バンダイ 1/35 イ
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説明
2022年6月完成

過ぎし日の 夜の砂漠の 影法師
容姿(すがた)さも見ん 今赫赫と

―影法師―

ガサラキを評することは難しいと思います
ガサラキとは1998年から1999年にかけて全25話が放映されたサンライズ制作のTVアニメであり90年代に後半に流行ったエヴァの影響下にあるロボアニメであることは間違いないのですが、その内容は政治軍事伝奇SF前世自分探しボーイミーツガールものとでも言うものでありそれ故評価が難しいものの、凡百の同世代作品とは違い高橋良輔監督のお好みのソースを全部ブチ込んで煮詰めたようなテイストになったその味わいは今に至るまで無二であり続けています
そのため私の中ではある面ではエヴァよりインパクトがあるアニメなので話すとキリがないのですが、高橋監督並び野崎透・谷口悟朗・出渕裕・荒牧伸志といったその筋の実力者たちが全精力を傾けたメカ描写は当時のアニメとしては出色の出来であり、私が昔製作した自主制作セカイ系ロボットアニメでも影響を受けている点がいくつかあります
そんな全25話の中でも特に第3話の米軍を中心とする多国籍軍の戦車部隊をイシュタルMk-IIが襲撃するシーンが本当に印象深く、今にして見ればギュンギュン旋回するLOSATミサイル、三点バースト射撃をするM8空挺戦車、連合しない諸兵科と疑問点は多いのですが、しかし当時のアニメとしては圧倒的にリアルでスピーディーな戦闘の描写に完全に心を掴まれました(※1)
冒頭のガサラキポエムもどきもこのシーンを念頭に置いたもので、作中で潜入ミッションが多いイシュタルを影法師と表現したけどいかがでしょう

それで今回の主題であるイシュタルMk-IIとは主人公らの特務自衛隊と対立する秘密組織・シンボルが開発した全高4.6mの戦闘ロボ(デザインは荒牧伸志)のことです
米軍のM1戦車の砲塔そっくりな頭、戦車の後部のような背中と実在の兵器をモチーフにしたデザインを持ちながら細長い手足を持ち、ともすればアンバランスになりがちな逆三角形のプロポーションを持ちつつも豊富な兵装を駆使して画面を所狭しとダイナミックに走り回る姿はどちらかといえば将棋のようにコツコツと工夫を積み重ねる動きをする主人公機といい対照になっていました
このイシュタルは放送当時主人公勢が乗る17式TA雷電、17式改TA震電とともに1/35スケールプラモがバンダイから発売され、当時はガンプラは平成ガンダムの1/144シリーズの定価500〜700円程度の商品が主流であった中、ガサラキシリーズはちょっとボリュームがある体型で1000円と少し高価でした
このガサラキプラモは当時の模型誌では造形がシャープなどと高く評価されており確かによくできていることは間違いないのですが、イシュタルは17式よりも少しシャープさに欠ける印象でした
また付属する装備も65mm機関砲(今回右肩についているやつ)といかにもアニメメカ然としたハサミ状のクロ―であるところのギロチン(劇中名称)だけであり、劇中で多彩な装備を駆使して戦ったイシュタルの魅力を伝えるにはいささか不足感が否めず、大好きなのに昔パチ組した以上のことはせず、各種装備の作成に目処がたった今回の製作に至りました
そういうわけで模型は下記の通り手を加えました

・装備品
一旦本体を組み立てて前面・側面を撮影し、それを下絵に装備品を設定画や画面キャプ・電撃ホビーマガジン99年4月号を見ながらFusion360で作図、3Dプリンタで出力です
よく模型誌のフルスクラッチ記事でライターが「ポリパテからの削り出しです。他に書くことはありません」とか描いてあって物足りない気分になったものですが、今はそのライターと全く同じ気持ちです
あえて言うなら一番難しかったのが脚のサンドバリアで、本体部品と三次元的に組みあう形状なので二回試作を繰り返し満足行く形状に
ただもともとのイシュタルの足首関節の蛇腹風のデザインがあまり好きじゃなかったのでちょうどいいかもしれません(上半身のボリュームに下半身が負けないようになったし)
LOSATミサイルは開閉両方作って挿し替えで射撃時を表現

