真・恋姫?無双 仙人で御遣い 31話
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「フッ、誑(たら)しは滅びました」

朔夜(さくや)は、清々しい笑顔で宣言した。

そして、辺りを見渡す。

「・・・何も、あそこまで苛めなくても」

(いえ、素で殺ろうとしているんですね・・・ハァ)

燈(あかり)の方を見て、そう呟いた。

燈は、凪を大斧で追い詰めている。

そんな彼女に、朔夜は声を張り上げる。

「燈!もう良いですよ!」

燈は、ピタ、と止まり、朔夜の方を見る。

「・・・・・・分かった」

そして、数瞬考えるそぶりを見せて了承した。

燈は星たちの下に走って行く。

それを見た凪は、緊張が解け、パタリ、と倒れた。

(・・・やり過ぎました?)

と、考えていると

「お前、やり過ぎな」

後ろから豪臣(ひでみ)が寄って来た。その眉間には皺が寄っている。

「生きてましたか」

「本気で撃ち込まれてもいないのに、死ねるか」

「・・・死なないにしても、しぶといですね。アレをくらって無事なんですから」

「無事じゃねぇよ!肋骨が三本も逝った、って朔夜!」

豪臣が怒鳴っている途中で、朔夜が崩れ落ちる。豪臣はそれを受け止めて名を呼ぶ。

「耳元で煩いですよ。『狂拳(きょうけん)』なんて大技を、前準備無しで使ったんです。多少の反動は予想済みです」

朔夜は、豪臣の腕の中で、無表情で淡々と答える。

「ったく。お前の体は、仙氣を元に造られてるんだから、無茶をするな」

嘆息する豪臣。その表情からは、既に怒りは無い。

「怒らないんですね。怪我までさせたのに」

朔夜は、上目遣いで訊く。

“一週間の同衾禁止”にされた悔しさからの八つ当たりであったため、その言葉には、若干の後悔の念が籠っている。

「慣れたよ。まさか怪我をするとは思わなかったけどな。

ただ・・・倒れたことに関しては怒ってるぞ」

「相変わらずの甘ちゃんですね」

薄らと笑いながら、嘆息する朔夜。

そんな朔夜の頭を一撫でして、豪臣は朔夜を抱き上げる。

「仕方ないだろ?お前は、俺の“特別”なんだからな」

豪臣の言葉に、朔夜は驚いた表情を見せ、そっぽを向いた。

(全く。あたしも現金ですね。この人の言っている意味は分かっているのに、心が満足してしまいます)

朔夜は、内心溜息を吐く。

「どうした?」

「何でもありません。今回は、許してあげます」

「はぁ?」

豪臣は、朔夜の言葉の意味が分からなかった。しかし、これ以上何も言わない朔夜を見て、苦笑して皆の下に戻って行った。

 

 

 

「私・・・何かしましたか?」

倒れたままの凪は、そう呟いていた。

 

 

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皆の下に戻った豪臣は、朔夜と燈に謝罪させ、再び凪の前に立った。

「凪。さっきはすまなかった」

「いえ。それは良いのですが、さっきは何を言おうとしたのですか?」

「ああ。今から言うよ」

凪は、背筋を伸ばし豪臣の顔を見た。

「凪。俺の・・・“弟子”にならないか?」

「・・・え?」

豪臣の言葉に、凪はポカンとする。

他の者たちは

「おお〜」「なにぃ〜!」「やはり、ですか」

それぞれに驚きや呆れた声を上げる。

「弟子、ですか?」

「ああ。君には才能がある。良ければ、俺たちと一緒に来ないか?」

豪臣は満面の笑みで答える。

(一緒・・・豪臣様と共に///)

