英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
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同日、AM9:20――――――

 

エリオット達が帝都への潜入の為に地下道に突入したその頃、メンフィル帝国の戦艦―――――”ヴァリアント”とレボリューション、カレイジャス、そして肆(よん)、伍(ご)、玖(きゅう)、拾壱(じゅういち)の4機の”メルカパ”が帝都上空に浮かんでいる巨大な浮遊要塞にして”裏の最終決戦の地”――――――”幻想機動要塞(トゥアハ=デ=ダナーン)”へと向かい、ヴァリアントとレボリューションが空中要塞に着陸した。着陸した戦艦と飛行艇からはメンフィル帝国軍やリィン達が現れてそれぞれ出陣の準備を開始していた。

 

〜幻想機動要塞〜

 

「…………………………」

周囲を見回したリィンは目を伏せて黙り込み

「今頃地上では”表の最終決戦”が始まり、激戦が繰り広げられているだろうな。」

「はい。殿下達は”先鋒軍”に帝都を守る”第四”に戦闘前に3度の降伏を促す事を指示されていましたが………残念ではありますが、”今の第四はどのような劣勢な状況であろうと、総指揮権を持つオズボーン元宰相が討たれるまで最後の一兵になっても抵抗し続ける意思は固い”でしょうから、”表の最終決戦”の結果は帝都に潜入する”紅き翼”のメンバー次第になるかと。」

静かな表情で呟いたディミトリの推測にミュゼは頷いて答えた。

「しかし何だかんだ言って、灰獅子隊(おれたち)が全員揃って同じ目的に挑むのはこれが初めてになるよな?」

「そうね。灰獅子隊を結成して以降は作戦の関係で、それぞれ別動隊に分かれて行動していたものね。」

苦笑しながら呟いたクロードの言葉にエーデルガルトは静かな表情で頷いて答え

「それにしても、灰獅子隊結成時はまさか私達が”世界大戦の真の最終決戦に挑む立場”になる事もそうですが、私達の将来も想像できませんでしたね。」

「それと僕達メンフィル軍以外の関係者――――――ルシエル殿達が仲間になって、今後も様々な形で協力し合う関係になった事もだね。」

「しかも全て”灰獅子隊の結成を考えたセシリア教官の想定通りの展開になっている”から、改めて私達の担当教官の凄さを思い知ったね。」

「ええ。ですが、最終決戦の相手が相手ですから、幾らこちらが優勢の状況であろうとも、気を抜ける相手ではありませんから、教官の教えの一つである”どれだけ優勢な状況であろうとも、決して気を抜くな”も必ず守りましょう。」

「相手はかつてのエレボニアの大英雄にして世界を”終焉”に導こうとしている”全ての元凶”……私達の全身全霊を持って挑まなければならない相手ですね。」

「そこに加えて”死兵”と化した”氷の乙女”率いる鉄道憲兵隊も間違いなく阻んでくるだろうから、最終決戦の場に辿り着く前の”前哨戦”も決して油断できん。」

それぞれ静かな笑みを浮かべて呟いたイングリットとフランツの言葉に続くようにアメリアは苦笑しながら答え、ステラ、リシテア、ドゥドゥーはそれぞれ表情を引き締めて仲間達に忠告した。

 

「やれやれ、お前達、揃いも揃って固くなりすぎだぜ。昔の黒獅子の学級(おまえたち)ならともかく、今のお前達にはお前達一番の出世頭でもある後輩将軍殿の性格のお陰で”天使”に”飛天魔”、”魔神”に加えて”女神”まで味方にいるんだぜ?しかもそこに”化物(ばけもの)”揃いのメンフィル(うち)の将軍や皇族の中でもトップクラスの化物のゼルギウス将軍閣下とシグルーン中将閣下、リフィア皇女殿下にエレボニアの二大武門を極めるみたいなまさに化物じみた偉業を成した”黄金の羅刹”、リウイ陛下達と同じ”メンフィルの生ける伝説”にしてエレボニアにとっても俺達がこれから挑む相手と並ぶ”大英雄”が加勢してくれている上、最後の戦いではこの世界にとっては唯一神でもある”空の女神”もそうだがリウイ陛下達すらも超える実力の持ち主のあの”神殺し”やその仲間達も加勢してくれるって話なんだから、相手に対してこっちは”優勢”どころか”戦力過剰”と言っても同然の状態なんだから、いつも通りのゆる〜い空気で行こうぜ?」

