだな〜♪」

 

江東の虎を名乗る狂暴女が、多くの部下を従えて玉座の間に入ってきた

 

一刀「・・・・・孫堅さん、お元気そうで何よりです」

 

炎蓮「ん〜〜、あんま嬉しそうじゃねえな、俺に会いたくなかったか?」

 

一刀「いいえ、そんなことはありません、ここに来たのは孫堅さんに会う為でもありますから」

 

炎蓮「そうか、なら良かったぜ、俺もお前とは会いたかったからな♪」

 

雪蓮「うちの梨晏が色々と世話になったそうね、お礼を言っておくわ♪」

 

冥琳「聞いた話によると、命を助けられたとか」

 

梨晏「うん、一刀は私の命の恩人だよ♪」

 

一刀「その話はもう済んだことだろ」

 

???「このお方が噂の御遣い様ですかぁ?」

 

???「ふぅ〜〜ん、顔はシャオ好みだね♪」

 

その後ろから二人の人物が顔を出す

 

一人は、梨晏のように片側に三つ編みを添えたおっとりした年上っぽい女性

 

この雰囲気はどこかで見た記憶がある

 

もう一人は、言わずもがなピンときた

 

一刀「自分は、北郷一刀です」

 

???「私は諸葛瑾、字は子瑜と申しますぅ」

 

一刀「・・・・・やっぱり、諸葛亮のお姉さんですね」

 

???「あらぁ、朱里を知っているんですかぁ、もしかして真名を預けられているんですかぁ?でしたら私のことは百合と呼んでくださいませぇ」

 

一刀「いいえ、諸葛亮からは真名は預かっていませんよ」

 

百合「あらあらぁ、私ったら早とちりをぉ、では私の事は諸葛瑾か子瑜とお呼びくださいませぇ」

 

一刀「それでは、子瑜さん・・・・・自分は北郷か一刀でお願いします」

 

百合「はい、一刀君♪」

 

小蓮「シャオは、孫尚香だよ♪シャオは真名を預けちゃうもんね〜♪」

 

蓮華「シャオ、軽々しく真名を許すものではないわよ」

 

一刀「(孫尚香・・・・・普通に女性なんだな)」

 

瑞姫の例がある為、大して驚きはしないがやはりここでもこの世界は矛盾している様だ

 

美羽「それはそうと、一刀は妾と同盟を結びにきたのであろう♪」

 

一刀「ん、ああ・・・・・ここだけじゃなくていろんな所で結んでいるんだけどな、これが詳しいことが書いてある資料で・・・・・」

 

美羽「そんなものはいいのじゃ、一刀との同盟ならすぐに結ぶのじゃ、七乃よ良しなにせよ♪」

 

七乃「はいはい〜♪」

 

一刀「ちょっ、美羽!!?詳細も知らないのにいきなり結んじゃダメ!!」

 

美羽「なぜなのじゃ?一刀は今すぐ妾と同盟を無びたくないのかえ?」」

 

一刀「そりゃ、早いことに越したことはないけど、それでもいきなり結ぶと色々と問題が出てくるんだよ!詳細を詰めていかないと後でとんでもないことになるぞ!」

 

美羽「そうなのかえ?」

 

一刀「そうなの!・・・・・七乃さんも美羽の言葉をホイホイ肯定するのは止めて下さい」

 

七乃「すみませんねぇ〜、私は美羽様一筋なんでぇ〜」

 

巴「すまない一刀、七乃の美羽様中毒には私も悩まされていてな・・・・・」

 

一刀「それじゃあ、後で詳細を詰めていくか」

 

巴「ああ、勉強させてもらう」

 

七乃は当てになりそうにないので、巴に資料を渡した

 

炎蓮「おいおい、俺には何にも無しかよ」

 

一刀「大丈夫ですよ、ちゃんと孫堅さんの分もありますから」

 

バッグから孫家の分の資料を取り出そうとするが

 

炎蓮「ああ、そいつは後にしてくれや」

 

一刀「え?」

 

自分の分け前を要求しておいて一体どうゆうことなのかと呆気にとられた

 

炎蓮「ちょいと面貸せや」

 

一刀「は?いったい何を・・・・・」

 

炎蓮「いいから面貸せって言ってんだ!!男だったら黙って付いてこいや!!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

付いていくのに男も女もないと思うが、有無を言わさぬその口ぶりに渋々言うとおりにした

 

美羽「ぴぃ〜〜〜〜〜〜〜!!!やっぱり孫堅は怖いのじゃ〜〜〜〜!!!」

 

恐怖のあまり美羽にしがみ付かれ、胸が涙で濡れそぼってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、連れてこられたのは建業の闘技場だった

 

一刀「いったい何をするんですか?」

 

炎蓮「おいおい、ここまで来てまだ分からないたぁお前も鈍いな・・・・・俺とお前でサシの勝負をするに決まってんだろうが」

 

一刀「・・・・・そりゃまたなんで?」

 

炎蓮「お前の気概を見せてもらう為だ、洛陽で切ったあの啖呵が単なる法螺吹きじゃねえってことを証明してもらおうか」

 

一刀「どうしてサシの勝負が証明になるんですか!?それはこれから同盟を結んだ後に・・・・・」

 

炎蓮「グダグダ言ってねえでとっとと準備しやがれ、オラァ!!!!」

 

一刀「・・・・・はぁ、分かりました・・・・・じゃあ、少し待ってて下さい」

 

ものすごぉ〜〜〜〜〜〜く気が乗らないが、無刀術の戦闘装束に着替える為に抱えている美羽を下し近くの草叢に入る

 

今の一刀は礼儀としてフランチェスカ学園の制服を着ているため、このままでは戦えない

 

ここで一刀の戦闘装束がどんなものかおさらいしておくとしよう

 

