真・恋姫無双紅竜王伝煉獄編C〜孟徳の子房は項王の轍を踏まず〜
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春蘭の率いる先発隊が敗れ、大将たる春蘭と軍師として彼女の補佐をしていた詠が行方知れずとなったという報告を受け取った華琳は意外なほど冷静だった。

「春蘭なら大丈夫よ。今頃詠を守って再起を図っているわ」

それは春蘭を信頼しているとともに、自分に言い聞かせているようだった―――

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外様の諸侯が仲に寝返ったと同時に并州・青州・徐州でも仲が派遣した将軍が黄巾党の残党を率いて兵を挙げた。大将は并州に袁尚、青州が劉勲、徐州が紀霊である。

「くそ・・・敵本軍が前にいるのに、蠅みたいに湧き出て来やがって」

舞人は苛立たし気に舌打ちし、地図を睨む。

「片っぱしから潰していくべきかしら・・・桂花、どう思う?」

華琳も美貌の眉間にしわを寄せて地図を睨みながら桂花に意見を求める。意見を求められたネコミミフードの軍師は熟考の末、答を生み出した。

「・・・いえ、華琳様。この状況で敵の手に乗っては項王の二の舞になるでしょう」

秦朝末の武将『覇王』項羽は劉邦が各地に派遣した武将たちや反旗を翻した豪族の鎮圧に奔走させられ、最後は疲弊したところを垓下の決戦で劉邦に倒された。今の華琳たちの状況はその時の項羽が陥った状況と同じだと彼女は言うのだ。

「本隊さえ叩けば、首を失った者どもなどただの烏合の衆。ただ―――」

「気になるのは孫呉の動きです」

桂花の言葉を引き継いで現れたのは稟。彼女は各地に放っている間諜の報告書と思われる書簡を抱えて天幕に入ってきた。

「我らは先日、呉と和睦して要所・合肥の占領に成功しましたが今回の乱で呉がどのような動きをしてくるかは不透明ですから・・・」

占領した合肥城にはすでに凪と真桜の率いる軍が入っているが、先発隊として派遣していただけに兵は7千と少ない。呉が本腰を入れて動けばまたたく間に攻略されてしまうだろう。

「合肥にはもう霞と愛紗の軍を差し向けているけど、焼け石に水だろうな」

本来なら彼女らに大軍を率いさせて孫呉を脅かせようとしていたのだが、今回の挙兵ですべてが台無しである。

「時間稼ぎにしかならないでしょう。早く平定して合肥城の救援に赴かねば・・・」

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しばらくして、漢魏軍の本陣に春蘭と詠が無事に発見されたという報告と愛紗と霞が合肥城に入ったという情報、そして―――

反旗を翻した孫呉が、合肥城を奪還する為孫権率いる10万の大軍を差し向けたという情報が入った。

そして、合肥にて伝説が刻まれる戦いが幕を開ける――――その伝説とは

『遼来々』と『羽招来』。

2人の凛々しき騎馬武者少女の伝説である―――

 

説明
紅竜王伝煉獄編4話です。
春に近付きつつあるはずですが、まだまだ寒いですね・・・
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コメント
伝説の戦いが楽しみです。(ブックマン)
執筆お疲れ様です。愛紗が対敵兵無双ですね。わかります。次が楽しみです、どんな戦が待っているのか・・・ 次作期待(クォーツ)
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真・恋姫無双  紅竜王伝 

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