尊敬の念を抱く豪臣に誘われて、喜びに頬を染める。ハッキリ言って真桜と沙和のことは忘れている。

しかし。豪臣の言葉に否を唱える者が居た。

「駄目ですよ、豪臣」

朔夜だった。

「・・・駄目か?」

「駄目です。うちの軍師に怒られますよ」

朔夜は、呆れた様に肩を落として答える。

「確かに。我は、これ以上武将は増やすな、と言われた記憶がある」

「ふむ。我らが軍師殿が、そう言っていた気がしますな」

昴(すばる)と星が、朔夜の言葉に同意する。

「・・・?」

案の定、燈は、コテン、と首を傾げて理解出来ていない様子。

「ん〜。そっかぁ・・・」

「ちょっと良いか、豪臣」

朔夜たちに諫められ、腕を組んだ豪臣に秋蘭が声を掛けてくる。

「今更何だが、『白虎』の軍師はいったい何処に居るんだ?」

凪たちも秋蘭の言葉に頷いて豪臣を見る。

「隠れてる。うちの軍師は恥ずかしがり屋だから」

「そう言うことです。うちの内情が知りたいのは理解していますが、無理ですので」

豪臣が笑顔で答えたのに対し、朔夜は冷めた目で答えた。

そして、朔夜は豪臣に向き直り

「後、楽進のことですが、潜在能力がいくら高くても駄目ですよ。うちを率いる将は6人で十分だ、と軍師が言っていたでしょう?

 夏候淵程の将ならともかく、今の楽進では却下されることは目に見えています」

と、豪臣の考えを切り捨てた。

「フッ。評価してもらえている様で光栄に思うぞ、朔夜。それから、豪臣。残念だが、凪たちは私が連れて行くぞ」

「「「 え? 」」」

凪たち三人は、驚いて秋蘭を見た。

 

 

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「何を驚いている。お前たちなら、華・・・曹操様も快く受け入れてくれるだろう。三人は会ってくれ。是非、我が陣営に加えたいからな」

「私たちは、民のために働けるのならば、喜んでついて行きます。しかし、恩人であり実力者でもある豪臣様は、一緒では無いのですか?」

三人は即座に頷く。そして、凪が質問した。

「その答えは簡単だ。ついて来ないから、だ。そうだろう?」

秋蘭は、ニヤ、と笑って豪臣を見る。

「何で分かったんだ?今まで助けた奴らは、お礼と称して強引に引き留めようとしたんだけどな」

「お前たちの情報の少なさの所為だ。いくら間諜の実力が高くとも、逗留すれば、多少の情報は漏れる。しかし、お前たちには、それが見受けられない。おそらく、情報の漏れを押さえるために、一所に長居をしなかったんだろう。

だから、ついて来ない、と思ったのさ」

「ご明答!全くもってその通り。後、もう一つの理由としては、要らん敵を作るのも莫迦らしいが、要らん仲間を作るのも、かなり莫迦らしい」

豪臣も笑って返す。

つまり、足手纏いは必要ない、と豪臣は言ったのだった。

「フッ、確かに」

「だろ?だから、俺たちはこのまま此処を去るよ。凪を連れて行けないのは残念だけど、な」

「そう急がなくても、本隊の到着はまだだぞ」

秋蘭は苦笑する。

しかし、豪臣は黙ったまま秋蘭を指差して、その手を右に、秋蘭から見て左に動かした。

秋蘭とその周りに居る凪たちは、豪臣の指に合わせて視線を動かす。

すると、さっきまで誰も居なかったところに

「「「「・・・っ!」」」」

黒尽くめの人間が居た。暗部である。

「どうなった?」

驚く周りを無視して、豪臣は暗部隊員に話し掛ける。

「は。敗残兵約七千は、北へ、冀州方面へと向かっております。ただ、敗残兵の半数以上が集結を断念し、黄巾党から離脱した模様」

その言葉に豪臣が頷くと、暗部隊員は『白虎』の陣へと走り去って行った。

「・・・豪臣。あれは、何だったんだ?」

「何、秋蘭?知りたいの?」

豪臣は、悪戯っ子の様に、ニッ、と笑う。

秋蘭は、豪臣のその顔に

(教えるつもりはない。若しくは、訊き出すには何かしらの代価が要る、か)

肩を落として苦笑を返した。

「・・・さて、あの雑魚の行き先も分かったことだし、俺たちは、そろそろ行くわ」

「そうか」

秋蘭がそう返事をする。

そして、凪が豪臣の前まで進み出て頭を下げ

「次に会うときまでに、失望されない様、必ず強くなって置きます!」

そう宣言した。

「そっか。なら、さっき迷惑を掛けた分の詫びと将来への期待を込めて、一つヒントを、助言をしておこう・・・

 それは、自分の中にある“二種類”の氣をしっかりと感じて使いこなせ」

「二種類?」

豪臣の助言に、凪は首を傾げる。

「ハハッ!頑張って強くなって見せてくれよ。じゃな!」

そう言って、豪臣は自軍を纏めに行った。

さっき言った通り、華琳には会わず、此処を離れるつもりらしい。

 

