スマブラ Stern des Lichts 第1話 〜 病弱メイド、アイシャ
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 カービィ、シャドウ、ベルの三人は、身体を失ったファイターを助けるため、立ち上がった。

 ちなみに、カービィ以外の二人が生き残った理由としては、シャドウはカオスコントロール、ベルは魂を守る魔法で光線を防いだからだ。

 

「行方不明とはいったけど……なんか、魂が凄く集まってない?」

「魂?」

 ベルは死神であり、魂や生命の気配には敏感だ。

 そんな彼女が、この場の異変に気付かないわけがなかった。

「そうよ。この世界に散らばった魂……これが異変の原因じゃないかと」

「確かに、戦士が魂になったという可能性はある。だが、それを証明できるか?」

 シャドウの言葉に、カービィは「あ!」と思い出したように叫ぶ。

「僕見たんだよ、リン兄やマルっちが光に包まれて消えたところを!」

「やっぱり!」

 もしも、リンクやマルスが光に包まれて魂になっていれば……この異変も、その光が原因かもしれない。

 ベルは真剣な表情で、強く鎌を握っていた。

「これはまずいわね……。このままじゃ、この世界が滅茶苦茶になるわ……」

「じゃあ、僕がみんなを助けに行こう!」

「待て。僕を置いていくつもりか?」

「カービィ……私達はどうなるわけ?」

「あ」

 カービィは、シャドウとベルの存在をすっかり忘れていた。

「あー、忘れてたよ。とりあえず、僕とシャド兄とベルベルは、チームでいい?」

「……その言い方は好きではないがな」

「ベルベルじゃなくてベルよ」

 カービィがシャドウとベルにつけたあだ名は、二人には不評なようだった。

 とはいえ、今戦えるのは三人しかいないため、チームを組む羽目になるのだった。

 

「じゃ、チームは決まったし、役割分担を決めましょう。まず、私は魂を探す係」

「僕はみんなを助ける!」

「……そして僕は邪魔な敵を倒す係、か」

「あんた、この中で一番強そうだしね」

 カービィは仲間を助ける役、シャドウは敵を倒す役、ベルは魂を探す役となった。

 今ここに、光と闇と死神のチームが結成された。

 

「さて。まずは、この世界に散らばった魂を探すわ」

「お前にできるのか?」

「私は死神よ? 魂の感知くらい朝飯前なんだから」

 そう言って、ベルは鎌を掲げ、精神を集中した。

「…………ここから10時の方向に、魂があるわ!」

「そこが、僕の目指す最初の場所か」

「よーし、待っててね!」

 カービィはバタバタと走り、シャドウはエアシューズ、ベルは魔法で加速してその方向に向かった。

 道中で、サブスペーサーのプリムが襲い掛かってきた。

 サブスペーサーは元々は異界の住人だったため、今回の異変の影響は受けていない。

 このプリムは武器を持たず、パンチとキックのみで攻撃するため、三人にとっては相手ではなかった。

 

「まったく、私達に襲い掛かってくるんじゃないわ」

「もう二回も亜空軍が来たのに、懲りないね!」

「この辺に落ちているものは、何もな……ん?」

 シャドウが辺りを探索していると、足元に拳銃が落ちていた。

「これ……銃じゃない! 一体誰のものかしら?」

「うーん、分かんない」

「……ともかく、拾っておいて損はないな」

 そう言って、シャドウは拳銃を持っていった。

「うーん、かさばるだけだと思うんだけどねぇ」

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 三人が歩いていると、ブーメランプリムがカービィに向けてブーメランを投げてきた。

「ひゃ!」

 カービィはブーメランを回避するが、ブーメランはカービィがいた方に戻ってくる。

「そこだっ!」

 シャドウは狙いを定めて、ブーメランプリムのブーメランを拳銃で撃ち落とす。

「ありがとう、シャド兄!」

「勘違いするな、ブーメランプリムを倒しやすくするためだ」

 ブーメランを落としたプリムの戦闘能力は大きく落ちていた。

 プリムは急いでブーメランを拾おうとするが、そこにベルの一閃が入ってブーメランプリムは倒された。

 

