真・恋姫無双 〜美麗縦横、新説演義〜 蒼華繚乱の章 幕間+連合編予告
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新・恋姫無双 〜美麗縦横、新説演義〜 蒼華綾乱の章

 

*この物語は、黄巾の乱終決後から始まります。それまでの話は原作通りです。

*口調や言い回しなどが若干変です(茶々がヘボなのが原因です)。

 

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拠点イベント 司馬懿伝◆一 許飲不呑-酒は飲んでも呑まれるな-

 

 

 

司馬懿が華琳から黄巾党の吸収で膨れ上がった人員案を任されてから六日後。警備隊の仕事を終え部屋で書類仕事をしていると、唐突に司馬懿が部屋を訪れた。

 

「少し君のいた国の話を聞きたい」との用件らしく、手には最近市街で大人気の甘味が携えられていた。

もう片方の手に酒瓶を持っている辺り、どうやら息抜きも兼ねているらしい。

 

「君もどうだ?」

「いや、でもまだ仕事が……ああけどやっぱ休みたいよなぁ……」

「根を詰めると能率が下がる。集中力が下がる。仕事が雑になる。結果、皆の迷惑になる。なら今しばらく休んで、英気を養うも必要な『仕事』だろう?」

「……物は言い様ってか、よく頭が回るよなぁ……」

「首なら真後ろまで回るぞ?見るか?」

「……いや、何となく予想してたけどいいよ見せなくて」

 

悪戯じみた笑みを浮かべ、司馬懿は杯に酒を注いでいく。部屋を照らす灯りを反射して、その流れは一つの曲線を描いて優雅に見えた。杯に注がれるそれは、細かい泡を沸々とさせながら鮮やかな夕闇色を醸し出す。

 

「小耳に挟んだ所、君のいた国では酒は濁っていなかったらしいからな。試しに造ってはみたが……」

「司馬懿が造ったの?これ」

「別段驚く事でもあるまい。華琳様とて料理を嗜むのだからな」

「へぇ……」

 

純粋に感心しながら、杯を呷った。

この頃のお酒というと、米や雑穀を蒸したりすり潰したりしてから発酵させた濁り酒が主流で、アルコール度数は決して高くない。

 

高くないのだが、決してない訳ではない。

 

「ッけほっ!?」

「一気に呷るからだ。ほら」

 

差し出された水を一気に流し込みせき込む。

想像の遥か上をいく辛さに思わず驚いたが、これは凄い。元旦とかに呑んだ甘酒なんて比じゃないくらいの強さだ。

 

「何入れたの。これ……」

「以前刈り取った麦芽を乾燥させて粉末状にし、それを湯に浸して発酵させたものだ」

「麦芽って……ビールじゃん!まんまビールじゃんこれ!!」

「びぃる?何だそれは?君のいた国にもこんな酒があったのか?」

 

「そうか君のいた国ではこんなものを飲むのか……」等と感心している司馬懿だが俺にとってはそれどころじゃない。おかしいだろこれは!そもそもビールってこの時代あるの!?むしろ中国に麦入ってたっけ!?

 

「司馬懿は大丈夫なの?これ……」

「ん…少し苦いが、不味くはない」

 

言って、杯をグイッと呷る司馬懿。

 

何て言うか……もう歴史とかそういうの関係ない世界なんだって、改めて思い知らされた。

 

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「ほう…?ではその織田信長という男は、『鉄砲』なる武器を多用しのし上がったと」

 

司馬懿はその後、時折ビールを飲みながら俺に幾つか質問をぶつけてきた。

君のいた国に戦争はあったのか。歴史は。民族は。思想は。技術は。

 

……挙げていくとキリがない。

 

今は『改革』をテーマに、日本の歴史で一番三国志と似通っていると思う安土桃山時代の事を語っている。

 

「ふぅむ……行政・軍事・発想……どれをとっても大した人物だな」

「まぁ最後はその発想についていけなくなった家臣に討たれちゃったんだけどね」

 

特に俺のお気に入りの武将、織田信長については語るタネが尽きなかった。

日本史よりも世界史…というか三国志が好きな俺だが、日本史でいうなら断トツで織田信長が好きだ。むしろ尊敬している。

 

「無道の主君に従えば兵は命を失う。これを斬るのは罪ではない……罪ではないが、斬った本人にその後を担う器量がなければな」

「はは……手厳しいな」

 

ビールを結構飲んだせいか、若干赤らんだ顔でも司馬懿は淡々と言葉を紡ぐ。

……いや、何か目が据わってきてないか?

