両極端な感情の色とそれを宿していたモノとそれらを求めるもの(Looking for the color that contain both extremes of emotion)
説明
(ある旅行者の手記より)
「「この曲って何なの?
全然聞いた事のない言葉で唄ってるけど」
バンドTシャツに
魔法の宝石を織り込んだマントと言った出で立ちの
魔法使いの女性が、
何処かノスタルジックで
エキゾチックな旋律を奏でる音楽の
レコードを流している、
蓄音器を改装したアンティークショップに
入るなり木馬の店主に訊いた。
駅の改札口の並びにあるこの店の中は、
ありとあらゆる中古品が
所狭しと並べられて...と言うより最早
無理矢理詰め込まれているかのようであった。
店舗には
色彩を抽出出来る工房も併設されており、
そこで抽出されたばかりの
カラーチップも
店頭に並べられていたのだが、
他の店で
売られているようなカラーチップとは―
上手く表現する事が出来ないのだが、
"何か"が違っていた。
「やぁ、いらっしゃい。
この唄は何処かの国で
且つて人気があった歌手の
大ヒット曲なのだそうだが、
その歌手は
その国の独裁者と
親しかったらしくてね。
次第に国民達から
忌み嫌われる存在に
なっていったのだそうだ。
ある時、
革命が起こって独裁者が倒れた後に、
その歌手は何事も無かったかのように
復帰しようとしたらしいが、
上手くは行かなかったらしいね。
十数年前の昔の出来事ではあるのだが、
かの国では今でも相当嫌われているようで、
この間もこの曲を店頭で流していたら
その国から来たと思しき旅行者が
わざわざ店に入って来て、
「何で自分達の国を壊す片棒を担いだ
「裏切り者の唄」を流しているんだ」って
怒鳴り込んで来たこともあった。
その旅行者や
当時苦しめられたその国の人達には
申し訳ないけど、
自分はそう言う
「元々は誰かから愛されていたものなのに、
次第に嫌われる存在となっていった」ような物や
それらから抽出される色に
魅力を感じているんだよ。
ちなみにこのレコードからも
「音楽を聴いた時の甘く幸せな感情」と
「憎悪の苦々しい感情」と言う
両極端な感情を
帯びた色が抽出されている。
そう言う訳だからこのレコード―に限らず、
ここに置いてある商品の大半は
そう言った経緯を辿っていたりするから、
抽出される色も「愛着」と「嫌悪」の
両極端の感情を
帯びていたりするんだ」と、
店主の木馬が語った。
「ふぅん...。
カラーチップの方も
後でゆっくり見たいんだけど、
今日ここに来たのは、
アタシの研究の
役に立ってくれるような
新しい僕(しもべ)が
ちょっと必要になっちゃって。
何かいい感じのもの、ない?」
何処か気だるげで
ぶっきらぼうな物腰のこの若い女性は、
どうやらこの店の店主の
木馬とは顔馴染みのようで―
C.T.W.の魔法使い達の間では
別に珍しい事でも何でもないのだが、
どうやら購入した中古品に人格を与えて
自らの僕にしているようだった。
「それだったら昨日、
新しい商品を入荷したばかりだから、
ゆっくり見て行くといいよ」

その魔法使いは相変わらず
何処か気怠そうな態度のままではあったが、
新たな僕にするのであろう商品を
探している時の、
まるで宝探しでもしているかのような
瞳の輝きまでは
隠しきれていない様子だった―
と、急にこちらを振り返って言った。
「ちょっとアンタ、
そこでボーっと突っ立ってんだったら
アタシの新しい僕探し、手伝ってくんない?
これだけの商品を
一人で探すのは結構大変なんだよ」
―結局手伝う事になった。

「このコを貰ってくよ」
一通り商品を探し終えた
彼女が見つけたのは
皮革製と思しきカバンだった。
頑丈そうな本体には
小さな宝石らしき装飾が
随所にあしらわれていたが、
大小様々な傷も目立っていた。
「このカバンか―
元々はある国を代表していた
皮革メーカーの製品で、
その品質にも定評があって、
「持っているだけで一流の証」と言われる程の
ステータスシンボル的な
存在として持て囃されていたんだが、
ある日
メーカーの方で品質を
偽っていた事が発覚してね。 
本革だとされていたものが
実は合成皮革で、
あしらわれている宝石も
ただの模造品だったらしい。
公表されていた製品の詳細全てが
偽りだったと言う事で、
自尊心をくすぐる
ステータスシンボルから、
持っているだけで恥ずかしい代物に
一瞬で転落したって訳さ。
製品自体は丈夫に造られているのだが、
それ以来、
手放そうにも欲しがる者もおらず結局、
大半が廃棄されたそうだが、
僅かに残った個体も
相当粗末に扱われていたようだな―
モノだってそうやって
生み出されたかった訳ではなかろうにさ。
それはともかく、
人格を与えて僕にするのはいいが、
ヒトに対しての警戒心はかなり強いだろうし、
中々心と口を開いてくれないかも知れないな」
「ふぅん...。成程ね。
要するにこのコも
アタシと似たような経験をしてきたって訳か。
傷のなめ合いをするつもりは全然ないんだけど
アタシ達、きっと上手くやれるんじゃない?」
魔法使いは手にしたバッグに向かって、
既に感情が宿っているものであるかのように
話しかけた。
「そうそう、
このコたちから抽出された
カラーチップもあるんだろ?
表に出ているもの以外の色も
見せてくれない?」
店主は奥の工房から
抽出されたばかりのカラーチップを
出して来た。
「これよこれ。
ここの店のカラーチップは
「好き」「愛着」と
「嫌い」「失望」と言うような
両極端な感情を
一つの色の中で、
これ程までに綺麗に且つ
同時に帯びていたりするから
興味深いし、
研究対象としても
使い易いしで
アタシ嫌いじゃないよ」
先程までの気怠そうな態度は
どこへやら、
魔法使いの女性はすかさず
カラーチップに喰らいついたのだった。

「それにしてもいつも思うんだけどさ、
どうしたら
さっきのレコードみたいに
両極端な感情を同時に含んだ
カラーチップを
こんなに綺麗に抽出出来るんだ?
高性能の抽出機で
どんなに頑張っても
感情がまだらになったりして、
こうまで綺麗に表出されやしないよ」
「それは秘密さ。企業秘密ってヤツだね」
「ふぅん...。(ケチ)
まぁ、いいや。
この色とこの色と―あとそれから
あそこの束になってるカラーチップも
全部貰ってくよ」
「毎度あり。
それにしてもいつも思うんだが、
これだけの数のカラーチップー
いつも買って貰って
こちらも非常に有難いのだが―
研究の為だと思うが、
一体どのようにして使ってるのかな?」
魔法使いの女性は
先程の店主の言葉を
そのまま真似て返した。
「それは秘密さ。企業秘密ってヤツだね。
...抽出方法を教えてくれるんだったら
教えてあげない事は無いんだけどな」
「ならお互い
企業秘密のままと言う事にしておこうか」
「...ケチ」」

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The antique store here, a converted gramophone,
sells only products that
encompass both extremes of emotion,
and the same was true of
the colorchips sold in the store.

(※DeepL翻訳を使用・一部改変しております)
(DeepL translation used and partially modified)

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(完成後)A4サイズ(210×297)程に切り取った画用紙に
水彩絵の具、水彩色鉛筆で描いたもの。
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C.T.R. C.T.W. アナログ Train 鉄道 電車 蓄音器 感情 色彩 color 

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