恋姫英雄譚 鎮魂の修羅34の2
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拠点・雪蓮、冥琳

 

 

 

雪蓮「みっつか〜いく〜〜〜〜ん♪試合するわよ〜〜〜〜♪」

 

一刀「・・・・・は?」

 

いきなり扉が開いたかと思えば、後の小覇王様が訳の分からないことをぬかしてきた

 

部屋の中で優雅に茶を渋っていたのに邪魔され内心不機嫌全開である

 

しかし、ここはぐっとこらえ冷静に対処する

 

一刀「お断りです」

 

雪蓮「え〜〜〜〜、母様とは試合したのになんで私は駄目なのよ〜!?」

 

一刀「孫堅さんとの試合は、あくまでし・か・た・な・く、百万歩譲って承諾しただけです」

 

雪蓮「ものすごく嫌そうに言うわね〜・・・・・」

 

一刀「当たり前です、俺がそういう野蛮なことが嫌いなのは先刻承知でしょう・・・・・それに、一度そういうことを許してしまうと、次から次へと試合を申し込んでくる人が現れますから、今の孫策さんがいい例でしょう」

 

雪蓮「むぅ、確かにその通りね・・・・・ならこうしましょう、誰も見ていない所で試合をするの、そうすれば次の人間は出てこないわ♪」

 

一刀「人の話を聞いていたんですか・・・・・」

 

冥琳「北郷殿の言う通りだぞ、大殿様と試合をしてしまっている時点で、そんなことをしても無意味だからな」

 

今度はその相棒であり軍師であり、断金の契りを交わした褐色美人が入室する

 

雪蓮「でもでも、私も御遣い君とどうしても試合がしたいのよ〜!!母様との試合を見て以来体が熱く疼いてしょうがないんだから〜!!」

 

冥琳「まったく、お前という奴は・・・・・すまないが、少々雪蓮に付き合ってはもらえないだろうか、大殿様と貴殿の試合を見て以来ずっとこの調子なのだ」

 

一刀「お断りします・・・・・まったく、どうして皆こうも好戦的なんですか」

 

冥琳「ふむ、あくまで争いを嫌うか・・・・・では、こうしてはどうだ、試合ではなく稽古を付けていただくというのは」

 

一刀「はい?」

 

雪蓮「それいいわね、それなら御遣い君の嫌いな試合やら決闘やらじゃないから何にも問題ないわよ♪」

 

一刀「・・・・・稽古だっていうなら、剣やらの武器を持ち出すのはご法度ですよ」

 

雪蓮「え〜〜〜、それ何の意味があるのよ〜〜?」

 

一刀「当たり前でしょう、そんな危ないものを持ち込んだら試合や決闘と何の違いがあるんですか」

 

雪蓮「むぅ〜〜〜・・・・・」

 

これで諦めてくれるだろう

 

どうもこの大陸の人間は武器を使うことに拘るところがある

 

それは、相手が武器を持っていることが当たり前な環境の中にいるためであろう

 

相手と同等か、それ以上の武器を持って戦いに備える

 

そういった戦術や戦略を常に考えていればそうなるのも仕方がないのであろう

 

今後、そんな野蛮な事を考える必要などなくしてしまわないといけないと考えていると

 

雪蓮「でも、それも面白そうね♪」

 

一刀「・・・・・え?」

 

予想外な返答が来て鳩が豆鉄砲を食らった顔をしてしまった

 

雪蓮「それでいいわ、孫家が剣術しか能がないと思ったら大間違いよ、剣が手元に無いこともちゃんと想定しているんだから♪」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一刀は雪蓮と冥琳に案内され建業から少し離れた山の麓に来た

 

武器を用いないという条件を出し、それを承諾されてしまった以上断ることも出来なくなってしまった

 

口は災いの元とはよく言ったものである、これなら稽古だろうと何であろうと断るべきだった

 

雪蓮「さ〜〜〜て、ここならだれも見ていないし、思う存分試あ・・・・・じゃなくて、稽古に勤しめるわよ〜〜♪」

 

一刀「はぁ・・・・・付き合うしかないのか」

 

冥琳「そういうことだ、すまないとは思っているが、雪蓮に目を付けられてしまったが運の尽きということだ、諦めろ」

 

一刀「そんな理不尽な理由で納得できますか・・・・・」

 

冥琳「ふむ、では雪蓮に付き合ってもらった暁には、貴殿との同盟に色々と口添えをすると約束しようではないか」

 