 

「そもそも主君の思想を理解した上での反逆ならばまだ酌量の余地はあるにしろ、理解出来ぬから拒絶するなど言語道断だ」

 

ドン、と打ち付ける様に司馬懿は杯を机に叩きつける様に置いた。

向かいあう様に座っていた俺の肩が、何故か震えた。

 

「あー…何と言ったか。その…義経、だったか?そいつの時に出てきた……」

「『判官びいき』か?」

「そうそれだ。第一それが問題だと私は思うんだ」

「…そうか?」

 

あれ?一人称変わってないか?

 

「なぁ司馬懿……酔ってないか?」

「ふん……まだ脳はしっかりと働いている。問題ない」

 

果たしてそういう問題なのか、甚だ疑問だ。

 

「君の話を聞く限りでは、いくつかの人物は後世の逸話を元にその人物像を作られている。それがどうしても私は疑問に思えてならんのだ!」

 

語彙を荒くして司馬懿が半ば怒鳴る様に言う。

 

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「後世の批評?笑わせる。千年後に書かれる万の書籍より、当時の文献一つの方が余程信憑性に足るに決まっているに、民衆は面白い方に傾いている。その原因は君たちにもあるんだぞ!」

「いや、そうだけど……」

「自らを『善』とした時、人は決まって他方を『悪』と定める。どんな理由が、正当性が相手にあろうとも、だ。それが結果として歴史を捻じ曲げ、真に当時の様子を伝える文献が影を潜めて大衆に向けた喜劇の文献が大手を振って世に蔓延る。……私が何を言いたいか、分かるか北郷?」

 

微妙に説教混じりになっている中で、司馬懿はすっかり据わってしまった鋭い眼光を俺に向けた。

 

「世俗にとってはつまり『勝てば官軍』は受け入れられずその『判官びいき』に自己を投影し自らも悲劇の主人公を気取る…様は慣れ合えるものが必要なんだ。そういう意味で言えば、大義だの正義だのは語るに及ばず。真実などは後の世が勝手に書き換えるだけだ。英雄の存在など、百年もたてば消え去る」

「辛辣だなぁ……けどつまり結局は、後の世になればなるほど自分たちの功労が正しく評価されないって事?」

「…そうだ」

 

グイッと、更に呷る司馬懿…ってちょっと待て!それ酒瓶だ酒瓶!!

 

「司馬懿!そりゃ流石にマズイって!!」

「…なにぉう?わふぁしはらいひょうぶらぞ?」

 

もう呂律回ってないし!何かフラフラしてますけど!?

 

「ほら!肩貸すから、掴まって」

「ん〜〜……」

 

何か首を嫌々とでも言いたげにふる司馬懿は、結局椅子に寄りかかった姿勢のまま熟睡してしまった。

 

 

 

翌日、床から起きた俺は背中の方向に首が回っていた司馬懿とはち合わせて絶叫。二日酔いの痛みが直後に襲い、結局そのまま一日寝込むという大失態を犯した。

しかし司馬懿は二日酔いどころか首を全く痛めてなかったという……。

 

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拠点イベント 曹操伝◆一・五 疑うは悪し、疑わざるは無し

 

 

 

司馬懿の意見書が提出されて間もなく、先日の徐晃の一件で呼びだされた俺は、何故か酒瓶を片手に華琳に酌をしていた。

 

初めこそ色々と遠回しの厭味を言われたものの、話が次第に司馬懿の方に傾くと――酒を飲む量は増えているにも関わらず――華琳の声音は一層鋭く、静かなものになっていった。

 

「仲達の意見書、貴方の知識を元にしたそうね」

「へ?」

「…やっぱりそうだったのね」

 

あ、かまかけられた。

 

「協力してはいけない…とは確かに言わなかったし、貴方の意見を鵜呑みにしたものでもなかったけど」

 

そこで一旦言葉を区切り、華琳は杯を呷る。

 

「けど……?」

「腑に落ちなかった、とでも言うのかしら……妙だとは思ったのよ」

 

