助教授と俳優の日常?【腐】
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助教授と俳優の日常?

 

 

 

 カーテンの隙間から太陽の光りが入りこみ、暖まるダブルベッド。その中央に毛布に包まるようにロマーノは、寝ている。

俳優のロマーノは、昨日まで寝る間を惜しんで撮影をして、ようやく今日の休みをもぎ取った。平日だということもあり同棲しているスペインは、大学に行っている。そこでスペインは、助教授をしている。それなりに人気がある講義をしているらしい。

「……ウルセェ」

ベッドサイドに上げてある携帯電話が、電話が着ていることをしらす。スペイン用に設定してある着信音だ。

腕だけを伸ばし携帯電話を取り、通話ボタンを押す。

『あ、ロマーノ? お早うさん』

耳に当てなくてもスペインの声は、はっきり聞こえた。

『あのな、リビングのテーブルに置いてある封筒を持って来てほしいねん』

「……無理」

『そう言わんといて。それないと、親分、大変な目にあうねん。なぁ、お願い。持って来てぇな』

「……どこに」

『昼休み中なら、校門前に取りに行けるで』

「うん…おやすみ」

『ちょ、眠らんといて! お願いやから、ちゃんと持ってきてな』

もう一度念をおされてから、電話は切れた。

昼までには、まだ時間がある。もう一度寝るために、毛布を頭から被った。

 

 

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 確かにロマーノはスペインと昼に大学の校門前と約束した。いくら寝起きのロマーノでもそれくらいは、覚えている。だが、スペインが何処にもいない。電話をしてみたが、出ない。

 ロマーノは早く、封筒を渡して帰りたかった。帽子に眼鏡で、顔は隠してはいるが、いつ見つかるか、分かったものじゃない。

「……出ねえし」

再び電話をかけてみるが、出ない。

このまま、時間が過ぎていって、休みが無くなるのは避けたい。ここの学生ではないが、これだけ学生がいるなら、部外者が一人ぐらい居ても見つからないだろう。そう思って、校内に足を踏み入れた。

ロマーノが思っていた以上に、大学というものは、広かった。校舎に行くはずだったのに、今は温室らしい所に来ている。何の植物か分からないが、薔薇らしい物があることだけは分かった。

 スペインに電話をいくらかけても留守番になる。誰かに預けて帰りたくなった。もし、次に電話に出なかったら、帰ってやろう。そう決意して、携帯電話を耳にあてようとした。

「おい、ここはケイタイ使用禁止だぞ!」

耳にあたる筈だった携帯電話は、ロマーノの手から抜き取られて、金髪の男の手にあった。そして、男はロマーノに断りもなく電源を切った。

「何すんだよ!」

 取り返そうとロマーノは腕を伸ばすが、金髪男の方が腕が長いため届かない。

「お前こそ何してるんだ。ケイタイなんて使って、薔薇に影響が出たらどうするんだ?」

「たかが薔薇だろ!」

「……お前、ここの学生じゃないな?」

「だから何だよ」

「何処の学生だ。場所によっては、警察に訴える」

「はぁ!?」

ただロマーノは、スペインに頼まれた書類を持って来ただけなのに、警察沙汰にされては困る。まだまだロマーノは、俳優としてやりたいことがある。だから、少しでも芸歴を傷つける訳にはいかない。なら、この金髪男に書類を頼んでしまおう。

「おい、金髪眉毛。これ、スペインに渡せ」

「…スペイン? お前、スペインの知り合いか?」

「だったら、なんだよ!」

「へぇ」

頭の先から、爪先まで観察するように見られて、最後に顔をしみじみと見る。

 それが、気持ち悪い。金髪男の様子からして、ロマーノが俳優だということは、気付いていないようだ。

「な、なんだよ」

「いや。お前、本当にスペインの知り合いか?」

「だから、そうだって。時間ねぇんだから、ささっと、案内するか、届けろ!」

どうするかを考えているのか口元に手をおきブツブツと呟いている。何かを閃いたらしく、顔が輝いた。

「特別に案内してやるよ。ただし……」

「なんだよ」

何をもったいぶっているのか分からない。金髪男は、顔を少し赤くして怒鳴るように話を続ける。

「今度、俺の話し相手になれ!」

「はあ!?」

「勘違いするなよ。友達じゃなくて、話し相手だからな。よし、そうとならば、案内してやる! 着いてこい!」

「ちょ……まぁ、いっか」

あのスペインが、助教授になれるような大学だ。きっと可笑しい思考回路を持った集まりなのだろう。そう無理矢理、納得したロマーノ。もうスペインの所にいけるなら、どうだって良いと思った。

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「たぶん、ここにいるはずだ」

金髪男ことイギリスに案内された所は、講義室。温室らしき所から、ここに来るまでに、時間がかかった。移動中に話したことは、簡単な自己紹介的な物だったが、ロマーノはイギリスにいくつか共感できる所を見つけた。とりあえず、携帯電話のアドレスだけは交換した。

