スマブラ Stern des Lichts 第33話 〜 自然王ナチュレ
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 ダックハントを救出した一行は、霧の森にあるもう一つの波導の在処を探した。

「ばうばう?」

「波導はまだ遠い。じっくりと進むぞ」

「わぉん!」

 一行は辺りを見渡し、霧に気を付けながら霧の森の中を進んでいく。

 視界が悪くなっているので、音を頼りにしながら転ばないようにした。

 しばらく歩くと、南東から音楽が聞こえてきて、ドンキーコングはすぐに身構える。

 一行が音楽が聞こえた場所に行くと、楽器に目がついたような外見のスピリッツがいた。

「ドンキー、どうしたんだい?」

「こいつはティキ族といって、音楽で動物を催眠状態にして操る奴だ」

「なるほど……要するにキーラみたいな敵なんだね」

 操る者を操るなんて皮肉だね、とマルスは呟いた。

「こいつはオレがやっつける、だから下がってろ」

「うん」

 ドンキーはぐるぐると腕を振り、ティキ族のスピリッツと戦った。

 

「よーし、勝ったぜ!」

「大人しくしなさいね」

 ベルがティキ族のスピリッツをスピリッツボールの中に入れる。

 ちなみにベルは、ティキ族をいずれバンドのメンバーにするつもりらしい。

 もちろん、奏でる音楽は無害なものである。

「じゃ、次はどこかしら?」

「わんわん、ばうばう!」

 先に行こうとすると、ダックハントが嗅覚で何かを探知したのか、西の方を向いていた。

 霧が立ち込めていても、犬の嗅覚までは誤魔化せないようだ。

「お、ハントは霧に強いんだね」

「犬の嗅覚は人間より遥かに上なのよ。よしよし」

「あぉーん!」

 ハントはベルに撫でられて座り、尻尾を振った。

 

(こんな生意気な動物に懐かれるとはな)

(ちょっと不思議だよね)

 

「わんわん! わんわん! わんわん!」

 一行がハントの後を追って北に走ると、ハントは遺跡の目の前で吠えていた。

「こんなところに遺跡があるなんてな」

「入ってみたいですね〜」

「オット、ファイターハオコトワリデスヨ」

 ファルコンとヨッシーが遺跡を見ていると、遺跡の中から誰かが出てきた。

 それは、目が赤く染まっているピンク色のキノコ族の女の子だった。

「ココハスピリッツセンヨウノイセキデス。ナカニハワナヤオタカラガタクサン!

 イマナラキーラサマノオカゲデ、ハジメテナノニナツカシイ、ソンナワナニデアエマス」

 キノピコが遺跡について話すと、マルスの眉がピクリと動いた。

 彼女の「キーラサマ」という発言に引っかかったようだ。

「あの、キーラ様っていうのは……」

「キーラサマデスカ?

 アタラシイセカイヲツクッテクダサリマス」

「……」

 マルスはゆっくりとファルシオンを抜き、操られたキノピコに向かってこう言った。

「……ちょっと、大人しくしてくれないかな?」

 

「あ、あれ? ここは一体どこでしょうか?」

 マルスに敗れたキノピコは、キーラの支配から解放されて目が元に戻る。

「ここは霧の森だよ。君は遺跡にずっといたんじゃないのかい?」

「そ、そうでしたか! ありがとうございました! 申し遅れました、わたしはキノピコです。

 ここの遺跡には色んなお宝があります! スピリッツ達の調子次第でどんなお宝が来るのかはお楽しみ! どうですか?」

「あ、ごめんネ。今は遺跡探索はしないヨ。キーラが悪さをしてるからネ」

「そうですか、残念です……。でも、わたしはいつでも待ってます」

 キノピコを救出した事で、スピリッツ達は遺跡探索ができるようになった。

 が、今はそれを利用している余裕はない。

「それでは皆さん、頑張ってくださいね!」

「さようなら〜!」

 一行はキノピコがいる遺跡を後にし、霧の森のスピリッツ解放を再開した。

 まず、西に行ってサライムシを解放し、次に南に行って出会ったのはレジェンド級スピリッツ、自然王ナチュレだった。

 彼女はアイシャのボディに宿っているが、体格は子供くらいまでに縮んでいた。

「あら、あんたはナチュレ?」

「む? 其方は死神じゃな! ハデスの手先め、覚悟せい!」

 ベルがナチュレに明るく話しかけると、ナチュレはベルにいきなり光を放った。

「きゃああ! な、何するのよ!」

「言われなくとも妾には御見通しじゃ。其方は冥府軍の一員である死神であろう?」

「違うわよ! 私は冥府軍には入ってないわ!」

 ベルは今のナチュレの様子を見て、彼女はキーラには完全に支配されていないが理性が奪われていると察した。

 気になったリンクはベルに声をかける。

「おいおい、何がどうなっているんだ?」

「リンク、あのね、ナチュレは今の私を敵だと思っているみたい。とりあえず大人しくさせないといけないわ」

「よし、そういう事なら、俺も手伝うぜ!」

 リンクは右手に剣、左手に盾を構え、ナチュレを大人しくさせるために戦った。

(あれ? リンクって右利きだったかしら? まぁ、いいわ。一緒に戦いましょう)