華琳がいうには、桂花も以前から同じ様な素案を何度も推敲し提出しているらしく、今度ようやく纏まりそうだった矢先に司馬懿が更に優れたものを出した為に桂花の意見は没。

結果、桂花の司馬懿に対する敵愾心みたいなものが倍加したとかそうでないとか。

 

「最初は手懐けた女中を使って調べさせたのかと思ったわ。桂花の意見と貴方の知識……私としては、組み合わさればこれ以上ないものが出来る筈と信じていたもの」

「あ、それって……」

「信頼しているのは桂花、貴方はまだ『信用』よ?」

 

……ちょっと凹んだ。

 

「けど、あの子が他人の…特に男の意見を聞き入れる訳ないでしょ?」

「……まぁ想像はつくけど。けどそれなら、俺が考えて出せばよかったのか?」

「そういう簡単な問題ではないの」

 

窘める様に、華琳はかぶりを振った。

 

「考えても見なさい。もし仮に、貴方が意見書を出せば間違いなくあの子は突っかかってくるし、他の文官達も穿った見方をしかねないでしょ?いくら天の御遣いという名があっても、それと政とは別物だもの」

「あぁ……確かにそうだな」

「けど仲達の持つ『司馬氏』の声望、そして自らの名声は違う。まだ日は浅いといってもこれを利用すれば、他の者達もある程度は納得して取り組む筈よ」

 

「それに」と、華琳は付け加える様にいった。

 

「他者の意見を柔軟に聞き入れる姿勢、よくまとめた見識……聞いたわよ?市中での仲達の人気、貴方といい勝負だそうね?」

「はは……」

 

乾いた笑みしか漏れなかった。

 

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「しっかし、話を聞いている限りだとやっぱり司馬懿って凄いよなぁ……」

 

杯が進む華琳は、既に三本目の酒瓶を開けている。

途中から俺にもお零れが回ってきており、既に二杯飲み干した。

 

「品行方正、頭脳明晰…おまけに人間も出来てて格好よくて、正に完璧超人って感じだよなぁ……」

 

それは、純粋で率直な感想だった。

ああいう人こそ『完全』って言葉が似合うんだと思う。

 

 

 

―――が、

 

「……本当に、そう思う?」

 

そう問うは、覇王の名を冠す少女。

 

「あれが、本当の『司馬懿仲達』だと…一刀、貴方は思うの?」

 

静かで、しかし背筋も凍る様な鋭い声音。

 

「……どういう事?」

「…私自身。人の上に立つ以上は、こういった考え方はよくないと分かっているのだけれど……」

 

続く言葉を、僅かに飲み込む仕草を見せ―――しかし華琳は口を開いた。

 

「……『出来過ぎている』と、そう…思えてならないの」

 

それは小さく、消え入りそうな声。

しかしそこに含まれているのは、明らかな疑念。

 

「私の求めに模範的な答えを示し、新参にも関わらず今やその信頼は揺るぎないものになりつつある。その姿勢・態度全てが私が、魏の文武両官が規範とする様なものでありながら人当たりもいい……普通に考えれば、おかしいと思わない方がおかしいわ」

「自分の求める空白を、スッポリ埋めてくれるって事……?だったら別に」

「だから出来過ぎている、と言っているの」

 

俺の言葉をピシャリと遮って杯を置く華琳。

何かモヤモヤしたものが頭の奥に引っかかっている様な、そんなもどかしそうな表情を浮かべて尚も華琳は言葉を続けた。

 

「そう、何もかも……まるで全てを知りつくしたかの様に、仲達は私の求めるものを現実に具現する」

「完全過ぎるのが、逆におかしいって事?」

「人は誰しもが何かしらの欠点を抱えているものよ。春蘭なら先走り過ぎる、桂花なら偏見……一刀なら『甘さ』ね」

「……手厳しいご意見どうも」

 

冗談めかして、肩を竦める。

 

「けど、仲達は違う。……まるで意図的に見せない様にしているかの様に。自分の奥底に仕舞いこんだかの様に、彼はその弱さを決して他人には見せない」

「プライド…誇りが高いんじゃないか?」

「それならこの私に見破れない筈がないでしょ?これでも人を見る目には長けているつもりよ……ああもう!つまり私が言いたいのは…」

 

