真・恋姫無双 魏エンド後  〜春華秋刀〜  2
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ここは許昌の街、魏の首都である

 

大通りにはいつもたくさんの人達がいて賑わっており、その中でも一際目立つ女性が歩いていた

髪は銀髪、瞳は赤紫色、そして体のあちこちに傷≠ェあった。

 

「ふぅ、今日の警邏も今の所は異常なしか」

 

晴天の青空の下、周りを見渡していた女性は声を漏らした。

 

「この街はずいぶんと平和になったな・・・これも隊長のおかげかな?」

 

クスっとその女性は笑った

しかしその瞳の奥はどこか儚げで、とても悲しそうに見えた。

 

 

  その者の名は楽進  真名は凪    天の御使いを愛している一人である。

 

 

「あの時に比べたら、この街もずいぶんと元気になった。あの当時はひどく寂しかったから」

 

天の御使いがこの世界からいなくなったことを知った町の人々は嘆き

そして涙を流した。

 

その光景はまるで街そのものが泣いてる様に見えて

いかに彼がこの魏の民たちに愛されているのかが解かった。

 

(そうか“あの日”からもう4年も経っていたのか。

今はもう昔ほど泣くことはありませんが、それでもやっぱり……時々泣いてしまいます。

隊長、あなたは今どこにいるんですか?私はこの4年間、貴方のことを1日たりとも忘れてはいないですよ)

 

心の中で一刀の事を想った凪はいつの間にかその目に涙を溜めていた。

 

「って、いけない!まだ警邏の途中だったんだ」

 

凪は目を拭い、いつもの彼女に戻っていた。

 

「残りもちゃんとまわらな……」

 

その時、凪の目を疑うような光景が映っていた――――――――

 

 

 

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〜城内〜

 

「ふ〜〜、今日の鍛練はとりあえず終わったな!」

 

城内の廊下で女性は元気な声で一人つぶやいていた

艶のある黒色の髪が腰まで伸びており、前髪には触覚のような髪があり、左目に蝶の眼帯をしていた。

 

 

  その者の名は夏侯惇  真名は春蘭   天の御使いを愛している一人である。

 

 

「さて、これからどうしたものかな? 

そうだ!今から、もう一つの鍛練をしようではないか! ふむ! 昨日は失敗したが今度こそ……」

 

「姉者、なにをしているんだ?」

 

独り言を言いながら廊下を歩いていると、後ろから声を掛けられた

いくつかの書類を手に持った女性は綺麗な水色の短い髪、右目は前髪で隠されていて、クールな雰囲気を漂わせていた。

 

 

  その者の名は夏侯淵  真名は秋蘭   天の御使いを愛している一人である。

 

 

「今何か鍛練とか、失敗とか聞こえてきたんだが……」

 

心配な表情で目の前の能天気な姉に秋蘭が問いかけると

 

「おーー秋蘭ではないか! いや何、これからちょっと鍛練にな!!」

「???鍛練? それは先ほどしていたのではないのか?」

 

元気な声で返事を返した春蘭だが、秋蘭は先程まで自身の兵士と共に鍛錬していたはずなのに、すぐまた鍛錬するという姉の発言に疑問を持った。

 

「武の鍛練なら終わったぞ。今から料理の鍛練をしようと思っているんだ」

「りょ、料理をか?」

「ふむ!」

「そ、そうか、まぁ、そのなんだ、姉者、がんばってくれ」

 

秋蘭は驚愕した

まさか姉の口から料理≠ニいう二文字が出てきたことに

 

「なぜ姉者はいきなり、その、料理を?」

 

口を濁しながら秋蘭は春蘭に疑問を問いかけた。

秋蘭の言葉を聞いた春蘭は少し顔を俯かせたがすぐに顔を上げて

 

「一刀がいつでも帰ってきても良いように、ちゃんとしたのを作りたいからな」

「!!!」

 

秋蘭はまたも驚愕した

まさか自分の姉からそのような言葉が出てくるとは思わなかったから。

 

一刀が天の世界に戻ったことを聞いて魏に帰ってきたその日の夜に二人は一刀の部屋に入っていった

二人は部屋を見回して寝台に座り、手を寝台に置いて撫でるようにさすった。

 

まるで初めて自分たちと結ばれた夜を思い出すかのように………

そして、そこは姉妹なのか二人同時に涙を流した。

  

 

 

 

 

“もう一刀はいない”

 

 

 

 

 

 

”もうあの笑顔を見られない”

 

 

 

 

 

 

 

”もうあの優しさに触れられない”

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

         

 

“もう抱きしめてもらえない”   

 

 

 

 

彼女たちはずっと涙を流していた。

 

 

 

魏の中で彼女たちが立ち直るのが一番遅く、長い年月が掛けてやっと二人は立ち直ることができた。

 

「まあ、一刀も杏仁豆腐ばかりじゃ飽きるだろう?