上半身は和服の袖が無くなり腕が自由に動かせる、動きやすさを重視したものを想像してほしい

 

一刀の場合は、殺傷力を抑える為に拳に包帯を巻いている

 

下半身は、袴を足首に紐で縛り固定しズボン状にしたもの

 

こうすることで袴が揺れず安定し、又割りも出来るため素早く動けるようになる

 

地をしっかりと掴む為に基本は裸足で戦うのだ

 

その通りに一刀は裸足で舞台に上がった

 

腰には一振りの脇差、兼元を刺す

 

一刀「お待たせしました」

 

炎蓮「ほほう、いい面構えだ・・・・・んじゃ、誰か審判やれや!」

 

粋怜「仕方ないわねぇ、それじゃあ私がやるわ」

 

こっちもあまり気が乗らないのか、渋々舞台に上がったのは粋怜だった

 

 

 

 

 

 

 

思春「なんだかトントン拍子に話が進んでいるが、大丈夫なのか?」

 

明命「はぅ〜〜〜、一刀様が心配ですぅ〜〜」

 

鴎「まぁ大殿様も流石に殺したりはしないでしょ・・・・・多分」

 

祭「あの小僧の手並み、見極めさせてもらうとしよう」

 

雪蓮「梨晏はどう思うの?彼と割と長いこと旅をしてきたんでしょ?」

 

梨晏「わっかんないなぁ〜〜、一刀の強さは本物だけど、迫力だと大殿様には及ばないからねぇ〜〜」

 

冥琳「まぁ、仮にここで大殿様に殺されたとしても、そこまでだったということだな」

 

小蓮「母様ぁ〜〜、シャオの将来のお婿さんになるかもしれないんだから、殺しちゃったら駄目だよ〜〜!」

 

百合「あらあら、物騒なことになってきましたねぇ」

 

亞莎「だ、だだだ大丈夫なんですか!!?殺しちゃったら天罰とか下るんじゃないですか!!?」

 

穏「亞莎ちゃんも心配性ですね〜、大丈夫ですよ〜、天の御遣いといっても、人間には変わりありませんから〜」

 

美羽「一刀や〜、孫堅をやっつけるのじゃ〜♪」

 

七乃「夢に出てくることはなくなりましたが、あの人は無駄に迫力がありますから、近付くと胃が痛くなるんですよね〜、やっつけるとかじゃなくて、退治しちゃってくれませんかね〜」

 

巴「美羽様・・・・・七乃も滅多なことを言わないでください、これから一刀と共に何とかするんですから」

 

雷火「むぅ、天の御遣いは素手で戦うと聞いているが、孫堅殿相手に無謀ではないか?」

 

包「ひゃわわ、包だったら考えられないですよ、完全武装の千人師団を用意したとしても、まだ不安ですぅ・・・・・」

 

蓮華「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

炎蓮「いや〜、楽しみでしょうがなかったぜ、いつかお前とやるのを一日千秋の思いで待ってたからな〜♪♪」

 

一刀「夏侯惇と同じことを言わないでください」

 

炎蓮「お、あの陳留の小娘の盲夏侯か、戦ったのか?」

 

一刀「不本意でしたが・・・・・それと、夏侯惇は眼帯を付けていますけど、両目ともちゃんと見えてますよ」

 

炎蓮「なんだ、それじゃあ盲夏侯じゃねぇじゃんか、なんでまた眼帯なんかしてんだ?」

 

一刀「修練の一環だそうですよ」

 

炎蓮「ほほう、なかなかの探求ぶりじゃねぇか、そういうのは嫌いじゃねぇぜ♪」

 

粋怜「大殿、そろそろ始めない?」

 

炎蓮「おお、そうだな♪・・・・・っと、その前に北郷、一つ賭けをしないか?」

 

一刀「賭け、ですか?」

 

炎蓮「おおよ、俺が勝ったら俺がお前を好きにしていいってのはどうだ?」

 

一刀「はい?・・・・・」

 

炎蓮「そんでもってお前が勝ったら、お前が俺を好きにしていいんだよ?」

 

一刀「それどっちも同じでしょうが・・・・・」

 

炎蓮「ちっ、引っかからなかったか!・・・・・んじゃ、お楽しみと行こうか!!」

 

南海覇王を抜き放ち、殺気を迸らせる炎蓮

 

対して一刀は、その殺気を冷静に受け流し軽く構えをとった

 

粋怜「それでは・・・・・始め!!」

 

炎蓮「おらあああああああああああああああ!!!!!」

 

恐ろしい形相で、右手に南海覇王を持ち斬りかかる

 

一刀「しっ!!」

 

襲い掛かる南海覇王の刃を紙一重で躱す

 

一刀「はぁっっ!!!」

 

炎蓮「おっとぉ!!!」

 

躱すと同時に右回し蹴りを腹に叩き付けようとするが、左の手の平で受けられた

 

この一手で二人は一旦離れた

 

炎蓮「ふぅ〜〜、こんな重い蹴りを受けたのは初めてかもしれねぇぜ、痛ってぇなぁ〜〜♪」

 

一刀「とても痛がっている人には見えませんね・・・・・」

 

やはりこの人は生粋の戦闘狂のようだ

 

傷付けられることでさえ楽しいという、自分が一番嫌いな人種に嫌気がさしてきそうである

 

一刀「ふっ!!」

 

今度は縮地で一気に間合いを詰め、拳を繰り出す

 

炎蓮「遅ぇ!!!」

 

ガシィ!!