「それ、かさばるだけだと思ってたのに、意外に使えるのね。私、こういうの苦手なのよ」

 ベルは銃器のように、複雑な構造の武器を使用するのが苦手だ。

 死神のほとんどが大きな鎌を使うのも理由の一つかもしれないのだが、ベルは手先が不器用だ。

「ま、それは私には使えないから、あんたが持ってなさい」

 そう言って、ベルはシャドウに拳銃を任せ、彼とカービィと共に歩いていった。

「……ん?」

 その時、ガサッ、という音がした。

 とても小さい音だったため、カービィは気付かなかった。

「どうしたの、カー……」

「うわああああああああああああ!!」

 突然、三人の足元で巨大な陥没が発生した。

 僅かに浮遊していたシャドウとベルは影響がなかったが、カービィはうっかり地面に足を着けていたため、

 ホバリングする暇もなく遥か下に転落してしまった。

 

「あららー、希望の光が落ちちゃうとはねぇ。ったく、タイミングが悪い時にぼんやりなんだから」

「仕方あるまい。あまり行きたくはないが、僕もあいつを探しに行こう」

「よし、レッツゴー!」

 シャドウとベルはカービィを追うため飛び降りた。

 

「これで落ちたのは二回目だよ……」

「大丈夫、カービィ」

「来てやったぞ」

 転んでいるカービィを、ベルが引き上げる。

 高いところから落ちてきたため、ホバリングをしないと脱出はできない。

「私とシャドウを掴んでホバリングできるかしら?」

「うん……やってみる!」

 ベルとシャドウは、カービィの手を掴んだ。

 カービィは大きく息を吸い込んで膨らむと、手を掴んでいた二人が宙に浮かんだ。

 同時に二人を持っているのか、もう片方の手を強くバタバタさせる。

 カービィは一生懸命に二人を運んでいた。

「う、うぅ、重いよぉ……」

「頑張って! もう少しよ!」

「うん……頑張る!」

 そして、10分後、カービィは二人を運んで地上に戻る事に成功した。

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「あぁ〜、疲れた」

 二人を一度に同時に運んだのか、カービィはぺたんと座り込んだ。

「お疲れ様。よく運べたわね。あんたは、しばらく休んでなさい」

「でも、どうやって休むの?」

「私に任せなさい!」

 そう言って、ベルは魔物除けの結界を張った。

「この結界は『死』の気配が強いから、魔物が近づかないわよ」

「中にいる僕達は平気なのか?」

「当たり前でしょっ、ちゃんと調整したから」

 

 三人が休憩を終えて15分後、魂のある方向を目指して歩いていった。

 道中は歩きにくい道だったが、ホバリングや技などを駆使して乗り越えていった。

 そして、しばらく歩いていくと、アイシャが倒れていた。

「ちょ、アイ姉!? 身体がないはずじゃ……」

「それが、抜け殻で見つかったのよね。……ねえ、アイシャ?」

 アイシャの近くには、桃色の髪のメイドらしき女性の魂……スピリッツが浮かんでいた。

 ベルは、じっとその魂を見ていた。

「……」

「どうしたの? ベルベル」

「……」

 カービィの言葉に、ベルは全く反応しない。

 四分後、三人の前に文字が現れた。

 

 フェリシア

 出身世界:戦記の世界

 性別:女性

 カムイに仕えるメイド。フローラの双子の妹。

 うっかり屋な性格で、軍の中で一番、破壊神。

 メイドだが、料理の腕は壊滅的。

 

「これ、なーに?」

「ああ……ここにいる魂の説明よ。出身世界や簡単な説明を見る事ができるわ」

「そうか……」

「凄いでしょ……と言いたいところだけど」

 ベルが自身の能力についてカービィとシャドウに説明すると、フェリシアのスピリッツはアイシャに入り込んだ。

 すると、倒れていたアイシャが、むくりと起き上がった。

「アイ……姉?」

「……ス……」

 スピリッツに憑依されたアイシャの目は、赤く染まっていた。

「……ケ……ス……」

「どうやら、この魂がアイシャの抜け殻に憑いたようね。倒して、魂を解放しましょう!」

「うん!」

「ああ」

 ベルの号令により、カービィとシャドウは戦闘態勢を取った。

 