一刀「・・・・・それは願ってもないことだけど、こんなことでそんな大事なことを決めてしまってもいいのか?」

 

冥琳「構わん、口添えと言っても締結を少しは円滑に出来るかどうかであろうしな」

 

一刀「まぁ、それでもありがたいか」

 

そして、一刀は腰の兼元を刺し直し雪蓮と対峙した

 

冥琳「(こ奴の頭の中には、平和への飽くなき探求しか存在しないか)」

 

彼の行動の一つ一つが、平和な世の中を作ることに特化していることを冥琳は分析する

 

その一貫性は清々しいとも言えるが、清々しいがゆえに危険とも取れる

 

雪蓮「さ〜〜〜て、孫家相伝の拳法を見せてあげるわよ〜〜♪」

 

そして、まるで酔拳のような構えをとる

 

一刀「まさか、酔えば酔うほど強くなるとか、そんな拳法か?」

 

雪蓮「何よそれ?酔うだけで強くなれるなら、誰も苦労しないわよ」

 

一刀「・・・・・まぁ、あれは暗示みたいなものだろうしな」

 

しかも酒の力を借りた力業である

 

そんなものに頼っていたら、あっという間にアル中患者である

 

雪蓮「それじゃあ、行くわよーーーーー!!!」

 

そして、気合一声で拳を一刀の顔面へと繰り出す

 

雪蓮「・・・・・あれ?」

 

しかし、その拳は一刀の左手の甲ではたかれる

 

そして、雪蓮の喉元に一刀の拳が突き付けられていた

 

一刀「これで一本か?」

 

雪蓮「ちょ、ちょちょ、ちょっと待って!今のは調子が悪かっただけよ、もう一度よ!」

 

そして今度は、拳を繰り出すと見せかけて蹴りを見舞う

 

一刀「ほいっ」

 

雪蓮「きゃあっ!!?」

 

しかし、その蹴りは躱され、足払いで雪蓮は尻餅を付いてしまった

 

蹴りを繰り出したせいで片足の一本立ちとなり、そちらを払われればバランスを崩すのは当たり前である

 

雪蓮「ちょっと、なんで私の攻撃が読めるのよ!?」

 

一刀「体の動きでもろバレだよ、それじゃあせっかくの攻撃の速さも意味をなさない」

 

雪蓮「むっき〜〜〜!!もう怒ったわ、私の本気を見せてあげるわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪蓮「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」

 

一刀「で、気は済んだか?」

 

雪蓮「はぁ、はぁ・・・・・なんで掠りもしないのよぉ〜〜・・・・・」

 

ざっと一時間後、そこには地面に仰向けの状態で息を切らしている雪蓮の姿があった

 

冥琳「まったく、無様だぞ雪蓮」

 

雪蓮「だってだって、彼恐ろしく強いんだもん〜〜!」

 

冥琳「それは最初から分かっている事だろう」

 

雪蓮「そうじゃなくて、この強さは私達の常識じゃ測れない強さってやつよ」

 

そう言いながら、雪蓮は立ち上がった

 

雪蓮「あなた、もしかして素手同士なら大陸で一番強いんじゃない?」

 

一刀「買いかぶらないでくれ、世界は広いんだ、俺より強い人間はいくらでもいる」

 

雪蓮「謙遜しちゃって、私相手に全然本気じゃなかったくせに」

 

冥琳「確かに、傍から見ても手を抜いているのが分かっていたぞ」

 

一刀「おいおい、稽古をしようって言ったのはそっちじゃないか」

 

雪蓮「そうだけど、あなたの本気の片鱗くらいは見てみたかったわよ・・・・・あ〜〜〜あ、まだまだ母様との差を痛感しちゃわねぇ〜〜」

 

炎蓮との戦いでは全身の氣をフルに使い戦っていたが、今回は氣どころか北郷流の殺法一つ見ることなく終わってしまった

 

パワー、スピード、テクニックのみで圧倒されてしまい、一刀個人の力を嫌というほど思い知らされる結果となった

 

溜息を吐きながら雪蓮は乗ってきた馬の荷物に紛れている自分の剣を見つめる

 

雪蓮「ねぇ、やっぱり剣を使ってもいい?」

 

一刀「駄目に決まっているでしょう!約束を反故にする気ですか!?」

 

雪蓮「ケチ〜〜〜」

 

一刀「まったく、子供ですか」

 

冥琳「そこまでにしておけ雪蓮、今回は負けを認めておけ」

 

雪蓮「分かったわよ、彼の強さは痛いほど分かったし、久しぶりに思いっきり運動できたしね」

 

そして、揃って帰路につこうとした

 

その時

 

一刀「っ!!!」

 

ガシィッ!!

