外史を渡りし『戦場の舞踏姫』 第一幕
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第二話「管理者のと邂逅」

 

【正史と外史の間】

 

ここは正史にから離れた空間、しかし外史からも離れた場所。その間<はざま>・・・

 

ただただ、暗い空間には水晶の様な珠が幾つも浮かんでいる。その中には、様々な人たちが浮び上がっていた。

 

一つは、3人の少女と一人の青年が桃園で誓いを立てている姿。

 

一つは、赤き旗の下。一人の女性と青年の後ろを多くの兵が軍行する姿。

 

一つは、堂々たる風格をした覇王の姿と共に歩む青年の姿。

 

他にも様々な水晶が浮かんでいた。しかし、その全てに一人の青年が必ず写りこんでいた。

 

青年の名は『北郷一刀』どの世界においても必ず、この『外史』に降り立つ『天の御遣い』

 

その水晶の周りに蛍のような光が二つ灯《とも》り出すとその光は次第に大きくなり、人の形を取って行き光が灯っていた場所には二人の青年が立っていた。

 

「ここは・・・まだ無事のようだな」その一人、髪の短い青年が声を発した。

 

「そのようですね、しかしここまで無傷な外史も久々に見ましたよ」

もう一人、長髪の青年も声を返す。

 

「確かにな、ココ最近だけでも30の『外史』が消滅しているしな」

 

短髪の青年の一人ごちにもう一人の青年は、少し考える素振りを見せゆっくりと答えた。

 

「そうですね、外史の消滅が始まったのは朱<あかり>の観測が正しければ、北郷一刀が外史から突然消えた時からだそうですが・・・」

 

「そうだな、だが不思議だ。北郷一刀は外史の突端にして終端のはず・・・。しかし、あの外史はまだ終端の兆しが見えなかったし、未だ終端を迎えていない。」

 

「しかし、それと同時に終端を迎えずに消滅する外史が増え始めました。しかも、その数もだんだんと増えています。このままでは、正史にどんな影響が出るか正直全く想像出来ません。」

 

ため息混じりにそう呟く長髪に眼鏡を掛けた青年は、名を于吉と言う。そして、もう一人の金の髪を短髪にした青年は、名を左慈と言った。

 

この二人は人ではない、多くの人々が想い、願った『願望』によって作り出された不安定な仮定世界『外史』を管理する『神仙』呼ばれる存在だ。

 

外史とは、所謂『平行世界』とは違う。

 

平行世界とは、現実世界と同じ場所に存在する『決して交わる事の無い世界』だが、この『外史』は現実世界とは、存在する場所がズレているのだ。

 

しかも世界として存在が不安定で、出来ては消え出来ては消えを繰り返している。

 

しかし、『外史』と我々のいる現実世界‐正史‐は基本的に決して交わる事は無く外史の存在は、このまま誰にも知られること無く、静かに続いていくはずだった。

 

だがある時、外史に正史からある青年が迷い込んでくる。名を『北郷刹那』と言った。

 

彼はその時、自らを劉玄徳と名乗る少女に拾われる。

 

暫くは、刹那も村で暮らしその世界の事を鏡花(劉備)に色々学んだ、例えば真名について。

 

この世界において誰もが持っているもう一つの名前。その名は家族以外が本人の許可無く呼べば、殺されても文句は言えない神聖な名前だった。

 

暫くして、刹那は鏡花に真名を許される。そして、村で暮らしながら彼は鏡花に対して恋心を抱いていった。

 

そして、刹那が村に来て一年程たった頃、村に賊が攻めてきた。

 

その賊たちは、自分達を『黄巾党』と名乗り村を襲おうとしていた。しかし、彼は鏡花と共に賊に立ち向かい、見事返り討ちにする。

 

その夜、刹那は鏡花に告白し二人は結ばれる事になる。そして、二人してこの乱れた世を立て直そうと決意し兵を挙げる。その時、共に立ち上がってくれたのは蓮香(関羽)、恋々(張飛)の二人。

 

その後、『黄巾の乱』と称される出来事は刹那達やその他の軍によって鎮圧される。

 

