真・恋姫†無双 臥竜麟子鳳雛√ 6
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水関前に陣を敷く北郷軍。そこに戦前とは思えないような声が響いた。

 

 

「やったー!私の勝ちー!」

「ええぇー!何で簓なのさー!!」

「そうですよー。こんな時くらい、私たちに譲ってくれてもいいのに……」

 

 

どうやら『叩いて被って〜』の決着が着いたようで、『周平』の相手は簓に決まった。

 

 

「だってー。こんな時じゃないと、明命ちゃんと本気でやり合えないんだもーん。

 周りの目を誤魔化すためにも迫真の演技をしなきゃ。それには適任だと思うよ、私?」

 

 

そう。周囲の目を欺くためにも、互いに全力を出し合わなくてはならない。

その意味では明命と付き合いの長い簓は、力量も十分把握しているため最適だ。

 

 

「でもさー。普段から明命と稽古してたんでしょー。譲ってくれてもいいじゃーん」

「でもー、季衣ちゃん絶対途中で『明命』って呼んじゃいそー」

「うっ……」

「季衣はまだしも、私には譲ってくれてもいいじゃないですか……」

「そこは運だね、流琉ちゃん♪」

「流琉ー、その言い方はヒドくないー?」

 

 

本当に決戦前とは思えない気楽さ。これがある意味北郷軍の強さでもあるのだが……。

 

 

「簓さん、準備は出来ましたか?」

「あ、雛里ちゃん。うん、バッチリ!へまはしないよ。

 って言っても、向こうが出てくる可能性は低いんでしょ?」

 

 

簓は可愛らしく首を傾げ、雛里に問う。

 

 

「籠城が定石だと思いますが……

 明命ちゃんからの情報によると、水関で待つ華雄さんはかなり自分の武に誇りを持っているようで……」

「それを侮辱されたら、勇んで出てくるってこと?」

 

 

これまた可愛らしく首を傾げて雛里に問う流琉。

 

 

「流琉ちゃん、正解ですっ。その役は公孫賛さんたちにお願いしてるの。

 それに、出てこない場合の動き方も明命ちゃんには伝えてあるから」

「でもさー、華雄って人すんなり出させちゃっていいの?

 たくさんの人に責められた時は、籠城することをまず考えるって教えてくれたのは、雛里じゃん」

 

 

季衣の疑問も尤もだ。華雄を突出させたら、あっという間に水関を守る董卓軍は瓦解してしまう。

 

 

「そのための明命ちゃんなの。

 早期に水関での戦いを終わらせて、虎牢関に移る。董卓軍にも、戦ったっていう『事実』が必要なんです」

「華雄さんは囮になるってこと?雛里ちゃん」

 

 

自ら発言しながら、簓は思わず顔を顰めた。

心優しい雛里に“囮”という言葉を用いたことを、後悔して…。

 

 

「………そう言って間違いないです……。もちろん華雄さんは討ち取ろうなんて考えませんし、

 他の一般兵にも大きな被害が出ないようにはしますけど……」

「うーーん……。ボクたちは構わないけど、兄ちゃんは良いって言ったの?」

「……『しょうがないね』って言って、苦笑いしてたよ」

 

 

一刀との付き合いが長い彼女たちには、その情景がまざまざと浮かんだ。

少女たちがあまり見たくない、親愛なる男の哀しい笑顔。

 

 

「………つらいね、軍師って」

「……善を行うだけが軍師じゃないんです。時には非情になって………先を見据えた判断をしないと…」

 

 

簓の言う通り、確かにつらい。

でも、それが自分たちは果たすべき役割。兵が戦場で体躯を痛めるなら、自分たちは心を傷つける。

 

 

「でも………兄様のためなんだよね?」

「もちろんだよっ。ご主人様のため……みんなのためになるって、私は信じてるよ」

 

 

雛里の表情は確かに暗い。だがそこには、しっかりと根を張った意志がある。

 

 

「あ、そうだ。さっき雛里ちゃん『公孫賛さんたちにお願いする』って言ってたけど、

 誰か頼みに行ってるの?千奈ちゃんとか?」

 

 

思い出したかのように、簓が声を上げる。

北郷軍の中核となる軍師の誰かが公孫賛の元へ向かっている、と予測するが……。

 

 

「朱里ちゃんと……ご主人様が行ってます」

「……やっぱり兄様だね」

「こうゆうことは、軍師のみんなに任せちゃうものだよねー」

「ホント兄ちゃんらしいよねー」

 

 

軽口を叩きながら、4人は1人の青年に想いを馳せた。

 

 

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「どう?俺たちの話に乗ってくれる?」

 

 

事情を話し終えた朱里に続き、一刀は誘いの言葉を発す。

 

 

「念入りに細作を出せば、洛陽が安寧を保っているということは、誰もが気付きます。

 にも関わらず、ここに多くの諸侯が参じているというのは……」

 

 

朱里は1つ間を置き、呼吸を整える。

 

 

「細作を出さなかったか……出した上で、この連合に乗ってきているか、です」

 

 

『公孫賛さんはどうですか?』

そう問いたげな朱里の視線に、公孫賛は苦々しく答える。

 

 

「私の所は、念入りに細作を入れる余裕がなかったってのが本音だ。黄巾党の対応に苦しんだからな。

 細作については星、趙雲にも何度か言われてたんだよ」

「まぁ確かに進言はしましたが……ない袖は振れないのが正直なところ。

 その点に関しては弁護させて頂きたい、孔明殿」

 

 

公孫賛の下で客将をしている趙雲が申し訳なさそうに答える。そう、ない袖は振れないのだ。

 

 

「もちろん公孫賛さんたちを責めているわけではありません。

 ただ、この機に乗じて…という人が少なからずいるということです」

「董卓はいわば被害者だと思ってる。だから、俺たちは彼女たちを救う方向で動いている」

 

 

一刀はこれまでの行動の真意を語る。

 

 

「……我々にも協力して欲しいと言うことですか?」

「それはすこし違うだろう、愛紗。

 協力してくれると"分かっている"からこそ、我々にこの話をした……違いますか、北郷殿」

 

 

一刀を試すように、自信ありげに見つめてくる趙雲。

 

 

「あぁ、趙雲の言う通りだ。

 桃香たちには話そうとは思ってたけど……3人が真名を預けるほどの相手だからね。

 それに、客将だけに話すわけにもいかないだろ?」

 

 

公孫賛はしばらく閉じていた目をゆっくりと開けた。

 

 

「私たちは何をすればいいんだ、北郷」

 

 

それが公孫賛の出した答え。

 

 

「いいの、白蓮ちゃん?」

「『天の御遣い』にここまで言われたら引き下がれないだろ?」

「私も賛成ですな。この連合、義憤というより欺瞞に満ちている気がしてなりませぬ」

「よかったー。2人がそう言ってくれて!私たちも賛成だよ!ね、愛紗ちゃん?」

「はい。事実であれば、何としても助け出さなくてはなりません」

 

 

一様に一刀の案に乗ってくれる。やはり味方が多いのは心強い。

 

 

「ありがとう、みんな!公孫賛たちには、華雄を捕らえてもらいたいんだ」

「華雄?水関を守る将ですか?」

「はい。もう1人は『周平』さんと言いますが、こちらは私たちが受け持ちます」

「『討つ』のではなく『捕らえる』か……。何か策がおありで?」

 

 

趙雲が疑問を抱くのも無理はない。将を討ち、戦力を大きく低下させるのが戦の常である。

 

 

「討ってしまえば、怒りに駆られた兵が死兵となる可能性があります。乱戦だけは避けなくてはなりません」

「ですがそれは捕らえても同じではないですか?華雄を取り戻そうと、兵も躍起になるでしょう」

「生きていれば望みはあります。

 そこを考慮して、『周平』さんは態勢を整えるために虎牢関に後退するよう、指示するでしょう」

 

 

これを聞いて呆れたのは公孫賛だ。

 

 

「ちょっと待て!それはいくら何でも楽観的に見過ぎだろう!

 必ず周平が引き返すとは限らない。周平が猪武者だったらどうするっ?!」

「それはありえません。“必ず”『周平』さんは虎牢関へ引き返します」

「んーー……朱里ちゃん、何でそこまで自信持って言えるのー?

