ようこそ、二次へ 十話
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いきなり、二次元の世界にやってきてしまった俺。

元の世界に戻るためには七色の物を探し出さなければいけないらしく

二次元の世界の人達とワイワイやりながら頑張る話。らしい。

 

前回のほとんどあってるあらすじ。

七色の物を手に入れたまでは良かったのだが、

その後まさかの(当然の)、星さん暴走。

無事に事態を収拾した後、恋姫の世界を後にした。

 

では、本編です。

 

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十話

 

「・・・・・・んあっ!?」

目が覚める。

「暗っ!!?何?ここどこ!?」

目の前は真っ暗で、何も見えない恐怖に取り乱す。

しかし、少し冷静になると頭に何かを被っていたことに気付く。

「・・・なんだ、段ボールか・・・」

手に取って確認すると何の変哲もないただの段ボールだった。

今の恥ずかしい行動をを誰かに見られたんじゃないかと慌てて辺りを見渡すけど、

ここは路地裏らしく、誰もいなかった。

「はぁ・・・良かった」

安堵する。

「・・・戻ってこれたのかな?」

ひとまず賑やかな音が聞こえる方へ歩きだす。

狭い路地裏を抜けるとそこは、元いた世界と変わらない街並みだった。

車が通り、人々がせわしなく歩みを進める、都会の一風景。

「本当に帰ってきたのか・・・?いや・・・でも・・・」

二次元の世界にだって自分のいた世界と同じような世界はいくらでもある。

だから、もしかしたらここも・・・。そう考えると途端に不安がおそってくる。

「情報を集めよう」

俺は街を歩きだした。

 

 

「・・・なんもわかんねぇー」

情報を集めに街を歩きだしたはいいものの、当てもなく歩き回るだけでは情報が集まる訳もなく、ただ時間だけが過ぎていく。

「はぁ・・・」

肩を落として電気屋の前を通りかかる。

「・・・・・・っ!!?」

通り過ぎる瞬間、視界の端にテレビが映る。

そして、俺は店頭に置いてあったテレビに目線が釘付けになった。

そこに映っていたのは、紛れもなくあのゲームのキャラクター。

「天海春香・・・」

 

 

アイドルマスター 〜765プロ〜

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「アイマスの世界かぁ・・・」

公園のベンチに座って空を見上げる。

「今までは、その世界の人達に手伝ってもらったりしたからなぁ・・・」

前の世界までは、運よくその世界の主要な住人の力を借りる事が出来たけど

今回は流石に無理だよなぁと溜息をつく。

「寝床でも探すか」

無一文なうえに寝る所もない、暗くなる前に寝床を探さないと・・・。

立ち上がって伸びをする。

「そうだ!ポッケになんか入ってるかも・・・」

ズボンのポケットを探る。

出てきたのは、幻想郷の時にいつの間にかポケットに入ってた紙。

「まぁ、これだけだよな・・・」

と再びポケットに戻そうとすると、紙が重なっている事に気づく。

「アレ?幻想郷のときには一枚だったのに」

重なっていたのは2枚。

内容は

 

七色の物、形状は様々

直接触れなければ、別の世界に行く事はない

 

 

・・・直接触れなければ?

何かに包んで持ったりすれば大丈夫という事かな・・・?

そして、もう一枚は

 

☆今回の占い☆

落とし物には気をつけて♪(^∀^)ノ

ヘッドバットに要注意(・Д・´)ハワワ

 

 

「・・・なんでやねんっ!」

思わず紙を地面に叩きつける。

「・・・ハッ、あまりにも文面が違いすぎて、ついツッコミを入れてしまった」

落ち着きを取り戻して叩きつけた紙を拾おうとすると、何処からともなく風が吹く。

「あっ、ちょ」

紙は手に取る前に風に乗り、飛ばされる。

 

「ふぅ・・・やっと追いついた」

飛ばされる紙を追いかけて数十メートル、その場にしゃがんで紙を拾う。

「あと一枚は・・・?」

そこに落ちていたのは二枚だけで、あのふざけた占いの紙がなかった。

「すいませーん。これあなたのですか?」

不意に後ろから声をかけられる。

しゃがんだままの姿勢で後ろを見ると紙を差し出してくる女性がいた。

「あっ、ありがとうございます」

紙を受け取ってその人の顔を見ようとするが

「いえいえー。では」

と言って、すぐに踵を返して一歩ふみだ・・・

「きゃあっ!!?」

と悲鳴。そして後ろに倒れて、しゃがんでいる俺の顔面に後頭部が迫り、ぶつかる。

「ヴァイ!?」

額にすごい激痛が走り、俺は後ろに倒れる。そして、そのまま後頭部を地面に強打する。

「いたたたた・・・すいません、大丈夫ですか?って、お兄さん?お兄さーん!?」

声が遠くに聞こえる。占いってこの事だったのか・・・?