その後、多くの将を仲間にし大小様々な戦<いくさ>を乗り越え、大陸は刹那達率いる『蜀』・鈴麗(曹操)達率いる『魏』・白漣(孫策)達率いる『呉』の三国に落ち着き平和を取り戻した。

 

しかし、その平和は呆気なく崩れ去る。いつもと同じように始まった日々は突然の出来事によって混沌と化した。

 

何故なら、山が・・・空が・・・突然と砂の様に消え始めたのだ。

 

人々はパニックに陥ったが、それぞれの国が民達を沈め内乱になる事は無かった。

 

だが、自体は深刻だった。

 

兵に消え始めたその場所を調べに行かせた結果、その場所はにただただ、暗い穴が広がっていたという。

 

つまりは、世界の消滅・・・と言ってもその頃の人間には天変地異にしか思えなかっただろうが。

 

その後、三国の王と重鎮達が集まり議論を交わしたが解決法は見つからず、世界消滅の時はすぐ其処まで迫っていた。

 

初めは、どうやってあの怪奇を止めるかが論点であったが次第に、誰があの消滅に巻き込まれずに生き残るかという論点に変わっていた。そして、誰を生き残らすかを話し合った結果、王や重鎮達・大陸の民達全員の願いで、鏡花と刹那になったのだ。

 

その後の事は、語るに忍びない。ともあれ、刹那と鏡花は後の世で言う『正史』に戻ってきた。二人の傍には黒ずんだ銅鏡が落ちていたと言う。

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その後、二人は自分達と共に落ちてきた銅鏡を家宝とし後の世に託した。

 

そして、二人は『正史』の世界で自分達の居た世界について調べる事にしたのだ。

 

しかし、いくら調べてもあの世界の事は分からなかった。分かった事と言えば、あの世界が『こちら』の世界の『三国志』の物語と良く似ていたこと位だった。

 

その後、二人は『外史』のことを調べながら平和に暮らしていた。その内、子や孫も増え二人はお互いに年を取り、そして二人同じくしてこの世を去った。

 

本来なら、ここでこの二人の物語は終わる筈だった。しかし、幸か不幸か二人は再び『外史』に舞い降りる。しかし、そこは前に来た所はまったく違う場所だった。

 

そこは、上も下も右も左も、ただただ暗闇の広がる空間だった。ずっとソコに居れば気が狂って仕舞いそうになるくらいそこには何も無かった。

 

だが、暫くすると暗闇の中に蛍の光のように淡い光が生まれた。その光は少しづつ大きくなっていき、そして弾けた。それはまるで光が散っているような光景だった。

 

その淡い光は、よく見れば其処此処にあり弾ける大きさもマチマチだった。

 

その様子を時間の感覚のない漆黒の空間で何度見た時だろう、二人は唐突に理解した。

 

あの光の中こそが自分達のいた世界なのだと・・・

 

そして、その事に気づいた二人はどうやってこの淡く脆い光の球を壊さずに保てるのかと気の遠くなる時間を掛けて、調べたが光球を持続させる事は出来ず精々、ある一定の大きさまで保つ事が精一杯だった。

 

そして、もう一つ分かった事があった。この光球の消滅は波となって自分達のいた『正史』に僅かながらも影響を及ぼしている事だ。それは、雨水が長い時間を掛けて岩に穴を開けるようなホンの僅かな影響だが、光球の数は数え切れない・・・小さな波も数が集まればやがて大きな津波となって正史に襲い掛かる。

 

この時、もう自分達が人ではない事を自覚していた刹那達は自分達の名を捨てこの世界を管理することにした。そして自らを『神仙』と名乗り、光球の事を『外史』と読んだ。そして、自分達がいた外史を『始まりの外史』と読んだ。 これが、外史と管理者の始まりの歴史。

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話を現在に戻そう、左慈と于吉の話に・・・

 

「しかしだ、我々の力では精々この消滅を抑える事ぐらいしか出来ん。何か他に方法は無いのか?」

 

「そうは言いますが、今でも『管理者』全員でこの現象を抑えている状態です。一刀が方法を探していますが、まだ時間は掛かるでしょう。」

 

「そうだな、こんな時に救世主でも現れれば・・・なんてのは流石に甘えすぎか」

 