 周平さんがどんな人か知ってたりするの?」

 

 

ここで突然一刀が口を開く。

 

 

「桃香、明命の名前って姓は周で字は幼平って言うんだけど、知ってた?」

「うん、知ってるよー。明命ちゃん本人から教えてもらったもん。………何でここで明命ちゃんの話?」

「……一刀殿、まさか…」

 

 

驚きに染まった愛紗の顔を満足げに見つめ、一刀はフフリと微笑んだ。

 

 

「それじゃ、もうちょっと詳しい話をしようか、みんな。朱里、頼むよ」

「はいっ」

 

 

そんなことを平然と言ってのける一刀に、桃香を除く3人はある種の恐ろしさを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば鈴々はどうしたの?」

「あやつは兵と共に準備をしていますよ。

 まぁこの話を鈴々にすれば、ボロが出かねませぬ。後に人がいないところで話す方が賢明でしょう」

 

 

愛紗の言葉に頷くことしかできず、一刀は心底申し訳なく思ってしまった。

 

 

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水関。

 

董卓軍指折りの要塞であるはずのそこは、あっさりと開け放たれていた。

 

 

「星ちゃんって口上が上手だよねー。あっさり華雄さん引っ張り出したよー」

「華雄がかなりの猪ってのもあると思うけどな……鈴々辺りに任せなくて良かったよ」

 

 

おそらく鈴々に任せていたら、子供の喧嘩じみていたことだろう。あまりに戦場に似つかわしくない。

 

 

「それにしても、愛紗と鈴々と星の3人で華雄の相手なんて、いくら何でも鬼畜すぎないか?」

 

 

歴史に名を刻む名将をたった1人でなど、情けも容赦もない。

 

 

「私も可哀相だと思うけど……。

 少しでも一般兵のみんなの被害を減らすためには、こうする方がいいんじゃないかな?」

「それはそうかもしれないが……。

 北郷は元々一般人なんだっけか?この辺りの発想は、なかなか私たちにはないよなー」

 

 

すでに幽州を治めている自分や、将としての誇りがある星たちには思いつかない対処法であろう。

 

 

「『誇りよりも、みんなの命の方が大事だ』か……。一刀さんらしいよ、すっごく」

 

 

ここで白蓮がまたまたニヤリ。

 

 

「……桃香が惚れるのも無理ない…か?」

「だ、だから白蓮ちゃんっ?!」

「ははははっ!こうやって桃香をからかう日が来るなんて思わなかったなー」

 

 

ひとしきり笑った後、白蓮の視線は戦場へ。

 

 

「衛生兵のみんなは準備出来てるんだよな?」

「うん、大丈夫だよ。

 被害は少ないはずだけど……それでもすぐ動けるようにしてるよ」

 

 

桃香は公孫賛軍において衛生兵として任に着いている。

これも彼女が出した、答えの1つ。

 

 

「よしっ。それじゃ星たちの朗報を待とう。あの3人ならすぐだろう。 報が届き次第、私たちは軍を下げよう」

「? 水関に入るために待っておくんじゃないの?」

「確かに入るけど……1番乗りは北郷たちに譲ろう。この策も北郷たちのおかげで出来てるわけだしな」

「……そうだよね。じゃー私一刀さんに伝えにっ「ここで衛生兵が離れてどうするっ」キャッ!」

 

 

襟を掴まれた桃香は不満そうに頬を膨らませる。

 

 

「うぅー。白蓮ちゃんのイジワル……」

「何のために伝令兵がいると思ってるんだ…。とにかく桃香はここで待機。すぐ動けるように控えててくれ」

「はぁい」

 

 

桃香はそう言うと、衛生兵が集まる後方へと下がっていった。

 

 

「頼むぞ星、愛紗、鈴々。それに………北郷」

 

 

白蓮は静かに水関へ視線を向けた。

 

 

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「ぐっ……お、お前たちには将としての誇りはないのか!このようなやり方っ!」

 

 

ここは連合軍前曲左翼。

董卓軍所属の華雄が対峙するは、

 

『常山の昇り龍』趙子龍

『燕人』張翼徳

そして『武神』関雲長である。

 

 

「もちろんあるぞ。正直私も、このようなやり方は好かんな。猛将と謳われる華雄、1対1でやり合いたいさ」

「鈴々だって正々堂々やった方がおもしろいのだっ!!」

 

 

2人の口から出るのは不平不満。

それも当然だ。2人とてその名を後生に伝えるほどの武将。1対多の戦いを好むわけもない。

 

 

 

「だが1人でも多くの者を生かすためには、このやり方が最善と考える。それが『我が主』の考えだ」

 

 

それは桃香を示す言葉なのか、それとも……。

 

 

「お前たちが……お前たちがそのような偽善を!!董卓様の御心には見向きもせずに!!」

 

 

華雄の怒りは当然のもの。臣下として董卓に仕えているからこそ、このような偽りの連合には我慢ならなかった。

 

 

「……連合が組まれてしまっては、もはやどうしようもないだろう。

 ……董卓が被害者たる可能性があることも、認めよう」

「趙雲、貴様……っ!」

「その上で私たちは次善の策を取るのだ、華雄。董卓を救うためのな」

「董卓様を救う……だと?」

 

 

愛紗の言葉に思わず疑問符を付ける。それは正しく、連合が行っていることと真逆だからだ。

 

 

「……話を聞いてからでも遅くはないのではないか?華雄よ」

 

 

愛紗の偽りのない眼差しを見て、華雄は黙って頷いた。

 

 

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その頃右翼は剣戟が続いていた。舞台の主演は、簓と『周平』だ。

 

 

「周平ちゃん強いなー!全部防がれちゃうっ」

 

 

簓は楽しそうに、おどけるように言う。

本当にこの対決を心待ちにしていたかのように。

 

 

「そういう孟達さんも、全部攻撃を防いでいるのですっ!孟達さんもすごいのですっ」

 

 

一方の周平は簓を素直に賞賛する。

俊敏さには自信がある自分が、ここまで一撃も与えられていないことを少し苦々しく思いながら。

 

 

「ふっ!」

「はっ!」

 

 

ほぼ同時に距離を詰め合う。

 

周平は両手で握った長尺の刀で水平に薙ぐ。

 

簓はその一撃を受けきろうと、日本刀のような鍔無しの刀で、正面からそれを受ける。

 

 

 

キイイイイイィィィィン

 

 

 

派手な金属音が鳴り響く。どこか心地よいその高音で、2人の感性はさらに磨かれる。

 

 

 

 

 

ガチガチと互いの刀が音を立てる中、簓は自らの懐へ左手を伸ばす。

取り出したるは……懐刀である。

 

 

「せいっ!」

 

 

簓は抜き身のそれを周平に向かって突き出す。

 

 

 

 

 

が、その速さは普段のものより幾分鈍い。

 

 

「遅いですっ!」

 

 

周平にとってそれを避けることは造作もない。

半身になって躱した後、がら空きになった簓の左脇腹に蹴りを繰り出す。

 

 

「くっ!」

 

 

簓は少しでも衝撃を減らすために、無理矢理後ろへ飛ぶ。

わずかに感じた脚への痛みは、手緩い攻撃をした自分への報いだろうか。

 

 

「そんな遅い攻撃じゃ、当たるものも当たらないですっ!手加減してるですかっ?!」

 

 

周平が怒るのも無理はない。先程の簓の攻撃は明らかに遅い。

そこら辺の一般兵に対しては何ら問題ないが、将相手では掠らせるのが精一杯な突きである。

 

 

それ以前に、先の簓の攻撃には”迷い”があった。

 

 

「だって〜………」

 

 

簓がなぜかぐずる。

それを見た周平は思わずハッとする。

 

 

 

 

 

『これはマズイ』と。

 

 

「だってー…こんなの当たったら、明め「覚悟ですっ!」きゃっ!」

 

 

簓の言葉は、周平の突撃によって途切れた。

 

 

「簓、それ以上言っちゃダメなのですっ」

 

 

至近距離になったことを良いことに、思わず話し掛ける。

 

 

「だってー。さっきまで『やるぞー』って思ってたのに、

 久しぶりに明命ちゃんの顔見たら安心してきちゃって……。本気出せなくなっちゃったよー」

「変に手加減すると、分かる人には分かってしまうのですっ!しっかりするですっ簓」

 

 

『明命』はそう言うと、簓との距離を離す。そう、明命は真剣に周囲の目を欺きたいのだ。

 

 

「うぅ〜。分かったよ−。明命ちゃんのイケず」

「いきなり天界の言葉を使わないでくださいっ」

 

 

それもかなり古い。

 

 

簓は明命に合わせて剣撃を繰り出す。

多少言葉を交わしたことで、心にゆとりが生まれたのだろう。先程までより、動きが滑らかだ。

 