「いつも弛んでいるのは貴様だけだ。こんな時くらい、まともな声援を送る事ができないのか、貴様は。」

「しかも最初からリフィア皇女殿下達もそうだが、我が国の所属ではない協力者の方達任せのその考えは幾ら何でもどうかと思うぞ。」

「全く……君がリィン達の緊張を解そうとしている事は私達も理解しているが、もう少しマシな言い方ができないのか、君は。」

「フフッ、だけどフォルデ君らしい言い方だからこそ、最終決戦で緊張しているリィン君達も”いつも通りの空気”になれるのだと思うわよ。」

溜息を吐いた後口元に笑みを浮かべて声をかけたフォルデの言葉にリィン達がそれぞれ冷や汗をかいて脱力している中カイルは顔に青筋を立ててフォルデに指摘し、それぞれ呆れた表情で呟いたローレンツとフェルディナントにドロテアは微笑みながら答えた。

「ハハ……確かにフォルデ先輩の仰る通り、今の俺達には心強い仲間がたくさんいますね。」

一方リィンは苦笑した後プリネ達――――――黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)出身の者達以外の面々を見回した。

 

「わたくしはお兄様のパートナードラゴンとして……そしてお兄様と共にいる唯一の”Z組”の一員として、いつまでもお兄様達を支えますわ。」

「内戦では何の御力にもなれませんでしたが、この戦争は最後まで兄様の妹として、その背中を守り、支えます……!」

「私も姉様と同じです。そして全てが終わった後、父様達に私達は誰一人欠ける事なく乗り越える事ができた事を報告しに行きましょう……!」

「”アルノール”の血を引く者として、遥か昔よりエレボニアに巣食う”呪い”を断つ為………そして何よりもわたくしの大切な人達を守る為にも、いつまでもお供致しますわ。」

「ふふっ、この世界大戦の幕を閉じ、そしてエレボニアを生まれ変わらせる為の”最後の一手”……必ず成しましょう。」

「わたしもわたしの大切な人達を失わせない為にも、例えどんな強大な相手であろうとリィンさん達を守ります……!」

「フッ、ヴァイスラントの”将”として、ミルディーヌ様をお守りする”騎士”として、我が剣、存分に震わせてもらおう。」

「”ヴァンダール”の一員としての役目を果たす為……そして僕が命を懸けてお守りすると誓った皇太子殿下の未来の為にも、どうか最後までお供させて下さい!」

「この戦争での私達の役目を最後まで果たす為……祖国を正そうとする殿下達の為にも、現当主マテウスに代わり、”ヴァンダール”の”破邪顕正”を示させて頂きます。」

それぞれ順番にリィンに視線を向けられたセレーネ、エリゼ、エリス、アルフィン、ミュゼ、アルティナ、オーレリア将軍、クルト、オリエはそれぞれの決意の言葉を口にした。

 

「うふふ、こっちの戦力は圧倒的なんだから、それぞれの未来の為にもさっさと終わらせちゃいましょう♪」

「エヴリーヌ達の力、敵に思い知らせてエヴリーヌ達の敵になった事、心から後悔させてやるよ、キャハッ♪」

「まさか私の不用意な言葉を切っ掛けでリィンさん達をここまで辿り着かせる事になるとは夢にも思いませんでした……その責任を果たす為に、メンフィル皇女の一人としての責務を果たす為にも私の全身全霊をもってリィンさん達の御力になりましょう。」

