『啓蟄』は「春分の日」の前日までが啓蟄といわれる。 2025年は 3月5日の08:07からが啓蟄になるそうだ。啓蟄とは、大地が温まり、冬眠をしていた虫達が穴から出てくるという気持ち悪い意味である。「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されている。虫といっても変態な昆虫ではなく、制御された低代謝を"休眠"、24時間以内の休眠を"日内休眠"、季節性の休眠を"冬眠"と呼ぶことから、むしろハ虫類や両生類の方が冬眠と呼ぶにふさわしいと思う。カエルやヘビも漢字であらわすと、蛙や蛇には虫がついているから啓蟄仲間なのだ。 例えば、草花が咲きはじめる春の初めに、ヒキガエルがいっせいに土の中から出てくるという。土の温度が6℃より高くなると、冬眠から目覚めるらしい。カエルは起き出すといっせいに歩き始め、産卵のために池を目指す。林の中や道路をこえて、数百メートルも移動するそうだ。カエルの卵は、水中でしか育たないから、池に向かって歩くのだ。ヒキガエルは、必ず自分が生まれた池にもどる性質があるらしい。そのため、周囲のカエルが一斉に池に集まってくる。カエルは産卵を終えるとすぐに各々林へ戻っていく。先日の土、日曜日は暖かだったから、うっかり目を覚ましたカエルちゃんは寒くなり驚いたと思う。でも心配はいらないようだ。寒いと再び冬眠できるから、池に着く途中でまた土中に潜り込むだろう。変温動物は気温が下がると体温も低下して自動的に休眠状態になるそうなのだ。 二度寝は幸せだ。本当は柳の若芽が芽吹き、ふきのとうの花が咲くころ、早咲きの桜が咲いて、沈丁花の香りが漂い、まだ冷たい池に手を入れると、カエルの卵のゼリーに触れる…… 五感で春めいてきたなぁと言いたいのだが、今日も寒いから蒲団にくるまって、また冬眠気分を味わおう。カエルの卵は触りたくない。 |