 

「董卓さんの様子はどう、明命ちゃん?」

「……月、すっごく暗いです。みんな自分のせいだって………」

「そっかー、もう真名も預けたんだね。やっぱり千奈ちゃんたちが言う通り……」

「こんな戦い、早く終わりにさせなきゃダメなのですっ」

 

 

2人は頷き合い、決意を新たにする。

 

 

「もうちょっと明命ちゃんには頑張ってもらうけど……お願いね」

「はいっ!簓も、一刀様たちをお願いですっ」

 

 

 

 

 

そうこうしている内に、華雄の軍が水関へ引き返すのが見える。

 

 

「……旗が揚がったままです。華雄さんを捕らえるのとは別の作戦になったんですか?」

「そうなのかも…。関羽ちゃんたちがやられたなんて考えられないし……華雄さんが改心でもしたのかな?」

「……直接会って聞いてみるのですっ。私はここで下がります、簓っ」

 

 

そう言って明命は軽く微笑む。

 

 

「うんっ。あ、これかず君からの伝言と、軍師のみんなからの作戦内容。

 かず君の紙に書いたから、読みやすいと思うよ」

 

 

周りからは分からないように渡されたのは、小さく折り畳まれた紙。

一刀のバッグに入っていたノートの紙は持ち運ぶ時に便利なため、隠密部で特に重宝されている。

 

 

「それじゃ……あんまりお姉ちゃんを心配させないでね?」

「……やっぱり簓は心配しすぎなのですっ。みなさん!華雄さんが退きました!私たちも退きましょう!」

 

 

華雄軍の後を追うように駆ける『周平』軍を、簓たちは追撃することなく見送った。

 

 

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「……水関に兵は残ってる、朱里?」

「いえ、どうやらもう残っていないようですっ。このまま突破しても大丈夫だと思いますっ」

 

 

華雄たちが水関へ引き返してから一夜。一刀たちは水関前で陣を構えたまま待機している。

どうやら愛紗たちは、華雄にある程度のことを話したらしい。一刀はその独断を謝罪されたが、笑って許した。

 

 

おそらくそうした方が、多くの命を救えるだろうから。

現に被害らしい被害がない内に、華雄軍は退いていった。

 

 

「華雄は虎牢関まで戻ったかな?」

 

 

小声で雛里に話し掛ける。

 

 

「おそらくそうだと思いますっ。それどころか……虎牢関では、籠城を進言する可能性もあります」

「華雄が自分からか?」

 

 

趙雲の挑発に乗って、おいそれと出てくるような猪武者である。わざわざ進言するとも思えないが……。

 

 

「……華雄さんは愛紗さんたちから話を聞いて、自ら水関へ戻っていきました。

 これは、何らかの心境の変化だと思います」

 

 

雛里の言うことはあくまで推測だが、あながち間違ってはいない。

 

 

「ホントに董卓がでぇじなら、口上に乗って出てくるなんていう馬鹿なことしねぇだ。

 まぁ、関羽たちにはだいぶ怒ってたみてぇだげどな」

「愛紗さんたちの話を聞いて、華雄さんが一気に守りの姿勢に入ることも考えられます。

 真に董卓さんが大事なことを思って……」

 

 

千奈と麒里の話も統合するとありえない話ではない、と納得する。

ではこれからどうするか……。

 

 

「ここは素直に水関を抜けましょう。公孫賛さんからも『先に行ってくれ』と言われましたし。

 水関での“功”、頂きましょう」

「よし、じゃー行こうか。雛里っ、先陣をお願い」

「は、はひっ!で、ではみなさん行きましょう!」

 

 

こうして一刀たちは、難攻不落の水関をほとんど被害も出さずに短時間で抜けるという離れ業をやってのけ、

大きな名声を得たのである。

 

 

 

 

 

 

 

一方将軍勢は…

 

 

「簓ー。絶対アレ手ぇ抜いてたでしょ−?!」

「調練の時の方がキレがあった気がしますよ?」

 

 

簓が季衣と流琉の間に挟まれて右往左往していた。

 

 

「だ、だからね?明命ちゃんと顔合わせるの久しぶりだったから思わず、ね?」

「ね?じゃないよー。ボクも明命と久しぶりにやりたかったのにー」

「心なしか、明命ちゃんも慌ててたような気がします…」

 

 

それは共に過ごしてきた者にしか分からない、ほんの些細な変化。

この辺りは、さすが将軍と言ったところである。

 

 

「うぅー。もう許してよぉ」

「ダメー。次はボクたちが前に出るからねー」

「簓さんは後方に下がっててくださいね」

「ひーどーいーよー!」

 

 

簓の悲痛な叫びが木霊した。

 

 

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無事何事もなく水関を突破した連合軍ご一同様は、改めて軍議を開いていた。

 

 

「次の虎牢関、あなたたちは後曲に回ってもらいますわ」

 

 

そんな袁紹の一言に

 

『やっぱり……』

 

という顔をする北郷軍の一行。

 

 

「あんなにあっさり退いてしまって……董卓さんも大したことありませんわね。

 ここは総大将である私が!この私が!自ら打って出て、連合軍の大義を世に知らしめるべきですわ!

 オーッホッホッホッホッ!!」

 

 

軍議の場にはあまりにも不釣り合いな高笑いに、側近すら心配顔になる。

 

 

「本当に大丈夫かなー」

「心配すんなって斗詩ー。斗詩はあたいがしっかり守ってやるからさ!」

「えっと、文ちゃん?そういう問題じゃなくてね?」

 

 

 

 

 

 

向こうは向こうで話し始めたようなので、こちらもこちらで密談をすることにする。

 

 

「……予想通りの展開ってヤツか、これ?」

「んだな。あんだけあっさり水関抜けられんなら、袁紹が調子づくのも無理ねぇだ」

「普通は疑いませんか?水関をあんな短時間で……」

「そこを疑わないのが、袁紹さんたる所以だと思うよ…」

 

 

流琉の疑問も尤もなのだが、雛里の答えで納得できてしまうのが、悲しいところ。

 

 

 

 

 

 

「私たちは左翼を担当致しますから、美羽さんたちは右翼を担当なさいな」

「なんじゃ?そんなもの麗羽たちだけで十分じゃないのかえ?」

 

 

そう答える袁術の顔には、すでに『面倒』の2文字が浮かんでいる。

 

 

「仕方ありませんでしょう。顔良さんがあまりにもしつこいんですもの」

「いくら何でも私たちだけじゃ無理ですよー。華雄さんや周平さんがあっさり退いたのだって、

 きっと理由がっ「斗詩は考えすぎだってー」もう、文ちゃんっ!」

 

 

計らずとも顔良が言うことは的を射ているのだが、主と親友は気にもかけない。本当に不憫な娘である。

 

 

「むむむ……」

「美羽様美羽様。ここは袁紹さんの案に乗っておくべきですよー」

「なぜじゃ七乃?」

 

 

未だ迷っていた袁術の下へ、天然の小悪魔が舞い降りる。

 

 

「虎牢関を1番で抜ければ、その分目立てるんですよー。

 そうすればもっと人が集まって、もっと蜂蜜が手に入るようになりますよ♪」

「おー!それは素晴らしいのじゃ!わらわも前に出るのじゃ!」

「よっ!さすが美羽様!自分の欲望に忠実だぞー」

「うわはははー!もっと誉めるのじゃー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………やっぱりこの連合って不純だよな」

 

 

怒りを通り越して呆れる一刀。

 

 

「いまさらだ、かー坊」

「いまさらですよ、兄様」

「いまさらだと思います、ご主人様」

 

 

返ってきた3人の答えでさらに虚しくなる。

が、いつまでもそうしているわけにもいかないので、小声で軍議を再開する。

 

 

「後曲になったけど、これからどうする?」

「特別私たちにできることはありません。時間稼ぎしようにも、後曲ではなかなか……。

 他の軍にも被害が出ないようにはしたいですが……」

「こればっかしは、あたしらにはどうにも出来ねぇだ。………“あの娘”を信じて待づしかねぇ」

「………きっと大丈夫ですよ。ね、兄様?」

「あぁ………信じよう。俺たちの大事な仲間だもんな」

 

 

そう言って4人は、虎牢関へ向かっているであろう1人の少女へ思いを馳せる。

 

 

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「虎牢関でも籠城の策を取ってくれませんか?」

 

 

虎牢関へ着くなり明命が口にした言葉は水関の戦況ではなく、虎牢関での戦略だった。

 

 

「………ワケがききたいなぁ。なぁ、ねね?」

「…明命殿が策の進言をするなど、珍しいことですからな…」

 

 

いつも陽気な張遼も、いつも小生意気な陳宮も、明命からの提案を訝しむ。

 

 

 

 

明命の性格は十分理解している。

 

『明るく、朗らかで、一所懸命』

 

あまりにありきたりな言葉ではあるが、正にそれを体現している少女と言える。

そんな彼女も、軍略において積極的な発言をすることはほとんどない。

あったとすれば、先の水関での守りを名乗り出たことくらいであろうか。

だからこそ、その進言の理由を聞きたい。

 

 

「実際に見ましたが、戦力差は明らかなのです。

 普通にやって勝てる相手じゃないです。ねねも同じ考えですよね?」

「当たり前ですぞ!無論、将の質で恋殿に敵うヤツなどいないですけど……。

 でも、兵数や武器数、将の数まで差は歴然!

