真っ白い雪の下で
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雪やこんこ 

 

霰やこんこ

 

降っては降っては 

 

ずんずん積る

 

山も野原も 

 

綿帽子かぶり

 

枯木残らず 

 

花が咲く

 

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「1月も半ばを過ぎると、また静かになったでござるなぁ」

 

「仕事もないしね。流石の美神さんも1月はのんびりしてるし」

 

「おキヌ殿も珍しくだらけてるでござるよ」

 

「まぁ、いいんじゃない?おキヌちゃんはいっつも働き詰めだし

偶には休むのが当たり前よ」

 

「確かに確かに」

 

傍には、口には出して言えぬでござるが相棒のタマモ。

今日も二人でのんびり過ごしているでござる。

勿論朝の散歩は欠かしてないでござるよ?

先生は「やれやれ」といいつつもちゃんと付き合ってくれるから嬉しいでござる。

 

「で?横島はどうしたのよ?いつもなら朝食食べに来るはずでしょ?」

 

「然り。拙者も誘ったのでござるが、今日は用事があるからと

散歩の後出かけてしまったでござるよ」

 

仕事が無いので先生も暇を持て余しているのでござるな。

一応先生を含む拙者ら全員に美神殿がお年玉というのをくれたのでござる。

このお金があれば沢山肉が買えるから嬉しいでござるよ。

ちなみにタマモは即日で油揚げを買いに行ったでござる。

1月1日からよく開いていたものでござるなその店も…

先生とおキヌ殿は二人そろって「ありえない」だとか「明日が最後なのか」とか

言っていたでござる。直ぐに先生のみ直視できないお仕置きをされたでござるが…

お助けできない不出来な弟子をお許しくだされ先生。

とと、話が逸れたでござるな。そのお陰もあってか先生も暫くは

働かなくても大丈夫との事でござる。

 

「ふーん…何をしてるか興味深いわね」

 

イタズラ狐の眼がきゅぴーんと光ったのは多分幻視ではないはず。

 

「これこれ。先生のぷらいべぇとを引っ掻き回してはいかんでござるよ?」

 

「そのセリフあんたに言いたいわよ」

 

はて?拙者が何をしたのでござろう?

 

「どうせ暇だし探しに行って見ましょうよ?」

 

「寒がりのお主らしくない。外に出て持つのでござるか?」

 

「アンタね…いや確かに寒いのも面倒なのもいやだけど

面白い事や油揚げのネタになる事には妥協はしないわよ私は。くっくっく…」

 

拙者の肉に通ずるものがあるでござるな。

不気味な笑いが妙に似合うでござる、さすが九尾…いや違うか。

 

「ま、よかろう。拙者も気になるといえば気になるでござる」

 

また女人をなんぱしに行ったのかも知れぬ。

まったく、ここにぷりちーな拙者がいるというのに、先生は恥ずかしがり屋でござるよ。

 

「よし、早速行くわよ!目指せ油揚げ!!」

 

おい…目的が油揚げになってるでござるよ…

 

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雪やこんこ 

 

霰やこんこ

 

降っても降っても 

 

まだ降りやまぬ

 

犬は喜び庭駈けまわり

 

猫は火燵で丸くなる

 

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「匂いを辿ってきたものの、何故に東京タワーなのでござるか?」

 

「観光客が多すぎてうざいわねぇ…」

 

辺りはしんしんと雪が降っている。

ちょっと寒いけど、まぁ狐の化身である私には大した事無いわ。

嘘だけど。

 

「で?この辺りで匂いが途切れてるのよね?」

 

「うむ。ぱったりと消えているでござる。というかお前も自分で探せばよかろうに!」

 

「寒いからやぁよ。そういうのは犬の仕事でしょ?」

 

「おぬしもイヌ科でござろうが…というか拙者は狼だと何度言えば…」

 

ぶつぶつ愚痴を言い始めるシロ。

まったくからかい甲斐がある相棒よね、おおっぴらに口にはしないけどさ。

さて、横島よね…匂いは確かにここで途切れてる。

別に匂いを消す必要なんてあいつには無いんだし…

急に何かで移動した?となると多分文珠かなにかよねぇ…

ってか何真剣に探してるんだろ私…

そりゃあ油揚げでもせっつこうとしたけど、んー

 

「なんでだろう」

 

「それがわかれば苦労しないでござるよ」

 

「いや、違うわよ」

 

「じゃあなんでござるか?」

 

あ、いけない…

 

「な、なんでもないわよ。さ、さぁ!横島を探しましょうか!」

 

「んん?よく判らんやつでござる」

 

危ない危ない、横島の事を考えていたなんて言ったら騒ぎだすからね

この忠犬は…いや、狼か。

横島かぁ…

馬鹿でスケベで変態で…

でもちょっとは良い所があって、偶に撫でてくるあの手が暖かくてホッと…

いやいやいや!!落ち着け私。アイツは馬鹿で変態よ。

びーくーる、びーくーる。

よし落ち着いた。

 

「んー。雪で匂いが辿れないでござる」

 

「邪魔といえば邪魔よね、綺麗なんだけど」

 

「それは同感でござる。真っ白い雪を見ていると心がすっとするでござるしな」

 

「なんでまた?」

 

「拙者の名前はシロでござるに。同じ色を持つ雪を見ていると心がなごむでござる」

 

そんなものかしらねぇ。

まぁ、なんとなく判る気がするけど。

と、あれ…?

