「無関心の災厄」 シラネアオイ (epilogue)
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            「無関心の災厄」 -- 第一章 シラネアオイ

 

 

 

EPILOGUE プリムラとイベリスとシラネアオイ

 

 

 

 花屋を出て、まっすぐ高校の文芸部部室へ直行し、その扉を開けたオレは愕然とした。

 そして、たっぷり30秒は部屋の中を見渡した後、窓際でのんびりと外の様子を眺めている同級生に向かって指を突き付けた。

 

「おい、そこのマイペース!」

 

「ダメだよ、マモルさん、ヒトを指でさしたりしちゃ。それにオレの名前、マイペースじゃない」

 

「うるさい、それは初対面で同じ事をしやがった、白根にも言ってやれ」

 

 そう言って、オレは部屋の中央あたりでパイプ椅子に座って読書する黒髪の美少女にもう一度指を突き付ける。

 

「現在の文芸部員が2人って事を考慮すると、この『無表情美人』を部室に招き入れたのはどう考えてもオマエしかいないんだが、その予測は間違ってないよな?」

 

「うん、そうだねえ」

 

 そうなのかよ。

 

「ところでその花……」

 

「あ、これか? 先輩がくれたんだ」

 

「『プリムラ』だね。花言葉は――『運命をひらく』」

 

 運命をひらく。

 図らずも、オレがそっち側の世界を選んだように。

 まさか先輩、マジで夙夜と共謀してオレを『口先道化師』として育てようとしてるんじゃないだろうな?

 

「私の命題はすべて証明され、第一命題は『ケモノの監視』となりました。これから、私はここに滞在する事になります」

 

「よかったねえ、マモルさん。一人部員が増えたよ!」

 

 ああ、そうだな。春だからな。

 新入生勧誘……もうめんどうだからいいか。始業式からのゴタゴタで、どの部活も勧誘なんて忘れてるし。

 こうしてほとんど活動していない文芸部の部室からは、卒業式に一人減り、始業式に一人増えた。

 

 

 

 まさかコレで大団円、なんて、言わねえだろうな。

 オレはぜったいに認めねえぞ?

 

 

 

 でも、オレはこんなめんどくさいヤツは嫌いじゃねえ。

 それに、こんなめんどくさい毎日も、オレ自身も、もちろんこの世界も――嫌いじゃねえよ?

 

 たとえばそこで生じるモノガタリに、オレが付け入るすきなぞ残されていなくとも。

 

 

 

――運命をひらく

 

 

 

 世界がオレを選ばないなら、オレが世界を選ぶから。

 

 

 

 

 

 

 

 

第一章 シラネアオイ (了)

 

 

 

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■■ ちょっと長めのあとがきのようななかがきのようななにか ■■

 

 

 

 

 無関心の災厄シリーズ第一章「シラネアオイ」を最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

 

 

 

 この作品は「どこかSFちっくな現代ファンタジー」を目指して書いています。現在よりは少しだけ未来の日本の高校生たちがすこし(S)ふしぎ(F)なことに巻き込まれる話です。

 ミステリーじゃないので、推理要素とかはないです。これからも先もおそらくないです笑

 

 

 期待されてた方がいらっしゃったらごめんなさい(・ω・`)

 

 しかも、最後の方ちょっと駆け足でしたね。

 あっけなさすぎた気がするので、もっとゆっくりしてもよかったかも。

 

 

 

 

 主人公、柊護(ひいらぎまもる)くん。

 ごくごく普通の男の子……のはずが、現在道をはずしかけてます。高校3年生、受験の年です。

 ぼーっとしている周囲の人間と違って、人並みに口がまわります。そして考え方がややこしいけれども、少しばかりカンがいいようです。

 人外生物によくなつかれてしまうのがちょっと悲しい感じ。

 

 

 主人公じゃないけどよくでてくる香城夙夜(こうじょうしゅくや)くん。

 コイツは曲者です。

 破滅的で無関心で人間離れした感じが表現できない。ただの天然じゃねえかぁあ!

 今回は活躍の場をマモルくんに譲ってみたかったし、いいんですけど。

 

 

 じつは友情出演の死神の先輩、篠森スミレ(しのもりすみれ)。気になる方は、拙作「ニンゲンとカミサマ」をどうぞ〜。

 友情出演って言うか、完璧に重要ポジションです。相変わらずナゾキャラ。

 そのうち正体を明かす日が……来るのかなあ?

 

 

 それから、白根葵(シラネアオイ)さん。

 「完全な美」という花言葉を持つシラネアオイをモチーフに。作業機械、無表情美人、転校生の美少女。

 黒髪艶やかな女子高生。バックに謎の組織を抱えてます。

 組織については、そのうち。

 

 

 それから香城珂清(コウジョウカスミ)さん。

 夙夜の叔母で国家権力で花屋『アルカンシエル』の店長さん。

 年齢不詳、亜麻色の髪のさっぱりとした美人さんだけれども、口調が若干男前でやる気なさげ。理解あるオトナです。

 やる気のない目がちょっと夙夜と似てるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 キャラクターデザインは流離いのHiROさまにお願いしました。

 

 かわいらしいキャラクターたちがイラストになると、本当にうれしいです。

 いろいろ妄想も膨らみます(笑

 

 

 イラストを描いてくださった流離いのhiRoさまとbinkyさまに、そしてここまで読んでくださった方々に心からの感謝を。

 

 本当にありがとうございました!

 

 

 

 

 

 第二章はすでに描きあがっているのですが、いつ頃から連載するかは未定です。

 

 またどこかで見かけたらよろしくお願いいたします。

 

 

 

2010年3月14日 早村友裕

 

説明
 オレにはちょっと変わった同級生がいる。
 ソイツは、ちょっとぼーっとしている、一見無邪気な17歳男。
――きっとソイツはオレを非日常と災厄に導く張本人。

次の章へ→http://www.tinami.com/view/135850

前→http://www.tinami.com/view/129852

最初から→http://www.tinami.com/view/121673
キャラ紹介→http://www.tinami.com/view/126386


※ 表紙・キャライラストは流離いのhiRoさまから頂きました。
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オリジナル 小説 現代ファンタジー SF 珪素生命体 無関心の災厄 

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