 だからこそ、こちらに分がある兵站を最大限に活かす籠城を選ぶことは当然ですぞ!」

 

 

普段から『恋殿至上主義』の陳宮でさえも、連合軍の規模は驚異に映る。

例え、烏合の衆であったとしても……。

 

 

そう。差は歴然なのだ。選べる戦略など、1つしかない。

 

 

「誰かさんは水関で突撃しよったらしいけどなー」

「詠殿があれほど籠城しろと言ったのに……」

 

 

2人のこの反応に……

 

 

「うっ…。そ、それは私も申し訳なく思っている……」

 

 

この華雄の反応に、張遼は目を丸くする。

 

 

「今日はこれから雨なんかなー。それとも華雄熱あるん?」

「ないわっ!……これも董卓様を思ってのこと。水関での私の行いは、あまりに愚かであった…」

 

 

目を丸くする人間がさらに増える。

 

 

「し、霞殿!これは雨では済まないですぞ!雪に霙、きっと霰に槍まで降りますぞっ!!」

「お前ら……っ!」

 

 

さすがの華雄でも、怒ることの許される仲間たちの反応である。

 

 

「まぁまぁ、ちょっとからかっただけやーん。そんな怒らんといてやー。

 ほら、恋っ。いい加減起きぃ。華雄と明命帰ってきたで」

「………んぅ……あふ……………おかえり…………」

 

 

体を軽く揺さぶられ、ようやく目を覚ます飛将軍。

神経が図太いと言うよりは、神経そのものがないくらいの緊張感の無さである。

 

 

「はぁぁぁ……恋殿はいつも可愛らしいですなー…」

「あんたも大概神経太いな、ねね……」

 

 

勝手にのろける陳宮を見て、思わず呆れる。

 

 

「……………何かあった?」

「あぁ、せや。ここでの作戦やけど……どないしよか、ねね?」

「……ここで取れる策など、1つしかないですぞ。

 籠城して、あいつらの兵站が尽きて、戦意が落ちたところを叩くのが1番なのです。

 ……叩かない限り、月殿たちはいつまでも追われる身ですぞ」

 

 

結論は出た……かに見えた。

 

 

「いえ、みなさんには時間稼ぎ“だけ”をしてほしいのです。……月たちが逃げ切るまで」

 

 

それはあまりにも唐突な提案。誰しもが予想しなかった、突飛な発言。

 

 

「ちょっと待つです、明命殿!籠城の案を出しておいてそれはないですぞ!

 そもそも、月殿たちに逃げる所などっ!」

「せや!ウチらはこの戦いに何が何でも勝たなアカン。それがウチらに残された道やろ?!」

 

 

逃げることができないなら、勝つしかない。それは、至極真っ当なこと。

 

 

「月たちを匿える場所ならちゃんとありますから、大丈夫なのですっ。

 これが……1番被害が出ないやり方なのです」

「……関羽も言っていた。『虎牢関で時間を稼げ。そうすれば董卓たちは助かる』と……」

 

 

華雄の発言を聞き、張遼と陳宮の表情が驚きに染まる。

 

 

「…ちょい待ち。関羽から聞いたやと?」

「何で連合のヤツがそんなこと言ってるですかっ?!」

「???」

 

 

2人はあまりの展開に声を荒げる。

呂布だけが、イマイチ理解できずにポーっと明命を見つめているが……。

 

 

「それに……何で明命殿が、連合軍の関羽と同じようなことを言うですか?」

「そういや明命……あんた華雄が突撃した時、自分も出て行ったらしいな。

 それも華雄を連れ戻さんと、別の軍の相手しとったとか。……どういうつもりや?」

 

 

2人の鋭い視線が明命に突き刺さる。

 

 

 

 

 

 

明らかに疑われている。ここまでの発言と行動を鑑みれば、正直無理もない。

だが、明命とて退くわけにはいかない。

 

 

 

 

董卓たちのために。

自分の願いのために。

そして、親愛なる青年の悲しむ顔を見ないために。

 

 

 

 

「私は……」

 

 

これまでの行動。これからの行動。そして、本来の目的。ぽつりぽつりと語り出す。

青年の字が書き込まれた、小さな紙を左手に握りしめながら。

 

 

-9ページ-

 

 

虎牢関へ向かう道すがら、一刀に話し掛ける1人の少女がいた。

 

 

「北郷殿っ」

 

 

駆け寄ってくる少女は髪をポニーテールにした、いかにも『スポーツ少女』といった感じの風貌だ。

 

 

「馬超っ。どうしたんだ?こんな後曲まで」

 

 

2人は既に軍議で顔を合わせ、数度言葉も交わしている。

 

 

「ちょっと聞きたいことがあったからさ……今大丈夫か?」

「……あぁ。それならもう少し後ろで話そうか?」

 

 

馬超の深刻そうな顔を見て、あまり人のいない所で話そうと考える。

 

 

「朱里!千奈!ちょっと来てくれないか?!」

 

 

ちょうど近くにいた頼りになる2人の軍師を呼び寄せ、後方で話をすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「あたしたち馬一族の人間は、董卓の治めてた隴西と少し関わってた。

 あたしは会ったことはないけど、母上は会ったことがあって隴西での善政を知ってるんだ。

 だから母上は董卓に関する噂を疑ってた……」

 

 

少し目を伏せながら、馬超は言う。

母親から語られた董卓の人物像は、連合で語られるものとはあまりに懸け離れていた。

 

 

「あたしは母上に言われて、真実を見極めにここに来たんだ。

 ……北郷殿の軍は、周平の軍が退いても見送ってたよな?」

 

 

馬超に自分たちの行動が知られていたこと思い、一刀たちは顔を顰める。

 

 

「見えてたのか、俺たちの行動?」

「あぁ、でもあたしの軍にしか見えなかったと思うぜ。北郷軍のすぐ後ろだったからかろうじて、って感じだな」

 

 

その答えに、2人の軍師は安堵の表情を見せる。

 

 

「他には極力見えないように陣を張っていたんですが……もう少し警戒する必要がありましたね」

「水関に寄せで、攻める“フリ”くれぇはしとくべきだったな。

 公孫賛とごは、後ろにいたのが韓馥のマヌケだったから大丈夫だったみてぇだげど……」

 

 

この2人の回答に、馬超は少し驚きを見せた後、真っ直ぐな眼差しを一刀へ向ける。

 

 

「やっぱり……董卓たちの噂を疑ってるのか?」

「疑ってるっていうか……完璧に嘘だと思ってるよ、俺たちは。確証もあるしね」

「確証?」

 

 

どこからそんなものを……。

そんな顔をする馬超に、一刀は微笑みかける。

 

 

「それについては後で話すよ。

 ……見極めにって言うけど、本当は馬超自身もほとんど信じてないんだろ?董卓たちの”悪行”ってのは」

「あぁ。母上が話してた董卓の人柄とは似ても似つかないからな。

 あたしたちに出来ることがあるなら、してやりたい。協力できることないか?」

 

 

一刀たち3人は顔を見合わせ、頷き合う。

やはり、仲間が多いと心強い。だが……

 

 

「心強いのは確かですが……今私たちにできることはないんです」

「下手に動いて周りに警戒されんのも危ねぇがらな」

 

 

今は明命を信じて待つしかない。かろうじて出来ることは、連合側に疑われないように行動することくらいだ。

 

 

「ただ、もし何かあった時に協力してくれると嬉しいな。

 かなり綱渡りな作戦だから、出来る限り味方は欲しいんだ」

「あぁ。分かった、協力するよ。……あ、ちょっと待っててくれっ」

 

 

