真・恋姫†無双〜三国統一☆ハーレム√演義〜 #11 第三次五胡戦争/開戦と喪失
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同盟締結一周年祭典は、慌しくも楽しく賑やかに過ぎていった。

 

最終日の夜に催された大宴会では、様々な感情が錯綜していた。

そんな中、愛紗は星の言葉の真意を掴み、ようやっと心の迷路から脱したのだった。

 

一刀もまた、彼女達の想いを理解した上で、大陸の平和を求めて思索を続ける。

 

 

しかし、世界の“外”から『天の御遣い』たる北郷一刀を狙う策謀が巡らされていたのだ――

 

 

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三国同盟締結一周年の三国会談、及びその祭典は恙(つつが)無く終了。

各国首脳は各々の国許へと帰参していった。

 

魏呉とも、一刀との深い進展がなかった以上、また一刀へのアプローチ合戦が始まるのだろう。

繰り広げられるであろう策謀の応酬を誰もが想像していた。

 

本格的な夏が訪れようとしていた、その頃。

 

そんな三国を尻目に大敵が動き出していたとは露知らず……

 

 

 

/蜀都・成都

 

三国会談の後片付けも済み、蜀メンバーは慌しく内政に取り掛かっていた。

 

三国でも人材に乏しい……正確には、上層部は極めて優秀ながら、実働機関との中間層の人材がまだまだ育成出来ていない蜀は、どうしても三国会談前後が慌しくなりがちだった。

その候補生として見込まれた者たちは、現在詠や音々音などから実地で厳しい指導を受けている。

その分、政務担当の朱里や雛里、そして一刀と桃香への負担は大きくなる訳だが、長期的に見れば、これは人材育成の為の投資期間という訳だった。

 

そんな訳で、今日も今日とて書類に目を通す一刀である。

 

 

「うえ!? これ、こんなに予算食うのか……厳しいなぁ」

「はい。しかし、山を掘るとなると、どうしても人手が要りますし……。何より安全対策は必須です」

「だよなぁ。鉄鋼製品を作るのに、あんまり森林伐採したくないんだよね……土砂崩れの元だし」

 

当時の鉄鋼製品、特に鋼を作る工程において、主に使われたのは木炭である。当時の中国では、その為に相当な森林伐採が行われていたという。特に鉄の専売制度を布(し)いていた蜀では、それも顕著であったであろう。

しかし一説には、その森林伐採が、以後の歴史上の大規模河川氾濫などの原因になったとも言われている。

 

ということで、一刀は当時はまだ小規模にしか使われていなかった『石炭』に目をつけた。炭鉱を掘り当て、その高い火力で鉄を鍛えたのである。これにより、より錬度の高い鉄鋼製品の製造にも成功している。

 

ところが、そもそも炭鉱を掘り当てるのに予算を食うこと食うこと。炭鉱には特有の事故も多く、リスクは森林伐採など比較にならない。

故に何かと頭の痛い一刀なのである。

 

「うーん……秋の収穫期を待って、予算を組み直すか……」

「……それが無難かも知れません。伐採禁止中の森林から、一部に伐採許可を戴くことになりますけど」

「仕方ないよなぁ……」

 

一刀と朱里がああだこうだと議論を重ねていると、政務室にノックの音。

 

「失礼致します。軍部より、今後の予定及び予算案を提出に参りました」

「ああ、愛紗。お疲れ様」

「いえ。当然の務めなれば」

 

入室し柔らかい笑みを浮かべる愛紗に、一刀と、その隣で書類に忙殺されていた桃香が、ほうと息を漏らした。

 

「な、なにか?」

「いや〜、三国会談の後からかな? 愛紗が柔らかくなったなあって。なあ、桃香」

「うん! 何か悩み事が解決したのかな?」

「うふふ♪ 色々あったんですよ、愛紗さんも」

「し、朱里!?」

「えぇ〜、朱里ちゃんは何か知ってるの? ずるーい!私にも教えて〜♪」

「俺も、是非とも聞きたいな〜♪」

「な、何でもございません! 単に初心を思い出しただけです!」

「初心?」

 

そう聞き返す一刀に、愛紗はじとりとした視線を送りつつ。

 

「ご主人様は、どこまでいっても女性と縁が切れない方だと言うことです!#」

「……薮蛇だったか……」

 

思わず座ったまま身を竦める一刀だったが、愛紗はそこで微笑みを取り戻し、続けた。

 

「……そして、それでも。やはり、私は……貴方様の側にいたいのだと。それを思い出したのです」

「愛紗……そうか。いつも心配やら嫉妬やらばかりさせてゴメンな。でも、愛紗が俺にとって大事な女の子であることは、絶対に変わらないから……」

「ご主人様……////」

 

いつの間にやら席を立ち、愛紗の手を両手で包むように握る一刀。そしてそれを嬉しげに受け入れる愛紗。

二人の距離がだんだんと近付いていき……

 

「「ゴホン!」」

「「はっ!?」」

 

二人の世界に入りかけていた一刀と愛紗は、桃香と朱里の咳払いで現実に帰って来た。

ぱっと互いに離れる。

 

「……何なら席を外しましょうか?ご主人様#」

「大事な女の子は、愛紗ちゃんだけなの、ご主人様?(にっこり)」

 

「は、ははは……」

「うぅ……////」

 

怒りも露に腰に両手を当てる朱里(と言っても可愛らしいばかりで迫力は欠片もなかったが)と、笑顔でからかう桃香。

一刀は乾いた笑いで後頭部を掻き、愛紗は羞恥に俯く。

 

「……なあ、桃香。愛紗。朱里」

 

しかし、不意に一刀が表情を改めた。

 

「俺に付いて来てくれる蜀の娘たちは、全員が大切な存在だ。それは不変と言ってもいい。でも……今、三国同盟は歪み始めているだろう?」

「「「…………」」」

 

三人は沈黙で返した。それは最早、誰も目にも明らかなことだったからだ。

 

「俺は誰も泣かせたくない。我儘で、傲慢で……ある意味では、残酷な考え方だってことは分かってる。それでも、『国』が違うからって、女の子を泣かせてもいい、とはどうしても思えないんだ」

 

一刀は天井を、その上に広がる天を仰ぐように見上げる。

 

「でも、それこそ大切な存在であるみんなの意見を無視して押し通すような真似は……絶対にしたくない。だから、一度全員を揃えて……」

 

バタン!

 

「た、た、た、たいひぇんれしゅ!て、て、て!」

 

大きな音を立てて扉を開け放ち、政務室へ飛び込んで来たのは、目をぐるぐるに回した雛里だった。

 

「ちょ、ちょっと落ち着いてぇ〜!雛里ひゃん!?」

「はいはい、どーどー。ゆっくり深呼吸しような〜?」

 

一緒にパニックになりかけた朱里と、慌てふためく雛里を一緒に抱きしめて、一刀はその背をぽんぽんと叩いてやる。

 

「は、はわわぁ〜////」

「はふぅ〜〜〜〜……////」

 

「で、どうかしたの?」

「あ、あわわ、ご主人様、敵が来ちゃいました!!」

 

一拍。

 

「「「「ええーーーーっ!?」」」」

 

執務室に四人の叫び声が響いた。

 

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/呉都・建業

 

建業の都城、その宮殿の中庭に設置された東屋。

かつての名残で、ここで軍師たちが会議・軍議を行うこともある。

そんな東屋で、孫家の三姉妹が語らっていた。

 

「……はふぅ……」

「雪蓮姉様、昼間から酒ですか……政務はどうされたのですか?」

「……やる気、しなぁい……」

「……だよねぇ〜〜。お姉ちゃんだって、それ空元気なんでしょ?」

「そ、そんなことは……」

 

そう反論する蓮華であったが、小蓮の指摘が図星であるのは明らかだった。

 

 

こんな状況にあるのは、孫家の三姉妹だけではない。

今回の三国会談に参加した呉の武将・軍師は、ほぼ全員がこんな有様であった。例外は(少なくとも表面上は、であるが)冥琳くらいだ。

 

穏は、冥琳と共に政務に当たっているが、注意力散漫というか、小さなミスを連発しているらしい。

 

亞莎は、溜息の回数が三国会談の前後で幾倍にも増えた。ついでに所持している写真の枚数も増えたらしい。冥琳、穏の補助がその役目であるが、明らかに効率が落ちていた。

 

明命は任務に没頭し過ぎる傾向が出ていた。見張りとなれば、丸一日微動だにせず、食事も摂らない。それどころか、任務完了時間すら把握出来ない始末。この間は朝から次の日の朝まで城壁で見張り続けていたという。

 

祭は明らかに飲酒量が増えた。冥琳が雪蓮のフォローで政務に忙しいのをいいことに、毎日どこかで昼間から呑んだくれている。

 

思春も、表面上はそう変わらないが、蓮華の消沈が気に掛かるのか、或いは別の理由か。ちょっとしたことでぴりぴりした雰囲気を纏うようになり、少々神経質気味だった。

 

 

「……そういえば……私、一刀と街回れなかったなぁ〜……」

「半分は自業自得だと思いますけど……」

 

雪蓮は、祭典二日目の『天下一品武道会』にこっそり参加していたことが冥琳にばれて、鞭打ちの刑に処され、二日目と三日目は身動きが取れなかったのだ。

 

「そもそも一刀が時間の融通利いたのって、六日目と七日目だけだったんでしょ?」

「うん。そう言ってたよ」

「じゃあ関係ないじゃない。二人は一刀と街を回ったんでしょう?……いいなぁ〜……」

「わ、私は……明命や風と一緒でしたし……」

「シャオはちょっとだけだけど、二人きりでも回れたよ〜!……散々嫉妬もさせられたけど#」

「「…………」」

 

ともかく一刀が自由時間を一人で過ごすことは、ほぼなかった。誘おうと思えば必ず誰かが隣にいるし、たとえ最初に誘えても、後から後から付いて来る女性は増えていくのだ。

 