 

雪蓮「えっっ!!!??」

 

冥琳「なにっっ!!!??」

 

突然、茂みの中から矢が飛来し、それを一刀が止めた

 

標的は雪蓮だったようで、間一髪で雪蓮はその刺突から逃れた

 

雪蓮「なに奴だ!!??」

 

???「ちぃっ、我弓を掴み取りおるとは」

 

雪蓮「貴様は、黄祖!!?」

 

冥琳「生きていたか!!?」

 

一刀「黄祖って、江夏郡の太守の!!?」

 

雪蓮「ええ、劉表の配下の一人よ」

 

冥琳「長沙の戦いにて、討ち取ったものと思っていたが」

 

黄祖「ああ、危うく死にかけたぞ・・・・・だがお前達への果てない恨みで死の淵から舞い戻った」

 

その形相は、まさに復讐に燃える悪鬼と言える

 

ドスの効き過ぎた声が、如何に彼女を恨んでいるかが見て取れる

 

黄祖「劉表様の仇、孫呉の将共は一人たりとも生かしてはおかん、まずは孫策、貴様からだ」

 

再び弓に矢を番え、雪蓮を睨みつける

 

しかし

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

その前に一刀が立ちふさがった

 

黄祖「邪魔建てするか、天の御遣い」

 

一刀「俺の事を知っているんですか?」

 

黄祖「先刻荊州に同盟を結ぶために訪れたことも知っておるわ」

 

一刀「そこまで知っているなら話は速いです・・・・・黄祖さん、ここは武器を収めてくださいませんか?」

 

黄祖「話に効いた通り、平和主義者を気取った日和見か」

 

一刀「こんなことをしてもなにも意味なんてありません、孫呉を全滅させたところで、劉表様が帰ってくるわけでもないんですよ」

 

黄祖「知れたこと、例え我が主が帰ってこずとも、我の気は晴れるのだ」

 

一刀「気を晴らした後はどうするんですか?」

 

黄祖「当然、荊州全兵力をもって、孫呉の地を焼き払ってくれるわ」

 

一刀「それでは、あなたの気が晴れることは永遠に無いということでしょう、違いますか?」

 

黄祖「・・・・・・・・・・」

 

一刀「そうして戦いに明け暮れて、今度はあなた自身が恨まれる立場になることは、容易く想像できるでしょう」

 

黄祖「あの戦は、先に孫呉が仕掛けてきたのだ、これはその報復だ、やられっ放しでいられるか!」

 

一刀「そんなものは関係ありません、戦をしている以上お互いに犠牲者が出ているのです、貴方がやろうとしているのは、関係の無い第三者を巻き込んだ無差別殺人です」

 

黄祖「・・・・・なればどうすればいいというのだ!!?この行き場のない怒り、いったい何処にぶつければいいというのだ!!?」

 

更に険しい形相となり、握り締めた弓が折れそうなほど軋む

 

しかし、先ほどは怒りしかなかったその形相に悲しみが入り混じっているのを一刀は見逃さなかった

 

一刀「ならば、自分に協力していただけませんか?」

 

黄祖「なん、だと?」

 

思いもしていなかった提案に黄祖は目を見開く

 

一刀「今はそんな有様になってしまっていますけど、あなたはかつて為政者の一人だったのでしょう、であればもう一度やり直すことは可能です」

 

黄祖「・・・・・・・・・・」

 

一刀「自分は戦争をするような輩は認めていませんが、貴方方の為政者としての能力は高く評価しています、自分に協力していただければ、きっと復讐以外の道を貴方に提示できます」

 

黄祖「・・・・・・・・・・」

 

この言葉に、黄祖は思い悩む

 

これまで自分は、只々孫呉に報復することのみを考えてきた

 

それをこの男は完全否定したのだ

 

それと同時に、自分の中の言いようのない悲しみも見抜いている

 

復讐以外の道

 

この男は、自分に生きる意味と生き甲斐を提示しようとしている

 

黄祖「わ、私は・・・・・」

 

差し出された彼の手に無意識に手が伸びる

 

僅かではあるが、そこにこれからの希望を見い出せる、そんな気がした

 

だが

 

雪蓮「黄祖、覚悟!!!」

 

