スマブラ Stern des Lichts 82 〜狂気の左手〜
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 争いの世界を救うため、光と闇を打ち倒す最終決戦が始まっていた。

 ベヨネッタを解放した一行は、この先にいるクレイジーハンドと戦う準備をしていた。

 

「この先から、ただならぬ気配を感じます」

「ドリィ……」

 クレイジーハンドに仕えるメイド、ドリィはごくりと唾をのんだ。

「ラ・ナチュ・マ・ギ・デ・スカト」

 ドリィは念のため、防御魔法を味方全員にかける。

 相手の攻撃は強力なので、それに備えるためだ。

 そして、六人が一歩踏み出すと、クレイジーハンドが目の前に現れる。

「……来ますよ!」

「アアアアアァァァァァァァァ!!」

 クレイジーハンドは叫び声を上げながら、ゼルダ達に襲い掛かってきた。

 

「やぁっ!」

 ゼルダは力の女神ディンの力を借り、炎を発生させて攻撃する。

 クレイジーハンドはドリルのようにクッパに突っ込んでいった。

「おらぁぁ!」

 クッパは渾身の一撃で反撃するが、クレイジーハンドには当たらなかった。

「くそっ、オレは空が苦手なんだ……」

 リトルマックは、空中に浮くクレイジーハンドが苦手だった。

 その時、ベルがリトルマックの身体に手を触れる。

「力をあげるわ」

「サンキュー! ロングアッパー!」

 リトルマックはベルの魔力により一時的に能力が上がり、遠い間合いから突き上げるように拳を放った。

 メタナイトは空を飛び、素早く剣で切り刻んだ。

「オアアアアアアアアア!!」

「どうか、正気に戻ってください……。クレイジーハンド様……!」

 クレイジーハンドは五本の指から青い炎を放った。

 ドリィの防御魔法の効果でダメージは大した事がなかったが、主の裏切りはドリィの心に傷をつけた。

「邪魔するんじゃないわよ! ナイトメア!」

 ベルは鎌を勢いよく投げつける。

 クレイジーハンドの指を切り裂いたが、指はすぐに再生しかすり傷に留まった。

「勇気の女神フロルよ、彼の者に勇気を与えたまえ」

 ゼルダはフロルの力を借りてドリィに優しく追い風を吹かせ、その行動を補助する。

 余裕ができたドリィは杖を振り、魔法の矢を飛ばして攻撃した。

「グゥゥ……ドリィヨ、ナゼワタシニサカラウノダ」

「クレイジーハンド様はそのような事は言わない……だから私《わたくし》は迷わない! あなたを助けます!」

「我輩はここで負けるわけにはいかないのだ!」

「はああぁっ!」

 ドリィは防御するクレイジーハンドに、魔法の矢を乱射して攻撃する。

 クッパは回転しながら突っ込んでいき、リトルマックもロングアッパーで追撃する。

 ベルも大鎌を振り、クレイジーハンドを切り刻む。

 猛攻によりクレイジーハンドは瀕死になっていた。

 

「今ですよ、ドリィさん!」

「クレイジーハンド様、どうかお戻りください。ラ・ナチュ・ド・ステラ・マ・ギ・ド・ヴェン!」

「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」

 追尾する魔力弾を乱射し、クレイジーハンドを連続で打ち据える。

 まともに攻撃を食らい続けたクレイジーハンドは悶絶し、暴れ出す。

 やがてクレイジーハンドは完全に戦意を喪失。

 ドリィ達はこの戦いに、勝利したのだった。

 

「うぐぅぅっ! うあぁぁぁぁぁ!」

 クレイジーハンドはのたうち回っていたが、しばらくすると、彼の身体から黒いオーラが消えていく。

 そして、大人しくなったクレイジーハンドは宙に浮き上がり、正気に戻る。

 ドリィは確信した、彼が本物のクレイジーハンドなのだと。

 ベル達は、クレイジーハンドをダーズの支配から解放したのだ。

 正気に戻ったクレイジーハンドは左右に動き、ようやく、完全に落ち着きを取り戻した。

「……私はなんて事をしてしまったんだ……」

「元に戻ったのですね、クレイジーハンド様」

 ドリィは寂しそうな顔で、クレイジーハンドに抱き着いた。

 ファイター達と違い、クレイジーハンドは操られた時の記憶をはっきり覚えているようで、戦った六人に謝罪した。

「後はマスターさえ解放すれば、キーラとダーズを倒すための道が開く。だが、そのためには、光と闇を均等に……」

「それは分かっております。クレイジーハンド様はもうお休みください。後はスマブラメンバーが、道を開きます」

 ドリィはクレイジーハンドにそう誓った。

 クレイジーハンドがテレポートで姿を消すと、光の勢いが増していった。

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「残るはマスターハンド様ですわね」

「ファイターも解放せねば、な」

 一行は再び開始地点に戻り、左に進み、ミドナを倒した場所から右に進んだ。

 ムムカ、ダークマインドを解放し、分かれ道を右に進み、マグナ、シャノアを解放する。

 すると、偽クレイジーハンドの群れと、黒い身体を持つサムスが宙に浮いていた。

 彼女はフェイゾンから生まれたダークサムスだ。

「ダークサムス! ……不快ね」

 サムスはパワードスーツ越しにダークサムスの姿を見て、不快になる。

「はっ。そりゃそうだろうねぇ。自分と同じ姿の敵がいたら、不快になるさ」

 ダークサムスはサムスを嘲笑する。

 だが、視線をすぐにカービィとストームに向けた。

「でも、今の私はアンタに用はない。そこにいる球体をいたぶりたいよ」

「何ですって」

「ダークサムス……僕とカービィと戦いたいのか?」

「そうさ。こいつらをサムスの前で消してから、サムスに苦しみを与えてやるよ」

 ダークサムスはアームキャノンを二人に向ける。

「なんて事を……」

「サム姉をいじめちゃダメ! 黒サム姉は、僕達がやっつける!!」

「油断大敵、という言葉を教えてやろう」

「相手は天使じゃないけど……私を楽しませてくれるかしらね」

「サア、ミナサン、ヤミヲハライマショウ!!」

「……言っておくけど、バランスは取ってよ」

「キーラとダーズは両方やっつけるんだからね」

 カービィ、ストーム、ウォッチ、ロックマン、ベヨネッタ、トゥーンリンクが身構える。

 次の瞬間、ダークサムスと偽クレイジーハンドの群れが襲い掛かってきた。

 