(私も……風にお願いして、無理に付いて行った側だものね……)

 

蓮華は無意識に溜息を吐いていた。

 

 

「んっんっんっ……ぷはぁ……。そう言えば、私もコレ貰ったけど……」

 

と空になった杯を掲げる。雪蓮が持っているのは、一刀が雪蓮へ贈った陶器の杯だった。

 

「小蓮も何か貰ったって言ってなかったっけ? アレ、どうしたの?」

「う……。『おるごーる』っていう、自動演奏の絡繰りを貰ったんだけど……」

「どうしたの、小蓮?」

 

普段の小蓮なら、一刀からの贈り物があれば、見せびらかす様に彼方此方へ持ち歩いただろう。

しかし、小蓮は姉二人の言葉に、口を尖らせる。

 

「アレの音楽って、ちょっと物悲しげだから……聴いてると、もっと寂しくなっちゃうんだもん……」

「「…………」」

 

祭典の最後、恒例の大宴会の後で二人も小蓮からオルゴールの音色は聴かせて貰っていた。

確かにあの甲高い音が奏でる旋律は、どこか物悲しさを孕んでいる。

曲がどうこう、ではなく。あの金属が弾かれる澄んだ音が、人の心に響くからだろうか……。

 

「だから……聴いてて泣きたくなるから、最近は聴いてないの……」

「そう……」

 

掛ける言葉が見つからず、一言そう言った蓮華もまた、無意識に自身の右耳に手を遣り、一刀に貰った蒼玉のあしらわれた耳飾りを弄んでいた。

 

「……ねえ、姉様。シャオたちが一刀と結ばれる方法ってないの?」

 

矢も盾も堪らず、小蓮がいよいよ核心を尋ねた。

 

「……冥琳の腹案は聞いてあるし、華琳も同じ意見だったけど……」

「……一刀の長期派遣の件、ですか……」

「それって、長期って言っても……長くて四ヶ月、短ければ三ヶ月なんでしょ?」

「そうね。次の三国会談あたりで協議される可能性もあるけれど……私の中の何かが、“それでいいのか”って言ってる気がするのよね……」

「雪蓮姉様の、勘……ですか」

「そう。でも……“あの”華琳がそこまで考えていながら行動に移していないところを見ると、きっと彼女も悩んでるんじゃないのかしら……」

「“それでいいのか”、ですか……」

 

短くとも三ヶ月の間、一刀が呉に滞在するとなれば(立場など決めなくてはならない事項も多いが)、現状よりは余程、彼の人に侍る機会が増えるのは確かだ。

だが、逆に会えない期間がより長く感じるようになるのではないか……蓮華は、そんな恐怖に近い感情を抱いた。

 

「……せめて、小蓮だけでも――」

「それはイヤ!」

「小蓮?」

 

雪蓮の言葉を遮って、小蓮が異を唱えた。

 

「シャオだけ蜀に行ったって、全然嬉しくないよ! そんなの……単にみんなを見捨ててるだけじゃん!」

「小蓮……優しい娘に育ったわね……」

「……ありがとう、小蓮」

 

雪蓮は嬉しげに微笑み、蓮華が優しく小蓮を抱く。小蓮は目端に涙を浮かべていた。

 

(でも……誰も泣くようなことなく。全員の希望を叶える、そんな夢のような方法が、あるのかしら……?)

 

小蓮を抱きしめつつ、蓮華は天を仰いだ。

まさか正にその時、一刀も同じく天を見上げていようとは、蓮華には知る由もなかったが。

 

「雪蓮様!此方でしたか!」

「蓮華様もご一緒で!」

 

そこへ姿を現したのは、明命と思春だった。

 

「どうした、何事だ!」

 

二人の緊迫した空気を察し、雪蓮が王として問いかける。

 

「はっ!呉領南西部、交州は交趾郡(交州の最西部、現在のベトナム付近)へ敵国が侵攻したとの由!」

「「!?」」

「敵国、だと!?」

 

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座る自分の目の前に、背を向けて立つ一刀。

彼が“天界へと帰る”為に、一歩を踏み出した瞬間。

華琳は、思わず彼の上着の裾を掴んでいた。

 

(何故、進むの!? あなたは……この世界から――)

 

一刀が、上着を引っ張る華琳に気付き、此方を見た。

 

「――帰って、しまう、の……?」

 

華琳の口から零れた言葉に、驚愕し目を見開いた一刀。

彼は大きく息を吐き。何事か呟き。

 

そして。

 

一刀の手が華琳の頬を優しく撫でる。

 

「もう、大丈夫だから……」

 

彼の掌から伝わる体温と、その優しい言葉に、華琳の体から力が抜けていった。

 

「か、ずと……」

「華琳……」

 

そのまま、一刀の顔が華琳へと近付いていき――

 

 

ぽわぽわぽわわ〜〜〜〜ん彡☆

 

 

「…………夢?」

 

華琳は、自身の閨の寝台で目を覚ました。

先だっての三国会談で起きた、管輅による事件のあらましの夢……だった。明らかに最後がおかしかったが。

 

「ふぅ……」

 

華琳は溜息を吐き、いつからか緊張していた身体から力を抜いた。

 

「……ハッ!? い、今――私……////」

 

自身の溜息の意味、その心中を自覚して一人顔を赤らめる華琳。

 

(う、嘘よ!? この私が、あんな……男、に……)

 

そう心内で叫んだ華琳だったが、確かに先の溜息は……期待を裏切られた、失望の溜息だった。

右手の中指で、唇をなぞる。

この指が彼のものだったなら。そう思うと、唇に触れる指の感触が、甘い痺れをもたらすかのようだった。

 

 

……

 

…………

 

 

実はその日、華琳は久々の休日であった。

 

魏は呉蜀と比較すると、圧倒的に人材が豊富だ。その理由は、王たる華琳が人材登用の全権を握っており、出自に関わらず実力のみで人材を配するからである。

呉や蜀は、上層部こそ戦乱時の戦友によって固められているが、それ以下の人材においては、やはり地方の有力者・豪族の意見を無視出来ない。故に、“優秀だから”と言ってそうそうには重用出来ないのである。

 

三国志という戦乱の時代は、とかく武将がクローズアップされがちであるが、実際に政治を行っていたのは名士層……文官を初めとした、元々地位のある知識人層の官吏たちなのである。

呉も蜀も、必要とあれば魏のように出自に拠らない人材登用を強行することに躊躇いはないが、普段は無闇に波を立てぬようにしているのだ。

 

ともかく、そういった背景があり、魏には優秀な人材が多い。故に三国会談が終わり国許に帰参して以来、華琳が溜まった仕事を片付けてしまうと、意外に時間が取れるのだった。

普段ならば、(休めと言う秋蘭や桂花などの忠言を無視して)更に先の予定をこなしたり、様々な書物の編纂、或いは国の発展に益する研究に余念のない華琳である。

 

しかし、今日ばかりはのんびりと過ごしていた。

妙な夢を見て悶々としてしまったせいか、朝から自身を慰めるようなことをしてしまい、すっかりアンニュイな気分であったのだ。

故に華琳は、戦乱時代からのお気に入りである、宮殿内の中庭の木にハンモックを吊るし、寝そべって読書に耽っていた。

 

いや、耽ろうとした。だが、書の内容はちっとも頭に入って来ない。

 

「――ああもう! 全部あいつのせいだわ!」

 

脳裏に浮かぶのは、北郷一刀と、彼に関わりのあった女性と事件ばかり。

魏の人間だけに限ってさえ、ほぼ全員に関連したことが思い出せてしまう。

 

春蘭は、酒宴において泥酔中の“猫”状態で一刀に絡んでいた。あれは春蘭が相当に心を許した相手にのみ行うことを当然華琳は知っていた。

 

秋蘭も、表情こそ冷静であるが。何かと一刀を褒めることがあり、彼に関することに対して肯定的意見が多い。閨で問うてみると、『今この大陸に、あれ以上の男は居ますまい』と言ってのける始末。

 

季衣と流琉は、一刀を兄と称してはいるが、一刀との関わりによって明らかに『女』に目覚めつつある。特に流琉はそれが顕著で、完全に恋する乙女状態であった。

 

霞は、付き合い方こそ同性の友人のようだが、彼女があれ程……甘えん坊のように甘えるのは一刀だけだ。

 

凪は見るからに一刀に惹かれている。一刀を前にした、あの緊張具合や発言を鑑みれば誰でも分かるレベルである。

 

沙和も、新兵訓練法を教わって以来、何かと一刀に絡むようになった。『天界衣装お披露目会』の準備では、天界の意匠を聞きたがっているのも本音ではあったろうが、それこそ実利を兼ねた“彼に会う為”の口実に見えた。

 

真桜は、元々天界の知識に興味津々であった。しかし最近は彼の人柄や、技術者への尊敬を隠さない態度に絆されているように見える。

 

風はあの掴みどころのない性格で、男性と深く親交を深めたことがないと聞いていたが、一刀はそんな風の性質に寧ろ好感を持ったようで、彼女もそんな一刀を気が置けない男性として認識しており、既に恋愛の域に達していると華琳は見ていた。

 

稟は元々が華琳を愛する者の一人であり、一刀に対しても他国の重鎮としての線引きがあったのだが。先の三国会談以後、妙に意識している様だった。聴き出したいところだが、彼女は閨で問い質すという手段が使えない為(問い詰めていると鼻血を出して気絶してしまう)、原因は未だ不明であった。

 

桂花のみは、相変わらず一刀に辛辣である。しかし、一刀もまた相変わらず桂花に話しかけることを止めない。普通あれだけきつく当たる人間は忌避するものだが、一刀は桂花を友人の一人と認識しているようで、全く懲りずに会話している。

 

そして……自分自身。

 

(もし、あいつが夢と同じように迫ってきたら……?)