そう言うと、馬超は走って何処かへ行ってしまう。

 

 

 

 

 

 

「やっぱり心強いね」

「涼州の『錦馬超』……。義に厚い方だとは聞いてましたけど、その通りですねっ」

「西涼んとこには探り入れてぇと思ってたげど、さすがは名君馬騰とその娘だな」

 

 

桃香や公孫賛たちに続く強力な仲間を増えたことを、心から感謝する。

自分たちがこの連合の中でどれ程異色の存在なのかは分かっている。

あまりにも危険な橋を渡っていることも……。

 

 

「あんな娘ばっかりだったら、これからの戦乱も多少楽になるんだろうなぁ……」

「そうでねぇがら、大変なんだろ?」

「でも、きっと一刀様の考えに賛同してくれる方は現れますよっ!」

 

 

朱里の言葉が心強い。これまで名だたる名将・名軍師が自分の想いを分かってくれたのだ。

きっとこれからも……と信じられる。

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしている内に、馬超が戻ってくる。

 

 

「おかえり、ばちょ…って何してるんだ、季衣」

 

 

馬超の隣にいたのは、軍前方で控えていたはずの季衣。

 

 

「へへー。たんぽぽが兄ちゃんの所に行くーって言うから、ついてきたよー」

「たんぽぽ?」

 

 

元いた世界でも聞き慣れた植物の名が出てきて、パッと人物名だとは考えられなかった。

 

 

「あ、認められてもないのに呼んじゃダメなんだよー?」

 

 

話し掛けてきたのは、小さめなポニーテールがよく似合う少女。馬超以上に活発そうに見える。

 

 

「えっと、君は?」

「あたしはねー馬岱!翠お姉様の従妹でーすっ!」

 

 

見た目通りの元気の良さである。思わず微笑ましく思ってしまう。

 

 

「えっと……その馬岱が何でここにいるの?」

 

 

展開がさっぱり読めなくて、思わず問いかけてしまう。そんな一刀に、馬超は真顔で見つめてくる。

 

 

「少しの間、たんぽぽを北郷殿の軍に加えてくれないか?」

「「なんでっ?!」」

 

 

それはまさかの展開。誰しもが予想していなかったこと。図らずも一刀と馬岱の声が重なる。

 

 

「えっと、馬岱?馬超から何も聞いてないの?」

「うん。だってお姉様『とりあえずついてこい』ってだけなんだもん」

 

 

頬をリスのように膨らませ、口を尖らせる。その顔が可愛らしくて、一刀は思わずニヤついてしまう。

 

 

「北郷殿はあたしを信じて、董卓のことを話してくれたんだろ?あたしもそれに応えないとな」

「いや、でも……」

「本当はあたしが協力したいんだけど、他のみんなを置いてくわけにはいかないしな」

「………馬岱はいいのか?」

「うーーん。そりゃそこらへんの、悪巧み考えてそうなおっちゃんだったらイヤだけど……」

 

 

この馬岱の言葉に、馬超は思わず呆れ返る。

 

 

「悪巧みって……お前が言うか、たんぽぽ?」

「もー。たんぽぽのはちょっとした悪戯だよ、イ・タ・ズ・ラ?それに、季衣から話も聞いてるしねー」

「話?季衣、何か話したのか?」

「ううんー。たんぽぽとは普通に話してただけだよー」

 

 

これと言って特別な話していない。季衣自身はそう思っているようだが……

 

 

「よく言うよー。あんなに嬉しそうに御遣い様の話してたくせにー」

「だ、だって兄ちゃんと一緒にいるの楽しいもんっ!」

「……顔真っ赤にしちゃってー。ま、そういうわけだからいいよ!御遣い様と一緒に行動してあげるっ」

「いや、どういうわけだかさっぱり分からんのだが……」

 

 

話の飛躍っぷりついていけない一刀。決して一刀が理解が遅れているわけではない……はず。

 

 

「よろしくね!御遣い様!」

 

 

意外にも乗り気な馬岱を見て『ま、いいかな?』と思ってしまう一刀なのであった。

 

 

-10ページ-

 

 

「お、来たでー。思った以上の大連合やなー」

 

 

虎牢関の城壁に立って、張遼は思ったことを素直に口にする。

目の前に広がある軍勢は、想像していた連合の規模を明らかに上回っていた。

 

 

「袁紹のバカ、やっぱり檄文をあちこちに送りやがったです」

 

 

陳宮も憎まれ口を叩くが、その表情は心なしか明るい。

 

 

「しかし我々のやることは変わらん。まさか怖じ気づいた訳ではあるまい。張遼、陳宮?」

 

 

どこか晴れやかに、不敵な笑みを浮かべる華雄。心にも思ってないことを口にする余裕すらある。

 

 

「アホなことぬかすな。そりゃウチらだけで連合軍全滅させぇゆーのはちーっと骨が折れるかもしれんけど、

 ウチらがやることはただの時間稼ぎやろ?楽勝や」

「ねねたちの心配より自分の心配をしていればいいですぞ、猪武者!」

 

 

ハハハと笑いながら、普段の明るさと何ら変わることなく答える。

そんな予想通りの答えが返ってきたことが嬉しくて、華雄も怒るのを忘れて笑ってしまう。

 

 

「……………“明命”のこと…………信じる」

 

 

呂布の言葉に3人は目を鋭くして、連合軍へ向き直した。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

董卓たちは何者かに嵌められて、この状態に陥った。“騙された”とも言っていい。

よってそれからは、本当に信頼できる仲間だけを信じて、我が主を守ると誓った。

 

 

 

そんな時に告白された“仲間”の嘘。

いくら相手の性格を把握し、気心の知れた仲になったからといっても、

容易に信じることは出来なくなってしまった。

 

 

 

明命の告白を目の当たりにし、3人が迷いを顕わにしていたその時。呂布が呟く。

 

 

『…………………明命の“真名”……………ホント?』

 

 

それは4人が預かった大事な名前。

己が認めた者にしか口にすることが許されない、神聖な名。

 

 

『………はい、本当です。私は、姓は周、名は泰、字は幼平。真名は……明命です』

 

 

その言葉で何かが吹っ切れた。

ここまできたのなら、いっそ信じてみよう。目の前に立つ少女も、『天の御遣い』という存在も……。

 

 

それからの5人の準備は、あまりに迅速だった。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

門の前まで辿り着き、改めておさらいをしようとする張遼。

 

 

「さてと……恋、華雄。“約束”忘れたらアカンで」

「……………………?」

「そんなものあったか?」

 

 

もう2人の頭には残っていないようだ。

 

 

「アホかお前ら!明命と約束したやろ!『敵兵は極力殺さないでください』って!」

 

 

いかにも北郷軍らしい考え。一見甘く思えるが、実際は理に適っている。

 

 

「兵を殺してしまうより、怪我をさせた方が人手は食うし、進軍の邪魔になるのです。

 ただの時間稼ぎには、この方が効果的ですぞ」

 

 

陳宮は2人に言い聞かせるようにゆっくりと話す。

本当は、呂布に対してはもっと時間をかけて、ベタベタしながら教えて行きたいところだが、そんな時間はない。

 

 

「それに、痛みに泣きわめく兵を見れば無傷の兵も士気が下がるのです。

 まぁ残酷なようですけど………あいつらのやってることの方が、よっぽど鬼畜ですぞ!」

 

 

両手を挙げて怒りを顕わにする小さな軍師殿。本人の気持ちとは裏腹に、実に可愛らしい。

 

 

「それに関しては同感やな。ま、ウチらは殺さん程度に暴れて、ちゃーんと帰ってくればそれでええねん。

 何しろ単騎やしなぁ」

 

 

 

 

無謀とも言えるこの策。だがそれを為すのは

『猛将』

『神速』

『飛将軍』

何千何万の兵を前にしても、決して怯むことのない将である。

 

 

「んなら行こか!恋は袁紹、華雄は袁術、ウチはその後ろの曹操や!」

「ほう。私にわざわざ孫策のいる袁術軍を当てさせるのか」

「ここまで来たらとことん楽しまな損やろ!華雄かて派手にやりたいんとちゃう?」

 

 

華雄はニヤリと笑う。

 

 

「…………霞は……………後から?」

「恋殿と華雄殿に袁紹と袁術では役者不足ですからなー。

 せっかくですから、詠殿が黒幕と睨む曹操の所に行ってもらうです!」

 

 

本当に陳宮には意地悪な笑みがよく似合う。

 

 