「汚れな!」

「うわぁ!」

 ダークサムスはフェイゾンエネルギーを物体を破壊する力に変えてカービィに放つ。

 まともに食らったカービィは、体力が大きく減る。

 ストームは十分に距離を取った後、集中力を極限まで高め、必中の矢を放つ。

「ロックバスター!」

「そんなもの!」

 ロックマンはチャージショットを放つが、ダークサムスはフェイゾンを盾に抵抗する。

「やぁっ!」

「えい! それ! うわぁぁっ!」

「グリーンハウス!」

 ベヨネッタがスライディングを繰り出した後、スカボロウフェアで連続攻撃する。

 カービィはパンチとキックで偽クレイジーハンドを攻撃するが、ミサイルで反撃される。

 ウォッチもグリーンハウスで攻撃するが、カービィ同様に反撃を受けた。

「こいつらは近距離から攻撃すると反撃するみたい。だから、飛び道具で攻撃するのよ」

「そっか! じゃあ、これで!」

 トゥーンリンクは勇者の弓に矢を番え、偽クレイジーハンドを貫いた。

 ロックマンはボンバーマンの特殊武装、ハイパーボムを投げて周りの偽クレイジーハンドごと爆発に巻き込む。

「固まりなぁ!」

「させるか!」

 ダークサムスはフェイゾンでトゥーンリンクを束縛しようとするが、ストームが矢を放って打ち消した。

「うふふ、さようなら」

 ベヨネッタは大事な部分を手で隠した後、スーツを髪に戻し偽クレイジーハンドを切り裂く。

 偽クレイジーハンドは黒い煙になって消滅した。

「鬼殺し……火炎ハンマァァァァァァァ!!」

「ぎゃあああああああああああ!!」

 そして、カービィが炎を纏ったハンマーをダークサムスに振り下ろし、場外に吹っ飛ばした。

 ダークサムスが倒された以上、残った偽クレイジーハンドを倒すのは容易だった。

 こうして、ダークサムスとの戦いは呆気なく終わりを告げるのだった。

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「……ベルベル、黒サム姉はどうするの? やっぱり、倒しちゃうの?」

 カービィが倒れているダークサムスを見ながらベルに言うと、ベルは首を横に振った。

「倒さないわ。この世界は、誰も死ななくていいやさしい世界よ。たとえ、善人でも悪人でも、ね。だから、ダークサムスは戦力として使うわ」

 クッパも、ジュニアも、キングクルールも、ガノンドロフも、リドリーも、ウルフも、

 そして微妙だがミュウツーとワリオも、皆、同じスマッシュブラザーズなのだ。

 ダークサムスを除け者にしていいわけがない。

 ベルはダークサムスを戦力として加えるのだった。

 

「これで、クレイジーハンドは全て敗れたか。ふふ……感謝するぞ、スマッシュブラザーズよ」

 ダークサムスと偽クレイジーハンドを倒した事で、光が闇を打ち消し、ダーズを追い詰めた。

 キーラは今がチャンス、と一際強く光り輝く。

 すると、光に包まれたマスターハンドと、光の鎖で縛られたパルテナが現れた。

「パ、パルテナ様……」

「マスターハンドまでいるぜ……」

 ピットとブラックピットがそう呟く中、ベルは真剣な表情で二人を見ていた。

 カービィもごくりと唾を飲んでいる。

「……こいつが最後の、捕まっているファイターね。この戦いももうすぐ終わるわ。それでも、気を抜いちゃダメよ」

「キーラは感謝するなんて言ってたけど、感謝なんてするものか。お前も絶対に、僕達がやっつけてやる」

 

 スマッシュブラザーズの長い長い戦いは、もうすぐ、終わりを迎えようとしていた。

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 〜ベルのスピリッツ名鑑〜

 

 ムムカ

 出身世界:ゼノワールド・並列世界3

 性別:男性

 ダンバン達の元戦友で、狡猾だが腕の立つ戦士。

 爪状の武器を使う。しかし、その正体は……。

 

 ダークマインド

 出身世界:鏡の世界

 性別:不明だが、男性的

 鏡の大迷宮異変を起こした張本人。

 願いを叶える力を持った鏡の国の秘宝「ディメンションミラー」を暴走させ、鏡の国を悪心で溢れさせた。

 

 マグナ

 出身世界:天空界

 性別:男性

 人類最強の剣士で、身の丈ほどの大剣を振るう。

 地上で傭兵をしており、粗暴で自己中心的だが、その陰には何か秘密があるようだ。

 

 シャノア

 出身世界:こことは異なる世界

 性別:女性

 ドラキュラに対抗するための組織「エクレシア」に所属する女性。

 戦闘では背中の刻印や飛行能力を駆使して戦う。

説明
クレイジーハンド救出回です。
彼を助けるのは、やっぱり彼女じゃないとね!
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