だから色々な料理を練習して一刀に褒めて……おほんっ!驚かしてやるんだ!!」

 

拳を握り締めながら春蘭は力強く叫んだ

今の春蘭の表情はとても凛々しく誰もが見惚れる笑顔をしていた。

 

「そうか、姉者頑張ってくれよ。私も今度の休みに鍛練でもしようかな?」

「な、なに!?むむむ、こうしちゃおれん。

急いで調理場に行かなければ、秋蘭は料理がうまいからな……それじゃ秋蘭、私はもう行くから!」

 

秋蘭に背を向けた春蘭は手を振りながら全速力で厨房に走って行き、すぐにその背は

見えなくなっていた。

 

(やれやれ、姉者は相変わらず可愛いなぁ。

……もうあれから4年も経つのか。このまま月日がたてば一刀のことを忘れてしまうんだろうか?

大丈夫…………、まだ一刀の笑顔は思い出さる。私が一刀のことを愛し続けてる限り一刀と過ごした日々を忘れない、絶対に忘れてたまるか)

 

「私はお前のことを待っているからな」

 

静かに呟くと秋蘭は晴天の青空を眺めた。 

 

 

 

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〜城下町〜

 

「……あっ、鎖満差・翼(サマンサ・ツバサ)の新作もう予約始まってるの。

ねぇ、真桜ちゃんは買うのー?」

「ウチは今月、許緒将軍のためにお金おいとかなあかんからなぁ〜。

残念やけどウチは今回は諦めるわぁ」

「真桜ちゃん……。その言い方だと、まるで季衣ちゃんに餌付けしてるみたいなの〜」

 

ここはオープンテラスがある喫茶店でおしゃれな雰囲気が楽しめると有名なお店で若い女性の客で埋め尽くされていた

そこに二人の女性が机を挟んで椅子に座って楽しそうに喋っていた。

 

その中に凪は見知った二人を見つけた。

一人は髪は茶色、今時の流行の洋服やネイルアートをしていて、顔にそばかすがあった。

 

 

   その者の名は干禁  真名は沙和   天の御使いを愛している女性である。

 

 

もう一人の女性は髪は紫、腰には工具が入っているベルトを着けていて、魏で一番の胸の持ち主。

 

 

   その者の名は李典  真名は真桜   彼女も天の御使いを愛している女性である。

 

 

本来なら彼女たちも警邏中のはずだった。

 

「……二人とも、何を……してるんだ?」

 

プルプルと震えながら凪は沙和の後ろに立ち、二人に質問すると

 

「え〜〜?何って、お茶してるんだよ〜」

 

阿蘇阿蘇を今も熟読している沙和は気の抜けた返事をして

 

「そやねー」

 

真桜は机の上のカラクリ典韋将軍に夢中で素っ気無い返事が返ってきた。

 

二人はこの時、誰が質問してきたか知らず

直後に周りの大気が重くなり

 

「……真桜、沙和……いい加減に………」

「え?……な、凪ちゃん!?え、えぇ〜〜と、これには深い理由が…………!!」

 

その時、沙和はその怒り声と殺気で誰かを理解して後ろを振り向き言い訳をしようと、だが真桜は典韋将軍に夢中で気付いていなかった。

 

 

「……しろ!!!!!!!!!!!!」

 

沙和が言いきる前に、凪の拳が机を木っ端微塵にしていた。

 

「きゃーーーー!服にお茶がかかったの〜〜!!

この洋服、高かったのにぃ〜」

「ぎゃあーーーーー!典韋将軍がーー!典韋将軍がーー!!