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酔って足元が覚束ない華琳をどうにか部屋に運び込み、俺はその後自室に戻った。

 

脳裏に反芻するのは、先程華琳の洩らしていた言葉。

 

 

 

―――一刀。私は王として、人の上に立つ者としては『仲達』をこれ以上ない部下として信頼しているわ。

 

―――けれど一人の人間として『司馬懿』を見た時、彼はこれ以上なく不審な男。

 

―――人の上に立つ者として、自らについてくる者を信じてやらないのは愚か。けれど盲信して多用するのもまた愚か。

 

 

 

「…ともかく、今は必要不可欠な存在だから疑う事はあっても信じてやる。か……」

 

どうにも理解し難い事を連日聞いて、頭の中がゴチャゴチャになっている。

こういう日は、さっさと寝るに限る。

 

 

 

 

 

(……けど、華琳の意見も何か違う気がすんだよなぁ……)

 

床の中、まどろみ行く意識の片隅で俺はそんな事を考えていた。

 

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拠点イベント 徐晃伝◆一 恥じらうは花、恐れるは男

 

 

 

「で、では……私はこれで失礼します」

 

言って素早く一礼し、そのままパタパタと駆けていく徐晃。

俺の手に握られているのは、いくつかの束でまとめられた竹簡。

 

徐晃は華琳の陣営に加わって間もなく、新兵調練と警備部隊の遊撃隊隊長を任された。

遊撃隊…まぁ有体に言えば常時出動態勢の警官みたいなもので、こちらは新旧問わず、兵の中から特に優秀な者を中心に構成されている。

 

これは警備隊の実働状況を元に華琳に具申したもので、徐晃の参入が起因となってこれだけ早くに実現された。

これを話していた時、何故か言っている本人である華琳が渋面を作っていたのが不可思議だったが……。

 

 

 

…で、冒頭の会話に戻るけど。

警備隊と遊撃隊は任務の都合上というか成り立ち故というか、ともかく必然的に密接な関係にある。

 

となれば必然、仕事関係のものやら何やらで隊長クラスは接触が多くなるのだが……。

 

(…もしかして嫌われてるのかなぁ……)

 

何故か俺、北郷一刀はここ最近徐晃さんに避けられている気がしてなりません。

 

廊下ですれ違いそうになると、決まって道を開けて隅っこに寄るし…

食事の時は、何故か机を挟んでしかも図ったかの様に一番遠い席に座るし……

警邏の時ですら、街中で顔を合わせても直ぐに行っちゃうし……

 

「何でだろう?」

「……そんな愚痴を言う為に態々僕の所に来たのか?君は」

 

現在の俺の居場所、司馬懿の自室兼執務室。

目の前には机の上に山と置かれた書簡を尋常でない速度で捌く司馬懿がいます。

 

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「……やっぱり初対面のアレが不味かったのかなぁ」

「むしろそれ以外に理由があるのか?」

 

あの後、区切りの所まで片づけた司馬懿は昼食を取るというので俺も同行させてもらう事にした。

 

「会っていきなり、しかも全く面識のない男に押し倒されて胸を鷲掴みにされて……むしろそれで相手を嫌いにならん人間がいたら僕が知りたいくらいだ」

 

心底呆れた様な仲達の言葉に、俺のガラスのハートが壊れそうだ……。

「君の『はぁと』とやらはそんなに繊細な代物か?女とみれば見境なく色目を使う様な君にそんな繊細な神経が通っているとも思えないんだが?」

 

 

 

…また心の言葉を読まれた。読まれました。読まれちゃったよチクショー!