 

「ねぇ。シロ?」

 

「うむ、先生の匂いが雪に乗って降りてきたでござる…先生は上でござるか」

 

「じゃ、東京タワーの中かしら?匂いが紛れてるから途切れてるって事でもなさそうだし」

 

「ふむ………多分天辺におられるのやも知れぬ。行って見ぬか?」

 

「馬鹿と煙は高い所が好きってよく言うけど、其れって本当なのね」

 

「先生は馬鹿じゃないでござる!!」

 

ま、行って見ましょうか。

何してるか気になるしね…ナンパなんてしてたら

どう焼いてやろうかしら…

 

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雪やこんこ 

 

霰やこんこ

 

降っては降っては 

 

ずんずん積る

 

山も野原も 

 

綿帽子かぶり

 

枯木残らず 

 

花が咲く

 

しんしんと雪が降り続ける中。

東京タワーの一番上。そこに先生が居たでござる。

コップに入った水と何故か砂糖、そして花。

少し小さめの雪だるまが飾られていたでござる、まるで献花のように。

柱に背を預け先生はただそこで雪だるまを見ていたでござる。

隣ではタマモが変な顔をしながら先生を見ている。

もしかしたら多分、拙者も変な顔をしているやもしれん…

暫く見続けていると、先生は小さくポツリと呟いた。

拙者達の超感覚と聴覚はそれがはっきりと聞こえたでござる。

 

「悪いな、1月1日は流石に皆と一緒に居てさ。でも美神さんがお小遣いくれたから

こうして花と最高級の砂糖水もってこれたんだ、これで勘弁してくれよな。

で、これは雪だるまだ。多分知識としては知ってるのかもしれんが

実物を置いておくよ」

 

誰に話しているのでござろう…

何時もの先生とはまったく違う寂しそうな笑顔でござる…

もしかしたら拙者達は踏み込んではいけない場所に踏み込んでしまったのでござろうか…

 

あいつのあんな顔見た事無い。

あいつは…横島はいつも馬鹿をやってるほうがきっと似合ってる。

なんで、そんな顔してるのよ…そんな笑顔…嫌だ。

 

「俺は相変わらずさ。

何時も通りに馬鹿やっては美神さんにしばかれて、

おキヌちゃんには怒られて。シロとタマモにどつかれてる。

安心してくれ、演技じゃない。今の俺は本当にこのままなんだから

今の俺はとても幸せだからな」

 

白い雪を背景に微笑む先生…

どうしてだろう、いつもより心臓がどきどきいっている。

隣のタマモにばれて無いか心配でござる。

 

アイツの笑顔が白い雪の中でとても映えていた。

やだ…顔赤くなってるのがわかる…

シロには…ばれてないわよね。

 

「さーて、そろそろ行くわ、また…今度は春来るよ。それまでまたな」

 

白い世界の真ん中で見せる先生の顔が何処までも素敵で

白い世界の真ん中で見せた横島の顔が悔しいほど綺麗で

 

「ん…?何でお前らここにいるんだ?」

 

あっさり見付かったしまったのはどっちのせいなのやら…

 

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雪やこんこ 

 

霰やこんこ

 

降っても降っても 

 

まだ降りやまぬ

 

犬は喜び庭駈けまわり

 

猫は火燵で丸くなる

 

「お前らも暇だなぁ…てか寒くなかったのか?」

 

「この状態でもGジャンのあんたには言われたくないわ」

 

「はっはっは!拙者は問題ないでござる!」

 

「と、二人とも。俺があそこにいたのは内緒な?

護ってくれたら肉と稲荷くらいはごちそうするからさ」

 

「了解でござる!!お肉〜お肉〜」

 

「ま、5個くらいで手を打ってあげるわ」

 

「さんきゅ。よしさっそくいくか!!」

 

「「おー!」」

 

先生があそこにいたわけはまだ教えては貰えなんだ。

でも、いつかは教えてもらいたいでござる。またこの時期に

この綺麗な白い世界で共に…

 

横島…

ま、こいつの事だから何かあるんでしょうけど、いつかは聞かせてもらうわよ。

ただ、何と無くシャクだから。またこの時期まで待ってあげるわ。

あの時のあんたに似合ってた白い世界をバックにね。

 

End

説明
GSの二次創作で
シロとタマモが二人仲良く雪振る町を
大切な人を探しに出かけます。

なんとなく童謡の「雪」を聞いていたら
こんなお話に。
楽しんでもらえたらうれしいです。
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コメント
いいお話ですね〜。(乱)
なんか、ほのぼのって感じですね(BASARA)
タグ
GS美神 横島 シロ タマモ 

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