STARーGAZER 0 |
《これは・・・?ああ、またか。》
僕は指先ほどしかない小さな地面の上に立って、
水平線の向こうまで海しかない夜の世界にいる。
何もないのに海の向こうをずっと見つめている。
辺りは真っ暗で、月明かりだけがこの世界の光だ…。
これは僕の見ている夢。
ずっと小さいころから見ている…見続けている夢だ。
そこでは、僕がいて、心もあるのに僕に自由はなくて。
僕がそこにいるのをもう一人の僕が他人のように冷めた目で見ている。
《今日はどれだけ続くんだ?》
二人の僕が同時につぶやく。
どれだけ待っても、誰も答えはしないけど…。
《あ…。》
ふわり、とした浮遊感が僕を包んだ。
《夢が…、終わる…。》
これも変わらない。
夢が、この世界が終わるときはいつもこういう浮遊感がする。
そう思ったとき僕は現実に引き戻された。
「っ…。」
僕は布団の中から這い出るとカーテンを開けて大きく伸びをする。
「く、うぅ〜〜ん」
朝日が身にしみる。
ゲームとかならこのへんで美少女が迎えに来てくれるのかな…、なんてことを考え
ながら学校に行く準備をする。
歯を磨いて、シャワーを浴びてから朝食の準備をする。
「ん?あれ、パンがない。ご飯も炊いてないしなぁ…。」
仕方ないので、今日は朝食を抜くことにした。
そうしている間、家の中からは音が消える。
それは、この家に僕以外いないからだ。
親はいない。
別にどってことはない、ただたんに死別しただけ。
父さんと、母さんが死んだのは僕が中学2年の時。
交通事故であっさりと死んでしまった。
でも、僕はその時泣くことはなかった。
その理由は…
≪ピンポーン≫
「ん?誰か来たのか?」
僕は、玄関へと向かった。
「はい。どちらさまですか?」
そういってドアを開けるとそこには俺の通う高校の制服を着た青年が立っていた。
青年「よ、扉、迎えに来てやったぞ。」
「迎えに…?男が?修二、残念ながら俺にそういう趣味はないぞ?」
そういうと青年…草野修二は顔をしかめる。
修「あたりまえだ!俺にもない!」
それはよかった。
でも、それなら修二がなんでこんな時間に俺の家に来たんだ?
修「…。お前、まさかとは思うが俺がここに来た理由忘れてないか?」
「うっ。あ、いや、別にそんなことはないけど。」
修「おい。今の、うっ。、てのはなんだ」
あっれ?ホントに理由がわからん。
…あ。そういえば、俺が用事があるからって呼んだんだった。
修「なんだその思い出した!って顔は。」
!?…なんで今日の修二はこんなに鋭いんだ?
「ど、どうでもいいだろ、そんなこと。それより、そろそろ学校行くぞ。」
修「いや待て。俺を呼んだ用ってのはなんなんだ?」
「ん?あぁ…。修二に前前から頼まれてたじゃねーか、帰ってくることになっ
たらすぐ電話してくれって。」
修「は?」
こいつ、忘れたのか…?
あれだけしつこかったくせに…。
「ユナねぇだよ。今週末に帰ってくるって…。」
そういった瞬間に、修二の顔から普段の不抜けた感じが消える。
修「本当か?…本当に、優奈さんが帰ってくるのか?」
嘘なら殺すという感情をだだ漏れにした眼で俺を見る。
俺は、それに気圧されて一歩引く。
「あ、ああ本当だ。」
すると修二の顔が満面の笑みになる。
修「優奈さん帰ってくるのかぁ~?」
修二はそれだけ言うとどこかえ旅立っていった。
そう。修二は俺の義姉の橘優奈のことを好いているのだ。
「昨日の晩にそう電話がきた。」
修「あははhhh」
聴こえてない、というか壊れた…。
そんな話をしていると、誰もいないはずの家の中から足音が聞こえた。
「…っ!?誰だ!」
俺は足音の聞こえてくる方に向かって声を上げた。
その声で、修二も戻ってきたらしい。
俺は家の中をにらみつける。
「…。」
相手が出てくるのをじっと待っていると、その奥からは何故かよく聞きなれた声が聞こえた。
?「扉…。朝からうるさいー。」
それは、まぎれもなく僕の姉橘優奈のものだった…。
「ゆ・・・かねぇ?なんで・・・家に?」
優「ん?ヒミツー♪」
これが、僕とユナねぇの7年ぶりの再会だった…。
説明 | ||
星が落ちてくる…。 それが僕の最後に感じた気持ちだった…。 |
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