 

「何を騒いでいるの?一刀」

「うぉ!?か、華琳か……」

「あら。私がいては不味い事でも言っていたの?」

「い、いえいえ!滅相もない……」

 

年下の女の子の視線に怯える高校生。

肩身の狭い俺っち、泣けてくるよ……。

 

 

 

「菫に避けられている?」

「…と、北郷が申しておりますが」

 

昼食は市街で取る事になった。

華琳お気に入りの店――以前流琉が働いていた料理店――で卓を囲んでいる中、話題は徐晃の事に移った。

 

「そりゃあさ、出会いがしらにラッキースケベかました俺が悪いですよ?だけどだからって謝る機会もくれなかったら謝れないじゃないですかだって顔合わせるたんびに視線逸らされて必要最低限の事務的な会話しかさせてくれないんじゃ……」

「……と、先日からクドクドクドクドいい加減喧しくて敵わないのですが」

「ハァ……」

 

額に手をあてて、かぶりを振ってため息を洩らす華琳。

憂鬱そうな声音は、次に司馬懿の名を呼んだ。

 

「仲達、貴方は避けられているという実感はある?」

「取り立てて気にする程でもない……と申したいところですが、流石にああも事務的な事だけでは少々」

「でしょうね……」

「うぅ…………」

 

涙ぐむ一刀に憐憫の目を向ける事無く会話に没頭する二人。

自分達の街の領主が何事かと、人が詰め掛けて店に嬉しい悲鳴が声に出ず叫ばれたのは別の話。

 

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「あの子はね、ちょっと異性に対しての耐性がないの」

 

食後、屋敷に戻る途中で華琳はそんな事を話した。

 

「前に話したわよね?あの子の以前の主君が狼藉を働きかけて、危なかったって」

「……もしかして、それが原因で?」

「桂花とは違った方向で男嫌い……というより、男性不信に陥っちゃったのよねぇ……まあ何処かの色魔に穢されずに済むのならそれに越した事はないのだけど」

「……言外に厭味を言われている気がするんですが」

「一刀。口を挟まない方が賢明だぞ」

 

バッサリ切り捨てられる俺。

そんなのはどこ吹く風とばかりに、華琳の言葉は続く。

 

「けれどどうにもあの子…洛陽あたりでも危なかったらしいのよ」

「洛陽……というと、何進ですか?」

「ええ…よりにもよってあの女、私のモノに手を出すなんて……」

 

何か恐ろしい笑みを浮かべている華琳から二、三歩距離を取る俺。

……別に情けなくないよね?だって怖いもんは怖いんだから仕方ないでしょ!?

 

「それでその後長安や天水を巡って、漢中から益州、荊州を通って此処に来たそうよ」

「……洛陽をあえて避けたのは、同じ轍を踏まぬ為ですか」

「でしょうね」

 

華琳の嘆息を聞いて、司馬懿はあからさまに呆れた様な吐息を洩らした。

そういった方面の話に疎い俺ですら聞いているだけで呆れかえってしまうくらいなんだから、後漢の中枢を知る司馬懿ともなるとその呆れは半端じゃないんだろうなぁ…。

 

いや、むしろ情けないとか思っているのか?

 

 

 

 

 

「ともかくそういうわけだから、あの子と接する時は気をつけなさい。……特に一刀、いいわね?」

 

最後に念を押した華琳はそのまま屋敷へと消えていった。

司馬懿も、残った仕事を片付けるとかで直ぐに自分の部屋に戻っていった。

 

(気をつけろって言ったって……)

 

話も出来ない。

目も合わせられない。

 

ないないだらけで、どうしろと?

 

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次回予告

 

 

 

帝都を前に翻る諸侯の旗。

集うは、各々が野心を胸に秘めし群雄たち。

 

 

 

「おーっほっほっほっほっ!」

 

ある者は私欲が為。

 

 

 

「必ず……必ずこの連合で名をあげて、母様の悲願の第一歩にしてみせる」

 

ある者は信念の為。

 

 

 

「私たちは……この連合が本当に正しいのか、それを確かめに来ました」

 

そしてある者は、大義の為。

 

 

 

 

 

迎え撃つは、無敵の要塞。

 

「怯むなぁ!!ここで押し返す!」

「ウチの前に立つたぁ、ええ度胸やなぁ!!」

「ほざけ!我が采配、一寸の隙もないわ!!」

 

待ち構えるは、至高の将たち。

 

「このボクがいる限り、絶対に抜かせないんだから……!」

「…アイツら、殺す」

「恋殿ーっ!ここはねねに任せて、思いっきり暴れちゃっていいですよーっ!!」

 

 

 

真実が見せるのは、何か。

 

「これが正義だと……?大義を掲げた者がしたこれが、真に正義だとでも抜かすつもりか!?」

「洛陽の様子、そして帝の動向を見るに……檄文そのものが虚言かと」

 