「カオススピア!」

 シャドウが二発のエネルギー弾をアイシャに向けて飛ばし、牽制する。

「バーニング!」

「リーパー!」

 次に、カービィが炎を纏ってアイシャに体当たりをしてダメージを与えた。

 アイシャが怯んだ隙に、ベルは鎌を振って彼女を斬りつけた。

「あまり傷つけたくはないけど……ちゃんと戦うしかないみたいね」

「……ケ、シ、マスワ……」

 アイシャはナイフをカービィとベルに投げつける。

 カービィとベルはいくつかは弾いたが、いくつかは当たってダメージを受けた。

「来なさい」

 ベルは鎌を持っていて、何もしないように見える。

 アイシャはそのままベルに突っ込んでいったが、次の瞬間、アイシャに無数の棘が刺さった。

「グ……!?」

「トラップには気付かなかったみたいね。私の必殺技、ダークマジックよ! さあ二人とも、やっちゃいなさい!」

「おっけー!」

 カービィとシャドウはアイシャに突っ込んでいき、体術でアイシャを攻撃していった。

 アイシャは体力がないため、すぐに瀕死状態になった。

「……ウ……」

「とどめを刺すか」

 シャドウがアイシャを倒そうと拳銃を構えた時、ベルが止めに入る。

「待ちなさい、アイシャを殺しちゃダメ。私達は魂を解放するために戦っているのよ。だから、それを希望の光に託すために……リーパー!」

 ベルはカービィにとどめを刺してもらうべく、鎌でギリギリまでアイシャの体力を削る。

「カービィ、とどめはあんたがやりなさい!」

「よし、いくぞ! ファイナルカッター!!」

「……」

 カービィが飛び上がってカッターを振り下ろすと、アイシャの身体を乗っ取っていたスピリッツが彼女から抜け出した。

 同時に、戦っていたアイシャもばたりと倒れた。

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「……」

「さっき、抜け殻って言ったよね、ベル姉……。ねえ……アイ姉をどうするの……?」

「このままにしておくわけにはいかないし……一応、こうするしかなさそうね。……ソウルリバース!」

 ベルは、勢いよく鎌をアイシャに突き刺した。

「はあ……。はあ……。あれ、ここは、一体どこですの……?」

 すると、気絶していたアイシャはゆっくりと起き上がった。

 スピリッツに憑依されていた時の記憶は、アイシャには残っていないようだ。

「ね、ねえ……なんでアイ姉が起き上がったの?」

「私が死神の力でアイシャに仮の魂を与えたのよ」

 ベルが小声でカービィに説明した後、アイシャに事情を話す。

「あんたがどうなったのかというと、私達が……正確にはカービィが、あんたの身体を乗っ取っていた魂を取り出したのよ」

「どうだ!」

 カービィがえっへんと胸を張る。

 アイシャは「ありがとうございますわ」とカービィにお礼を言った。

「それで……マスターハンド様はどちらに?」

 アイシャは主人のマスターハンドがいない事に気が付き、辺りを見渡す。

 カービィは、アイシャに事情を説明した。

「マスターハンドは、みんなでたくさん光になって襲い掛かってきて、生き残ったのは僕とシャド兄とベルベルだけなんだ」

「ええーーーーーー!?」

 現在の生き残りが、自分を除くと三人しかいないという事実にアイシャは驚いた。

「もしかして、ファイターはあなた達以外、全滅したんですの!?」

 アイシャの言葉に、三人は静かに頷く。

 沈黙は、肯定の証だった。

「……はあ、まったく、大変な事態になりましたわね……」

 アイシャは荒廃した争いの世界を見て溜息をついていた。

「……わたしは、いつ休めるんですの……?」

「さあな」

 

 果たして、カービィ、シャドウ、ベル、アイシャは、絶望に満ちた争いの世界に、希望の光を灯せるのだろうか。

説明
事前情報無しでほとんど書いたので、オリジナル展開がしばらく続きますが、ご了承ください。
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