「赤い鳥」は童話と童謡の児童雑誌で、1918(大正7)年7月1日に創刊されたという。有名な作品がいくつもあるが、赤い鳥から始まった 誰でも知っている話もある。 芥川龍之介の『蜘蛛の糸』 釈迦は、カンダタを地獄から救い出してやろうと、一本の蜘蛛の糸を下ろす。カンダタはこれで地獄から出られると、糸につかまって昇り始めた。ふと下を見下ろすと、罪人達が自分の後から続いて登ってくる。重みで糸が切れてしまうと思い、「この蜘蛛の糸はおれのものだぞ。下りろ。」と喚いた途端に蜘蛛の糸はすぐ真上で切れ、再び地獄の底に堕ちてしまった。 続いて教科書にも載ったことのある 新美南吉の『ごんぎつね』 ある日ごんは兵十が川で魚を捕っているのを見つけ、捕ったウナギを逃がすという悪戯をした。だが後にごんぎつねは 兵十の母親の葬列を見て、逃がしたウナギは病気の母親のためだったと悟り後悔する。ごんはウナギを逃がした償いに、兵十へ毎日栗や松茸の届け物を続けた。そんなある日 ごんの気配に気づいた兵十は、また狐が悪戯をしに来たのかと思い、こっそり出ていこうとするごんを火縄銃で撃ってしまう。倒れたごんの脇の土間には、栗がまとめて置いてあった。兵十は栗や松茸がごんの届け物であったことに気づく。「ごん、いつも栗をくれたのはおまえだったのか」と問いかける兵十に、ごんは 目を閉じたまま小さくうなずいた。 童謡では、作詞:北原白秋 作曲:山田耕筰 の『からたちの花』が良く知られていると思う。 ♪からたちの花が咲いたよ。白い白い花が咲いたよ。〜略 7月1日は 1984(昭和59)年に童話の日ではなく、日本童謡協会が”童謡の日”に制定してしまった。 多くの名作童話・童謡を生み出した日本初の児童文芸誌『赤い鳥』が創刊された日だからだというが、1961(昭和36)年に放送開始された「みんなのうた」の方が童謡の日にふさわしく思える。だから4月3日の「みんなのうた放送開始日」の方を 童謡の日にしたら良いのにと思うが、残念なことに、記念日は早い者勝ちのようだ。国際子どもの本の日が4月2日にあるのに、日本には童話の日が無いのはおかしいから、7月1日は童謡の日ではなくて、童話の日にすべきだと思うけどねぇ。がんばれっ、日本童話協会と日本児童文芸家協会! |