「カリンを2度と失わない為、”ハーメルの惨劇”の”元凶”に復讐する為にも、存分に剣を振るわせてもらおう。」

「マスターのパートナードラゴンとして、そしてセレーネの姉としてセレーネの幸せの為にも、あたしもマスター達と共に皆さんの御力になりましょう。」

セレーネ達に続くようにレンとエヴリーヌは不敵な笑みを浮かべ、プリネとレーヴェ、ツーヤはそれぞれ静かな笑みを浮かべてそれぞれの決意を口にし

「私達に加えて至高の武の存在たるマスターも加勢しているのです。そんな私達と貴方達が共闘すれば”最終決戦如き”、余裕ですわ!」

「ふふっ、相手にとって不足はないわ。それに”過去の鉄騎隊”を知る大英雄に”現代の鉄騎隊”の”力”を思い知らせるいい機会でもあるわ。」

「”槍の聖女”たるマスターより薫陶を受けた”現代の鉄騎隊”たる”鉄機隊”の名にかけて、其方達を必ず勝利に導いてみせよう!」

「私(シルフィア)に後を託した”彼女(リアンヌ)”の悲願を叶えるため……そして再びお会いする事ができた陛下達の未来の為にも、全力で貴方達の力となりましょう。」

「1200年前から今まで続いてきた先祖達の過ちによって生まれた因縁を断つ為……今は亡き友の悲願を叶える為にも、妾も全力でヌシ達の力になる故、大船に乗ったつもりでいるとよいぞ!」

デュバリィは勝ち誇った笑みを浮かべ、エンネアとアイネスはそれぞれ口元に笑みを浮かべ、リアンヌとローゼリアは静かな笑みを浮かべてそれぞれの決意の言葉を口にした。

 

「ここが正念場ですね。リィン様の望みを叶える為にも、道を阻む者は排除します。この!リィン様の忠実なる天使にして”賢将”であるルシエルが!それを成します!」

「リィン様と共に生きるこの世界から意味のない争いを失くすために、リィン様の”勇将”たるこのベアトリースがこの戦場を制して見せる!」

「未来永劫語られる事になる世界大戦の”真の最終決戦”………こんな一生に一度体験できるかどうかわからない最高に面白い戦いに参加させてもらった礼は、”真の最終決戦での死合い”で返させてもらうから大船に乗ったつもりでいるといいかな。」

「”斑鳩”の力を示す為……姫専属の従者として、敵が何者であろうと我が”朧月流”で滅するのみ。」

ルシエルとベアトリースはそれぞれ決意の表情で、シズナは不敵な笑みを浮かべ、クロガネは静かな様子でそれぞれの決意を口にした。

「うむ、皆、気合は十分だな!という訳でリィン、余達や皆への号令はお主に任せる。」

「ええっ!?お言葉ではありますが、リフィア殿下を差し置いて自分が号令をかけるのは、幾ら何でも分不相応だと思われるのですが……」

それぞれの決意を口にした仲間達を見回したリフィアはリィンにある提案をし、リフィアの提案に驚いたリィンは謙遜した様子で答えたが

「フフ、殿下はこの場での号令は貴方の方が相応しいと判断されたのですから、遠慮する必要はありませんよ。」

「気負う必要はない。いつも通りのお前らしい号令を仲間達や私達にかけるといい。」

「……………………――――――了解しました。」

苦笑を浮かべているシグルーンと静かな笑みを浮かべているゼルギウスの言葉を聞くと少しの間目を閉じて考えた後やがて目を見開いて了承の答えを口にした後仲間達が見守っている中、前に出て仲間達の方へと振り向いて決戦前の言葉を口にした。

 

「――――――灰獅子隊総員並びに協力者総員、そしてリフィア皇女親衛隊総員。これより最終ミッションを始める。討伐対象は”獅子心帝”ドライケルス・ライゼ・アルノールの生まれ変わりたる”鉄血宰相”ギリアス・オズボーンに全ての元凶たる”黒の騎神イシュメルガ”。――――――俺がみんなに言っておきたいのはハーケン平原での大戦の時と変わらずこれだけだ。……誰も死ぬな!誰一人欠ける事なくみんなでこの大戦を乗り越えた先にある未来を共に歩む為にも、最後まで油断せず、もてる力の全てをだしきって……この世界大戦に終止符を打とう!――――――絶対に誰も死なさずに勝つぞ!」

