2012(平成24)年4月12日に京都府の祇園で、軽ワゴン車を運転していた男性が 運転中にてんかん発作を起こして、暴走事故を起こし運転者を含む8名が死亡、12人が重軽傷を負った。また祇園事故の1年前には、栃木県鹿沼市でクレーン車が児童の列に突っ込み6人が死亡する事故があり、こちらも運転者のてんかん発作が原因とされている。 昔は、てんかん(脳の神経細胞が過剰に電気活動を起こすことで、繰り返し発作が起こる慢性的な脳の病気)や統合失調症(思考や感情、行動がまとまりづらくなる精神疾患)などの病気は、症状が安定していても免許取得はできなかったらしいが、平成13年に道路交通法が改正され、てんかんや統合失調症などでも症状が安定しているなら、免許が取れるようになっていた。だから これらの事故は法的に問題はなかったようだ。しかし祇園の事故から2年後の5月に てんかんや統合失調症、無自覚の低血糖症(血糖値が下がりすぎて、冷や汗、動悸、意識障害、けいれん、手足の震えなどがあらわれる)などの病気が原因で 人身事故を起こした場合は 刑罰が重い「危険運転致死傷罪」を適用する自動車運転処罰法が施行された。そして翌月には、これらの病気の患者が免許を取得・更新する際には、病状を虚偽申告した場合は罰則が科されるように道交法も改正されている。だがそれでも、てんかんに起因する事故はゼロにはならないらしく、分析センターでは2010年〜2020年は全国のてんかん発作による人身事故が年50〜70件台が続いているそうだ。 現在、高齢者は免許センターへ医師の診断書を提出し、その内容によってはその後も定期的に診断書の提出が必要になったり、運転免許取消しなどの行政処分になる場合がある。持病がある場合も、免許取得、更新に医師の診断書が必要になるケースがあり、質問票に「はい・いいえ」で回答することが義務化されているそうだ。『・過去5年以内に意識を失ったことがある。・過去5年以内に体の一部でも思い通りに動かせなくなったことがある。・過去5年以内に、十分な睡眠時間を取っているのに、日中の活動中に眠り込んでしまった回数が週3回以上ある。・過去1年以内において、絶えず体にアルコールが入っている状態が3日以上続いたことが3回以上ある。または、病気の治療のため、医師から飲酒を止められているにもかかわらず、飲酒したことが3回以上ある。のいずれかに該当する。・医師から病気を理由に、運転免許の取得を控えるように言われている。』この質問で「はい」が1つでもあれば、主治医に診断書を書いてもらうことになっているそうだ。運転免許の取得で問題になる具体的な病名が『道路交通法施行令』第33のニの三に規定されている。【統合失調症・てんかん・再発性の失神・無自覚性の低血糖症・そううつ病(そう病及びうつ病)・重度の眠気の症状を呈する睡眠障害だ。】今、自動運転車の登場は高齢者に期待されているが、このような病気で不安を抱える人びとにも待たれているのだろう。 |