そんな豪臣の背に、秋蘭は近づき

「去るのは構わない。が、個人的には、何か礼をしたいのだが?」

声を掛ける。

豪臣は、振り向いて秋蘭の顔を見る。

それは、妖艶な笑みだった。

豪臣と秋蘭は見詰め合い

「・・・そうだな。なら、今度飲茶でも。もちろん、二人で、な」

豪臣が、ニッ、と笑って言い、自軍に歩いて行った。

 

その後ろを

「ふむ。豪臣殿は、懲りると言う言葉を知らんのですかな?」

「あれは、勇気では無く、蛮勇であると思うぞ」

「あのすけこましは・・・次から次へと!」

「・・・?」

『白虎』の面々がついて行った。

 

 

因みに・・・この後、豪臣は『白虎』のメンバーから“冷たい視線”と“熱い拳”をプレゼントされた。

 

 

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〜町 曹操軍本陣〜

 

『白虎』が北に向けて行軍を開始してから一日も経たずに、華琳率いる曹操軍本隊が合流した。

秋蘭は、凪・真桜・沙和の三人を華琳たちに紹介。華琳は三人を気に入り自陣営へと引き入れた。

 

そして、秋蘭から『白虎』についての報告を聞いた華琳は

「やっぱり、欲しいわね・・・“殺人人形”」

ニヤ、と舌嘗めずりする。

「ああ〜、また病気がぁ〜・・・」

頭を抱える春蘭。

(可愛いなぁ〜、姉者は///)

そんな春蘭の姿に、秋蘭は頬を染める。

それを尻目に

「ついでに、天の御遣いの名が欲しいわね・・・フフ」

華琳は、また呟く。

「華琳様!お、男なんか――!」

そんな華琳に桂花が抗議する。

 

 

曹操軍は、相変わらずだった。

 

 

 

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あとがき

 

どうも、虎子です。

一週間ぶりの更新です!

執筆時間が全く取れませんでしたよ・・・

なんかもう、グダグダ感がバリバリ。申し訳ないです<m(__)m>

 

さて、作品の話ですが・・・

豪臣が凪に言った言葉は“弟子”でしたね。

凪には二種類の氣を保持しています。←勿論、この作品での設定

思春や黄祖と共に、今後の凪の成長に期待ですね。

今回で義勇軍・曹操軍編は終了です。華琳さんと会うのは黄巾の最後、かな?

次回は、三国最後のあの軍です。

 

次回投稿は、未定です。

出来るだけ、早く投稿出来る様に頑張ります。

 

作品への要望・指摘・質問と共に、誤字脱字等ありましたら、どんどんコメント下さい。

 

最後に、ご支援、コメントを下さった皆様。お気に入りにご登録して下さった皆様。

本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 

 

説明
超ーーー駄文orz
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コメント
自由人さん、ご指摘ありがとうございます。添削しました(虎子)
疫病の話は蜀でも使っていいと思いますよ(ヒトヤ)
おつかれさまです^^ 少数精鋭(将の人数的に…)にもかかわらず最早、義勇軍程度の強さに収まりきっていない白虎隊の更なる活躍期待しています^^(kyou)
豪臣への愛が無意識に力をセーブしたと信じたいです。(ブックマン)
お疲れ様です。朔夜さん!あれ本気じゃなかったの!?本気だったら…(ガクガクブルブル それにしても『俺の“特別”』なんて完全な口説き文句で満足そうなのに少し残念そうなのはやはり人ではないという事が問題なのですかね。それと凪の弟子入りが叶わずちょっと残念ですが彼女達の事を考えれば豪臣君の周りに女性は増やしたくないですよねw(自由人)
御報告 1p:朔夜崩れ落ちる→朔夜が 3p:豪臣自軍を纏めに→豪臣は 礼をしたのだが?→したいのだが? ですかね?仕様でしたらすみません。(自由人)
更新おつかれさまです。これからどんな展開になっていくか気になります!!(リンドウ)
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オリキャラ 真・恋姫?無双 白虎 秋蘭  真桜 沙和 

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