「オオオオオオオオォォォォォォォォオオオオオオオオ――――――ッ!!」

神剣アイドスを天へと掲げたリィンの大号令に対してその場にいる全員はそれぞれの武器を天へと掲げて力強い答えを口にした。

「作戦開始(オープンコンバット)!全軍、幻想機動要塞の攻略を開始せよっ!!」

「オオオオオオオオオォォォォォォォォオオオオオオオオオ――――――ッ!!」

そして神剣を自分達が進む先へと向けたリィンの力強い号令に答えたその場にいる全員は幻想機動要塞の攻略を開始した。

 

時折道を阻む魔獣や人形兵器、幻獣は今まで戦ってきたのとは比べ物にならないくらい強さを持っていたが、大戦を乗り越えた事で大きく成長し、更に連携力も高まったリィン達灰獅子隊に加えて達人(マスター)クラスばかりの協力者達、そして精強なメンフィル軍でも精鋭を誇るリフィア皇女親衛隊にとっては大した脅威ではなく、リィン達は協力して破竹の勢いで要塞を攻略し続けて行くとクレア少佐率いる鉄道憲兵隊が迎撃態勢を取ってリィン達を待ち構えていた。

 

「―――――お待ちしておりました、皆さん。」

「あの方は……」

「クレア少佐……」

リィン達と対峙したクレア少佐は静かな表情で呟いてリィン達を見つめ、クレア少佐を目にしたアルフィンとセレーネはそれぞれ複雑そうな表情を浮かべ

「戦力は明らかにそちらが劣勢になる事は貴女なら簡単に想定できたでしょうに、罠や策も用意せず正面衝突で決着をつけようとするとは、随分と貴女らしくありませんね、クレアさん。」

「ヴァンダイク元帥閣下を始めとした多くの将校たちに加えて戦力の大半まで失ってしまった今の状況で小細工等無意味ですし………それに今のリィンさん達に小細工をすれば、逆にその小細工を利用される可能性の方が高かったですし……何よりも、宰相閣下と運命を共にすると決めた彼らの最後の贐(はなむけ)の為にもエレボニア帝国軍の一員として誇れる最後の意地を示す戦いにしたいのです。」

「”エレボニア帝国軍の一員として誇れる最後の意地を示す戦いにしたい”という事は……」

「――――――やはり降伏の意志は一切ないようですね。」

「主に殉じて死に急ぐ馬鹿者共が………祖国を敗戦による衰退へと追いやってしまった事に責任を感じているのならば、何故生きて償う事ではなく死んで償う事を選ぶのじゃ……」

リィンの指摘に対してクレア少佐の答えを聞いてある事を察したデュバリィは真剣な表情を浮かべ、リアンヌは静かな表情で推測を口にし、ローゼリアは複雑そうな表情でクレア少佐達を見つめて嘆きの言葉を口にした。

 

「……貴女達も既に状況は理解しているとは思いますが、一応投降宣告だけは行っておきます。―――ハーケン平原での”大戦”後、リベールにて開催された”西ゼムリア通商会議”でエレボニアの代表者として参加なされたセドリック皇太子殿下並びにオリヴァルト皇子殿下がこの世界大戦でのエレボニアの敗戦を正式に認め、メンフィル・クロスベル連合並びにリベールが要求した賠償内容を全面的に承諾する代わりに各国がエレボニアとの和解をするという形でこの世界大戦は既に終結する事が決定し、この事実は無事手術を終えられたユーゲント皇帝陛下にも伝えられ、ユーゲント皇帝陛下もその事実を受け入れました。また、”旧エレボニア政府”の代表者であるオズボーン宰相はレーグニッツ知事閣下を代表とする”新エレボニア政府”並びにアルノール皇家全員の権限によって既にその地位は剥奪され、更にエレボニアを含めた各国のVIP達全員の総意によっててS級テロリスト認定されています。既に貴女達の指揮権を失い、祖国(エレボニア)――――――いえ、世界に仇名すテロリストであるギリアス・オズボーンに貴女達がこれ以上従う必要はありません。――――――直ちに武器を捨て、投降してください。双方これ以上の犠牲者を出す事はユーゲント皇帝陛下達は心から望んでいなく、投降すれば貴女達の身の安全を保証するとの事です。」

