ある子供の話2
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話を続ける。

子供の名前は便宜上,「男の子」と呼ぶことにする。

彼は先ほど話したとおり,一見普通の見た目をしているが現実で愛を見出したことがない・・・いや,正確に言うと彼にとっての愛情というものがこの世界には存在していない,というのが正しい言い方なのだろう。

親も,友達も,彼にとって信頼できる唯一の人物達ではあるものの,今日に至るまでその本心を明かしたことはない。

 

何故なら,人の求める愛の形とはとても言葉で説明できないぐらい奇妙で,複雑で,なにより形容し難い尊いものなのなのだ。

彼自身のごく個人的な見解に過ぎないが。

少なくとも人がイメージする形というものは人それぞれによって全く異なる。

 

ある人は社会定義になぞらえた安全で,倫理的で,そして退屈な愛のイメージ。

またある人は社会の在り方をよしとせず,徹底的に反骨精神を剥き出しにしては過激で,情緒的で,それでいて憐れみさえも覚えてしまうぐらいにもてあますほどの負のエネルギーを背負いかねない愛のイメージ。

ではこの男の子が見つめる世界はどんなものか?

それはその子自身でしか理解できない世界であることは言うまでもない。

しかしその男の子にとって「現実では表現出来ない物」を欲する気持ちをその子自身の世界に求めているのは確かだ。

 

例えば金持ちになりたければ自分が空まで届くぐらい高い塔や大きな城に住み,金や銀にたくさんの宝石で囲まれた王様になった姿を脳内で演じてみればいい。

 

それ以外にも,強大な飛行戦艦に乗って宇宙の果てに行って見たこともない惑星に行ったり,未知の植物に触れたり,異星人と会話したり。

 

 

 

映画のような冒険者を演じて旅路の果てに世界の支配者になることを夢見たり。

 

 

 

 

恋愛シュミレーションのように異性の女の子と話をしたり,一緒に手をつないで散歩したり,キスをしたりエッチをしたり。

 

 

 

 

 

世界中の女の子を呼び寄せてハーレムにしたり。

 

 

 

 

 

世界中の人々と仲良くなったり。

 

 

 

 

 

 

それが飽きたら。

 

 

 

 

 

 

どこかのRPGゲームみたいに世界中の人間や動植物を残虐に皆殺しにしたり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

考えたらきりがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも男の子は。

 

 

 

 

 

 

 

 

ごく幼い頃からその夢を叶えてくれる自分の世界を愛していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

例えそれが他人から見て間違った行為だと思われても。

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