 

今まで男嫌いで通してきた華琳であったが。

その想像は嫌悪感や忌避感を与えるどころか……彼女に一種の高揚感すらもたらした。

 

(……そう。私は……)

 

 

「華琳様ーー!華琳様、何処におわしますかーー!?」

 

華琳が何事か自身の心に決着をつけんとしたその時。彼女を探して声を上げる春蘭の大声が響いた。

 

「……春蘭。私は此処よ」

「ああ、此方でしたか! 華琳様。詳細は不明ですが、どうやら緊急事態のようです! 急ぎ玉座の間までお願い致します!」

「緊急事態……?」

 

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玉座には華琳。その側には軍師たちが侍っている。

そこへ、一人の傷ついた兵士が、春蘭・秋蘭に連れられて入室して来た。

 

その兵の報告に、桂花は思わず叫ぶ。

 

「鮮卑の襲来ですって!?」

「はっ!鮮卑どもは、我ら匈奴領に侵攻!その数、約五十万!もはや我が王も対抗しきれず、既に落ち延びてございます……!」

 

報告する逃げ延びてきた匈奴の兵士。

桂花は思わず爪を噛んだ。他の軍師達も内心は同様のようだった。

 

「くっ、まさか半年でそこまでの兵力を!?」

「……少々油断しましたかねー……」

「前回は大勝でしたからね。この半年、目が内に向いてしまっていましたか……」

 

無言であった華琳が苦々しく口を開く。

 

「……そうね。内政に集中していたこともあるけれど……」

 

誰もが口にしなかったが、この急襲を予期できなかったのは、前回の第二次五胡戦争の大勝による油断と、なにより諜報よりも別のことに力を注いでいたことが原因であるのは明白だった。

 

魏に限った話ではない。呉も『天の御遣い』北郷一刀を自らの陣営に引き込もうと策謀を巡らせており、蜀はそれに対抗する為に様々な方策を敷いていたのである。

つまり三国が三国とも、自らの内側と同盟国である隣国にばかり目を向けてしまっていたのだった。

 

「奴等には攻め入った五十万以外にも援軍の可能性もある。なにより匈奴兵を吸収してさらに肥大しているでしょう。何にしたところで、この大軍を相手では、魏だけで撃退は難しい。すぐさま蜀、呉へ伝令を出せ!」

 

 

しかし。その時既に他の二国にも侵攻の手は伸びていた。

 

涼州のさらに西方・西域勢力は蜀・益州と魏・涼州に侵攻。鮮卑と連携して攻め込んできた。

南蛮(南中)のさらに南からは、戦象兵などを擁する異民族軍が侵攻を開始。その目標は、蜀・益州南部と呉・交州西部であった。

また、呉では山越と呼ばれる南方部族(ヴェトナム系複合民族)の反乱が勃発していた。

 

三国同盟は、その連携が遅れた為に隣国の状況を知る事が出来ず、互いの伝令が行き違う事態となっていた。

 

 

だが、今の三国を守護するのは戦国乱世を生き抜いた英傑達である。

状況を理解するや、たちまち連携を取り戻す。

 

 

蜀は、敵軍が相当な距離を行軍して来た遠征軍と判断。『南蛮王』孟獲こと美以の率いる南蛮兵が地の利を生かし、後方輜重隊への奇襲を実行して異民族軍を小勢力で撃破。すぐさま呉と連携し、呉領である交州西部への侵攻に対抗した。

 

呉は、その精鋭たる水軍で南方民族を再度平定。また、蜀と挟撃して交州に侵攻した異民族軍を撃退した。

 

魏は、兵数に圧倒的に劣りながらも手堅い防衛力を見せ、蜀・呉の援軍まで持ちこたえた。

 

 

 

ここに至って、戦力はほぼ五分五分となった。兵数はまだ五胡(鮮卑)側が優勢であったが、三国同盟には、前回の戦でその有用性を示した『八陣図』があり、数の不利を覆すのも十分可能な範囲であった。

 

決戦の戦場となるのは、雍州は長安の北東、山中に開けたとある高原一帯。

 

山々の間には大小幾筋もの河川が緩やかに流れており、特に南方には黄河の支流である大きめの河が西から東へと流れていた。

夏季となり雨多く、多少の増水はあるものの、軍略・行軍上問題になる程ではない。

 

また山地故に道狭く、布陣出来る範囲は小さい。その周囲は傾斜の急な山々に囲まれており、騎馬ではとても行軍出来るものではなかった。

総じて『八陣図』を用いる同盟軍に有利な地形であった。

 

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/三国連合軍 軍議天幕

 

決戦を控え、三国同盟の首脳陣が集まっていた。

 

蜀からは一刀、桃香、愛紗、朱里、雛里、音々音(詠は国許の守護として月や麗羽たちと共に成都に残った)。

魏からは華琳、春蘭、秋蘭、桂花、稟、風。

呉からは雪蓮、蓮華、冥琳、穏、亞莎(小蓮は万一に備え、孫家の直系としてこの戦には参加させて貰えなかった)。

これ以外の武将達は既に将兵達の取りまとめに掛かっていた。

 

 

「敵軍の主力は、やはり騎兵のようね」

「ふむ。向こうの陣を見る限り、前回同様で問題ないと見るが……」

「そうですねぇ。寧ろ対策が取られていないことが疑問点ですかねぇ〜」

「……『八陣図』は基本陣形では横撃に脆い点があります。常に伏兵に注意しておきたいです」

「……特に今回は山地が近いでしゅから……あぅ」

「はわわ、気にしないでいいんだよ、雛里ちゃん(汗」

「こほん。そうなると、地形を利用して前曲で『長槍陣』と『大盾陣』を敷き、中軍に騎兵の陣、後曲本陣にその他の陣をを置いて状況を見るのが上策かと」

「は、はい。少々縦長になってしまいますが、この山地なら騎兵は迂回出来ませんし、伏兵にも対応可能だと思います」

「ぐぅ〜」

「寝るんじゃないの!」

「おぉっ。『八陣図』は元々山地戦を想定しての戦術とのことですし。いいんじゃないですかねー」

 

結局、本陣に遊撃戦力を配置し、将軍として紫苑、真桜、思春が配された。中軍には騎馬を率いる将が、それ以外が前曲の配置となった。また、前曲の軍師には風と音々音が任ぜられた。

 

 

 

「「「平和の為に!戦え、兵(つわもの)どもよ!!」」」

 

将軍達の見得切りを合図に、決戦の戦端は開かれた。

 

決戦の兵力は、同盟軍四十万に鮮卑軍六十万。

当初は、軍師達の読み通り三国同盟軍が優勢に戦闘を進めていた。左右の険しい山地に邪魔され、鮮卑の騎馬隊は迂回が出来ず、『八陣図』の中でも対騎兵の陣形である『長槍陣』と真正面からぶつかることとなり、その被害を大きくする一方だった。

 

 

……

 

…………

 

 

数日後。

 

『うおぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜!!!!!!』

 

突如、前曲左右の山地の斜面から、同盟軍の前曲目掛けて、寡少ながら歩兵が奇襲を掛けてきたのだ。

 

「やっぱり伏兵があったか!」

 

一刀の叫びを聞きつつ、冥琳は伏兵の計算を始めていた。

 

(これは不完全ながら十面埋伏の計……しかし、初めから兵を伏せていたなら我らの間諜が気付く筈。となるとこの数日は遠く配置した伏兵を回す時間稼ぎか! 消耗を恐れぬとは、強引に数で押してきたな……!)

 

「華琳!来たわよ!」

「ええ!朱里、桂花!騎兵隊を突撃させよ!」

「華琳殿!奴らの兵数は侮れん。まだ伏兵の可能性はあるぞ!」

 

援護指示を出していた華琳に冥琳が忠告する。

 

「分かっているわ!それぞれ、左曲は翠の隊を。右曲は霞の隊を行かせなさい!」

「ははっ!」

「はわっ、分かりました!」

 

 

「うっしゃー!征ってくるぜぇーー!!」

「ウチも負けとれんな!いくでぇ、野郎共ーー!!」

 

すぐさま二人が率いる騎兵隊が突進し、左右から前曲に襲い掛かる伏兵達を散々に追い散らした。

 

 

しかし、それとほぼ同じくして。

 

「ほ、報告します!」

「どうした!?」

 

本陣へ、伝令兵が飛び込んできた。

 

「後方より、伝書が届きましてございます!それによると……魏領から匈奴兵十万がこちらへ侵攻を開始したと!」

 

「な、なんですって!匈奴が裏切ったの!?」

(さては……最初に鮮卑に打ち負かされて逃げたと報告された匈奴王こそが、そもそも伏兵……!)

