…これを「幻夢主義」と言う。幻夢主義者は様々な立場から展開する。テロリスト育成者からしてみれば。「お前達は「何者でもない」、しかし、お前達を「何者かにしてくれる」”教え”が（『コーラン』（イスラム教の聖典）内に）存在する。それは”ジハード”（日本語では”聖戦”と訳される事もある）である。お前達は”こう言う事”をする事により、「何者かになれる」のである」

　…見事に『コーラン』が曲解され、”真のムスリム（信仰者）”にしてくれる「ジハード」の”教え”が、”こう言う事”、すなわち、テロリズムにすり替えられている…。

…いわば、「何者か」と言う魔法の言葉が使われている。実際に使うのは違う言葉にせよ。イスラム教では魔法は禁止されているはずだが…。（宗教学者としてはこうである。「「何者でもない」からこそ、そう自覚すればこそ、ただ、教えに従うか、頭を下げてモニョッと言うしかないのだろうに…」）

　…こう言う所で、重要視されるのは、強い命令を使わない事で、あくまで、自分の意志で行ったと言う形にする事である。

　この幻夢主義を叩く事は、むしろ、イスラム圏に取っては、大ジハード（内なる戦い）と言えるし、非イスラム圏では普通に、公益に寄与する行為である。