 

一刀「っ!」

 

まっすぐに突き込んだ拳は炎蓮の手の平に受け掴まれた

 

炎蓮「もちっと真剣にやらねぇと死ぬぞ!!!」

 

そのまま南海覇王を容赦なく袈裟切りに振りぬく

 

一刀「くっ!!」

 

ギリギリで躱したが、鳩尾の皮が斬られ斜めに血が流れる

 

炎蓮「どうした、北郷流無刀術ってやつはこんなもんじゃねぇだろ、俺を落胆させんじゃねぇ」

 

一刀「まったく、春蘭といい孫堅さんといい、どうしてどいつもこいつもこんなに乱暴なんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明命「・・・・・やっぱり、一刀様は速いです」

 

思春「ああ、大殿様の気迫に飲まれず、己の戦い方に徹している・・・・・大したものだ」

 

鴎「そうね、大抵の男は大殿様の気迫に圧倒されて腰が引けちゃうしね」

 

梨晏「私達も大殿様と何度か稽古したことはあるけど、少なくとも三人で相手をしてもらっているからね〜」

 

美羽「凄いのじゃ〜〜、一刀ぉ〜〜〜〜♪♪♪」

 

七乃「そのまま退治しちゃえ〜〜、きゃ〜〜〜♪♪♪」

 

巴「一刀が戦うところを見るのは初めてですが、ここまでできるのですか・・・・・」

 

 

 

 

 

 

炎蓮「これで終わりだとか言うなよ、おらあああああああああああああ!!!!」

 

今度は細切れにする勢いで南海覇王を連続で振るう

 

一刀「ふっ、しっ、はっ、っと!!」

 

縮地を小刻みに使い、襲い掛かる連続斬撃を見切っていく

 

炎蓮「避けるだけが北郷流無刀術ってか!!?つまんねぇぞ!!!」

 

そして、一刀を完全に捉え脳天に唐竹割を叩き込む

 

一刀「っ!!!」

 

ガシィィィィィ!!!

 

その垂直に落下してくる凶刃を白刃取する

 

炎蓮「おお、受け止めたか、そうでなくちゃな♪」

 

一刀「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

 

そして、嬉しそうな炎蓮をよそに、一刀は南海覇王を思い切り握り込みへし折ろうとする

 

一刀「っ!!!??」

 

しかし、どれだけ力を込めても折るには至らない

 

炎蓮「っ!!!??」

 

柄から違和感が伝わってきて、炎蓮は咄嗟に南海覇王を引いた

 

そして、両者は再び距離をとる

 

一刀「(おいおい、あの剣、どれだけの業物だよ!!?)」

 

日本刀のランクで上から順に、最上大業物、大業物、良業物、業物が存在している

 

日本から発症した北郷流は、常に強靭な日本刀を相手にしてきた

 

そんな中で武器破壊の技術を磨き続け、やり方によってはたとえ一番上の最上大業物であったとしても破壊できる

 

目の前の南海覇王も、使う技によっては破壊することも可能であろう

 

ただし白刃取りの状態で破壊できるのは、ギリギリ良業物までである

 

これまでこの大陸で中国の刀剣類を相手にしてきたが、どれもこれも日本刀と比べれば遊具も同じであった

 

しかし、炎蓮が持っている南海覇王は根本的に違った

 

一刀の分析ではこの南海覇王は、大業物に限りなく近い良業物といったところか

 

そんな代物がどうして三国志の時代に存在しているのか不思議で仕方ない

 

炎蓮「北郷・・・・・てめぇ今こいつを折ろうとしただろ♪」

 

一刀「ええ、ですけど出来ませんでした・・・・・その剣、いったい何処で作られたんですか?」

 

炎蓮「さぁな、昔から孫家に代々伝えられている剣としか聞いてねぇよ」

 

一刀「古刀?・・・・・にしては古すぎるか」

 

やはりこの世界は訳がわからない、どう考えてもオーバーテクノロジーな代物がポツポツと点在している

 

あの真桜の技術も時代を超越したものにしか見えなかったし、本当にこの世界は二世紀から三世紀の時代なのかと疑いたくなる

 

 

 

 

 

 

 

祭「あやつ、大殿と力比べで勝ちよったか!?」

 

雪蓮「そういうわけではないでしょ、母様もまだ本気じゃないし・・・・・でも何だか動きが変だったわね」

 

冥琳「ああ、大殿様が慌てて剣を引いたように見えたぞ」

 

梨晏「今のは、一刀が南海覇王を折ろうとしたんでしょ」

 

冥琳「なんだと!?素手で剣を折るなど出来るはずがない!」

 

梨晏「一刀ならそれくらい朝飯前だよ、旅の道中で賊に襲われたことが何度かあったけど、あいつらの武器は殆ど一刀に壊されていたからね」

 

雪蓮「でも、南海覇王は折れていないわよ」

 

梨晏「きっと、南海覇王の強度が一刀の予想を上回ったんでしょ、大殿様がすぐに引っ込めたし」

 

雪蓮「北郷流無刀術か〜・・・・・私も彼と戦いたくなってきちゃった♪」

 

冥琳「それで南海覇王を折られたらどうする?」

 

雪蓮「うっ!?母様に大目玉を食らいそうね・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

炎蓮「な〜るほど、お前の力はよく分かったぜ、ここからは遠慮しないぜぇ〜〜♪」

 

舌なめずりし、まるでメデゥーサのような笑みを浮かべながら殺気を滲ませる

 

石化の魔眼ではないが、そんなものが無くても視線だけで体が硬直しそうである

 

場馴れしていない人間なら、たちまち蛇に睨まれたカエル状態であろう

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

しかし、そんな殺気に晒されながらも一刀は冷静さを保っていた

 

炎蓮「オラオラオラオラアアアアアアアアアアア!!!!」

 

一刀「ふっ!!!」

 

さっきまでとはまるで段違い、まるで本物の虎の如き速さと猛々しさで炎蓮は南海覇王を振るう

 

流石にこれは普通に対処したのでは間に合わない

 