・本体
頭部の前面装甲が出すぎ・角度が付きすぎなので上端で1mm、下端で2mm短縮しつつ角度を直角に近づける
頭部脇のスモークディスチャージャーをつけると肩の装甲に当たるので回転しながら取り付けることができなくなるのでボールジョイント接続に変更
これで取り付けは問題なくなりましたがいずれにしても回転はほとんどできません
肘関節はガンプラのポリキャップを流用したこともありポリむき出しでしかも本体がガンプラよりもでかいこともあり貧弱なので全体をカバー
ロール軸がなくなるので上腕の黒い部品とアイボリーの部品の分割部で回転可動を追加
手首はキットが貧弱だったので市販パーツを切ったり貼ったりして整形
なんかロボというより人間が皮手袋をしているような生々しい感じになったと思いますが、スパイ活動をよくするイシュタルって結構不気味な面もあるからこれはこれで似合ってると思います
サンドバリアのせいで足首の可動が死ぬので股関節ジョイントを上から見てV字に角度をつけて再接着し脚を開いたポーズを付けやすいように
併せて当たる部分を削ったり大腿部の上のアーマー?の接続を真鍮線に変更して回転するように

・塗装
アニメロボの仕上げをしたこと殆どないので塩梅に悩みましたがイシュタルは何度か多国籍軍と戦っているようなのでハゲ多めで表現
戦闘ロボがガッツンガッツンどつき合いをしながら戦うと破損はせずとも全身傷だらけになると思いますが、その話を作中で直截的に表現しているのはシドニアの騎士くらいでしょうか
65mm機関砲は設定の色分けに違和感があったのでグレーとアイボリーの部分を反対にしました
あと背部のテールランプ的な部分は本編では塗ってあったり本体の色と同じだったりしますが模型的な見栄え重視で自動車っぽく塗装
機番のIX号機は本編とは特に関係ありませんがエンディングのMessage #9から(※4)

初めて放送を見てから23年(※2)たった令和4年、その第3話の装備でイシュタルをようやく立体化してスッキリ自分なりに消化・昇華できたかなと思います
それにしてもイシュタルを作ってる間にサンライズ公式youtubeで1話から配信してたのですが、なんで13話で止めちゃうの!(※3)

※1関係ないけどこのエピソードの主題である天気輪が出てくるシーンでの主人公の妹のセリフと、その後11話での安宅大尉との会話(オフィーリア〜)を突き合わせると日曜の朝のアニメとしては正気を疑う内容となります
※2うちはアニメ過疎地域なのでガサラキは深夜の再放送でしかやっておらず、初めて深夜テレビの前で座って見たアニメでした
※3今見たら全話レンタルになってました。むむむー
※4今ガサラキ見返したらIX号機は第24話の豪和ビル攻防戦でクロス3のコールサイン(玄関先での戦闘の2機のうちでHESH撃つ方)で出てた!
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コメント
コメントありがとうございます!いきなりなんの説明もなくHESHとかセリフ出す野崎透の脚本ってヤバいですよね(語彙力)。もう少しロボの活躍を見たかったのもやまやまですが、基本あんまり強くないから出番が限られるし、いざ出てきたときの緊張感が出るのであんなもんかなとも思います。西田啓もそうですけど、特自やら豪和家のサブキャラがみんなパワフルで人間味にあふれているのも魅力ですね(そして主人公の影が薄くなる)(branz01)
はじめまして、branz01さん。 素晴らしい作品眼福です。 野崎透さんの影響でしょうか専門用語オンパレードの背景セリフがある画作りは、その背景セリフを含む映像を読み解くのが好きで何度もビデオを見直しました。 関節を伸ばしながら回避中心でMBTと対峙したり、各パイロットをモニターしながら必要とあらば薬剤投与するシーンは当時衝撃を受けました。 多分、ロボット兵器を兵器として描写した作品では屈指の出来だと思いますが、その兵器が全然活躍しなかったのが大変残念なところです。 あと、もう一人の主人公西田さんというキャラもこの作品の大きな魅力ですね。(okifuji)
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1/35 3Dプリント バンダイ ガサラキ イシュタル 

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