左慈は自傷気味に答える。

 

 

「そうですね、私も願いたいものです。」

 

二人して、そんな話をしながら外史に向かい合う。外史の消滅は何が原因で起きているか原因不明、だが『神仙』の力で消滅のスピードは抑える事が出来る。コレが、『神仙』達に出来る唯一の方法だった。

 

左慈と于吉が外史に対し力を注いでいた時、不意に間〔はざま〕の空間が揺れ始める。

 

「何だッ!!」

 

「分かりませんッ!!・・・分かりませんが何か起きようとしています」

 

揺れは更に激しくなっていく、揺れと共に外史の光とはまた違う光が二人の前に現れる。

 

その光は、揺れの激しさと共に徐々に大きくなり形を取っていく。

 

そして、揺れが収まった時ソコには円錐状の形をした光が浮いていた。

 

「なんだ、コレは?」

 

「私にも分かりませんよ、しかし先程の揺れと無関係と言う訳では無いようですね」

 

二人はそう言いながら、自分達の前に現れたイレギュラー的存在に目をやる。

 

感覚としては、自分達が外史を渡る時に使う光に似ているが、この人型の光からは『神仙』の気配が無い。それに、コレはもっと別の何か生き物の感覚とは違うと二人は感じていた。

 

【・・・・・れて・・・・・・・い・・・・】

 

「!!何だッ、今の声は」

 

「左慈?どうかしましたか?」

 

「于吉、お前聞こえなかったのか?」

 

「何をですか?」首を傾げながら尋ねてくる。

 

「さっきの声だッ!お前には聞こえなかったのか!!」

 

「声、ですか?いいえ、私は聞こえませんでしたよ。それより、この光球ですが一刀に見せたほうがいいですかね?」

 

「そうか、(俺の空耳か?)確かに一刀に見せる方がいいかも知れんな」

 

【お・・・がい・・・だれ・・・コレ・・・れて】

 

「!(またか、コレは空耳じゃないな)于吉」

 

「何ですか?左慈」

 

「お前、また声が聞こえなかったか?」

 

「いいえ、聞こえませんでしたよ」

 

「(于吉には聞こえない、俺にしか聞こえないのか?)」

 

左慈が考えているとまた声が聞こえてきた。

 

【お願い・・・誰か・・・コレに触れて・・・】

 

「!!(今度ははっきり聞こえた)あの光球の中か・・・」

 

そう思い、光球に近づいてく。

 

「左慈?どうかしましたか?」

 

「于吉、この中にはナニかいるぞ」

 

「!!しかし、生き物の気配は感じませんが・・・一体ナニが?」

 

「分からん。分からんが、ソレをこれから確かめる」

 

そう言い放ち、左慈は光球に手を触れる。

 

“パキンッ”

 

そんな、軽い音がして人型の光球が割れ始め、中から一人の少女が出てきた。

 

年の頃は16,7、茶色がかった肩まで掛かる長い髪を靡かせながら、何処までも澄んでいる蒼色の瞳を左慈と于吉に向けながら、少女はこの間に降り立った。コレが、舞踏姫と神仙の出会い。  再見!!

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<あとがき>

 

すみませんでしたm(_ _)m

 

更新が遅くなりました。前に上げたのは3ヶ月前!!

 

言い訳はしたくありませんが、あえて言うなら修学旅行とかバイトとか色々忙しかったからです。

 

申し訳ございません。

 

そんな感じで、『戦場の舞踏姫』第二話(?)どうだったでしょうか?

 

なんかややこしい感じになってますが・・・何分、作者がド素人なのでそこは勘弁してください。

 

それにしても、今回は名前だけのオリキャラが・・・自分でも何でこうなったかな?(涙)

 

そんな訳で、今回出てきたキャラ紹介!!って事でGO↓

 

 

 

 

北郷 刹那(ほんごう せつな)

一刀から6代前のご先祖様、明治時代の人。本人は、勉学は程々得意で剣術『北郷流』も程々の腕前。

ようは、何処にでも居る平凡な学生(?)だったが、何故か気づけば荒野のど真ん中に立ち往生(涙)