全身から一気に氣を開放し、襲い来る虎の爪を躱し、受け流し、捌く

 

一刀「くっ!!ちっ!!くぅっ!!」

 

氣を開放することによって感覚が研ぎ澄まされ、戦闘力を数段アップさせる

 

しかし、それでも間に合わないのか、少しずつ一刀の体に南海覇王による切り傷が刻まれていく

 

炎蓮「は〜〜〜っはっはっはっはっは♪♪素手でよくもここまでやれるもんだ、これだけでも合格に値するぜ♪♪」

 

一刀「なら、これで終わりでいいですね?」

 

炎蓮「なぁ〜〜〜に生温いこと言ってやがる、お前がまだ力を隠していることは知ってんだ、長沙で俺を助けた時に使ったあれ、何て言ったか?」

 

一刀「もしかして、回天丹田のことですか?」

 

炎蓮「そうそれよ、あの凄まじい氣を披露してくれねぇ事には不完全燃焼もいいとこだ、今すぐ使ってくれて大いに結構、つぅかすぐに使いやがれ!」

 

一刀「・・・・・お断りします」

 

炎蓮「てんめぇ〜〜、俺を舐め腐ってんのか?」

 

一刀「舐めてなんていません、孫堅さんは強いです、回天丹田を使わないと危ういくらいの強さを持っています・・・・・ただしあれは使い過ぎると寿命が削れるんです、だから無暗やたらに使うことはできません」

 

炎蓮「ほぉ〜〜う、なら何で俺の時は使ったんだ?」

 

一刀「目の前で大怪我をしている人を放っておけなかっただけです、あの時は、まさかあなたが孫文台だなんて思いもしませんでしたし」

 

炎蓮「それについては感謝してもし切れねぇ、お前と華佗のおかげで前より調子がいいくらいだからな♪・・・・・だがな、それとこれとは話が別だ!!!」

 

一刀「うぅおっっ!!!??」

 

今居た所を南海覇王の刃が通り過ぎる

 

じっとしていたら上と下が泣き別れである

 

炎蓮「一回くらいどうってことねぇだろ、けち臭ぇこと言ってねぇでとっとと使いやがれ♪」

 

一刀「人の話を聞いていたんですか!?俺だって長生きしたいんですよ!」

 

炎蓮「使い過ぎなきゃいいんだろ?だったら問題ねぇ!」

 

一刀「問題はあります!!あれに頼る癖が付きたくありません!!」

 

炎蓮「お前の意志ってやつはそんなへなちょこか!!?そんなことで落ちに落ちた漢帝国を復興させるたぁ笑わせるぜ!!」

 

一刀「それこそ別の話でしょうが!!」

 

炎蓮「うるせぇ!!!使いたくねぇなら、使わざるを得なくしてやるぜ!!!」

 

そして、再び襲い掛かってくる

 

回天丹田を使わせたい一心か、その苛烈さは先ほどよりも二倍、三倍増しに思えてくる

 

 

 

 

 

 

 

明命「うわわわわわぁぁぁぁぁ、一刀様、よく躱せていますぅ〜〜〜・・・・・」

 

思春「ああ、あそこまで行くと驚嘆を通り越して尊敬に値する・・・・・」

 

鴎「大殿様の迫力に飲まれないだけでも尊敬ものだけどね・・・・・」

 

七乃「ねぇ巴さん、孫堅さんが言っているのって、かつて洛陽で一刀さんが美羽様に使ってくれた・・・・・」

 

巴「ああ、あの見慣れない硬貨を美羽様にくださった時のですね」

 

美羽「うむ、これの事なのじゃ〜♪」

 

懐から一刀から貰った百円硬貨を取り出す

 

その硬貨は、未だ淡い光を放ち、白銀の羽のような氣の粒子を零している

 

雪蓮「へぇ〜〜、やっぱり綺麗ね・・・・・袁術ちゃん、それちょ〜だい♪」

 

美羽「嫌なのじゃ〜、これは妾が一刀から貰ったものなのじゃ〜、これを持ったまま寝ると必ずいい夢が見れるから絶対にあげないのじゃ〜♪」

 

雪蓮「うそ!?ほんとに!?」

 

七乃「そうですよ〜、私もお嬢様と床をご一緒する時には決まっていい夢が見られます〜♪」

 

巴「ええ、私も七乃と共に美羽様と就寝する機会があります、その時に限って良き夢を見るのですが、やはりその硬貨のおかげなのですね♪」

 

雪蓮「袁術ちゃんばっかりずるいずるい!! 」

 

美羽「むふふふぅ〜〜、羨ましいじゃろぉ〜〜♪これは妾のものなのじゃ〜〜♪」

 

雪蓮「むっきぃ〜〜〜〜!!私も後で彼に貰うわ!!」

 

冥琳「雪蓮、完全に子供の駄々だぞ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

一刀「くっ!!くそっ!!」

 

まるで結界のような炎蓮の剣捌きに、たとえ縮地を使っても懐に入りきれない

 

虎のように獰猛で荒々しいくせして、隙がまるで無い

 

このままではこちらの体力と気力が先に尽きてしまいそうである

 

既に全身の氣を最大にまで高めているにもかかわらず、付け入る隙をまるで見いだせない

 

このままではジリ貧のまま、やがて詰みが来てしまうのは明白である

 

この状況を好転させるには、炎蓮の言う通り回天丹田で戦闘力を数段跳ね上げるのが一番手っ取り早い方法である

 

しかし、回天丹田が北郷流の禁忌と言われる所以は寿命が削れることもそうであるが、その依存性にある

 

回天丹田により解決するのが楽と思ってしまえば、それに頼りすぎ結局は寿命が大きく削られてしまう結果に陥ってしまうからだ

 

何より、この憎らしい孫堅の言いなりになるというのが気に入らなかった

 

一刀「はっ!!!」

 

ドウンッッ!!