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「どうした? 其方の攻撃は妾には届かんぞ?」

 流石はレジェンド級スピリッツだけあり、ナチュレはリンクとベルの攻撃をひょいひょいとかわしていた。

 リンクは歯を食いしばり、何とかナチュレの隙を伺おうとする。

「やっ!」

「ほいっと……?」

「そら!」

 ベルがフェイントをかけ、その隙にリンクがマスターソードでナチュレを斬りつける。

 聖なる光が邪悪なる光を打ち砕き、ナチュレに大きなダメージを与えた。

 かなりのダメージを食らったナチュレは怒りに震えて杖を構えこう叫んだ。

「絶対に許さんぞ虫ケラども! じわじわと嬲り殺しにしてくれる!!」

「うわ……何だ、あの迫力」

「伊達に自然王を名乗っていないわね」

「いつまでも進歩の無いサルどもめ! 滅するがいいわ!!」

 そう言ってナチュレは天から樹がついた巨大な爆弾を召喚する。

 見た事のない爆弾にリンクは目を開く。

「な、なんだこれは?」

「これは初期化爆弾という環境に優しい爆弾じゃ。其方達は決してこの爆弾からは逃れられぬ! 全てよ、自然に還るがいい!!」

「そうはいかないわ! 早く止めるわよ!」

「おう!」

 リンクとベルは、初期化爆弾が投下される前にナチュレを倒そうと斬りかかる。

 彼女は時間稼ぎのため、自然の力を使い二人の攻撃を防御した。

「自然を汚すものには容赦はせぬ! この大地諸共、自然に還れ!!」

「やなこった!」

「大人しくしなさい!」

 ベルの大鎌がナチュレを一閃し、続けてリンクのマスターソードが一閃する。

「ぬうう……死神と人間如きが、生意気な!」

「それは俺達も同じだ。キーラのせいで頭がおかしくなってるお前を、少し大人しくさせるために勝つぜ。

 それに俺は、人間じゃなくてハイリア人だから」

 ナチュレは初期化爆弾の落下速度を速め、無理矢理浄化しようとした。

 しかし、ベルはこれこそがチャンスと睨む。

「ナチュレは焦っているわ、一気に攻めるわよ」

「ああ」

 リンクはブーメランを投げてナチュレを怯ませる。

 ナチュレは焦っていたため、避けられずにダメージを受けてしまう。

 ベルはその間にスマッシュ攻撃を溜め、ナチュレにとどめを刺す準備に入った。

「!?」

「とどめよ! ダウンリーパー!」

「ああああああああああああああ!!」

 そして、ベルの大鎌がアイシャのボディごとナチュレを真っ二つにし、彼女のスピリッツを解放するのだった。

 