信念の先にあるのは、何か。

 

「愛した奴の為に命をかける……俺もお前も、似たようなもんだ」

「我は、ただ己が士道を貫くのみ……!」

 

 

 

禁忌の邂逅は、運命の悪戯なのか。

 

「仲達、くん……?」

「貴様の知る司馬懿仲達は、あの日に死んだ。ただ…それだけだ」

「どうしてですか!?なんで、なんで……!」

 

歯車は、どこで噛み違えたのか。

 

「姉者ーーーっ!!!」

「死ね!袁紹!!」

「殺す!お前ら、すぐに殺す!!」

 

 

 

 

 

「……何故、そうまでして貴殿は武をふるう?」

「……ここで下れば、確かに俺は助かるかもしれない。けどな……」

 

そして―――

 

「……全てが、これで終わりだ」

「漢王朝……万歳!!」

 

帝都は、紅に染まる。

 

 

 

真・恋姫無双 〜美麗縦横、新説演義〜 蒼華繚乱の章

 

激動!反董卓連合編

近日更新!!

 

                                ……しよう。頑張って。

 

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後記

妄想のままに書き連ねた小話三つと予告を一つ。お願いしまーす。

…みたいな注文を現実でしてみたいなんて考えが一瞬浮かんだ茶々です危ないです。

 

反董卓連合を前に、司馬懿と徐晃の参入と各々の補完を終えて一段落。次回からは遂に連合編が始まります。

最初に申し上げた通りオリキャラ多数で展開する本作ですが、原作と大きく展開を異なるつもりはありません。あくまで原作順守+史実その他になります。

 

色々伏線を仕込んだつもりですが……(←言っていいのか?)はてさて、どうなる事やら(人事みたいなものいいorz)。

 

 

 

そういえば……作中出てきたビールの件ですが、実は古代エジプトの時点ではすでに存在していたらしく、原料であるオオムギも紀元前三世紀頃にはパンの製作に使われていたらしいので使用しました。

細かい所はその……「外史だから」という事で(ヲイ!)。だってそれ言ったら桔梗さんの武器とかどうなんのあのパイルドライバーとか!!←言い訳苦しい

 

 

 

相変わらずアンケは募集しています。

みなさんドシドシご意見・ご要望・ご感想(ありましたら)お寄せ下さい。

 

それでは。

 

 

 

 

説明
茶々です。
相変わらず稚拙な文章の茶々です。

今回は幕間。つまり拠点イベントを妄想して書きました。まさかの男キャラ(司馬懿)の拠点イベントあります。
司馬懿、華琳、菫の三人のイベントです。

本編若干関係あるかもしれません。

それでは、どうぞ。
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コメント
茶々です。truthさんご指摘ありがとうございます。次回投稿からでもすぐに、そういった誤解を招きやすい表現を改めるようにします。(茶々)
一刀がヘタレ化しつつあり。華琳から信用止まりの一刀に部下として信頼されている司馬懿という現状にちょっと凹んだだけで奮起はしない。一刀は純粋で率直な感想とか言ってますが、どう見たって劣等感が丸出しの司馬懿評(仲達さんは俺とは格が違う的な) 華琳に市勢での人気を比較された際の乾いた笑みとか、何を諦めてんだと感じました。(ジョン五郎)
天の御遣いの名と政が別物という会話がありますが、これも違和感があります。一刀は現代の知識を活かし、警備体制を見直して治安の向上に大きく貢献したではありませんか。それを梃子に天の御遣いの名は大きく広まったのではないですか?(ジョン五郎)
「司馬懿ってスゲーんだぜ?」を伝えたい気持ちは分かるのですが、オリキャラを持ち上げるために原作キャラと比較したり自身を卑下して相手を賞賛させたりするのは原作ファンとして残念でした。作者さんの中ではオリキャラたちの人物像が出来上がっているのでしょうが、読者にはあまり伝わってないように感じます(ジョン五郎)
当たり前のように信頼は揺るぎないだの完璧超人だのと言われてますが、具体的な描写も無く抽象的な描写に終始しているせいかピンと来ないです。要は説得力がありません。名前が一人歩きしている嫌いがあります。しかもキャラ描写もそこそこに話が進むものですから、この傾向は顕著です(ジョン五郎)
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