 

炎蓮「うおっ!!?」

 

拳を地面に叩き付け氣を全方位に炸裂させ、付きまとって来る炎蓮を嫌う様に舞台の端へ吹っ飛ばした

 

炎蓮「はっは〜、ようやく使う気になってくれたか♪」

 

一刀「ふぅ〜〜〜〜・・・・・いいえ、使いません」

 

炎蓮「ほほう、まだ俺を舐め腐ってるようだな」ゴゴゴゴゴゴゴ

 

一刀「舐めてなんかいません、こうなったらこちらも北郷流の技を全て駆使するまでです」

 

再び全身の氣を最大限に高め、炎蓮を見据える

 

一刀「(果たして出来るか、なにせ気持ち悪いからって理由で稽古をサボっていたからな)」

 

胸の中に一抹の不安を抱えながら、一刀は縮地で駆けだした

 

炎蓮「おせぇっ!!!」

 

一刀「くっ!!」

 

しかし、眼前に南海覇王が迫りコース変更を余儀なくされる

 

一刀「(もう一度!)」

 

舞台を素足でしっかり掴み瞬間的に最高速に達するも

 

炎蓮「ぬるい!!!」

 

再び南海覇王に進路を妨害されてしまう

 

炎蓮「どうも何かをしようとしてるみたいだが、粗削りだな、そんなんじゃ技とは言えねぇぞ」

 

一刀「ふぅ・・・・・御尤もです、これは俺もまだ完全には体得していないもんで」

 

一刀が使おうとしているのは、縮地法干支の型と呼ばれる特殊な歩方の一つ、相手の死角を付き後ろに回り込む巳の型回歩である

 

だが、特殊ゆえにその足捌きには癖があり、失敗すればかえって無駄な動きを生んでしまう

 

その為、炎蓮の目には高速で横に回り込もうとした一刀が途中で失速したように見えるのだ

 

炎蓮「んな未完成な技が俺に通用すると思ったか!!!」

 

一刀「うおっ!!!?」

 

逆に怒りを買ってしまったか、南海覇王が炎蓮の怒りを表すかのように怪しく光る

 

炎蓮の指摘通り、習得しきれていない技で挑むには炎蓮では相手が悪過ぎる

 

一刀「(くっそ、こんなことなら気持ち悪いとか言い訳してないで真面目に稽古しとくんだったぜ!)」

 

今の一刀は申の型苑歩が微妙に使える程度である

 

そもそも回天丹田に頼り過ぎないようにする為の縮地法なのに

 

今思えば、そのことで祖父に叱られていたことの道理、叱っていた祖父の気持ちを今更ながら痛感する

 

過去の自分のサボり癖、怠慢を後悔しながら炎蓮の攻撃を躱し続ける

 

一刀「(こうなったら癪だけど、回天丹田に頼るしかないか!))

 

縮地で一気に距離を開け、一呼吸し精神統一に入る

 

炎蓮「お!?ようやくその気になったか♪」

 

一刀「ふぅ・・・・・はい、不本意ながら・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

そして、氣のメーターを振り切らせ、折りたたむように全身に絞り込んでいく

 

一刀「コォ〜〜〜〜〜・・・・・これでいいですか?」

 

炎蓮「そうそれよ、そいつを待ってたぜ♪♪♪」

 

目の前に見据える男の全身から零れ落ちる羽のような白銀の氣の粒子に、炎蓮は子供のように大はしゃぎした

 

 

 

 

 

 

 

亞莎「な、なななななんなんですかあれは!!??あんなの初めて見ます!!?」

 

穏「あれが御遣いさんの技の一つらしいですよ〜、亞莎ちゃん〜♪」

 

祭「相変わらず凄まじい氣じゃのう・・・・・」

 

梨晏「うぅ〜〜ん、大殿様が羨ましいなぁ、一刀はとうとう私には使ってくれなかったしね・・・・・」

 

小蓮「凄いきれ〜〜〜い♪やっぱりシャオのお婿さんにする〜〜♪」

 

百合「あらら〜、何なのでしょう、私顔が熱く///////」

 

雷火「ううむ、天の御遣い・・・・・眉唾と思っておったが、これは認めるしかないか」

 

包「本物ですよお師匠様!!ぜひあの人を我陣営に招き入れましょう!!その為には幽州の公なんとかさんに、あんなことやそんなことの嫌がらせを・・・・・(ぶつぶつぶつぶつ)」

 

蓮華「・・・・・・・・・・///////」

 

 

 

 

 

 

 

 

粋怜「(なんて氣なのよ、これは事と次第によっては・・・・・)」

 

念のために武器を持参しておいてよかったと粋怜はつくづく思った

 

下手をしたら炎蓮が瀕死の傷を負うかもしれない

 

こんなハイレベルな戦いを止めるのに素手では心もとない

 

持っている蛇矛を握る手から滲む脂汗をそっと拭き取るのだった

 

炎蓮「これよ、これだぜ・・・・・この張り詰めた空気、やっぱ喧嘩はこうでなくっちゃな♪♪」

 

南海覇王を握り締め、妖艶な笑みを見せる

 

アドレナリンが過剰分泌しているのか、目が血走り瞳孔が限界まで開いている

 

その獅子のような表情は、まるでエジプト神話に登場する戦いの女神、セメクトのようだ

 

女性ということもあり、表現としてはそちらの方がしっくりくるだろう

 

炎蓮「時間が勿体ねぇ、飛ばしていくぜ!!!」

 

そして、興奮冷めやらぬうちに炎蓮は一刀に突撃する

 

しかし

 

ズドンッ!!