そんな中、鏡花と出会い恋をする。ちなみに一刀と違い、『種馬スキル』も無いし『鈍感』でも無かった。外史の存在を初めて知り、神仙を作り出したのもこの人。神仙になってからは、名を呂尚、真名を刹那とし今でも外史を管理している。ちなみに、『神仙』の中で一番偉い。

 

北郷 鏡花(ほんごう きょうか)

『始まりの外史』で劉玄徳と名乗った少女。年は16。現外史の『劉備』とは、まったく似ておらず面影があるのは桃色の髪のみ。(ちなみに胸も小さい)武の強さは折り紙付きで、常に刹那と共に前線に立って戦っていた。現実をしっかりと見て、人の死に涙を流しながら戦った。のちに『神仙』となった時劉備の名を捨て、『司馬炎』と名乗り真名を鏡花とした。今も尚、外史を管理し続けている。ちなみに今でも刹那とはラブラブである。一刀の先祖に当たる。(序列2位)

 

蓮香(れんか)

『始まりの外史』で、関羽と名乗った少女。現外史の『関羽』とは長い黒髪と嫉妬深い性格が面影として残っている。鏡花とは、昔からの友達でお互いに真名で呼び合っていた(かなりフレンドリー)

 

恋々(れんれん)

『始まりの外史』で、張飛と名乗った少女。現外史の『張飛』とは、殆ど面影が無い。背が高く、少々男っぽい性格をしていた。鏡花と蓮香とは親友同士だった。

 

鈴麗(りんれい)

『始まりの外史』で、曹操と名乗った少女。現外史の『曹操』とは、同性愛者な所以外は似ていない。髪は栗色でソレをツインテールにしていた。刹那とは友人関係にあった。(胸はDくらいは・・・)

 

白漣(はくれん)

『始まりの外史』で、孫策と名乗った少女。現外史の『孫策』とは、褐色の肌と戦いに悦びを感じる感性以外重なる部分はない。髪は真紅で、長さは腰まで。刹那とは飲み仲間で友人(胸は・・・・残念なことに) 

 

左慈(さじ)

外史の管理者である『神仙』の一人。武術に秀でており、強さは孫策を上回る。過去に外史を否定していたが、今は何よりも守りたいと思っている。零(早紀)の恋人(予定)(序列4位)

 

于吉(うきつ)

外史の管理者である『神仙』の一人。仙術に秀でており、左慈のサポート役。左慈と同じく過去に外史を否定していたが、今では外史否定派に対して怒りを覚えるほどに。左慈の親友にして零の友人。(序列5位)

 

朱(あかり)

外史の管理者である『神仙』の一人。北郷一刀が消えた外史を観察していた。見た目は朱里に良く似ている。慌てると良く噛み噛みになる。一刀の事を『ご主人様』と呼び慕う。武器は鋼の羽扇『臥龍(がりゅう)』武術は、そんなに得意では無いが魏の三羽烏とは渡り合える。仙術に秀でている。(序列不明)

 

始まりの外史

刹那が偶然迷い込んだ、まだ管理されていない頃の外史。そのため、現外史とは人物が一致しない。

 

 

一刀(かずと)

外史の管理者である『神仙』の一人。刹那以来始めて外史に舞い降りた『北郷一刀』

武術及び仙術に長けている。性格はそのまま。武器は刃が漆黒の『黒天』

神仙の位はそこそこ高い(序列3位)神仙の名を劉邦と言い、真名が一刀

 

 

・・・と言う訳で紹介しましたが何か長いな〜 始まりの外史に出てきたキャラは殆ど使い捨てなんで(スイマセン)

 

ソレよりも、次回の投稿ですがまたしても分かりません。でも一ヶ月以内には必ず!!!!

 

それでは、また!!!!!!

 

 

説明
遅くなってスイマセン)ペコッ
言い訳とかは、あとがきで・・・
それでは、本編をどうぞ!!
(これで見習い卒業だ!!!)
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コメント
救世主伝説の始まり?(ブックマン)
某所で酷評されたのに学習してないのですか?  地の文を使って設定を読まなくても分かるようにして下さい。(雑貨屋)
とても、おもしろい展開です!自分的には左慈とのカップリングで(働きましょう)
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