 

桂花がヒステリックに叫びながらも五胡側の戦略を考察するが、それも今現在では無意味。

彼女は稟へと目配せを送る。

 

「……本陣の歩兵と弩兵三万と、予備の騎兵三万を回すしかありません。匈奴も優秀な騎兵です。後方の平地戦において歩兵だけの隊では対応しきれません。小規模ながら『八陣図』の布陣が最も適切かと」

 

対して稟は一度頷きを返し、王達へ対応を献策した。

 

「……稟の言う通りね。数の差は……将の質で補うしかない。『八陣図』の練度の高い蜀将が適任でしょう。騎兵を率いる恋と白蓮、蒲公英。歩兵を率いるのを桔梗にお願いするわ」

「はい。軍師として雛里ちゃんに付いて貰えば、どんな状況でも対応出来ると思います」

「……任せるわ」

 

稟の献策を採用し将を配する華琳に、理をもって兵を擁する朱里が助言を申し出る。

華琳はすぐさまその提案を受け入れた。

この臨機応変さ・合理性こそは曹孟徳をして“覇王”たらしめたものだった。

 

「……雛里ちゃん。お願いね」

「うん。……行って来ます」

 

朱里と雛里は両手で握手をし、互いの安全を祈り合う。

 

 

暫しあって。

迅速に兵を纏め上げ、雛里、恋、白蓮、蒲公英、桔梗が本陣から出立した。

 

 

北方――前面の鮮卑は、後方から断続的に援軍が送られており、その攻勢が衰えることはなかった。

同盟軍は、本陣こそ後方へ戦力を分断することとなったが、前曲は伏兵を早期に排除したことで戦力を維持しており、『八陣図』が鮮卑騎馬兵を打ち散らす。

 

そしてそのまま、戦況は膠着していった。

 

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互いに攻め手が弱まり、戦況が膠着状態なっていた、とある深夜。

月明かりが辺りを照らす野原に、騒音と振動が響いた。

 

「夜襲か!?」

 

一刀は自身の天幕を飛び出し、重鎮が集合する軍議用天幕に飛び込んだ。

 

「そうみたい、ご主人様。でも……」

「なーんか報告が要領を得ないのよね……なんでも黒くて巨大な獣が暴れてるとか?」

「今は紫苑と真桜が対応しているわ。侵攻は後方である南から。時間的に考えても友軍が突破されたとは考え難い。方向からすると、川を下ってきたのかも知れないわ」

「何にしても正体不明か。前曲は?」

「既に伝令を出しているわ。おそらくあちらにも夜襲があるでしょう。とはいえ騎馬隊も今は前曲に布陣しているし、あれだけの将がいるのだから心配は要らないわ」

「そうだな。兵数を考えると、やばいのはこっちか」

「後方の裏切りで本陣予備兵力を削られているからな。少々厳しい状況だ」

「獣相手なら、やはり火矢が有効でしょうから。穏の部隊が準備出来次第向かいますぅ〜」

 

と、そのとき。

 

天幕が凄まじい勢いで破られ、巨大な何かが飛び込んできた!

 

『ぱおぉおぉぉぉぉーーーーん!!!』

 

「なんだぁぁぁぁぁ!?……って象かこれ!?」

 

松明の灯りに照らされたのは、金属板であちこちを補強された、灰色肌の巨躯に長い鼻と反り返る牙。

まさしく象だった。しかもその背には人間が数人乗っている。

 

一刀が転げていると、象に乗っていた兵達が一刀を狙い、弓を構えた。が……

兵達は矢を射ることなく、象から落ちた。

 

「――やらせるか!」

 

人間とは思えない程の跳躍力を見せた雪蓮が、象の背に飛び乗り、兵達を一撃のもとに斬り落としたのだ。

しかし騎手がいなくなっても、象が暴れるのを止めなかった為、雪蓮は振り落とされてしまった。

 

「きゃあっ!あ、危な〜」

 

『ぱおぉおぉぉぉぉーーーーん!!!』

 

「思わず跳び乗っちゃったけど、こんな巨大な生物がいるの!?」

「すっごい南西の方の生き物だよ!つーか美以……孟獲の頭にいるじゃん!ちっさいけど!」

「ええー!あれってこんなに大きくなるの!?」

「そういえば、私も南蛮で見たことあるような……?」

 

桃香は南蛮や異民族軍との戦いで、遠めには見たことはあったが、ここまで近付いて見るのは初めてだった。

また、山越の平定へ出陣していた雪蓮は、交州へ侵攻してきた異民族軍とは交戦しておらず、象を見たことがなかった。

 

ともあれ、半月の薄い月明かりしかない中、見たことのない巨大な怪物が攻めてきたという最悪の状況で、三国同盟軍の本陣は崩壊を始めていた。

 

「アホ言ってんじゃないわよ!とにかく戦況を持ち直さないと、このまま壊滅するわよ!」

「くっ!説明してる余裕もないし、とにかく火矢で追い払いつつ、前曲と合流しよう!」

「それしかないな。全軍に知らせろ!前曲まで前進せよ!」

「前曲にも合流の伝令を出しなさい!下手をすれば、前曲ごともっていかれるわ!」

 

(くそっ!まさか南方の戦で使用してた象を、こんな北方にまで輸送してくるなんて……)

 

こうして同盟軍本陣は前方へ撤退を余儀なくされたのだった。

 

 

同盟軍本陣は一言で言って大混乱だった。

 

見たことのない巨大な怪物の侵攻によるインパクトは、兵士達の戦意を挫き、打ち崩すのに十分だった。

本来ならば火を恐れるはずの象は、興奮状態で火矢や松明を恐れず暴れまわる。おそらく象を興奮させる為に、何かしらの薬を使用しているのだろう。

結局、火矢も大した成果を挙げられず、前進撤退中の本陣は、敵軍の追撃を受けていた。

 

個人で尋常でない戦闘力を持つ華琳、雪蓮、冥琳は将兵を集めつつ撤退。

穏は部隊を率いて、紫苑と真桜との合流ができ次第撤退へ。

残ったメンバーはすぐさま撤退を始めた。即時撤退組は追撃分散を狙い、念の為二チームに分かれた。

一刀・桃香・蓮華・思春のチームと、軍師チーム(朱里、桂花、稟、亞莎)である。

この組み分けは、思春と亞莎だけが個人で大きな戦闘力を持つ為だ。

 

 

……

 

…………

 

 

蓮華、桃香、一刀、思春の順で暗い山道をひた走る。

 

「桃香、一刀、急いで!」

「ああ!」「うん!」

 

山地の為、非常に道が悪く、しかも細い。

左手は馬では登る事も出来そうにない急勾配の森、右手は崖になっており、その底からは水の流れる音が聞こえていた。

まして月明かりを遮る森が作り出す暗闇がより恐怖感を煽っていた。

 

「――蓮華様!お急ぎを!追っ手です!」

「!?」

 

思春の警告と同時。蓮華の騎乗していた馬の首に、矢が突き刺さった。

もんどりうって倒れる騎馬。蓮華も山道へ放り出された。

 

「かはっ!!」

 

蓮華は地面に落ちた衝撃で、声も出ない。

果たしてどちらが地面で、どちらが空なのか。それすら分からなくなっていた。

それでも必死に目を凝らすと、一刀と桃香が馬を止めるのが見えた。

 

(駄目!私に構わないで――走って!)

 

だが、やはり声は出ない。

 

「くうっ!蓮華様!」

 

思春の声が遠い。追っ手と交戦しているのだろう。

でも彼女は強い。心配は要らない。だから……

 

ようやく方向を見定め、身体を起こそうとしたとき。

 

蓮華の目に映ったのは……思春と剣を交える兵士の更に先から、月明かりに照らされて銀色に光る、自身を目指して飛来する鏃(やじり)だった。

 

 

 

桃香は馬上から見ていた。見ていることしか出来なかった。

 

落馬した蓮華の傍に馬を止めた自分と一刀。

 

背後からは思春が敵兵と戦う剣戟の音。

 

突然馬から飛び降り、蓮華を突き飛ばした一刀。

 

その肩口に矢が突き刺さり、そのまま崖を滑り落ちていく。

 

 

 

「――ぇぇぇぇぇ……」

 

 

 

一刀の叫び声が崖の先の暗闇に消えていく。

 

(――ご主人様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?)

 

馬上から身を乗り出して手を伸ばすが、そんなものが届く筈も無い。

勢い余ってバランスを崩し、落馬する。

 

受身も取れず、衝撃に咳き込む。

ようやく跪き、顔を上げても。

もう暗闇に彼の人の姿はない。

 

「あ……」

 

ようやく自らの口から出た言葉は其れきり。

 

桃香は、自身の足元が崩れ落ちるのを錯覚していた。

初めて出会って以来、常に傍にあって自分を導いてくれた光が暗闇へ消えてしまった。

意識すら闇に落ちそうになった、そのとき。

 

『――ぇぇぇぇぇ……』

 

耳に残った一刀の叫びが、まるで桃香を導くようにその心を照らし出し、彼女はいつかの日々を思い出していた。

 

-8ページ-

一年前、呉都建業にて開催された第一回目、最初の三国会談。

その二日目から、城の一室には五人の男女が数時間、机を囲むようになった。

 

一人、椅子に座らずに滔々(とうとう)と難しい言葉を語り続ける魏王・華琳。

窓際の椅子に座り、他の四人の様子を見ている呉王・雪蓮。

机につき、特に書物や竹簡を見ないまま、華琳の言に幾度も頷く呉の後継者である蓮華。

 

そして。

 

教科書である書物を前に頭から煙を立ち上らせている、蜀王・桃香と『天の御遣い』北郷一刀である。

 

 

大陸の平和を維持する為三国同盟は締結された訳だが、蜀のトップ二人は他の二国の王と比べると勉強不足は明らか。

ということで、辣腕で知られる華琳を教師として、帝王学の講義中なのだ。

 

なお、雪蓮は「めんどーい」とのことで、補佐教師として偶に助言する程度であった。但し、その言動は“支配者”の何たるかを知る王としての厳粛さに満ちており、彼女が如何に現実を見据える洞察眼に優れているかを如実に表していた。

 

「はぅぅ……難しいよう……」

「この世界に来て何が不思議って、普通に会話出来るのに、文字は読み書き出来なかったことだよな……」

「この程度で音をあげてどうするの。あなた達は国の代表たる王なのよ?」

「「はぁい……」」

 

基本、延々この調子ではあるが。華琳の教え方が上手いのか、桃香と一刀の治世への情熱が強いからか。なんとかかんとかではあるものの、帝王学講義は順調であった。

 

しかし。

 

それは講義の最終日(三国会談の六日目)、桃香が珍しく華琳に反論したことから始まった。

 

 

「それでも、話し合えば、みんなが仲良く出来ると思うんです! 今の蜀のみんなだってそうやって集まったんです!」

 

「けれどそれは、相手を力で打ち倒し、こちらの力を知らしめてからの服従でしょう? 南蛮などは七度も八度も倒さねばならなかったと聞いているけれど?」

 

「そ、それは……」

 