『……すまなかったな。妾がもう少し落ち着いていれば……』

「いいのよ、もう過ぎた事だし」

 ナチュレは、スピリッツボールの中で先程の出来事をベルに謝っていた。

 彼女はキーラに理性を奪われていた時の事をはっきり覚えている数少ない人物なのだ。

『それにしても、あのキーラという奴、妾を利用するとは愚かしい』

「あんた以外も利用されているわよ。それにしても、役に立つスピリットっているのかしらね?」

『妾はこの冒険で役に立つと自負しておるぞ。何しろ、妾は自然王じゃからな。自然に関する障害があれば妾に任せるがよい』

「うふふ、楽しみにしてるわよ!」

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「ただいまー」

「お帰り。波導の場所が分かったぞ」

 帰ってきたベルとリンクを待っていたのは、二つ目の波導の在処を見つけたルカリオだった。

「ルカリオ、二つ目の波導が見つかったの?」

「ああ。私についてこい」

 一行はルカリオの案内で北西に行ってゼルネアス、一旦東に戻ってヌケニンを解放する。

 ヌケニンは弱点以外の攻撃が通用しないので、マリオがファイアボールで焼き払った。

 行ったり来たりしているので、パックマンはルカリオに疑問の感情を抱く。

「ポケモンのスピリッツを解放してるケド、本当にこの辺に波導は近いノ?」

「ああ……間違いない」

 タルミナのケポラ・ゲボラとアースボーンドのダスターの解放をしながら、一行はルカリオが歩いた道を通っていく。

 また、ハントも嗅覚を頼りにルカリオのサポートをしていった。

 そして、一行がしばらく歩いていくと、紫の服を着た少女、力士のような姿の生物、

 そして緑の爬虫類のような姿をしたポケモンの瞳が赤く光っていた。

「ルカリオさん、ビンゴです! 彼はジュカインさんですよ!」

「……やはりそうだったな」

 アイシャはジュカインの事を知っているのか、喜びの声を上げている。

「知ってるノ?」

「は、はい……わたしが最後にテンポラリーファイターパスをあげた人、じゃなくてポケモンなんです」

 このジュカインというポケモンは、非公認だが一応ファイターだ。

 メタ的な事を言うと、某呟きSNSのアンケート結果を採用したものだ。

「ウウウウウ……コロシテヤル、コロシテヤル……」

 キーラに操られたジュカインは、うわごとのように殺意を吐いている。

 このまま放置すれば、霧の森にいる生き物が全滅してしまうだろう。

 ジュカインを止めるため、マルスは剣を、フォックスはブラスターを、ランスは槍を、

 シャドウは拳銃を、ロックマンはロックバスターを構えた。

 すると、プリンがとことこと歩いてフォックス達の前に出た。

「プ、プリンもやるでしゅ!」

「大丈夫なのか? プリン」

「だいじょうぶでしゅ! ジュカインしゃんはかならずプリンがたすけるでしゅ!」

 プリンは自信満々にそう言った。

 フォックスは頷いて、プリンを戦闘に参加させた。

 

「コロシテヤル……コロシテヤル!」

「待っててね、ジュカイン。僕は君達の仲間だよ」

「まったく、非公認ファイター同士で戦うとはな」

「非公認とか公認とか言ってる場合じゃない。お前は必ず、俺達が解放する!」

「こわいけど……がんばるでしゅ!」

「ボクは大王様のためにも、絶対に勝つ!」

「……まずは、相手の出方を伺わなくちゃね」

 シャドウ、マルス、フォックス、ランス、ロックマン、プリンと、

 操られたジュカインとスピリッツとの戦いが今、始まろうとしていた。

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 〜ベルのスピリッツ名鑑〜

 

 ティキ族

 出身世界:DKアイランド

 性別:なし

 火山の噴火から現れた、楽器に魂が宿った種族。

 音楽を奏でて動物を操る能力を持っている。

 

 キノピコ

 出身世界:キノコワールド

 性別:女性

 おさげを付けたキノコ族の女の子。

 かつては脇役の中の脇役だったが、ある時期から人間の欲望で急激に出番が増える。

 最近ではスーパークラウンを被ってキノピーチに変身できるようになった。

 

 サライムシ

 出身世界:とある星

 性別:不明

 ピクミンを見つけると掴んで攫っていく原生生物。

 飛行方法は羽ではなく触角。重いものは持てない。

 

 ナチュレ

 出身世界:天空界

 性別:女性

 自然を司る女神で、自然軍のリーダー。

 人間が自然を汚す事に怒りを感じており、初期化爆弾で文明をリセットしようとする。

 ちなみに、自然の女神だけあってゴミは15種類に分ける、エコバッグを持参する、など環境にとても優しい。

 

 ゼルネアス

 出身世界:ゲフリアース

 性別:不明

 カロス地方の伝説のポケモンでせいめいポケモン。

 フェアリータイプで、特性はフェアリーオーラ。

 永遠の命を分け与えると言われており、樹木の姿で1000年眠り復活する。

 

 ヌケニン

 出身世界:ゲフリアース

 性別:不明

 ツチニンがテッカニンに進化し、ある条件を満たすといつの間にか手持ちに入っている、ぬけがらポケモン。

 むし・ゴーストタイプで、特性はふしぎなまもり。

 抜け殻が魂を宿し、背中の隙間から覗き込むと魂を吸われてしまうらしい。

 

 ケポラ・ゲボラ

 出身世界:タルミナ

 性別:不明

 タルミナでリンクを導く謎のフクロウ。

 破滅の運命にあるタルミナを救う者を待ち望み、その者であるリンクに「大翼の歌」を授ける。

 

 ダスター

 出身世界:アースボーンド

 性別:男性

 クマトラの家臣で、何も盗まないドロボーの男。

 怪我により、左足が不自由になっている。

 ロイドやジェフ同様にPSIは使えないが、ドロボーグッズや足技を使って戦う。

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