黄祖「!!!??」

 

いきなり雪蓮が持参していた剣を黄祖に振り下ろした

 

一刀「おい!!!」

 

そして、その白刃を一刀が白刃取りで防いだ

 

一刀「人が話しているのに、なにをするんだ!!」

 

雪蓮「こいつは危険人物よ、生かしておけないわ!!」

 

白刃取りされた剣を引き抜こうとするが、がっちりと掴まれびくともしなかった

 

黄祖「そらみろ、これが孫呉の本性だ!!」

 

雪蓮「暗殺しようとした貴方に言われたくないわよ!!」

 

冥琳「そうだ!!貴様のような輩はここで討ち取り、後顧の憂いを断つ!!」

 

一刀「よせ、止めろ!!」

 

再び放たれた黄祖の矢をはたき落とすが、黄祖は用意していた馬に跨り叫んだ

 

黄祖「やはり貴様らとは相容れん!!!いつか必ずそのそっ首をたたき落とし塩漬けにしてくれるわ!!!」

 

そして、黄祖は更なる復讐心を滾らせ去っていった

 

雪蓮「・・・・・もう、何で止めたのよ!!?」

 

一刀「何もかも台無しにしといて言う台詞がそれか!!」

 

冥琳「やってくれたな、これで私達はおちおち一人で街を歩くことも出来なくなったぞ」

 

雪蓮「そうよ、あなたは私たち孫呉の重鎮を危険に晒したのよ!!」

 

一刀「そう仕立て上げた張本人が何を言う!!?」

 

そして、白刃取りした剣を握力のみでへし折り、折った刃を地面に叩き付けた

 

一刀「あんたが余計な事をしなければ、説得出来ていたんだ!!」

 

雪蓮「そんなもの信用出来るわけないわよ!!」

 

冥琳「そうだな、仮に説得出来ていたとしても、いつ心変わりをして再び我らを狙うかもしれん、人の心というものは移ろい易いからな」

 

一刀「そうさせないために、俺があの人を保護しようとしたんだ!!なのに話の腰を折りやがって、自業自得だ!!」

 

雪蓮「そう、自業自得ね・・・・・なら、あなたの行いによって同盟が破断しても、これも自業自得ということね」

 

一刀「なんだと・・・・・」

 

この滅茶苦茶な理屈に、流石に一刀も憤りを隠せなかった

 

一刀「話を挿げ替えるな!!自分の失敗を同盟と結びつけるなんて、どうかしているぞ!!」

 

雪蓮「どうかしているのはどっちなのかしらね?」

 

冥琳「ああ、まるで生まれたての赤子のような物言いだ」

 

一刀「はぁ?赤子だって?」

 

どっちがだと思うところであるが、更に冥琳はまくし立ててきた

 

冥琳「お前は、自分のしていることが矛盾していないと思っている様だが、本当にそうだと言い切れるのか?」

 

一刀「なんだって?」

 

冥琳「戦いは戦いしか生みださない、むしろ平和を遠ざける、よって戦いをする理由そのものを消し去ればいい、その為の漢王朝の正常化・・・・・ふむ、一見すると矛盾が無いように見えるな・・・・・だがな、戦争を回避する行為もまた戦いだということをお前は分かっているのか?」

 

一刀「は?」

 

冥琳「お前のやっていることも、また一つの業だということだ、平和という業を後の世代に押し付けるな」

 

一刀「何を言っているんだ!?それを業だなんていうんなら、あんたらに為政者を名乗る資格なんてない!このままあなた達が戦い続ければ、確実に次の世代が戦いの業に苦しむことになるんだ!」

 

雪蓮「そうね、どこもかしこも戦だらけ・・・・・まさにお祭騒ぎね♪」

 

一刀「戦争を祭だと・・・・・あまりに狂った物言いだ・・・・・」

 

雪蓮「それも一興よ、大丈夫あなたが何かをしてくれなくても案外やっていけるわよ・・・・・頑張れ人間!よ♪」

 

一刀「人をなんだと思っているんだ・・・・・そんな野蛮な感情を鎮め、己の罪業を悔い改め、理による秩序を生み出すべきだ!」

 

雪蓮「あなたの理想は、退屈過ぎるわよ」

 

一刀「清浄な世界だ!」

 

冥琳「造花の箱庭だな、見てくれだけの紛い物だ」

 

一刀「俺が作りたいのは、正しい理と秩序だ!」

 

雪蓮「歪んだ理よ!」

 