「も、もう・・・ムリ・・・(ガクッ)」

「あわわ・・・どうしよう。そうだ!プロデューサーに電話・・・」

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「・・・うっ、痛い・・・」

額と後頭部の痛みで目が覚める。どうやら今、自分はソファー寝ているらしい。

「おっ、気がついたみたいだね」

二十代前半くらいの男が話しかけてくる。

「あなたは・・・?」

「俺はここの事務所でプロデューサーをしてる椎名って言うんだ。うちのアイドルが君を気絶させてしまったと連絡してきてね、

事務所が近かったからとりあえずこっちに運んできたんだよ」

「すいません、ありがとうございます」

「いや、悪いのはこっちだからね。それより体調はどうだい?軽い脳震盪だと思うから少し休めば大丈夫だと思うけど」

「少し頭がクラクラするけど大丈夫です」

俺はソファーに座り直す。

 

「あっ、目が覚めたんですね。よかったー」

氷嚢を手に持った女の子、天海春香が部屋に入ってきた。

俺は彼女が持ってきた氷嚢を受け取り患部へあてる。

「さっきは本当にごめんなさい!私・・・」

「あれはただの事故ですから、そんなに謝らないで下さい」

深々と頭を下げられて少し戸惑いながら答える。

「春香、今日は用事があるんじゃなかったか?時間、大丈夫か?」

椎名さんが腕時計を見て言った。

「あっ本当だ!お先に失礼します!きゃあ!!」

部屋から走って出ていこうした春香さんは何もないところで転ぶ。

「あたたた・・・そ、それじゃあ」

そそくさと立ち上がり部屋から出ていく。

「まったく・・・」

やれやれと言った感じで首を振る。

そんな椎名さんを横目に俺はこのチャンスを、この世界の主要メンツと交流できるこのチャンスを

どうやってものにしようか考えていた。

「さて、少年は親御さんとかに連絡しなくて大丈夫かい?」

「・・・俺、帰る家がないんです。家出とかじゃなくて、ある物を探して旅をしてるんです。

それでお金が底を尽きてしまって・・・。寝る場所もなくて・・・。それでなんですが、もし、

もし良かったらココで働く事は出来ないでしょうか?雑用でもなんでもやりますんで、あの、どうでしょうか・・・」

「ここで?・・・うーん俺の独断で決める事は出来ないからなぁ。とりあえず社長に会いに行こうか」

 

「失礼しまーす」

社長室と書かれた部屋にノックをして入っていく椎名さんに続いて、部屋に入る。

・・・そういえば社長ってゲームだと黒い影だったから顔が分からないんだよなー。どんな顔なんだろうか?

「社長、お時間いいですか?」

さぁ今こそ社長の素顔を!!

「うおっ、まぶしっ」

椎名さんの後ろから顔を覗かせて社長の姿を見ようとするが、窓から夕日が差し込んでいて、

窓辺に立っている社長は逆光で顔が見えなかった。

・・・結局謎に包まれたままなのかぁ。

「ふむ、どうしたんだね?」

「えーと、かくかくしかじかで・・・」

椎名さんがこれまでの経緯を説明し始める。

 

「・・・それで、彼がここで働きたいと」

「ふーむ・・・君」

「は、はい」

「うちの事務所は人手不足で、ちょうど従業員が欲しいと思っていたところなのだよ。

しかしうちは、けして裕福とは言えない。だからすまないのだが、給金はそんなに多く出せない、それでもいいかね?」

「大丈夫です!あと、そんなに長くはここにいられないかもしれません」

「旅をしてるのならば、それはしょうがない事だろう。他に何かあるかね?」

「えっと、今寝床がないのでよければ事務所で寝泊まりさせて欲しいです。

それと給料の事なんですが、食事代とちょっとの旅費が稼げればいいので本当に少しでいいです」

「では、ちょっと寝苦しいとは思うが事務所のソファーを使ってくれたまえ。

給金の事は後で音無君と相談して決めて報告してくれ」

「わかりました」

「では、よろしく頼んだよ。・・・そういえば君の名前を聞いていなかったね」

「自分の名前は・・・」

サクです。と言おうとして言葉を飲み込む。

・・・ちょっと待った。

・・・俺の名前って・・・?

俺の名前は・・・霧島優作。あだ名はサク。

・・・何で、何で忘れてたんだろう?

何で今まで・・・。

「どうしたのかね?」

「あっいえ・・・」

社長の声で我に帰る。

「自分は霧島優作といいます。これからよろしくお願いします」

自分の名前を忘れていたのはきっと、いきなり二次元の世界に来てしまって混乱してたからだろう。

そう解釈をして、さっきの事はそれ以上深く考えない事にした。

 

そして、この世界での一日目が過ぎていった。

 

 

十話 アイドルマスター 〜765プロ〜 終わり

説明
ようこそ、二次へ 十話です。
恋姫の世界に別れを告げて、やって来たのは・・・?
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