「ま、そうは言うても虎牢関を攻め込まれんよぉにするんが最優先やけどな」

「制限時間はこの『らぁめん時計』5回分、およそ15分ですぞ。銅鑼を鳴らすので、必ず帰ってきてくだされっ」

 

 

一刀がみんなに広め、明命が洛陽で教えたそれは、またの名を砂時計という。

 

 

「……月と詠、絶対守る」

「当たり前や。ウチらの大事な主君と軍師やからな!」

「董卓様には指一本触れさせん」

「吠え面かくといいのです!」

 

 

正に意気軒昂。その余りある気迫をぶつけるにはうってつけの相手がいる。

 

 

「………聖(ひじり)と護(まもり)も」

「………あの娘らも守らなアカンな。これ以上泣き顔なんて見たないわ」

 

 

涙を流さずとも、心でずっと泣いていた2人の少女を頭に浮かべ、さらに目を鋭くする。

 

 

「頼みましたぞ、恋殿、霞殿、猪」

「………うん」

「任されたで!」

「なぜ私だけ名前ではないのだっ!」

 

 

実に賑やか。この辺りは、あの男の軍に通じる所があるのかもしれない。

 

 

「門を開けるですっ!」

 

 

目の前には何千何万の大軍。それを眼前にしながら、3人は高らかに出陣した。

 

 

-11ページ-

 

 

ここは帝都洛陽。

その地の中枢であるはずの城は、戦乱の最中にも関わらず静寂に満ちていた。

ここに残った兵はわずかしかおらず、残りは文官や侍女のみ。

 

 

そんな中、1人の少女が眼光鋭く怒鳴り散らす。

 

 

「アンタまでボクたちのこと騙してたって言うのっ?!」

 

 

少女の名は賈駆。董卓軍の筆頭軍師にして、実質的な為政者である。

 

 

「………」

 

 

一方これまでの経緯を話し終えた明命は、賈駆に睨み付けられてもその目を伏せることはない。

 

 

「はっ。まさかアンタにまで騙されるなんて、ボクも堕ちたものねっ」

「詠ちゃん……」

 

 

そう自嘲気味に語る賈駆を悲しげに見つめるのは、この地の太守・董卓。

心根優しいその少女は、親友2人の心情を慮る。

 

 

「アンタは本当にボクたちの仲間だと思ってたのに……」

「詠ちゃんっ」

「アンタのやってることなんて張譲たちと一緒「詠ちゃん!」っ!」

 

 

先程までと違って、力強い眼差しで賈駆を見つめる董卓。

彼女にしては珍しく、賈駆の言葉を真正面から否定する。

 

 

「明命ちゃんは張譲さんとは違うよ。明命ちゃんは……私たちの仲間だよ」

 

 

平然と笑って答える董卓。慈愛の象徴のような笑顔をする董卓に、賈駆は悲痛な声を上げる。

 

 

「何で月は信じられるのっ?!

 洛陽に来てからこんな状況ばっかり続いてるのに!そいつはボクたちを騙してたんだよっ?!」

「でも私たちを助けるためだよ?」

「そんなの嘘かもしれないでしょ!?ボクはもうこれ以上月を傷つかせるわけにはいかないのっ!!」

 

 

親友の悲痛な想いが、董卓に伝わる。何もできなかった自分。いつも親友に頼ってばっかりで…。

こんな自分を支え続けてくれて、どれだけ感謝したらいいのだろうか?

 

 

でも、こんな時くらいは……こんな時だからこそ、自分の意志を伝えなくては。

想いを伝えて、彼女を安心させてあげなくては。

 

 

「それでも私は信じたいの。『天の御遣い』様を……何よりも、明命ちゃんを」

 

 

淀みなく言えた。もっと声が震えるかと思った。力強く言えたのは、きっと信じているから。

 

 

『心配性な親友は、きっと自分の気持ちを分かってくれる』

『何事にも一所懸命な親友は、きっと自分たちのことを救ってくれる』

 

 

甘えているのかもしれない。

でも、『信じる』ってことは、きっとそういうことだから。

 

 

「……分かった。ボクも明命を信じるわ。月ったら、1度決めたら頑固なんだから」

「ごめんね、詠ちゃん」

「謝らないの。ボクが余計惨めに思えるわ」

 

 

思わず苦笑いする賈駆。

普段は気が弱いのに、いざという時は確固たる信念を持ち合わせる親友には、やっぱり敵わないと内心思う。

 

 

「ホントですかっ?!それでは一緒にっ「ダメよ、明命」え?」

 

 

喜び勇んで声を上げた明命に対して、冷静に語りかける賈駆。

 

 

「月とボクはあんたを信じるって決めたけど、ボクたちだけじゃ決められない」

「そうだよね……あのお2人にも決めて頂かないと……」

 

 

そう話す2人の後ろから、1つの人影が現れる。

 

 

「では今この場で決すればよいのであろう?」

「劉協様っ?!」

 

 

声の主を見て、賈駆の目が見開かれる。

 

 

「ここは公の場ではないぞ、詠。真名でよい」

「えっと……護様。どうされたんですか、お部屋で休まれていたのでは……」

 

 

董卓の疑問に、劉協は少し意地悪そうに口角を上げる。

 

 

「何者かの大声で目が覚めてな。こうして様子を見に来たというわけだ」

「うっ……申し訳ありません…」

「謝らずともよい。

 して、明命。お主の話、信じてもよいのか?」

 

 

まるで見透かすような視線が、明命を貫く。

だが、それで怯む明命ではない。何としても目の前にいる大切な人たちを救いたいから。怯んでなどいられない。

 

 

「名を偽ってたことは、心からお詫びするのですっ。

 でもっ、信じてほしいです!一緒に雍州に、一刀様の所に来てくださいっ!」

 

 

明命の言葉に劉協は軽く腕を寄せ、目を伏せる。

 

 

「民を安寧へと導く『天の御遣い』……か」

 

 

それは、今や多くの民が信を置く、青年の二つ名。その名を悲しげに呟いたその時。

 

 

 

コツ………コツ………

 

 

 

硬質の物がぶつかり合う音が響く。

劉協の後ろには、杖をつきながら歩く、儚くも神々しい少女。その姿は劉協と瓜二つで……。

 

 

「劉弁様っ?!」

 

 

劉協は慌てて劉弁に駆け寄る。劉弁は生まれつき脚が悪い。

杖を使わなくては歩くこともままならず、下手に倒れて怪我をしたら大事になる。

 

 

「どうしたのですかっ?!部屋で待っていてくださいとあれほどっ「…………」…っ!」

 

 

劉弁は空いてる左手で劉協の右手をぎゅっと握り、額を合わせる。

 

 

 

 

言葉は発せず、目を閉じ、しばしの時間。それはまるで一枚の絵画のようで……。

 

 

 

 

ゆっくりと額が離れる。

劉協の目に映るのは、劉弁の優しい微笑み。

“慈愛”という点では、董卓にすら勝るそれを見て、劉協も笑う。

 

 

「………そうだよね。信じてみてもいいよね、お姉ちゃん……」

 

 

周囲に聞こえないように、劉弁にしか聞こえないように、小さく小さく呟く。

 

 

「…………」

 

 

そう話す劉協を見て、また劉弁が笑う。今度は少し活発そうな、年相応の笑顔。

口を開くことはないが、思ってることは妹へ伝わっている。

 

 

「月、詠。洛陽を出る。明命より詳しいことを聞き、雍州へ向かうぞ」

 

 

劉協の言を聞き、董卓と賈駆、そして明命は嬉しそうに笑う。

 

 

「「「はっ」」」

 

 

気持ちの良い返事を皮切りに、明命からの説明が行われていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明を聞き終え、劉弁と2人で部屋に戻った劉協。劉弁と共に並んで寝台に座り、少し考え込む。

 

 

「会ってみたいって思ってたけど………まさかこんな形になるなんて……」

 

 

 

『天の御遣い』

 

突如この大陸に現れるや否や、瞬く間に領土を広げ、多くの民を心酔させた稀代の青年。

 

 

劉協は彼に1度会って、話をしてみたいと思っていた。

求心力を失った朝廷の、進むべき道について。

しかしそれも叶わぬ夢。今の朝廷は、見るも無惨な姿となっているのだから。

 

 

 

そうして深く考え込む劉協を見て、劉弁は右手同士を重ね、左手でそっと包むように抱く。

言葉はないものの、痛いほど優しさが伝わってくる抱擁。

 

 

「………ありがとう、お姉ちゃん」

 

 