「リィンさんの仰る通り、どうか投降してください、クレアさん!内戦とこの世界大戦で疲弊したエレボニアを立て直す為にも、貴女達の協力も必要なのですわ!」

「姫様……」

リィンのクレア少佐達に向けた宣告に続くようにアルフィンも懇願するような表情でクレア少佐達に投降を促し、アルフィンの様子をエリスは辛そうな表情で見つめていた。

「お二人とも、こんな状況になってもなお、私達を気遣って頂いた事、心より感謝致します。――――――ですが、”これ”が私の……いえ、”私とレクターさんの最後の役目”でもあるのです。」

「”リーヴェルト少佐とアランドール少佐の最後の役目”とは一体……」

「恐らくは帝国の呪いと連動した因果律の制御者にして番人………”黄昏”というお伽噺が割り当てた斃される前提の守護者を務める事なのでしょう。」

クレア少佐の話を聞いてある部分が気になったクルトの疑問に対してミュゼが自身の推測を答えた。

 

「はい、それが私とレクターさんの”最後の役目”でした。大戦によって燃え盛る闘争の焔と要塞を連動させる火口(ひぐち)……最も、霊脈が遮断されるというイレギュラーによってその”最後の役目”もどこまで果たせるかわかりませんが………そう易々と斃されるつもりはありません。」

ミュゼの推測に頷いて答えたクレア少佐が一瞬目を閉じて目を見開くとクレア少佐の目に魔法陣が顕現し、更にクレア少佐を含めた鉄道憲兵隊達の足元から漆黒の瘴気が現れた。

「あれは………」

「フフ、なるほど。どうやら言葉通り、彼女達はこの幻想要塞そのものと連動しているようだね。」

クレア少佐達の様子を見て何かに気づいたクロガネは驚き、シズナは興味ありげな様子でクレア少佐達を見つめてクレア少佐達の状態を分析した。

「私達を乗り越えない限り、幻想要塞の道は開けないでしょう。ですから遠慮はいりません。そちらの全戦力の投入もそうですが、騎神や機甲兵もどうぞご自由に。………私達を圧倒しつつ斃せば火口の役目も弱められるでしょうから。」

「少佐……」

「どうしてそこまで……」

クレア少佐の覚悟を知ったアルティナとセレーネは辛そうな表情でクレア少佐を見つめた。

 

「………わかりました。――――――これより、鉄道憲兵隊の制圧を開始する!ルシエル!」

「はい!エーデルガルト隊、ドゥドゥー隊、カイル隊は防御陣形で前に!リシテア隊とドロテア隊は支援魔法で重装兵達の防御を更に固めなさい!アメリア隊、クロード隊は援護射撃を行いなさい!」

「イエス・マム!!」

クレア少佐の決意を知ってクレア少佐達と戦う事を決意したリィンは号令をかけた後ルシエルに声をかけ、声をかけられたルシエルは指示を出し始め

「鉄道憲兵隊、戦闘開始(オープンコンバット)!例えどれ程の強敵であろうとも、鉄道憲兵隊――――――いえ、”エレボニア帝国軍の意地”を彼らに示してあげなさい!」

「イエス・マム!!」

対するクレア少佐も号令をかけてリィン達との戦闘を開始した。

 

〜カレイジャス・ブリッジ〜

 

「クレア………」

「打合せ通り、リィン様達は最初は防御主体の戦術で迎撃して下さっていますわね。」

「ああ……だが、氷の乙女率いる鉄道憲兵隊相手に防御主体の戦術がいつまでも通じない事はリィン達もわかっているだろうから、早急に俺達が氷の乙女との勝負をつけないとリィン達は攻勢に出て鉄道憲兵隊を”虐殺”といってもおかしくない圧倒的な力で殲滅するだろうな。」

「ただでさえ灰獅子隊の面々はリィン君も含めてこの戦争で大きく成長してとんでもない使い手揃いになったのに、そこに加えてかつてドライケルス帝を支えた二人にリフィア殿下達、そして”黄金の羅刹”であるオーレリア将軍まで加勢しているんだから、リィン君達がその気になれば冗談抜きでクレア少佐達を圧倒して殲滅できるだろうねぇ。」