「あなたの理想の弱さは、話し合うことを一番と掲げながら、結局は拳を振り上げることにあるのよ。拳を握ったまま微笑みかけてくる相手を、誰が信じられるというの? いつ殴られるか分からないという疑心暗鬼に駆られたまま従うことが、本当に手を取り合って仲良くするということなの?」

 

「でも、それは曹操さんだって同じじゃあ……」

 

「私は、あなたのように拳を振り上げながら笑顔で近づいたりしなかった。拳を振り上げることを高らかに宣言し、その言葉の通りに拳を振り下ろしてきたわ」

 

「…………」

 

「自分の意思は力で貫き通すしかない。実際一度は赤壁において、あなたは孫呉と共にこの私――曹魏さえ打ち払い、自身の理想を示して見せたのだから。何も恥じることはないのよ?」

 

「うう……でも、でもぉ……」

 

見回してみても、雪蓮も蓮華も明らかに華琳の意見を支持している。

すっかり困窮してしまった桃香は、一刀へ救援要請の視線を送る。

 

「はははっ。桃香も口下手な訳じゃないけど、“支配者”である三人には伝わり難いかもね。俺の方から、桃香が言いたいことをちょっと補足しておくよ」

 

「……言ってご覧なさい」

「私も基本的に曹操の意見に賛成だ。劉備の言は……どこか歪さを感じる」

「曹操の言葉が“支配者”の意見であるのは確かだし、私もその正しさはよく理解出来てるけど。蓮華の言うことも尤もだしね。桃香の、一刀の考えがどんなものなのか、是非教えて欲しいわ」

 

 

華琳としては、ほぼ裸一貫から三国の一を立ち上げ、三国同盟まで締結させた桃香個人を高く評価している。

ただ、彼女の理想論には、王――“支配者”としては相容れない部分が多い。そこを矯正してやりたかったのだ。

 

また、幼少より孫家の姫として教育を受けてきた蓮華も、桃香の意見はどうしても現実的に思えず、また矛盾を含んでいるように感じていた。

 

雪蓮は蜀呉同盟以来の付き合いである桃香の性質――天然さも含めて――を掴みきれてこそいなかったが、彼女にとってその“甘さ”が強みであると同時に弱みであることは理解していた。

 

よって三人とも、『大徳』と謳われる蜀王に常に寄り添ってきた、この男の意見には興味深かった。

 

 

「ああ。まず……蜀の基本方針は二つある」

 

と言って、一刀は指を二本立てて見せた。

 

「一つは、みんなの関係。蜀では桃香を『王』としてるし、俺も『ご主人様』なんて呼ばれてるけど。これは全部形式上のことだけだ。何人かは敬語を使ったりもするけど、基本的に全員『仲間』であって、立場の上下について細かいことを言わない。ま、一部に姉妹とかの明確な上下はあったりするけどね」

 

「……なにそれ?」

 

「これは言葉だけじゃ中々分かって貰えないんだよなぁ。例えば、そうだな……俺に敬語使わない奴はいくらでもいるけど、それを愛紗だって強く注意したりはしないし。ねね――陳宮なんか蹴っ飛ばしてくるくらいだ。それ以外でも、俺が街に行くと言えば、みんなして何かと用事を押し付けてくるし」

 

「しゅ、主人を使い走りにしているということか!?」

 

信じられない、といった表情の蓮華だが、一刀はさらりと続ける。

 

「ついでってことでね。まぁ、そんな感じ。紫苑や桔梗――黄忠や厳顔も、最初は分からなかったみたいだけど、すぐに理解してくれたから。まあウチと深く付き合っていくうちに分かってくると思うよ」

 

「「「…………」」」

 

はっきり言って、上下関係を重視する儒教の道徳観では考えられないことである。

しかし考えてみると、確かに一刀にタメ口で話す将がいること(ましてや降将にすら!)や、自軍の将とも気安いことに気付いた華琳と蓮華。また、雪蓮は川沿いで漁師と話す一刀の姿を思い出していた。

 

(霞は呼び捨てだし。春蘭や桂花の暴力暴言もさらりと流してたわね、そういえば……)

(確かに小蓮や穏とも、友人のように話していたわ。……思春に追いかけられてたのも、そのひとつなのかしら?)

(だからこそ、庶人――“民”ともあんなに深く打ち解けられるのね)

 

また、降将である黄忠に『五虎将軍』の位を授けてもいる。この称号は単純に強さへの賞賛として設置したもので、武将の上下関係を表すものではないが。

 

因みに桔梗や恋も候補で、一刀は別の称号名――『北斗将軍』とか『七剣将軍』――を考えていたのだが。

桔梗は、『わしは飽く迄も武人。紫苑が居らねば、鈴々――張翼徳との一騎討ちにて、討ち死にしておりましたでしょう。故に大した武勲も立ててもおらぬのに、そのような位は戴けませぬ。どうかその位は紫苑めにお与え下され』と、降将であること以外の理由を持ち出され、断られた。

恋は、そもそも称号に興味がない。また、下手に位を得ることで、任務などによって一刀の側から離れることになることを忌避したようだった。よって彼女も単なる一武官の地位を望んだのだ。

 

 

「そして二つ目が、さっき話に出た桃香の『理想』だ。蜀では、それがどれ程現実性に乏しかったり、甘っちょろい戯言だったとしても、これを頭から否定することはしない」

 

「ご主人様は必ず最初に私に『桃香はどうしたい?』って聞いてくれるもんね♪……でも、何気にご主人様も言葉キツくない……?(;_;」

 

「まあまあ。つまり桃香の『理想』は蜀における文字通りの『御旗』、全員の目標なわけだ。だから俺達は、目の前にある現実を、桃香の『理想』に近づけるにはどうしたらいいか、話し合う。必要なら、たとえ相手が敵対している組織や国であったとしてもだ」

 

「……それを『拳を握ったまま微笑みかけてくる』って言っているのよ」

 

「ははっ、正にその通り。曹操は上手いこと言うね。でも……世の中が戦乱だろうと平和だろうと。組織が組織を話し合いに呼び込むには、まず“力”がいる。権力でも武力でも経済力でも何でもいい。相手にとって脅威となる“力”がなくちゃ、相手は話し合いの場に来てさえくれない」

 

「……それは……その通りね」

 

「だから俺達は、入蜀後から積極的に“力”を求めた。桃香の『理想』――話し合いで全てを解決する為に。

 曹操が言った通りなんだ。『握った拳をちらつかせて話し合う』。

 国家間で話し合う、つまり直接武力を行使せずに――誰も傷つけずに外交を行なうにはこれしかない。

 それが俺達の結論だったわけさ。この辺が孫権が感じる矛盾の根じゃないかな?」

 

「……その“力”に屈服し、疑心暗鬼に駆られたまま従う者と、本当に心から仲良くできるとでも?」

 

一刀の理論に華琳が反論するが、一刀は笑って答えた。

 

「最初に言った通りだよ。俺達にとって、味方となった者はみんな『仲間』だ。主人も部下も勝者も敗者も、形式上だけ。話し合いの場を作り続けて、分かって貰えるまで話し合う」

 

「そんな関係……いつか、裏切られるのがオチよ!」

「曹操の言う通りだ! 信頼とはそんな簡単に得られるものではない!!」

 

「そうだね。それは――桃香も分かってるよ。ね?」

 

華琳と蓮華の激しい反論にも、一刀は穏やかな表情を崩さない。

そして振られた桃香は、胸の前で両手を組み、語り始めた。

 

「うん。私は『御旗』。ご主人様がそう言ってくれたことで――確信したの。

 私はみんなに平和への道を“伝える”ことが役目。

 もし私が死んでも、遺志を継いでくれる人を一人でも多く作ることが私の使命。

 たとえ中央の柱が折れても、周りの柱が支えてくれれば、その国は立派にやっていけるんだって!」

 

敵も、裏切るかも知れない者さえも味方へ引き込み、『仲間』としてしまう。

どこまでも『徳』を求心力とし、王一人が背負うのではない、多くの『仲間』が支える国家を目指すこと。

その意思を力強く宣言した桃香。

華琳も、雪蓮も、蓮華も。

黙って彼女を注視していた。

 

「あ、あはは……き、休憩にしよ? わ、私、お茶持ってくるね〜!////」

 

一刀の補助を受けて自身の意見を言葉にし、三人に凝視されることに気恥ずかしさを覚えた桃香は、適当な理由を付けて部屋を出て行った。

 

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部屋を出て行った桃香の後ろ姿、そして閉じられた扉を眺めていた一刀は、おもむろに三人に向き直る。

 

「教えて貰ってる立場なのに、偉そうに言っちゃってごめんな」

「……まあいいわ。同盟を組む相手が何を考えているのか知ることは重要だし」

「正直……理解し辛いところも多々あるがな……」

「そう? 私は如何にも桃香らしいと思ったけどな〜」

 

徹底した合理主義の華琳と、幼少より帝王学を学んだ蓮華は、理解は出来ても納得出来ないこともあるようだった。

同盟以後、何度となく理想を語った桃香を見た雪蓮だけは、今の言葉に別の側面を見ていた。

 

(きっと一刀の助けがあったから、桃香は自身の理想への道筋を見つけることが出来たんでしょうね……)

 

雪蓮は自身が認識する“非情なる現実”に揺らぎこそなかったが、現実から目を逸らさず理想を求める彼女に、一刀の助力の影を見出し、少々羨ましく感じていた。

 

そんな三人へ、一刀は話し出す。

 

「できれば曹操としぇれ……」

 

ギロッ!