 

炎蓮「うおおっ!!!??」

 

いきなり高速の氣弾、雷針砲が飛来し、これを紙一重で避けるが

 

ズシンッ!!!

 

炎蓮「ぐうおっ!!!」

 

躱したと思った刹那、左足に鋭い衝撃が走り、腰が落ちかける

 

縮地で一気に間合いを詰めた一刀のローキックがクリーンヒットしたのである

 

その素早さと攻撃の重みといったら、先ほどの比ではない

 

やはり普通に氣を開放するのと回天丹田とでは戦闘力に相当な開きがあるようだ

 

その後は、完全に戦力が逆転し、終始一刀が押していくこととなる

 

炎蓮は一刀の動きに付いていくことが出来ず、当身や蹴り当てをまともに受け続ける

 

炎蓮「くううう、やるじゃねぇか!!それでこそ俺が認めた男だぜ!!」

 

一刀「あなたが認めているのは、俺の戦闘能力でしょ!?嬉しくありませんよ!」

 

炎蓮「いんや、もう全面的に認めているぜ♪♪俺の真名を預かりな、一刀♪♪♪」

 

一刀「・・・・・なら、炎蓮さんと呼ばせていただきます!!」

 

そして、これで詰みとばかりに縮地で炎蓮に肉薄する

 

しかし

 

炎蓮「おらあああああああああ!!!!!」

 

一刀「なっ!!!??」

 

凄まじい殺気の爆発に一刀は驚愕の表情を見せる

 

まるで追い詰められた獣の最後の一噛みの様に、最後の最後で一刀の姿を捕らえ、南海覇王を思い切り突き出してきた

 

ただでさえブレーキが利かない縮地法に回天丹田が上乗せされれば、それは最早放たれた矢や銃弾と変わらない

 

ドスッッッ!!!

 

そして、カウンダー気味に南海覇王の切っ先が一刀の腹に突き刺さった

 

炎蓮「ありゃ?当たっちまった・・・・・」

 

最後の最後でラッキーパンチが出てしまい、炎蓮も唖然としていた

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮華「きゃああああああああああああ!!!!!」

 

梨晏「一刀!!!!!」

 

雪蓮「ちょっ、母様やり過ぎ!!!!」

 

冥琳「いかん!!!!!」

 

思春「おいっっっっ!!!!!」

 

明命「わあああああああ、一刀様ああああああああ!!!!!」

 

鴎「一刀おおおおおおおおお!!!!!」

 

小蓮「シャオのお婿さんがああああああ!!!!!」

 

亞莎「あ、ちょっ、その、あの、これはどうすれば!!!??」

 

穏「あ〜〜〜、これは大変頂けないですね〜〜〜・・・・・」

 

祭「同盟どころの話ではないぞ、これは・・・・・」

 

美羽「七乃、巴!!!!!一刀が、一刀が!!!!!」

 

七乃「え〜〜〜〜と・・・・・死んじゃいました?」

 

巴「冗談ではありませんよ!!!!!どう責任を取るのですか!!!!!??」

 

百合「あ、あああぁぁぁ・・・・・」

 

余りの光景に百合はその場で気を失ってしまった

 

 

 

 

 

 

粋怜「あちゃ〜〜〜、止める暇もなしか・・・・・」

 

余りに一瞬だったため、手も足も出なかった

 

それより問題は、天の御遣いを殺してしまったことである

 

このような事が露見してしまえば、最早孫呉は一巻の終わりであろう

 

なにせ帝のお気に入り、真名まで拝命されている者を亡き者にしたのだから

 

事故で済まされると思うなら、甘い夢である

 

確実に帝の怒りを買い、勅命により孫呉は滅亡するであろう

 

いかに事を隠蔽するか、それを考えていると

 

炎蓮「おい、大袈裟に騒いでんじゃねぇ」

 

粋怜「大殿?何言ってるのよ?」

 

炎蓮「どうも手応えが変だと思ったら、それほど深くは刺さってねぇんだ」

 

粋怜「は!?あれだけの勢いで突き刺さったのに、何を・・・・・」

 

一刀「〜〜〜〜っ・・・・・そろそろ、抜いてくれませんかね、これでも結構痛いんですよ・・・・・」

 

粋怜「ちょっと!!?生きてるの!!?」

 

一刀「だから結構痛いんですってば」

 

そして、炎蓮は南海覇王を引き抜く

 

確かに切っ先には真っ赤な血が付着しているが、それほど出血は多くなかった

 

一刀「北郷流体技・・・・・野登呂」

 

炎蓮「一刀、お前どんな鍛え方していやがる・・・・・腹で剣を止めやがったな・・・・・」

 

一刀「これはこういう技なんですよ、筋肉の組織のみで相手の武器を防いだり絡めとったりする荒業です・・・・・けど、っ!!・・・・・結構深いな、これは」

 

回天丹田を解除し、自ら腹に包帯を巻き止血する

 

回天丹田により加速度を増した縮地の勢いで、思ったより深く刺さってしまったようだ

 

粋怜「大丈夫なの!!?手伝いましょうか!!?」

 

一刀「いいえ、これくらいなら三日で治りますよ・・・・・それで炎蓮さん、気は済みましたか?」

 

炎蓮「ああ、十分過ぎるぜ、ここまでやられちゃあな♪・・・・・おっととととと!」

 

突然、炎蓮はふらつき尻餅を付きそうになった

 

祭「堅殿!!?いかがいたした!!?」

 

炎蓮「騒ぐんじゃねぇ、こいつの蹴りが思った以上に効いてんだよ」

 

彼女が摩る足を見ると、大きな青痣が出来ていた

 

しかも両足共にである

 

炎蓮「こりゃ、暫くはまともに歩けそうにねぇな」

 

一刀「治してあげますよ」

 

炎蓮「いんや、こいつはこのままにしておく」

 

