おい森短編 「母よりレター7」
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 >Foretへ。

 >運動は、軽めでいいから、続けよう。

 >毎日自分に、言い聞かせる。

 >スポーツの秋ですもの。 母。

 

 

 九月ももう終わりに近づき、木々の葉の色が段々色づいてきた。

 これがあと一二ヶ月もすると、赤や黄色の落ち葉となって、地面に舞い降りて、落ち葉の絨毯を作るのだろう。

 あの夏の暑さが嘘のように、今日はなんだか肌寒いように感じたフォレは、以前、グレースさんから頂いたなつみかんの服の上に、薄手の上着を羽織って、出かけることにした。

 ひんやりとした空気が肌を撫でる。

 特に目的もなく、ただ村を歩くというのも、楽しいと知ったのは、最近のことだ。

 踏みしめていく草は、青々茂っていた頃の柔らかさは無く、もうじき枯草になることを予感させた。

 秋と言われて、頭に浮かぶのは、芸術の秋、読書の秋、食欲の秋、味覚の秋、行楽の秋、落葉の秋…などなど、出てくる言葉は人それぞれだろう。

 また、春と同じく過ごしやすい季節でもあり、冬に備えていろんなことをしておく時期でもある。

 といっても衣替えにはまだ少し早く、趣味の時間を作るにしても、フォレの趣味は同居人のアニーと違ってインドア系のものが多く、ほとんど家の中に閉じこもりがちになってしまう。

 これはいけない。と思い、○○の秋にちなんで、アウトドア系の趣味をしようと色々考えていたのだが、結局何をするべきか分からないでいた。

 しかし、つい先日。

 母から届いた手紙の一文に、その答えがあった。

 スポーツの秋。

 フォレはこの発想はなかったな、と、驚きつつ、軽めのものをということで、ウォーキングを選んだ。

 そしてそれは正解だった。

 もともと運動が苦手なフォレには、村の端から端までのランニングはキツイとかいうレベルではなく――実際に、アニーは運動…というか筋肉? が好きなモモチさんと共に、このところ毎朝どちらが早く村を三周できるか、などという勝負をしており、今のところ勝ち越しも負け越しもしていない均衡状態が続いている――釣りや、虫取りも運動と言えば運動にはなるのだろうが、どちらかというとそれらは、趣味というより、お金を稼いだり、食料の調達の際に用いる手段と考えているので、出来ればもうちょっと生活云々から離れたのんびりとした時間の使い方をしたいと思っていたのだ。

 (時々思うけど、お母さんって超能力者なのかしら…?)

 定期的に送られてくる手紙には、時折、こちらの考えや悩みを知っているかのような内容が書かれていることがあって、よく驚かされる。

 不思議だな、と思いながら、また秋空の下、秋色に染まっていく村の様子を楽しみながら、フォレは歩いて行った。

説明
DS版のおい森にて、たまに送られてくる母よりレター、それをテーマにした短編です。基本的に一話完結なので、番号に関しては特に関係ありません。

2011年9月24日 11:34にPixivで投稿したものをこちらにも再掲。
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