「そんなこと、私達が絶対にさせる訳にはいきません……!」

「はい……!これ以上の犠牲者を出さない為にも絶対に僕達の手でクレア少佐を止めましょう……!」

「準備はできてるかしら!?エマ、セリーヌ!」

クレア少佐達の様子をモニターで見ていたミリアムが辛そうな表情を浮かべている中真剣な表情で呟いたシャロンの言葉に頷いたミュラー少佐の推測に続くようにオリヴァルト皇子は疲れた表情で呟き、アリサとセドリックは決意の表情で呟き、サラは真剣な表情でエマとセリーヌに声をかけ

「はい、いつでも転位は可能です!」

「念の為に確認するけど二手に分かれて氷の乙女を挟み撃ちする形での転位でいいのよね!?」

「うん!みんな!転位した瞬間戦闘が始まるけど、覚悟はできているよね!?」

「おおっ!!」

「皆さん、頑張って下さい!それと必ず全員無事に戻ってきてくださいね!」

サラの確認に魔導杖を構えて魔術の発動準備を終えたエマが答え、エマと共に魔術の発動準備を終えたセリーヌの確認の言葉に頷いたトワは仲間達に号令をかけ、トワの号令に仲間達が力強く答えるとエマとセリーヌの転位魔術によって転位し、ティータは転位するトワ達に応援の言葉をかけた。

 

〜少し前・幻想機動要塞〜

 

「こちらの攻撃は支援魔法(アーツ)で更に防御を固めた重装兵達で防いでいるにも関わらず、反撃は後方からの遠距離攻撃のみ……?リィンさん達は一体何を狙って――――――!」

トワ達が転位してくる少し前鉄道憲兵隊がリィン達との戦闘を繰り広げている中、リィン達の反撃力が弱い事に違和感を感じていたクレア少佐がリィン達の目的を推測しようとしたその時クレア少佐を左右から挟み撃ちするかのように転位の光が現れ、転位の光に気づいたクレア少佐は血相を変えて身構えると転位の光が消えるとトワ達紅き翼の面々が現れた!

「なっ!?あ、”紅き翼”!?」

「そ、それに皇太子殿下やオリヴァルト皇子殿下、”光の剣匠”まで……!」

「くっ……”灰色の騎士”達はこちらの戦力の大半を惹きつける為の囮で、本命はリーヴェルト少佐の早期制圧か……!」

「まさか”紅き翼”が”灰色の騎士”達と手を組むとは……!」

「少佐を守れ……!」

トワ達の登場に気づいて驚いた鉄道憲兵隊の隊員の一部はクレア少佐を守るようにそれぞれクレア少佐の周囲に移動してそれぞれの武装を構え

 

「ハッ、ハーケン平原の大戦を終わらせた方法の2番煎じってのは気に入らねぇが、とっとと終わらせるぞ!」

「彼女を守る憲兵達は我ら”協力者達”に任せよ!」

「はい、父上……!」

「速攻で決めるよ……!」

アッシュは鼻を鳴らしてクレア少佐達を睨み、アルゼイド子爵の言葉にラウラは頷き、フィーは決意の表情で仲間達に声をかけ

「Z組A班、クレア少佐の制圧を開始するよっ!!」

「向こうも意地を見せているんだから、俺達もZ組の意地を見せてやるぞ……!」

「おおっ!!」

「本気で行くよ、クレア〜!」

「ミリアムちゃん………フフ、これも運命でしょうね。総員、紅き翼の迎撃を!」

「イエス・マム!!」

トワとクロウの号令に仲間達が力強く答えた後ミリアムは決意の表情でクレア少佐に声をかけた後クレア少佐達へと突撃し、辛そうな表情でミリアムを見つめていたクレア少佐は寂しげな笑みを浮かべた後周囲の憲兵隊に号令をかけて突撃してくるトワ達の迎撃を開始した。一方その頃紅き翼とクレア少佐達の戦闘が始まるとカレイジャスの周囲に待機していた4機のメルカバの内セリカ達が乗船しているメルカバ伍号機は要塞の左翼方面に、ロイド達とジェダル達が乗船しているメルカバ玖号機は要塞の右翼方面へと向かい始めた――――――

 

 

 

 

説明
第154話
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他エウシュリーキャラも登場 他作品技あり 幻燐の姫将軍 空を仰ぎて雲高くキャラ特別出演 閃の軌跡 

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