粋怜「大殿、治してもらいなさいよ!」

 

炎蓮「一刀が俺に刻んだ闘いの証だからな、直ぐに治すなんざ勿体ねぇぜ、自然治癒で暫く余韻に浸らせてもらうわ♪」

 

嬉しそうに足の青痣を撫でる炎蓮だったが、一刀は冷めた表情だった

 

一刀「はぁ・・・・・あなたは本当に戦いに快楽を見出す人なんですね・・・・・」

 

炎蓮「んあ?何を今更、んなもん最初から分かり切ってんだろうが」

 

一刀「そうやって、これまでいろんな人を傷付けて、自分が傷付いたとしてもそれもそれもあなたにとっては快楽の内なんでしょ?はっきりいって狂ってますよ・・・・・」

 

炎蓮「それは否定しねぇ・・・・・だがよ、これも英雄が背負うべき業だ、英雄の格ってやつはな、いかに多くの人間に恨まれているかなんだよ、そんでもってその全ての恨みを飲み込んだ奴だけが真の英雄となれるんだよ」

 

一刀「それはこういうことですか?一人殺せば殺人鬼、百万人殺せば英雄・・・・・反吐が出る!!」

 

祭「なんじゃと!!?」

 

一刀「俺はそんなもの認めない・・・・・始皇帝のやった事を一切認めない、項羽や劉邦のやった事を一切認めない、太公望のやった事を一切認めない、何よりも尊い平和を壊す戦争という犯罪行為を・・・・・認めない」

 

梨晏「あ、ちょっと一刀!待ってよーー!!」

 

美羽「一刀やーー、待ってたもーー!!」

 

七乃「あ、え〜〜と・・・・・私達も追いかけた方がいいですかね、巴さん」

 

巴「何を当たり前な事を、いきますよ七乃」

 

そして、闘技場を後にする一刀を梨晏、美羽、七乃、巴が追いかけて行ったのだった

 

小蓮「なんなのよあいつ、顔はいいし強いけど中身がおかしいよ!」

 

雪蓮「そうね、汚い戦争は全て悪として定め、認めているのは平和というこの二文字のみ・・・・・まったく、困った子だこと」

 

冥琳「ああ、平和というものは、犠牲も無しに手に入るほど安いものではないというのにな」

 

穏「大殿様〜、やっぱりあの人は駄目ですよ〜!」

 

祭「ああ、あんな餓鬼みたいな屁理屈を並べる事しかしない輩は、いても邪魔じゃ!」

 

粋怜「どんなに能力が優れていても、使い方が完全に的を外れているわ」

 

冥琳「ええ、現状を、現実を直視しない輩に、未来などありはしません」

 

炎蓮「・・・・・お前ら、好きの反対は何だと思う?」

 

雪蓮「はあ?何よいきなり?そんなの嫌いに決まっているでしょ、何を馬鹿な・・・・・」

 

炎蓮「ざ〜〜〜んねん、不正解♪」

 

雪蓮「なんですって!?」

 

明命「はうあ!!?好きの反対は嫌いじゃないんですか!!?」

 

鴎「そんなの初めて聞きますよ!!?」

 

炎蓮「まぁ、一般的に見りゃそれが正しいんだろうが、それは真に迫るものじゃねーな」

 

思春「それでは、好きの反対は何なのですか?」

 

炎蓮「好きの反対はな・・・・・無頓着だよ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

この説明に、一同は暫く無言で考察していた

 

冥琳「・・・・・言いえて妙ですね」

 

祭「まぁ確かに、宮廷で利権を貪るしか能の無い洛陽のクソ宦官どもと比べれば、具体的な目標を立て行動を起こしているあ奴の方が遥かにましと言えるか・・・・・」

 

炎蓮「お前らも思うところはあるかもしれねぇが、あいつがここにいる間は精々あいつと話してみることだ、そうすりゃあいつの言いたいことや気持ちを少しは理解できると思うぜ♪」

 

「・・・・・・・・・・」

 

自らの主がそう言うのでは是非もない

 

見聞を広めるという意味でも、一刀のような人間の話も決して無価値ではないのだから

 

蓮華「・・・・・・・・・・」

 

そしてここに、この中のだれよりも考察に没頭する者が居た

 

蓮華「(一人殺せば殺人鬼、百万人殺せば英雄・・・・・)」

 

この言葉が、蓮華の頭にこびり付いて離れなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨晏「ちょっと一刀ってば、大殿様の言うことも少しは聞いてよ!」

 

美羽「一刀やーー、歩くのが早いのじゃーー!」

 

七乃「あ〜〜〜ん、何だか一刀さん、不機嫌ですねぇ〜〜」

 

巴「まぁ、一刀からしてみれば孫堅殿のような人間は、決して許してはならないのでしょうけどね」

 

何も言うことなく、つかつかと速足で歩いていく一刀に4人は必至で付いていった

 

一刀「(ったく!あんなに綺麗なのに、なんであんな人がそんな大量殺戮者なんだよ!?)」

 

先ほどの炎蓮の言動は一刀にとって全く理解できないものだった

 

しかし、これでもまだましな方なのだ

 

以前の一刀だったら、過去に戦争を起こした歴史の偉人達は、国、文化、宗教、民族を問わず、問答無用でA級戦犯の烙印を押していただろう

 

それをしなくなったのは、この世界に来て様々な場所を訪れ、政治に触れて様々な事をして来たためである

 

そもそもこの世界は、名を馳せた武将達の性別が逆転しているのだから、否が応でもいろいろなものを見聞しなければ判断に困る

 

しかし、性別が逆転しているからと言ってそれで彼女達のやっていることが許されると思ったら大間違いである

 

男だろうと女だろうと、やっていることはただの人殺し行為なのだから

 