 

が、蓮華のギラリとした一瞥に口を噤んだ。

 

当時の蓮華は、尊敬する姉・雪蓮が、このある種胡散臭い男にいきなり真名を許したことに心中穏やかでないらしかった。

雪蓮自身や冥琳がいくら説明しても頑として納得しないので、孫家の長姉は苦笑いするのみだった。

 

一刀は改めて言い直す。

 

「……できれば曹操と孫策、孫権も含めて、この帝王学講座で三人にお願いがあるんだ」

「お願い?」

「ああ。桃香は……実は俺もなんだけど。ごく近しい人間の“死”に触れたことが無い」

「……そうね。蜀の主たる将に死者はいないわね」

「あの娘は、漢王朝の腐敗による混乱に義憤のみで立ち上がった。だから、今でもその心情は“王”というよりは義勇軍の指導者に近い。だから、自身の死は覚悟出来ても……」

 

一刀はそこで一旦言葉を区切り。大きく息を吐いてから、続ける。

 

「もし……もし、近しい人間――特に、俺や愛紗、鈴々に何かあった時、きっと桃香は耐えられない。たとえ、どれ程の被害や損失が出ようと、王という立場をも無視して、仇を討とうとするだろう。そして蜀の人間、特に義姉妹の『桃園の誓い』を知る者は、その暴走を止めることが出来ない」

 

「「「…………」」」

 

対して三人は沈黙した。“あの”桃香が、そんな暴走の可能性を孕んでいるのだろうか。そうも思う。

しかし、一刀の言葉には重い説得力があった。一刀が自身の知る『歴史』を語らない為、彼女等にはその重さの理由は分からなかったが、一刀は桃香の危うさを確信していると、そう感じた。

 

 

一刀が知る限り、史実でも『三国志演義』でも、劉備は正にそうやって死んでいった。

関羽を呉勢に殺され、家臣の忠言を無視して呉の討伐を発令し。その準備において、部下の裏切りによって張飛をも失い。真の敵国は、呉ではなく、その状況を作った魏であると言われても。それでも、劉備は“実際に手を掛けた”呉勢を許すことは出来なかった。

 

地方の一傭兵部隊長でしかなかった劉備。

彼は皇帝にまで上り詰めても、その心は義侠の徒のままだったのだ。

 

故に彼にとって義兄弟の仇を討つことは、あらゆることに優先された。そして、『水魚の交わり』と謂われた諸葛亮ですら、義兄弟の絆には入り込めず、何も言えなかった。

そうして冷静さを欠いた劉備は、当初こそ烈火の如く呉に攻め勝つも、最終的に夷陵の戦いにおいて陸遜に大敗し、白帝城にてその命を落とす。――多大な犠牲を払い、国力を崩壊寸前にまで低下させて。

 

それ故、蜀漢の者達は彼へ『昭烈皇帝』と諡(死者にその生前の徳や行いなどに基づいて贈る称号)した。彼は死ぬまで、自らの『信念に殉じたこと明らかなる方』だったと。

 

 

きっと桃香もいずれ『信念に殉じたこと明らかなる方』として『昭烈』と諡されることだろう。

だが、彼女の本質は義侠ではない。彼女の信念――力の源は『義』ではなく『仁』……慈愛だからだ。

よって一刀は、史実の劉備と桃香に共通点はさほどないと考えていた。

『三国志演義』での聖人君子的な部分が“甘さ”として見受けられたり、場合によっては撤退することに躊躇ないことがあった程度だ。

一刀自身は気付いていないだろうが、一刀が理想と現実の乖離をカバーするからこそ、桃香は何処までも理想とその手段を追うことが出来たから。だから彼女は『仁』のみを求める桃香のままで王たりえたのだ。

 

それでも。

三国同盟が成った後も。

一刀には、唯(ただ)その一点――盟友の“死”という現実――が不安でならなかった。

 

だからこそ、一刀は目の前の三人、生まれながらの王達へ語り続ける。

 

「だから。王というものを深く識る三人に、桃香に王としての心の在り方を教えてあげて欲しいんだ。

 どんなことがあったとしても、表面上だけでも揺らぐ事の無い王になれるように。

 頼れる『仲間』が自分の周りにいっぱいいることを思い出す余裕を持てるように。

 ――怨嗟を乗り越え、民の平和を願えるように」

 

真摯にそう頼み込む一刀の純粋な瞳に、三人は引き込まれていて。

 

「……その為の帝王学だわ。任せておきなさい////」

「そっ、そもそも自分のことを心配すべきでないのか、北郷(ぷいっ)////」

(ふふっ……やっぱりいい男ね、一刀♪ ホント羨ましいわ、桃香……)

 

結局、華琳と蓮華は目線を逸らしつつ、そう返すのがやっと。

雪蓮も、惚れた男の心配りに笑みを深め、窓際から彼の瞳を見つめて続けていた。

 

だから、戸惑う華琳・蓮華も。心を浮つかせていた雪蓮も。気配を察知することなど出来ない一刀も。

閉められた扉の向こうで、桃香がこの会話を聞いていることに気付いていなかった。

 

 

(ありがとう、ご主人様……)

 

 

彼女の目尻には感涙の雫が光っていた。

 

-10ページ-

そう。彼はいつだって自分に問い掛けた。

 

『桃香。君はどうしたい?』

 

 

(――わたしは……)

 

 

君は誰だ? ――私は劉玄徳、蜀の王。

 

目指すものは何だ? ――『仲間』の、民のみんなの笑顔を守ること。大陸の平和を取り戻すこと。

 

ならば、今すべきことは何だ? ――うん。大丈夫、ちゃんと分かってるよ。……ご主人様。

 

 

(今は、泣いてるときじゃない)

 

絶望を、暗闇を只見つめるのを止め、ぎゅっと瞼を閉じる。

いつしか溢れていた涙を拭う。

 

(涙、止まらないや……なら、もういい)

 

力を、意思を込めて眼を開く。視線を上げる。――涙は止まらなくても。

 

(今、私がすべきこと……)

 

膝に力を入れ、立ち上がる。

 

(立ち止まっちゃ、駄目!)

 

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「え……?」

 

蓮華は状況が理解出来なかった。

自らを貫くはずだった矢。

誰かに突き飛ばされて、転がった自分。

 

そして。

 

暗闇へ落ちていく、一刀。

 

 

瞬間、様々な光景が蓮華の脳裏にフラッシュバックした。

 

 

同盟相手とはいえ、少々馴れ馴れしい一刀に、王としての自分を崩されぬよう、つんけんとしている自分。

 

いきなり雪蓮と冥琳の真名を許されたことに納得出来ず、八つ当たり気味に一刀へきつく当たりもした。

 

そんな自分を街に連れ出し、王である筈の自分を一人の女性として扱ってくれた一刀。

彼は、偉大な母と姉の背中を追うばかりで、孫家という重責に押し潰されそうになっていた自分の心に気付いてくれた。

 

『きりっとした姿も素敵だけど、女の子っぽい服もよく似合うよ』と、プレゼントしてくれた女性的な意匠の服。

 

街で人込みに巻き込まれた時、突然彼に握られた手に、勝手に速くなる動悸を隠すのがやっとだった自分。

 

『最近の蓮華は随分柔らかくなったね。毅然としてる蓮華も格好いいけど、優しい目をしてくれるのが嬉しい』と言う一刀。

 

何れ王となる自分の姿と、女としての自分の姿に戸惑う自分を、どちらも蓮華自身なのだと。

それを象徴するかのような、偶々手に入ったという光源によって色の変わる蒼玉の耳飾りを贈ってくれた一刀。

 

『ほら。陽の下では孫家のみんなの瞳に似た“薄群青色”。夜の蝋燭の下では、君の真名と同じ、蓮の花のような“薄紅色”。これと同じさ。“王族”である君も、“女の子”である君も、どちらも皆が大好きな蓮華であることに変わりはないんだ』

 

 

一刀が部下を『仲間』と呼び、同盟相手すら『仲間』と称し、そして街の人々と笑い合うその姿に、王という存在の固定観念を崩され……形だけでない、王たる者にとって必要なことを気付くことが出来た。

 

三国が同盟して交流が行なわれるようになってから。

彼が蓮華の双肩に掛かる重圧に気付き、それを和らげる為に手を差し伸べてくれてから。

蓮華の心の中には北郷一刀という男性の存在がどんどんと大きくなっていった。

 

彼が隣りにいる、ごくごく短い時間をいつの間にか心待ちにしていた。

 

その彼が。今。見えなくなった。

 

 

 

「蓮華様!ご無事ですか!?」

 

思春が馬で追いついてくる。どうやら追っ手は全て片付けたようだ。

すぐに馬から降りると、蓮華の身体を探り、怪我がないことを確認する。

一息吐き、思春は辺りを見回し……気付いた。

 

「……まさか……北郷……!?」

 

その言葉を、名前を聞いた蓮華が叫ぶ。

 

「一刀! 一刀! 一刀ぉ!!」

 

自らも崖へ落ちようとするかのように、その深淵を睨みつけ、叫ぶ。

 

「一刀! 返事をして! ねえ!」

「れ、蓮華様! 危のうございます!」

「いや!いやぁ!! かずと……かずとぉ!!」

「またすぐに追っ手が来ます!今は……逃げねば!」

 

思春が諭すが、蓮華は赤子が愚図るように、泣き叫ぶばかり。

 

(蓮華様……お許しを!)

