メイレス ソウライ | 次 |
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境界戦機外伝-『糾弾の機動兵器』 「ごめんなさいは?」 関東某所、アジア自由貿易協商統治区域との境界を目前に据えた北米同盟の哨戒基地。 今宵の惨劇の舞台はここだった。 月明かりに照らされた人型機動兵器“AMAIN”が、片膝をついて煙を上げる敵機を見下ろしている。 獣脚のような特徴的な脚部を持つ機体が、未だわずかに駆動音を響かせる鉄塊を足蹴にしていた。 「このドグサレが!殺されたくなかったら泣いて詫びてみろってんだよッ!」 深夜の静寂を切り裂いて少年の声が響き渡る。 操縦席で叫ぶ少年の声に合わせ、右手に携えた直刀が振り上げられると刀身に書道された自民≠フ文字が月光に照らされて輝いた。 『た、助けt...』 「一丁前に日本語喋ってンじゃねぇッ!!」 左手に握られた民主刀≠敵機の背中に突き立てながら、タケルは舌打ちした。 これが今夜二機目の獲物だった。 ひと月ほど前より、北米同盟の兵たちは基地に投げ込まれる納豆のパックゴミから放たれる悪臭に頭を悩ませていた。 些事と放置しようにも非生分解性の日本人向け包装容器はその形を留めたまま、いつまでも悪臭を放ち続ける。 毎夜のように続くイタズラの犯人を捕まえようと警戒を強化したものの、それでもゴミは執拗に投げ込まれ続けた。 そして一週間前、ついに犯人を取り押さえた_____はずだった。 泣き喚き、土下座し、あらゆる手段で許しを請う少年の名はヤマト・タケル。 取調室で三時間に渡って繰り広げられる彼の反省パフォーマンスに一同は辟易した。 まだ遊びたい盛りの子供じゃないか。こんな少年さえも戦いに身を投じる程に日本人は追い込まれていると言うのか。 そして、獄中で綴られた反省文(執筆:ChatGPT)はついに、将兵たちの心さえも動かす。 「もう二度としません」 最後にそう誓った少年の姿は、実に清々しかった。 かくも美しい和の心である。 ___だが、それは嘘だった。 釈放翌日、タケルは憎悪に支配されていた。 必ず、かの邪智暴虐の北米同盟を除かねばならぬと決意した。 「メリケンめ、WW2の悪夢を思い出させてやる...」 思い立ったが吉日、タケルはヨドバシカメラに駆け込むと1/72スケールプラモデル「メイレスビャクチ(¥2640:税込)」を購入。 三日三晩に及ぶ組立・改修・塗装の末に“メイレス ソウライ”は完成した。 タケルは組み上げた機体に乗り込むと、件の哨戒基地を強襲、施設を片っ端から叩き潰し始めたのだ。 「さんざっぱら虐げられて来たんだ、やり返されても文句言えねぇよなぁ!?」 そう叫びながら繰り出される二刀流の剣術は、軽快かつ残虐。予測不能の奇襲戦法を前に戦線を構築する間も無く部隊は壊滅、北米同盟の威信に大きな傷をつけていった。 時を同じくして、同基地の偵察に来ていたテロリスト、もといレジスタンスの“Japan Rerise(通称JR)”の構成員は眼前の惨状に思わず息を呑んた。 「たった1機で基地を壊滅させるとは...ふっ、面白い」 この出会いがいずれ、タケルの運命を大きく変える転機となるのだが、その物語は気が向いた時にでも描くとしよう。 一方タケルはと言えば、目の前に広がる光景を眺めながら愉悦に浸っていた。 「決めたぜ...」 コクピットから出たタケルは、そう呟きながら懐から一つの納豆パックを取り出す。 「真の日本人に、俺はなる!」ドンッ!! 月明かりの下、納豆の匂いが夜風に乗って漂う。 これは、ある反抗的な少年の物語___その始まりに過ぎなかった。 人物紹介 ヤマト・タケル:真の日本人 メイレスビャクチ:好評発売中 納豆:美味しい |
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