静かにドアを開けて、中を確認すると、スペインを囲むように女が群がっていた。

「だから、無理。おひきとりください」

「もう、せんせい。さっきから、そればっかりぃ」

「あたしのレポート、添削して今日、返してくれるって、約束したのに」

「あと、持って来なかったから、コンパに行くって」

 甘い猫撫で声で、スペインに触りながら言う。本人達はいたって本気だ。

「あの無愛想スペインで合ってるか?」

「あぁ」

「それにしても凄いな。女って。怖い物知らずっていうかただの馬鹿だろ」

 殆ど笑わないで学生と話しているスペイン。それがロマーノにとっては珍しかった。スペインには、馬鹿みたいに笑っているイメージしか持っていない。

(へぇ、これが助教授スペインか)

これなら、助教授でも可笑しくないかもしれないと思えた。

 ロマーノは、口元が緩みそうで仕方がなかった。だが、そこは俳優。見事に平然を装っている。

「おい、スペイン!」

 大声で呼んだため全員の視線が一瞬でロマーノに向いた。

「ロマーノ!」

 いきなり歩き始めたスペインを周りは、引き止めようとしたが、女のか弱い力では、スペインを止めることは出来ない。ロマーノを思いきり抱きしめた。

「ロマーノや、ロマーノ。もう、俺、嫌われたかと思ったわ」

「嫌われたと思ったなら、なんで迎えにこねぇんだよ」

「せやかて、あの子のレポート忘れたのもホンマやし、約束してしもうたし」

「俺より女を取るのかよ」

「まさか、そんな事、絶対にあらへん。俺は、ロマーノの命やでぇ」

「知ってるよ、バーカ」

 抱きしめる力を強くするロマーノ。そうするとスペインが破顔する。

「あ、あの、先生?」

「なに、今話しかけんといて」

 幸せを噛み締めてんねん、と続けるスペインは、学生から見たらまるで別人。学生にとって、スペインは誰に対しても無愛想。でもトマトについて語るときだけ少し笑う。無愛想とちょっとした笑顔のギャップに人気が集まっていた。

「あ、ロヴィーノ、封筒は? はよ、渡して、お昼食べに行かへん?」

 抱擁する力を弱めると自然と離れる。抱擁の代わりにスペインはロマーノと恋人繋ぎをする。

「元々、お前が家に忘れていったのが悪いんだろうが」

「そうだぞ。それに持って来てもらって、礼も言えないのか? お前は?」

「ちょっ、なんで、イギリスがおんねん!?」

「さっきから居たぞ。それに、俺がここまで、特別に案内をしてやったからな! 感謝しろ」

「ロマーノ、こんな奴に話しかけちゃアカン。変な病気、うつされてへん?」

「平気だぞ、コノヤロウー」

「ホンマに? 確認してもええ?」

「おい、俺の話を聞けぇぇ!」

 ロマーノの体をまさぐろうとするスペインをイギリスが無理矢理はがす。それを何度か繰り返している間に、学生は現実に戻ってきたようだ。もうスペインをコンパに誘うことは、どうでも良いらしい。ここまで、別人になると逆に怖い物を感じる。代わりに興味は、ロマーノに移っていた。

「ねぇねぇ、あの眼鏡の人って、俳優のロヴィーノじゃないの?」

「まっさか! ないない、だって私のロヴィーノ君は、もっとクールで美人だもん」

「えー、みんなのロヴィーノ君だよ」

「そこのお姉さんがた………」

「はい!」

 取っ組み合いを始めたスペインとイギリスの事は、ほっといてロマーノは学生の方に向かった。近くでロマーノを見て、俳優のロマーノだと確信すると、速攻で携帯電話を取り出す。

「あの、アドレス交換して」

「はい、これ」

 学生に渡されたのは、封筒。

「え、あ、ありがとうございます」

「それからさ………」

 一歩一歩ゆっくりと歩き学生のみに聞こえる範囲まで来る。周りが騒ぐ事も気にせずロマーノは、口を開いた。

「スペインを口説こうなんて、百億年早いんだよ! もっと、自分を磨け! サルども!」

 言いたい事だけ言ってすっきりしたのか、

「おーい、スペイン。帰るぞ!」

「分かったでぇ」

 乱れた服を整えて、先に歩き始めたロマーノの側に行く。そうすると、当たり前のように腕を組む。

 それを呆然とみている学生。何事も無かったように仕事場に戻る準備をし始めるイギリス。

 

 午後の授業が始まるまで、後少し。きっと、スペイン助教授は戻って来ない。

 

 

続きはあとがきです

 

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これは、ヒドイ。

サイトの拍手に、まだ載せてますが、見つけてもスルーしてください。

結構前に書いたため、若干書き方が違います。読んでるこっちに違和感が・・・

ここまで、おつき合いくださいましてありがとうございました。

最後は書き直し予定です。

なにか、要望がありましたらどうぞ

 

 

 

 

 

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