 

思春は最早猶予はないと、狂乱する蓮華の意識を絶つ為に、主君に手をあげる覚悟を決めようとしていた。

 

そのとき。

 

 

「蓮華ちゃん」

 

 

いつの間にか隣りに立っていた桃香が一喝した。

 

それは一喝というには余りにも穏やかな一言だったが。

その言葉の重さは、確かに蓮華の心にまで届いた。

 

「桃……香?」

 

見れば、桃香の頬もまた涙に濡れていた。

 

桃香は、ゆっくりと力強く蓮華を抱き締めた。

それは蓮華の身体に傷跡をつけそうなほどに強く。

彼女達の悲しみの深さの如く。

 

「桃香……!一刀が……!」

 

蓮華は、もう嗚咽で言葉にならない。

そんな蓮華に、桃香は抱きついたまま、蓮華の頬に自分の頬をすり付け、震える声を発した。

 

「ご…主人…様はね。最…後に言ったよ。蓮華ちゃんを、庇って。それでも……言ってくれたよ!」

 

自らも涙を流しながら。愛しい人の言葉が、蓮華に届けと。精一杯の力を込めて。

 

 

「――『進め』って!」

「――!!」

 

 

暫く二人は流れる涙をそのままに抱き合っていたが、どちらからともなく離れ……互いに涙を拭いた。

 

「……待たせたな、思春。往くぞ!」

「……はっ!」

「うん。……往こう、二人とも」

 

蓮華は、一刀の馬に騎乗し。

 

三人は闇夜の山道を進む――

 

 

 

続。

 

-12ページ-

諸葛瞻「しょかっちょ!」

曹丕「そうっぺ!」

周循「しゅうっちの!」

 

三人「「「真・恋姫†無双『乙女繚乱☆あとがき演義』〜〜〜☆彡」」」

 

諸葛瞻「お読み戴き多謝でしゅ。諸葛亮こと朱里の娘にして北郷一刀の第23子、しょかっちょでしゅ!」

曹丕「乱文乱筆なれど楽しんで戴けたかしら。曹操こと華琳の娘にして北郷一刀の第9子、そうっぺよ♪」

周循「少しでも面白いと思って下されば重畳。周瑜こと冥琳の娘にして北郷一刀の第25子、しゅうっちで〜す☆」

 

 

周循「という訳で、本編は新展開ですね〜!」

 

諸葛瞻「筆者が初期に言っていた、桃香様のプッシュがようやく……といったところでしゅかね?」

 

曹丕「筆者は『一刀あっての桃香』、『義の人ではなく、仁(愛)の人』をピックアップしたかったみたいね。お父様が正義を司るからこそ、愛の人で在り続けても国主として立っていけた、と」

 

諸葛瞻「蜀以外のルートだと、劉備としての有能さを表現する為もあったと思うんでしゅけど、やはり自国の利益を優先しなくてはならない一国の主としての正義――その立場による態度が強く出てましたからね」

 

周循「なお、蓮華様は公式でも『依存心が強い』とありますので、このような振る舞いとしたそうです。ま、筆者も公式の人気投票は蓮華様に入れたくらいですから。所謂“そこがいい!”という奴ですかw」

 

曹丕「……何もかも台無しだわ……(がっくり)」

 

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○議題:劉備の諡『昭烈皇帝』について

 

曹丕「本編だと『信念に殉じたこと明らかなる方』と訳しているわね」

 

周循「しかし、これは飽く迄も筆者が中国語辞典を片手に訳した、嘘っぱち……とまでは言いませんが、少なくとも専門的根拠のある訳ではないのです」

 

諸葛瞻「はわ? そうなんでしゅか?」

 

周循「はい。『昭』は『明らかな、明らかだ』なので多分大丈夫だと思いますが。『烈』には幾つかの意味がありまして。@激しい,強烈な A剛直な,厳正な B正義や革命に殉じた、となっておりました」

 

曹丕「成る程。Bを選んだ上で、物語の筋に取り入れる為に意訳したのね?」

 

周循「その通りです。当時の蜀漢の状況から鑑みれば『正義(漢王朝の復興)に殉じたこと、明らかな』が直訳的で素直な訳になるのかな、と。筆者が考えるに劉備という男は、良く言えば傭兵団長、悪く言えばヤクザの親分のような人だったのではないかと妄想する次第で。そんな人物が当時の漢皇帝・劉協が死んだという報せに、とうとう『漢』という国の皇帝を名乗った訳ですから」

 

諸葛瞻「まあ『三国志演義』だと聖人君子に描かれてましゅけど、史実だと呂布と変わらないくらい裏切りに満ちた半生だったようでしゅね」

 

曹丕「でも劉備は裏切ることはあっても裏切られたことは殆どなかったみたい。余程のカリスマ……魅力に満ちた人間だったのでしょうね。おべっかだけの男ならさっさと裏切られて死んでいたでしょうし」

 

周循「ともかく、桃香様の“愛”に繋げる為に『烈』の“正義・革命に殉じた”を意訳して『信念に殉じた』としたのでした。専門家の方からすれば失笑ものの訳でありましょうから、どうかツッコミはご勘弁戴きたく存じます(ぺこり)」

 

諸葛瞻「筆者は某『xx航路』みたいな感じで、“ヤクザの親分”な劉備を主人公に、誰か漫画描いてくれないかなーと思ってるみたいでしゅ。原xx先生あたりで。無茶言ってましゅね……」

 

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周循「さあ、ゲストコーナーへ参りましょう! では自己紹介をお願いします」

 

 

程姫「はいですの♪ 程cこと風の娘にして北郷一刀の第36子、程姫(き)ですの♪ 諱はオリジナルなのですけれど、何でも某妹姫ネタの為とか――」

 

諸葛瞻「あー!あー!あー! 何も聞こえないでしゅよ〜〜!!」

 

程姫「??」

 

典満「えっと、いいですか?」

 

諸葛瞻「ふぅ……どうじょでしゅ」

 

典満「はい!典韋こと流琉の娘にして北郷一刀の第42子、典満(まん)です! まんは史実の典韋の子そのままですね」

 

 

曹丕「今回の二人は年少下級(小3クラス)ね。それにしても……危険なネタを……」

 

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○質問:特技・特徴は何ですか?

 

曹丕「ということだけれど……」

 

典満「はい(程姫に目配せ)」

 

程姫「ですの♪ せーのっ」

 

程姫・典満「「料理です(の)!」」

 

周循「そうですね。二人とも流琉様のご指導の下、既にかなりの腕前です。まだ身体が小さい為、作れないものもあるようですが、手先で作ることが可能な料理は、もう一般主婦クラスですね。得意料理に限れば、店に出すことも可能なレベルでしょう」

 

曹丕「典満は、もう少し成長すれば、きっと母親譲りの怪力も現れてくると思うのだけれどね」

 

典満「まんも程姫ちゃんも、同級生の中でも背が小さい方なので……。一応、料理も得意分野が違うんですよ。まんは全般幅広く作れますが、基本は“食事”の為の料理です。あと、工夫は苦手で、レシピ通りにしか作れません」

 

程姫「姫(ひめ)はお菓子が得意分野ですの。普通の料理もそれなりには作れるですけれど、典満ちゃん程は上手ではないですの。それと、典満ちゃんのようにレシピ通りに作ることも出来るのですけど、ついつい色々チャレンジしちゃうんですの♪」

 

諸葛瞻「程姫ちゃんの『創作料理』は……成功率五分五分のギャンブル料理でしゅから……ハズレだった場合、愛紗様の料理と同クラスの破壊力があるので……」

 

周循「大概、味見に許儀(ぎ)【季衣】を呼ぶのだが……。あれは味に拘らんし、愛紗様の料理も平気で平らげるからな。参考にならんのだ……」

 

諸葛瞻「い、一応愛紗様のフォローもしておくでしゅ。愛紗様もこの十年、流琉様に習い、幾つかの料理は“普通”に作れるようになっているんでしゅよ。炒飯とか」

 

曹丕「ふふっ。でも、どんな料理だろうとお父様は喜んで食べて下さるものね?(“ハズレ”を引いた時のお父様も、す・て・き♪)」

 

程姫「そうなんですの!姫は自作料理をとうさまに食べて戴く事が一番の幸せですの〜♪」

 

典満「そ、それは勿論、まんだってととさまに食べて欲しいんだよ? でも、すぐにぎー(許儀【季衣】の渾名)が『お腹空いた〜!』って食べちゃうから……。程姫ちゃんも、作る時にレシピをメモしてくれればいいのに、いっつもフィーリングで作るから、大抵二度と再現出来ないんだもん……あと、試食に付き合うのも、結構辛いんだけど……」

 

程姫「そんなこと言わないでですの、典満ちゃん! あなたの協力なしに姫が目指す『究極の創作料理』は完成しないんですの!」

 

典満「その情熱は分かるんだけどぉ……(汗」

 

周循「(ある意味、程姫の『創作料理』最大の被害者は、父さんではなく……)」

 

諸葛瞻「(試作・試食に付き合わされる典満ちゃんなのかも知れましぇんねぇ……)」

 

程姫「因みにかあさまは、姫が厨房に入るとふらりと姿を消してしまうんですの。もう!」

 

典満「……一度食べて気絶して以来、試食には来て下さらなくなっちゃいました。成功するとどこからともなく帰って来られるんですけど。どこかで覗いてるのかなぁ……」

 

程姫「ぷんぷんですの!……まあ成功すれば食べてくれるからいいんですけど」

 

典満「あと、程姫ちゃんと一緒に料理する場合は、まんがレシピのメモ係になることが多くなりました。過去の反省から……。あと、まん自身は工夫が苦手なので、参考にさせて貰っています」

 

曹丕「なんだかんだ言って、いいコンビなのね」

 

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○質問:特に仲の良い姉妹は?