そして、雪蓮も一刀の目指すものを完全否定した

 

雪蓮「花が枯れなければ幸せなの?狼が草を食べればそれで満足なの?・・・・・気色悪いわよ!!そんな世界を願うあなたも、それに囲われて満足する奴らもね!!毒虫だって自分が食べたいものを食べるし、名もなき花だって咲きたい場所に咲くわよ!!あなたにとっては野蛮なものに見えても、決して譲れない生きる証があるのよ!!それを悪だというのなら、私は悪として生きて胸を張って死んでやるわよ!!」

 

冥琳「・・・・・・・・・・」

 

一刀「つまりあなたは、山賊や水賊、その他あらゆる無法者は野に蔓延り、好き勝手暴れても良いと言うんですね」

 

雪蓮「そうね、そう解釈してくれて構わないわ・・・・・あなたの目指す歪んだ理より、さっきの黄祖の行いの方がまだ理解できるし納得できるわよ」

 

一刀「・・・・・分かりました、やはりあなた達は為政者を名乗る資格はないようですね」

 

そして、一刀は北斗に跨り雪蓮と冥琳を見下ろし一言言い放った

 

一刀「俺は必ず、正しい理をこの世にもたらして見せる」

 

決意を胸に、一刀は先に建業への帰路へと付くのだった

 

冥琳「まったく、お前の言い分は、人間は理性も何もない獣の如く生きればそれでいい、とでも言っているかのようだぞ」

 

雪蓮「分かっているわよ、自分が支離滅裂で滅茶苦茶で矛盾だらけな事しか言っていないのは・・・・・でもそうでも言ってないとやってられないのよ、私達為政者はそういった相反する矛盾と常に付き合っていかないといけないんだから」

 

冥琳「・・・・・そうだな、これも国を背負う者のさだめというものだな」

 

雪蓮「もちろん、彼の言いたいことは痛いほどよく分かるわ、戦が野蛮なものだということも、平和がどれだけ尊いものかということも・・・・・それでも私達は戦をしなければならないし、平和を壊さなければならない・・・・・これが運命というものよ」

 

冥琳「ああ、天が運命を導くなら、その運命に逆らってでも成さねばならないことがある・・・・・愚かしいがそれが人間らしさというものだ」

 

そして、二人も帰路につく

 

一刀の後を追う形で建業へ戻ろうとするが、そこで雪蓮が気付いた

 

雪蓮「ん〜〜〜、でも・・・・・冥琳の言い分だと、一番人間らしいのは彼ということにならない?」

 

冥琳「ん?」

 

雪蓮「だってそうでしょ、運命に逆らうことが人間らしさだって言うなら、その運命に最も逆らっているのは彼なんだから、彼こそが私達の誰よりも人間らしいということになるわよ」

 

冥琳「それは・・・・・・・・・・御尤もとしか言いようがないな」

 

雪蓮「そんな一番人間らしい彼を、私たち人間自身が否定している・・・・・ほ〜〜〜んと、滑稽よねぇ〜〜・・・・・」

 

冥琳「・・・・・ぐうの音も出んな」

 

やはり、人間というのは矛盾から逃れられない生き物なのだ

 

どれだけ振り払っても、どれだけ否定しても、まるで蜘蛛の糸のように絡み付き纏わり付いてくる矛盾

 

果たして人間が矛盾という名の束縛から解放される日は、やってくるのであろうか

 

雪蓮と冥琳は人間の果ての見えない業の深さというものを、改めて認識するのだった

説明
揚州拠点・パート2
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コメント
「理由がわかったら憎しみが薄れる」……『蒼穹のファフナーEXODUS』でのとある敵のセリフですが、1期から登場していて散々視聴者からのヘイトを集めていた(擁護する意見も有り)キャラの過去や内面といったものが、先の台詞が出たのと同じ放送回で掘り下げられ、視聴者の視点でそれが実証されるという出来事がありました。いずれ一刀の過去や内面が明らかにされた時、我々は何を目にするのでしょうか。(Jack Tlam)
有名なアニメ銀○英雄伝説のヤン提督は戦う前に兵士たちにかかってるのはたかが国家の存亡だと言ってます 個人の自由と権利に比べればたいした価値のあるものじゃないと言ってます 人があっての国家。人が自分の意思で楽しく好きに生きることが罪なのか、犯罪を犯さなければよいのだが日本は平和と秩序の守っているが国内の犯罪は決して無くなってない (戦記好きな視聴者)
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