それを聞いて満足したのか、劉弁は腕を解く。そして念のため周囲を警戒しながら、懐からある物を取り出す。

 

 

「それって………そうだよね。それはもう、私たちが持つべき物じゃないよね」

「…………」

 

 

劉弁は軽く頷く。

もう持つ“資格”がない、といった方が正しいか。

 

 

「本当にこの大陸を導いてくれる人に…………」

 

そう言うと、劉協はそれを再び劉弁の懐にしまい、劉弁の手をとって立ち上がる。

 

 

 

 

さらば洛陽。

2人は静かに辺りを見つめ、本格的な準備をし始めた。

 

 

-12ページ-

 

 

どこに入れればいいか分からなかったから、ここでおまけ。

(実験的に会話と擬音のみで構成されています。想像力が不可欠となりますので、ご了承ください)

(というか、読まなくても問題はありません)

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ふわわ〜」

 

 

 

 

「雛里ちゃん、麒里ちゃんさっきからボーッとしてるね」

「うん……どうしたんだろ?」

「こーゆー時は聞いちゃった方が早いよ♪」

「簓のゆぅ通りだ。おーい麒里ー!どうしただかー?!」

 

 

 

 

「?麒里、どうかしたのー?」

「季衣、さっき言ったじゃない。連合軍の本陣に行ってから麒里ちゃんの様子がおかしいって」

「そうだっけ?」

「言ったわよー」

「さっきから心ここに在らずって感じで……」

「麒里ちゃん、本当にどうしたのかな……」

 

 

 

 

「あれは………間違いなく恋する女の子の顔だね」

 

 

…………………………

 

 

「はわわ……」

「あわ……」

「っ……」

「むー……」

 

 

 

タッタッタッ

 

 

 

「何が麒里から話があんみてぇだぞ?」

「えっとね……んとね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぐすっ」

「兄様……」

「ぶー……」

「そっか……かず君…」

「こげなちっこい娘を……」

 

 

「………おめでとう、麒里ちゃん」

 

 

 

 

「ま、待って!違うの!」

「ひっく……な、何が?」

 

 

 

「んっとね……私だけじゃなくてね、一刀様……みんなのこと好きだって……女の子として……」

 

 

 

「はわわっ!?」

「あわっ、あわっ、あわっ」

「に、兄様ったら…」

「に、兄ちゃんっ」

「かずく〜ん……」

 

 

 

「ほんとかー坊は節操がねぇだなぁ。ま、明命も喜ぶだろぉがら、いっが。

 ……あたしも嬉しぃしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パカラッパカラッ

ヒヒーン!

ドドドドド

 

 

 

「はぁ……一刀様……。

 早く一刀様と一緒に、お猫様もふもふしたいのです……。

 ………ハッ?!ダ、ダメなのですっ!今は月たちを助けるのが1番なのですっ!!

 ……………………

 はぁ……一刀様……」

 

 

 

 

 

 

唐突に終わる。

 

 

-13ページ-

 

 

 

『Hφwling Sφul』と『HE∀ting Sφul』をレベル33〜36程度の9ボタンで叩きたい。

そんなこと考えるのは、全国の恋姫ファンでも作者だけでいい。

 

 

 

 

突然ですが、あとがき前の一言の答え合わせを。

 

第2話:Baby Princess

   (星花も吹雪も真璃も観月も、ホント19人全員可愛いけど、それでも虹子が1番のお気に入りな作者w)

第3話:季衣と流琉の登場に合わせた“オデコ”に対する作者の想い。

第4話:極上生徒会(ゲーム版の聖奈さんとまゆらとまあちは神)

第5話:ラブプラス(K○NAMIさんマジ感謝)

 

 

 

 

 

 

 

後書きという名の言い訳

 

 

――――オリキャラについて――――

 

今回もオリキャラを出させて頂きました。これで最後になります。

これ以上出しても、作者が管理できませんので……ww

2人の詳しい説明は第7話でお話しさせて頂きたいと思います。

 

 

 

――――展開について――――

 

まずは進行の早さについて。前回こんなに早くていいのかと思いましたが、

私のようなノロマな作者は、これくらいの早さで進めないといつまで経っても終わらないと気付きましたww

以前より駆け足に感じるかもしれませんが、ご了承下さいませ。

 

 

内容については、相変わらずちょっと強引かなーなんて思います。

いろいろ行き当たりばったりで、矛盾点なんかも大いにあるとは思うんですが、

目を瞑って頂けたらなぁって思います。

 

今回特に、翠と蒲公英の下りがかなり強引だと感じた方は多かったのではないでしょうか?

 

 

 

まぁ……………要するに…………蒲公英を………出したかった………だけなんですけどねwww

 

 

作品説明文での反省を全く活かせていませんね、すいませんww

 

 

 

――――アンケート――――

 

1点だけ皆様のご意見を拝聴させて頂ければと思います。

コメントやショートメール等でお願いします。(作品の感想もあると、作者のテンションが上がりますw)

 

 

 

前回麒里と華琳のやり取りで『徐庶の母親フラグだ!』と仰ってた方が多くいました。

一応作者も軽く頭に入れて書いたんですが、アレは麒里へのフラグではなく一刀へのフラグのつもりなんです。

 

『神算鬼謀と謳われる徐庶が心酔する男』

 

ということを華琳に意識させることが、むしろ目的でした。

 

 

 

史実のエピソードを盛り込むことは不可能ではありません。

物語における多少のスパイスにもなるのではと思います。

 

ですが、『華琳が麒里の母親を捕虜とする』というのは覇道を歩む華琳様のやり方ではないのかなーと。

この辺り未だに作者は悩んでいます。皆様の貴重なご意見を伺えればと思いますので、よろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

それでは皆様、今回も拙作をご覧下さってありがとうございました。

本当に更新が遅くて申し訳なく思っております。気を長くしてお待ちください。

また次回、よろしくお願い致します。

 

 

説明
先日“みんなのコレクション”を見ていたら、ある方のコレクションからこの拙作が消えていました。
第2話くらいの時には入れてくださっていたのに……。

『あぁ、だってこれって臥竜麟子鳳雛√ってゆーより□√だもんなー。タイトル詐欺だよなー』と、
改めて自分の行いを恥じてしまいました。

果たしてタイトルを変えるべきか。それとも作品の方向性を考え直すべきか。

一食分のパスタが茹で上がるくらいの膨大な時間をかけて考え、やっぱりこのままでいくことに決めました。
このタイトルも気に入ってるし、メンバー書いてて楽しいですし。
それでも作者の中では朱里・雛里・麒里がメインですので、その辺りよろしくお願い致します。