 

程姫「料理仲間の典満ちゃんとは正に同志!ですの」

 

曹丕「方向性に著しい違いがある気がするのだけれど……」

 

程姫「(聞いてない)試食に来てくれるぎーちゃんこと許儀ちゃん【季衣】とも仲良しですの。それから、賈訪(ほう)ねえさま【詠】にはとても良くして頂いているですの。食材の買出しや、一緒に料理することもあるくらいですの」

 

周循「賈訪姉さん【詠】は、ご母堂である詠様の不器用さを継がなかったのだな。……詠様に聞かれたら、怒られそうだが」

 

程姫「賈訪ねえさま【詠】は、姫にとって、女性としての目標でもあるんですの。機転が利き、物腰柔らかで……正にとうさまに聞いた“お姫様”ですの!」

 

諸葛瞻「こう言っては何でしゅけど、お父しゃま――北郷一刀の娘達に“お淑やか”な皇女って希少でしゅからね……。頑張って下しゃいね、程姫ちゃん」

 

程姫「はいですの♪」

 

典満「今まで話した通り、程姫ちゃんとは料理仲間……かかさまの弟子同士、とも言えると思います。まんが一番仲が良いのは、生まれた日が数日違いで、本当に赤子の頃から一緒に育った許儀【季衣】です。普段は“ぎー”と呼んでいます」

 

諸葛瞻「お母しゃまに聞いたんでしゅけど。許儀ちゃん【季衣】がシモネタばっかり覚えてくるから、典満ちゃんがすっかり耳年増になったとか」

 

典満「ひゃうん!? そ、そ、そんなことは……ない、と思うんですけどぉ////」

 

周循「そう言えば、城の書庫でナニやら赤面しながら調べ物をしている典満を見たことが幾度かあるな」

 

典満「ひゃあん! だ、だって……ぎーが、コレ何アレ何って聞いてくるから……////」

 

曹丕「典満は母似で、根が真面目ですものね。それで調べている内に、という訳ね。……そんなこと、気にしなくても大丈夫よ、典満」

 

典満「そうなんですか?」

 

曹丕「ええ。どうせ年長組に上がれば、陸伯言先生――穏様による半実地の性教育が待っているのだから。嫌でもその手の知識は身に付くのよ……」

 

諸葛瞻・周循「「……(来年、何があるのだろう……)」」 ← 年少上級の二人

 

典満「は、はぁ……」

 

 

 

曹丕「最後の最後に、自分のトラウマに触れる羽目になった気もするけれど……」

 

周循「(本当に何があったのか……)ま、まあそれは忘れましょう」

 

諸葛瞻「そ、そうでしゅね。さて、作品説明にもありましたが、本作に求められるのは戦闘や戦争の描写ではないと思われましゅので……次回にて戦争に決着でしゅ!」

 

曹丕「そうね。でもハーレムルートとしては重要なフラグが出る予定よ。楽しみにして戴けると嬉しいわ。それでは、次回『第三次五胡戦争/決戦』にてお目に掛かりましょう!」

 

 

五人「「「「「バイバイ真(ま)〜〜〜☆彡」」」」」

 

説明
第11話を投稿です。
予告通りの新展開!と言っても題名でバレバレですがw
本作はハーレムルートを謳っており、読者様が求められるのも戦争や戦闘の描写ではないと思われます。
ですので、戦争はさくっと進めますよ〜! とうとう真・桃香が目覚める!?ww
さぁて、お立会い!男は度胸、女は愛嬌!説明も遠慮も無用だ、蜀END分岐アフター、読んできなぁ読んできなぁ!
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コメント
nameneko 様>主人公ゆえのご都合主義とは言え、平和的ハーレムを作るような人物なら、相応の理由が欲しいというのが筆者の持論です。という訳で、一刀くんにはかなりの気配り屋さんになって貰っているのでした^^(四方多撲)
たらしだけあって周りをよくみてるっすね一刀は(VVV計画の被験者)
XOP 様>諱としては「き」、彼女の一人称が「ひめ」です。うーん、分かり難いですかね… 元ネタ的に、一人称を「ひめ」と呼称させたいのですよ^^;(四方多撲)
あとがき:第36子、程姫(き)です・程姫「姫(ひめ)はお菓子が→どっちの読みが正しい?(XOP)
XOP 様>ご指摘の通り、誤字修正致しました。いつもありがとうございます!(四方多撲)
鮮卑に打ち負けかされて→打ち負かされて(XOP)
ブックマン 様>本作では一応…一応ですがメインヒロイン扱いですのでww(四方多撲)
jackry 様>そうですね。恋姫では、蜀は彼が中心になってこそ完成をみる国だったのだと思います。(四方多撲)
桃香強くなったな。(ブックマン)
kayui 様>一刀くんがかっこよく描けているようで一安心です。…死んでませんよ?ww 次回も真・桃香炸裂!です。(四方多撲)
Nox 様>ぎくっ!…良い勘をなさっておられる…次回をお待ち下さいww(四方多撲)
HIRO 様>個人的にも一刀くんは格好良く「も」あって欲しいのです。特に蜀ルートなら。ということで、少々理屈っぽいですが、かっこよく描けているようで、嬉しい限りです!(四方多撲)
鳳蝶 様>落ちましたね〜w ご期待に添える内容になるよう、頑張ります!(四方多撲)
NEKO 様>本当に恐縮です… 偶々神様が降りてきたのですよ…マグレに近しいですので、果たして参考になるか、心配になっちゃいますw(四方多撲)
asf 様>恐縮です!ほんと人数多いですよね…バランスが大変でw(四方多撲)
りばーす 様>ありがとうございます! …ハーレムルートだけど偶には、くらいでご勘弁を…(四方多撲)
ジョージ 様>ありがとうございます!…でも次回で熱血はほぼ終了でございますw 私の構成力だと熱血維持は辛いです…(四方多撲)
フィル 様>本文の地形説明で「河」とあった瞬間、「ああ、落ちるんだ」と思われた方はどのくらいいるんでしょうねww 流れ着く先は…次々回を待ってください!(四方多撲)
吹風 様>「無印」を引き継ぐルートである以上、やはり他のルートよりも一刀くんへの比重が多いのでしょうね。個人的にも「桃香は一刀がいてこそ」というあたりは表現したかったので、そう言って戴けると嬉しいです!(四方多撲)
XOP 様>「須く」を「全て」という意味で使うのは誤用なのですね。それにしても今回、誤字多すぎ!反省します……校正が足りないのかなぁ……毎回毎回、本当にお世話になっております!m(_ _)m(四方多撲)
バッキー 様>ああ、そのお言葉が聞きたかったのですww 限りなく一発ネタに近いですが、応用もきくので、ありがたいキャラですよww(四方多撲)
まーくん 様>あの二人は暫くの間、歯軋りしながらこの外史を見ていることになるでしょうww(四方多撲)
逢魔紫 様>ですよね…十年一昔とはよく言ったものですよ…(遠い目)(四方多撲)
st205gt4 様>あとがきにもありますが、次回で戦争終結です。私の構成力ではこれ以上熱血を続けるのは無理です〜…(四方多撲)
nanashiの人 様>褒めて頂けてとても嬉しいです! が、同時にこれからが少々怖くもあり…w(四方多撲)
rikuto 様>そうそう、青空をバックに笑顔がキラッ☆って違ーう!ww 頑張ります!(四方多撲)
tan 様>プロフにもありますが、バッドエンド駄目な人間なので…主人公含めて主要キャラクターを殺すのは、私には無理です…寿命ならともかくw(四方多撲)
kanade 様>その一言で頑張れます!(四方多撲)
sion 様>作品説明は、もうネタがマジでないですw 次回も真・桃香でいきますよ〜!(四方多撲)
紅蓮 様>史実に子がいるのが分かっていて、敢えて!あの懐かしくも危険なネタの為に「姫」としましたw なんせ娘は全員お姫様なわけで、一人称がああなるのにはこれしかないかな〜とww(四方多撲)
一刀・・・かっけぇ!!次回は一刀の遺志(オイ を継いで決戦ですか!!楽しみですww(kayui)
一刀が消えたと聞かされた時の、ほかのキャラの取り乱し様が気になるww(特に愛紗(Nox)
一刀がかっこよかったです。やはり、蜀には一刀が必要なのですね。(HIRO)
一刀が落ちましたねw これからどうなるのかすごく気になります!(鳳蝶)
すげー気になります。話の構成も勉強になります。(乾坤一擲)
沢山いるキャラを上手く捌けていてすごいです(asf)
うおぉ!!これは燃える!!燃えるぞぉ!!(りばーす)
すっげえ続きが気になるぜ。 執筆乙っした!! 熱い展開になってきたぜ!!(峠崎丈二)
この程度で根をあげてどうする→音を上げて:王足りえた→たりえた:典満ちゃんとは正に同士→同志?(『同士』は『身分・境遇などが共通している』『同志』は『志を同じくする』)(XOP)
崖からの転落・・・・・・ このあとどこに流れ着くのやらwww(フィル)
この話を見てると、つくづく蜀には一刀が必要なんだなーと思った。魏や呉はあくまで個人への重要性で、蜀は国全てへの重要性ってところでしょうか(吹風)
南蛮のような異民族軍→これでは美以の配下も侵攻軍に参戦していることになる:『八陣図』を用する同盟軍に→用いる(『ようする』は『擁する』と書き、意味は『率いる』。八陣図は軍勢ではなく用兵の方法なので『擁する』ことはできない):始めから兵を伏せていたなら→初めから:理をもって兵を用する朱里が→擁する(XOP)
軍師たちが会議・軍儀を行うこともある→軍議:呉の武将・軍師は、ほぼ須(すべから)くこんな有様→ほぼ全員(『須く』は『ある事をぜひともしなければならないという気持ち』を表し、『全て』の意味で用いるのは誤り):食事も取らない→摂らない:冥琳にばれて、鞭叩きの刑に→鞭は『打つ』では?:小蓮がいよいよ核心を訪ねた。→尋ねた:(XOP)
程姫の声がもうあの方の声で再生されるんですが・・・。(バッキー)
どれだけ、惚れさせれば気が済むんだYO!種付けも目前ですな・・・外史の管理者を名乗る馬鹿者共をつぶしてからだけど(まーくん)
懐かしいな妹姫・・・。(トウガ・S・ローゼン)
なかなか熱い展開になってきたなー(st205gt4)
このタイプの一刀をほんとにうまく書くもんだと毎度のことながら感心する(nanashiの人)
一刀は三国の恋姫達の心の中で生き続けるのですね。わかります(チガウ  続き楽しみにしてますw(rikuto)
一刀は死んだのか???(tan)
更新、待ちます・・・楽しみにしながら(kanade)
段々投稿文が江戸っ子になっていくような・・wともあれお疲れ様でした。一刀の運命は一体!?(いや、生きてるのは分かりきってますがw)次回は桃香の王としての資質が目覚める?!更新が楽しみです(Sirius)
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