そこを有耶無耶にしてしまえば、それこそこの世には戦争犯罪もA級戦犯も存在しないのだから

 

一刀「ふぅ・・・・・すまない、少し苛ついた」

 

梨晏「一刀・・・・・一刀の言いたいことや気持ちも分かるけど、もうちょっと皆の言葉に耳を傾けてもいいんじゃない?」

 

美羽「なんだか一刀、怖いのじゃ〜・・・・・」

 

七乃「はい〜、あまり難しいことばかり考えてると皴が増えますよ〜」

 

巴「一刀は、もう少し余裕を持った方がいいと思いますよ」

 

一刀「・・・・・そうだな、以後気を付ける」

 

頭が冷えたのか、一呼吸置いて一刀は全身から力を抜いた

 

その時

 

蓮華「待って、ちょっと待って!!」

 

必死に後を追ってきたのは蓮華だった

 

梨晏「あ、蓮華様、どうしたんですか?」

 

一刀「えっと、君は?」

 

蓮華「ええ、こうして名乗るのは初めてね・・・・・私は孫権、字は仲謀よ」

 

一刀「っ!・・・・・そうか、やっぱり君が孫権か・・・・・」

 

孫呉一同の中で唯一名乗っておらず、かつ孫堅、孫策、孫尚香にここまで類似していれば年齢的にも彼女が孫権だと誰にでも想像できる

 

蓮華「あの、さっきの話なんだけれど・・・・・」

 

一刀「そうだね、俺も失礼なことを言った・・・・・すまない」

 

蓮華「いいえ、それは構わないわ!あなたもこの大陸の未来を憂いてこうしているのは分かっているもの!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

てっきりさっきの言動にいちゃもんを付けに来たのかと思ったため、一刀は少し唖然としていた

 

蓮華「私は孫家の人間だから立場的にこんなことを言うのは不味いのでしょうけど・・・・・正直、私はあなたの方が正しいと思っているわ」

 

一刀「え・・・・・」

 

蓮華「私も覇道なんて野蛮なものだと思うし、あなたの言うとおり、戦をしないでそれで全てが丸く収まればそれに越したことはないもの・・・・・だから、私はあなたに全面的に協力するべきだと思っているわ・・・・・母様は、ああいう人だから仕方ないとは思うけど、どうか私は貴方の味方でいさせてほしいの!」

 

一刀「・・・・・こちらからお願いしたいくらいだ!!」

 

蓮華「え、あ・・・・・」

 

いきなり手を握られ、蓮華は戸惑ってしまった

 

一刀「君のような人が孫呉にいてくれて本当に良かった!!何か悩み事があればいつでも相談してくれ、君が呼べば俺はすぐにでも君の元に駆け付ける!!」

 

蓮華「・・・・・ええ、ええ!!あなたも困ったことがあれば、私を頼って!!////////」

 

握ってきた手を強く握り返し、蓮華は意を決した

 

蓮華「私の真名は蓮華よ、一刀と呼んでいいかしら♪////////」

 

一刀「もちろんだ、これからよろしく、蓮華♪」

 

繋ぎ合った手からお互いの強き思いを共有し合う様に、一刀と蓮華はより固くお互いの手を握り合ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷火「包よ、あの小僧をどう思う?」

 

包「う〜〜ん、一度は陣営に引き入れたいと思いましたが、撤回せざるを得ませんね・・・・・あれは相当に極端な思考回路の持ち主ですよ」

 

雷火「わしもそう分析した・・・・・だが、極端ゆえにあれは嵌れば誰よりも頼もしい逸材となるやもしれんぞ」

 

包「どういうことですか?」

 

雷火「例えば、わしにはわしの、包には包の得意分野があるであろう、それを伸ばしていけばお互いに支え合える関係に自然となれるということだ」

 

包「・・・・・言いたいことはわかりますけど、あれは戦となると断固として譲る気はありませんよ」

 

雷火「であれば、あ奴は戦から遠ざければいいのだ、やり方はいくらでもある」

 

包「危険だと思いますよ、ああいうのが国を亡ぼす第一候補なんですから」

 

雷火「それは重々承知だ、だからこそ嵌れば強いのだ」

 

包「・・・・・まぁ、包のお師匠様ですし、今のところはその判断に従いますよ」

 

袁術から孫堅への鞍替えを模索しているこの二人からしてみれば、一刀の存在は邪魔ではあるが、それと同時に誰よりも頼もしい存在にもなりうる

 

扱いが難しい存在が微妙な時期に現れたが、二人は今後の対応を話し合っていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、今度は早く投稿出来て良かったです

 

今後もこれくらいのペースで投稿出来たらと思っています

 

前回あそこまでの間を開けてしまいましたので、これからは一か月に2話の速度が出せればと思っています

 

牛歩戦術から卒業する日もそう遠くないと、願っています

 

さて、ようやくここまで来れました

 

この速度を維持していれば、今頃この鎮魂の修羅は完結していたんでしょうね

 

そして、阿修羅伝も一区切りまで進められていたのでしょうに

 

阿修羅伝を楽しみにしてくださっている皆様には、大変申し訳ありませんが、前に言った通り鎮魂の修羅を10話ほど投稿してからとなりますので、根気よく待っていただければ幸いです

 

阿修羅伝に移行する時はちゃんと予告しますので、よろしくお願いします、では、・・・・・待て、次回

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コメント
……益々、相互理解が難しくなっただけのような気もする。対話を継続しろという炎蓮の言葉は全く正しくて、しかしそれが誰よりも必要なのは一刀……そこまで戦いを憎むようになった理由を、動機を明かせば、より多くの理解者を得られると思う。明かす気は無いのかもしれないが、今のままでは一刀こそが最大の混乱を生みかねない。それも、最悪の形で。(Jack Tlam)
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