と、言いながら今回は明命のターンっぽいですw

恋×音々音より霞×音々音のやり取りが好き。
そんな作者が送る臥竜麟子鳳雛√第6話です。
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コメント
本当にすごいメンツですね(ある意味)!(BX2)
Raftclans様>ご意見ありがとうございます!参考に致します。               ホント、何という√なんでしょうね?w自分でも『ココマデヤルカ』と思わずw次回作はのんびりお待ち下さいませ。(未來)
麒里の母親を捕虜とするのはなくてもいいんじゃないかと。史実でも結構有名だと思うので一刀の知識で対処もできるわけですしね。しかし、皇帝姉妹がそろって一刀の所にとはwなんと言う√でしょう。これからも楽しみにしています。(Raftclans)
ブックマン様>ホント更新が遅くてゴメンナサイ!お待ち頂いている間は、他の方の素晴らしい作品をご覧になるか、この拙作への妄想を膨らませて下さいww(未來)
レイド様>皆様は何を以て月たちを確定としているのでしょうねー。ゼンゼンワカリマセン。  あまりにもマイペース過ぎて本当に心苦しいですが、自分なりに納得のいくものを出したいと思ってますっ! (未來)
リョウ流様>あんまり読まれるとボロが出そうで…(ぇ 母は未だに迷ってるですよー(´;ω;`)(未來)
blue様>もう作者の中でツッコミ役は決定してるのですw一刀君が疑いの眼差しを向けられる日を乞うご期待!!ww(未來)
早く続きを読ませてください。展開が気になってしょうがありません。(ブックマン)
蒲公英加入は予想外でしたw月、詠、音々音は確定として劉弁と劉協の扱いが気になります。ますます面白くなっていきそうです!マイペースで執筆作業頑張ってください。更新楽しみにしてます!(レイド)
月、詠、音々音は確定、蒲公英も候補入り…?個人的に蒲公英の参入は嬉しいですね。そろそろこのメンツに突っ込みを入れるキャラが出てきてもおかしくなさそう…。(blue)
狩人様>皆様に不安な気持ちを抱かせつつ、長期間待たせてしまう更新の遅い作者をお許し下さいww(未來)
sus様>はい、そこー。括弧で本当の狙いを書くんじゃなーいwww (未來)
em様>あの最後のシーンを見ると、書いて良いのか迷ってしまいますねー。劉弁と劉協も出来る限り可愛く書いていきたいと思います。(未來)
森番長様>いっつも殺されてたんじゃ劉協がかわいそうかと思ったんで……お楽しみくださいませー。(未來)
jackry様>武官の補完は必須ですねー。なかなか叩き甲斐のある曲だと思うんですよww(未來)
自由人様>誤字報告ありがとうございました。何で今回こんな多いんだ………。        美幼女じゃないわけないじゃないですかww(未來)
美鷹鏡羽様>霞がそうなるかはお楽しみで。いや、人徳じゃなくてむn;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン(未來)
ジョージ様>作者もその都度数えていますwww(未來)
hokuhin様>構成に入れる方法はいろいろありそうですねー。ご意見ありがとうございました。(未來)
知洋様>そういう会話や状況を用意できるか否かは作者の力量ですね……できるだろうかwwおまけ好評頂いてるようで良かったです!(未來)
ちょいちょい様>あの完璧超人な華琳様を上回れるのか……考えてみたいと思います。(未來)
むんす様>さすがに蒲公英以外にもいるだろーと思って書いてみました。違和感がありましたらゴメンナサイ。(未來)
とらいえっじ様>脱字報告ありがとうございます。訂正しました。(未來)
睦月 ひとし様>劉弁様はいつもお亡くなりになられているようなので、劉協と仲良く生きていてもいいのかなと思いました。(未來)
tomasu様>明命とのやり取りは今回気を遣ったところですね。董卓軍はバランスが良すぎなのですよ…。                                        お母さんにはそんな悲惨な結末を迎えさせる気はないので、そこはご安心下さい。(未來)
レイン様>辛いって言うより、期待を裏切っちゃったのかなーっていう申し訳なさが先に立ちます。ニヤニヤしてもらったみたいで良かったです!                     アンケートもありがとうございました。いざとなったら一刀頼みですw(未來)
ほわちゃーなマリア様>明命の使い勝手の良さに思わず頼り切りになってしまいました…。麒里にはしっかり乙女させましたw(未來)
truth様>誤字指摘ありがとうございます。蒲公英はかなり強引な加入になりましたが、好きなキャラなのでww(未來)
pandora様>コメントありがとうございます。ごゆっくりお待ち下さい。(未來)
更新お疲れ様でした〜 個人的には徐庶が一刀の元を離れるのでは?と不安な気持ちを抱いています・・・(史実では親を人質にされて曹操のところにいっていまいましたからね〜)  徐庶は一刀の元を離れない展開を希望します。  次の話も楽しみに待ってますー(狩人)
たんぽぽが加入は予想外でした。董卓軍が加入した場合誰が来るのか期待ですね。恋(音々)は決定でしょうけどwこれからの展開に期待しています。(sus)
劉弁と劉協のはかないやさしさとけなげさにジンときた! 一刀のところで心の平穏と強さを手にしてほしいです。アンケートですが、私的には、華琳さんが人質をとるというのは、ちょっとありえない気が……。態度や口で悪ぶっても、本質は「淋しがりやの女の子」ですし。(em)
おや?劉弁もオリキャラとして登場ですか?劉協がオリキャラ化するのはよくありますが、劉弁が出るのは珍しいですね^^。大抵劉弁は死んでしまうのでどんなキャラになるか気になります。(森番長)
皇女二人が揃っているのは珍しいですね〜。もちろん二人とも美幼女ですよねwそれに蒲公英を加え、もうすぐ董卓軍が加入でさらなる高みを目指す□√!!ニヤニヤが止まりませんwwおまけも面白いですね。アンケートについてはどちらでも良いとお思います。未來様の考えがそうであるなら無理に出す必要もないかと。(自由人)
御報告 4p:華雄の偽りのない眼差しを見て、華雄は黙って頷いた。/関羽の偽りのない眼差し では? 11p:【私も堕ちたものねっ】【あたしが余計惨めに思えるわ】⇒ボク 11p:それだけ感謝したらいいのだろうか?/どれだけ ではないでしょうか?意図的でしたらスミマセン。(自由人)
うん?後ろに気配が・・・・・・・・。一刀警部、被害者が書いたと思える血文字が。『==が無い金髪どりる』 (一刀)==が無い?踏み消されてるが・・・わかった!『人徳』の無い金髪ドリル・・・・犯人は袁招だ!!!(美鷹鏡羽)
母親についてはどこかでありましたが曹操が母親を保護しているのを人質と勘違いしてしまうとか知洋さんが書いてる通り部下の暴走も良いかもしれません。霞は曹操陣営に単騎突入ですか・・・帰ってこれなさそう(□リじゃないからか?)、もしくは一刀の霞&華琳(胸無いから□リ系?)フラグか?(美鷹鏡羽)
どんどん幼い子たちが出てきますな・・・・もう数えきれんwwww 相変わらず面白いですね、次の更新も楽しみに待っております〜♪(峠崎丈二)
皇子2人とも生きているのは珍しいな。このまま生き残って欲しいです。アンケートは、構成に含められたら面白くなると思う(華淋様は母親と知らず結果的になったとか、一刀達が勘違いしているとか)の状況ならいいいのでは?(hokuhin)
おまけが面白かったです。 この作品では皇族二人が助かる感じですが、これは新しいと思います。(知洋)
アンケートに関しましては、「華琳が麒里の母親を捕虜とする」は構成に含めても良いのでは…と。 ただ、愚直に「捕虜にした」ではなく、母親の危機を臭わせるか思わせる会話or状況を用意すれば問題ないかと。 呉ルートでは敗戦勢力から取り込んだ末端の兵士の暴走っぽいもので出端挫かれたりとかしてますから、そんな展開もありかと。(知洋)
アンケートですが、一刀が華琳の考えを上回るところが見たいですね。何かしら先手を打つとか、対策を用意しておくとか。(ちょいちょい)
馬岱はノーマークだったw………てか馬岱って馬超とっての軍師のイメージだったんだけど拙くないかな(むんす)
脱字報告、「なんじゃ?そんなものたちだけで十分じゃないのかえ?」→「…そんなもの麗羽たちだけで…」(とらいえっじ)
献帝はともかく、劉弁が生きていたことには驚きました。これからどのような展開で話になっていくのか気になります。劉弁はうまく救出したら車椅子で生活した方がいいかもしれませんね。では、次回を楽しみにしています。(睦月 ひとし)
アンケートの件ですが、最終的に麒里が一刀と一緒に入れるならやってもいいかと。ただもし入れるなら華琳のところまで出むいてしまうと、演戯ではお母さん嘆いて自殺しちゃうのでそこだけカットしてかっこよく一刀が助けてくれればいいかなと思いますね。(tomasu)
とても楽しかったです。明命と董卓メンバーとの会話にはすごく引き込まれてしまいました。 おそらく明命チームは無事一刀のところに戻れそうですが(全員ロリっぽいしww)虎牢関組みはどうなるんでしょうか?全員入れるとバランス崩れるかなともおもいつつも誰もかけて欲しくないというのが本音ですね。(tomasu)
アンケートの件ですが、原作でも華琳さんらしく無い所はいくつもあります(呉ルートの彼女とか魏ルートで劉、呂軍と相手をしたとき等)出しても悪くない味付けにはなると思いますよ。まぁ、人質にとっても一刀君が何とかしてくれると思いますから、どっちでも良いんですが。…そうなったらそうなったで、麒里ちゃんのフラグがより強固になるでしょうし。(レイン)
コレクションから消えていたとはまた、お辛いでしょうに…ならば温めていた『案』を出すか…物語の方は『いつも通り』ニヤニヤ全開で、楽しく読ませていただきました。しっかし、蒲公英ちゃんまで一時的とはいえ加入…辛うじてちっちゃいから、一刀君サイドのロ〇率がさらに上昇っと。オリキャラ聖に天…やっぱり『小さい』のだろうか(笑)次回も楽しみにしています。(レイン)
まさしくずっと、明命のターン(笑)ですねwwそして、今回のふわわ軍師は、ちょっと上の空になっていますなwwwかなり和むかも。(ほわちゃーなマリア)
いつ見ても楽しいです。続きたのしみにしてます。(pandora)
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