| 6月5日には二人の国葬が行われた。一人は明治時代の日本海軍指揮官として日清及び日露戦争の勝利に大きく貢献し、日本の国際的地位を「五大国」の一員にするまで引き上げた東郷平八郎で、日露戦争では日本海海戦において、当時世界屈指の戦力を誇ったロシア帝国海軍バルチック艦隊に一方的に勝っている。東郷平八郎海軍元帥は1934年(昭和9年)5月30日に、86歳で亡くなり6月5日に国葬が行われた。 もう一人は1943年(昭和18)6月5日に行われた 山本五十六海軍元帥の国葬で、4月18日にパプアニューギニア で59歳のときに亡くなられた。彼は連合艦隊司令長官で 太平洋戦争開戦時の真珠湾攻撃を成功させた国民的英雄であるが、意外にも 今 トランプ政権と対立しているハーバード大学出身である。 葬式に使う白黒の幕を鯨幕という。古来より黒色は 日本においてたいへん高貴な色とされており 結婚式などの慶事でも使われていたそうだ。神事でも古くから白黒の鯨幕が使われている。ところが、現在のように黒白の鯨幕を 葬式などの弔事でばかり使うようになったのは、昭和初期に葬儀社が使うようになったからだとされている。だが、そんな簡単な理由なのだろうか？ 僕は高貴な色を葬式にしか使わないなんて 不自然に思う。なにかの作為を感じる。本来、黒白の鯨幕は弔事・慶事に関係なく使用されるべきものなのだ。現在でも皇室では納采の儀や結婚式などの慶事に、黒白の幕が使用されているし、出雲大社の大祭でも鯨幕が使われている。この『黒白が なぜか いつの間にか紅白にすりかえられている』のだ。紅白がおめでたいのは日本だけのようで、使われ始めたのは昭和の初期頃という噂がある。これは日本の長い歴史からみると最近の出来事だ。これも怪しい。何かの意図を感じるのは僕だけではないと思う。なぜ黒が赤（紅）に変化したのかが気になり 調べてみたが、だれも明確な説明は出来ないようだ。幾人かはこう説明している。『 紅色はめでたい、お祝い、縁起がよい、といった意味で使用されている。そして紅白の由来には諸説あり 赤色が赤ちゃん、白色が死や別れを意味し、その2つの色を組み合わせることによって人生そのものをあらわす。』と、同様なことを 幾人もがもっともらしく、薄っぺらな説明をしている。これにはがっかりだ。コラムを書くならば、史実を検証し自分なりの考察を書くべきだと思う。確かに中国では赤(朱)はめでたく縁起の良い色で、金色もしくは黄色と組み合わせて使われているようだ。だが赤白ではない。 そこで僕はこう考える。欧米では黒には「高級」なイメージと共に「死、不吉、失望」といった負のイメージを強く持つようであるから、日本を国際的にしたいという思惑があった日本のリーダーたちは 欧米に受けの悪い黒を使わないようにして赤（紅）に変えたのではないだろうか。 紅白が組分けに使われるようになったのは、1180年〜1185年の源平合戦において 敵味方を区別するために 源氏は白旗を平家は赤旗を用いて戦ったことからきているといわれてるようで、この源平合戦を紅白のルーツの説明に使う人たちも多い。この説明はまことに都合が良さそうだから、多くの人が引用している。だが昭和が始まったのは源平合戦より750年もあとの1926年で、 紅白の幕が使われ始めたのはどんなに早くても東郷平八郎の国葬が行われた1930年以降からだと推察する。だから1180年代の源平合戦を紅白の幕が使われ始めた説明につかうのはかなり乱暴な気がするのだ。 日本人なら誰もが知ってる紅白歌合戦が始まったのは、1951年だ。終戦から5年以上経っている。終戦と紅白が関係していると思うのは自然な流れで、何かのつながりがあるはずだ。僕は戦後 アメリカに遠慮しながら復興しなくてはいけないなかで、アメリカ人に不快感をあたえる黒を紅に変えたのではないかと考える。黒人差別につながるブラックはアメリカ人にとっては触れてはいけない色だと思うのだ。チョコレートのブラックサンダーだってアメリカ進出時に名称を変えている。日本伝統の白黒の幕は白人と黒人を連想させるから使うのをやめたのではないだろうか。だから 全国の鯨幕を紅白の幕に変えた時期というのは、敗戦後で それを指示したのは日本政府だったと思うのだ。そして、さりげなく紅白の幕に変えたことを国民に気付かせないために、紅白歌合戦をプロパガンダに使い、紅白という言葉を国民に浸透させたのではないだろうか。これは日本政府が国民を操作した、一種の洗脳作戦だったと僕は考えている。だから、誰も鯨幕が紅白の幕に変わった時期と理由を知らないし、追究もしないのだ。 もし、日本がアメリカに勝っていたら、日本のサンタクロースは衣装も高貴な黒になっていたかもしれない。 そして トナカイのお鼻も真っ黒になっていただろう。 |