スペースシャトル「アトランティス号」が、米国東部夏時間2010年5月14日午後2時20分(日本時間5月15日午前3時20分)に、NASAケネディ宇宙センターから打ち上げられた。アトランティス号の打上げは32回目、スペースシャトルの打上げとしては、132回目となる。アトランティス号はこれが最後のフライトとなった。 スペースシャトルは6機製造された。 1号機エンタープライズは宇宙に行けるようには作られてはおらず、もっぱら滑空試験のためのみに使用されたそうだ。 実用化されたのは、コロンビア、チャレンジャー、ディスカバリー、アトランティス、エンデバーの5機である。このうちチャレンジャーは1986年に発射後に爆発した。コロンビアは2003年に空中分解している。スペースシャトルで最後のフライトとなったのは2011年7月8日から7月21日までのアトランティスだった。スペースシャトル(オービタ)は機体を軽量化するために、アルミニウムで出来ているが、宇宙船は大気に突入するとその先端部は空気を押しつぶすように圧縮するそうだ。 摩擦熱ではなく、この圧縮された空気が超高温状態になるという。 アルミニウムはわずか200℃程度の温度で柔らかくなってしまうから、大気圏再突入時に発生する1600℃以上の熱に耐える事は出来ない。そこで1260℃以下の部分へ断熱材としてシリカガラス繊維を用いた、黒い再使用型高温用表面耐熱材と灰色の繊維質耐火性コンポジット耐熱材である体積の94%が空気という超軽量耐熱タイルが開発されたそうだ。シリカは熱を伝える速度がとても遅いので、その耐熱タイルを用いれば機体のアルミを護ることができるという。しかしアルミは熱で膨張するのに、耐熱タイルはほとんど膨張しないからそのまま接着すると、温度上昇とともに耐熱タイルが剥がれてしまう。試行錯誤の末、機体と耐熱タイルの間にフェルトをはさむと機体とタイルの膨張率の違いのクッションになることがわかったそうだ。これは特殊なフェルトではなくありふれたフェルトで、接着材として使用したのも、家庭で使うありふれた浴槽の防水コーキング用ゴムらしい。 |