あ、あぁぁぁぁ、一部の人に売ったらいくらで売れたことか……」

 

机が粉々になったことでお茶が沙和の洋服にモロに被り、典韋将軍は無残なことになっていた。

 

「ふ〜た〜り〜と〜も〜〜〜……」

 

先ほどよりも殺気が強くなり、凪は拳を振りかざして二人に迫っていた。

 

「真面目に警邏をしてるかと思えば、何回も同じことをしているな?」

 

凪の後ろには阿修羅が見えるかというほど怒っており、そして典韋将軍(からくり)を踏み潰した。

 

 

典韋将軍 orz

 

 

「な、凪ちゃん、怒っちゃいやなの〜」

 

沙和は冷や汗をかきながら、凪に落ち着くよう説得する傍ら

 

「あ、あ、、あ、あ、悪夢再びやーーーーー!!」

 

無残に飛び散った典韋将軍(からくり)を見て真桜は号泣していた

その顔に生気はなかった。

 

「……それで警邏をするのか?しないのか?」

 

凪は拳をポキポキ鳴らしながら二人に近づいた。

ひきつった笑顔を浮かべながら沙和は真桜の手をつかみ

 

「真桜ちゃん、に、逃げるの〜〜!!」

「ああ、典韋将軍っ! 典韋将軍ーーー!!!」

 

沙和は180°回転し猛ダッシュしてその場を立ち去ろうとした

真桜は沙和に腕を引っ張られてもなお、後ろを振り向きながら叫んでいた。

 

「あっ、こら! 待て、二人とも!!」

 

 

〜後日談〜

 

 

その追いかけっこは二刻ほど続いたらしい。

 

 

 

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許昌の大通りに一人の男性が物珍しそうに露店の商品や街の様子を見ていた

男の前方からものすごい速さで走ってくる3人の女性がこちらに向かって来るのが見えた。

 

前を走っていた女性の二人は颯爽と走り抜けて行き、そこで男性はふと財布を落としてしまい財布を拾おうと屈んだ。

 

その時、スローモーションのように周りは動き、男性とその銀髪の女性はすれ違った。

男性は立ち上がり、後ろを向いて

 

「…な……ぎ?」

 

と、呟いた。しかし、男性はなぜその“名前”を呟いたか理解できなかった。

 

「――――――――――――――ぎ」

 

「えっ!?」

 

凪は急ぎ後ろを振り向いたが、ここは大通りだったためたくさんの人が往来していた。

 

(……なんだ、気のせいか。

今、隊長に呼ばれた気がしたけど、何を思っているんだ私は…………

隊長はもう、天の世界に帰ったというのに)

 

 

 

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あとがき

 

ここまで読んでもらって、ありがとうございます!!

 

いやぁ、頭の中では構想はできてるんですが、なかなか思った通りの文になりません。

 

次の話はだいだい出来てはいるんですが……ww

 

頑張りますので 優しいコメントを書き込んでください(笑)

 

 

 

説明
はいはい、皆さまお待たせしました!!
待望?の2話です。
あまり期待しないで見てくださいね(笑)
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コメント
記憶喪失?(VVV計画の被験者)
春蘭がすごく可愛かったです。魏は・・・今日も平和ですw(ブックマン)
皆さま、コメントして頂きありがとうございます!nanashiの人 さん、ハイドラ さん、ご指摘ありがとうございます!!これからもがんばっていきたいと思いますので、皆さまよろしくです!!(mighty)
一刀が帰還した後のSSは色々読みましたが、春蘭の「一刀がいつでも帰ってきても良いように、ちゃんとしたのを作りたいからな」のくだりは何か心打たれる感じがします。こういう春蘭も新鮮でいいですね。(kurei)
色々意欲的で良いと思います。作る楽しさが伝わってきます。応援してます! 頑張ってください♪(flowen)
続・炸裂!怒りの時限爆弾だな・・・春蘭改心したのかな・・・呼び方が北郷から一刀になっている(ほわちゃーなマリア)
おおっと!一部の人とは私のことかな?(ヒトヤ)
さぁさぁどうーなる?!(りばーす)
うん ずいぶんと読みやすくなったと思うよ あと特に目立つのは”。」”かな 台詞の最後”。」”の部分は”」”だけというのがお約束ってくらい あとがきを深読みして斜め上の暴投を敢行wただのナンパな街人青年Aがいきなり凪の真名を呼んでフルボッコに100ルピア(^ω^)(nanashiの人)
転生ネタかな?(摩天楼銀河)
最後の人はまさか・・・  続きが気になります!!(キラ・リョウ)
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真・恋姫無双 魏エンド 春蘭 秋蘭 華琳  

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