川坂烏有(こうさか うゆう)の改変供題5 |
とある烏有空間の項(考)
私は私なりに考えていた。
「ここ、現実空間じゃなかったの?」
さすが鋭い霊夢。さっきの「だまされるな~」の言動のみでそれに想い至るか。
「そう。ここは烏有空間。れいむの中の世界。あなたは烏有空間の住人なのだ。良く似ているが、ここは幻想郷ではなく、良く再現された烏有空間。れいむの勘によって用意された、現実空間のれいむの死と共に消え去る、仮初のものに過ぎない。私はれいむ達、表の人間に対する裏の人間にあたる、題考者という者」
烏有空間の私と現実空間の私とは、まるで別物だ。現実空間の私は信仰者気取りの裏の人間にふさわしく、本性がどす黒い。
それはそれでアリなのだが、しかし、烏有空間の私は律儀で、それが為に、「ここでの烏有空間の管理者にあたるのであろう、烏有空間の博麗霊夢に、」わざわざ告げるのだ。
現実空間の私と烏有空間の私、理想となる幻想が違って、現実空間が何でも利用しなければ、生き残れないのにくらべ、烏有空間では人情や義理がそのままそこでの財産に成るという、それぞれの空間の理が絡んで来て、烏有空間ではある程度の余裕があって、交友関係を優先出来るという事もあり、はっきり言って完璧主義者にして良い家の出である、私にとって守るべきものがある、という事は燃えるのである。
つまりは、私の様な完璧主義者に烏有空間の暮らしというものは天職なのである。はっきり言って、交友関係以上のものがそこにはないのである。だから、それを一番優先して、(霊夢に警告出来るように)暮らせるというのは私の様なものにとって、最善なのである。
霊夢は言う。
「多分、あなたの言っている事は分かるけど、その、烏有空間の私に求めている事は何?」
烏有はそれに答える。
「あなたはこの烏有空間の管理者。私は私だから、良心からあなたに告げる。知っていて貰いたいから。私が私である限り、つまり、烏有空間に居続ける、夜の烏有である限り、あなたに主従関係にでもある様に、あなたに忠実で、律儀で、義の人であり続けようと想っている。
…あなたがあなたである限り」
霊夢はため息をついて、こう言う。
「たとえ、私がこの箱庭世界の一人にして管理者だとして、私の出来る事は異変を解決するのみ。あなたの言う様な現実世界に干渉は出来ない事は分かるはず」
恐らく霊夢はその台詞を吐く前に、その前の口上で、烏有に悟らせたかった様だが、諦めて、その言葉を口にした。勿論、表に出さなかっただけで、それは烏有にとって重々、承知の既知事項であった。
それに反応した烏有はこう言う。
「勿論、分かっている。幻想をもって、烏有空間に現実空間のれいむがれいむに干渉は出来ても、逆に現実空間に烏有空間のれいむがれいむに干渉は出来ない。不可逆という事ね」
霊夢が話の腰を折って言う。
「名前を聞いてなかったわね。あなたの名前は何よ?」
烏有が答える。
「烏有空間の川坂烏有。裏の人間的に母にあたるのが、川坂歩夢。彼女と同じ私も題考者。他人の烏有空間に、私達は干渉出来る」
烏有は他に聞きたい事はある?と霊夢に聞きただす。
霊夢はというと、そうね。他には特にないわ。強いて言えば、あなたがいて、なぜ、この世界は存続しているのか?という所ね。これはまあ、見るからに律儀なあなたの事だから、誰にもこの事を言ってないのね。私以外の霊夢にも誰にも。
…自分で言って自分で納得してしまった。
その通り。
…私はこの事を管理者以外、博麗霊夢以外の誰にも言わなかったので、特に混乱等は起きなかった。この烏有空間でも、現実空間でも。
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烏有空間の霊夢との対話。 | ||
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