真恋姫無双〜ありえたかもしれない外史〜 第13話 願い×宿願 
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この作品は原作のキャラの性格が変化したり時代背景が変わったりします。またオリジナルな展開などもいれようと思っています。

なので原作好きの方また特定のキャラが好きな方はスルーしてください

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前回のあらすじ

孫策との戦いを前に一刀は考える。自分ができることを…。そして、一刀は袁術軍の将としてではなく『天の御使い』として戦場に立つ。大切なモノを守るために。

真恋姫無双〜ありえたかもしれない外史〜始まります。

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孫策たちとの戦いを前に着々と準備をする一刀達。孫呉は目の前まで迫ってきている。そんな孫策達の目の前に聖フランチェスカの制服を着た一刀が現れた。そして、自らを『天の御使い』と称する。一刀と孫策。それぞれの想いを持って今、衝突する。

 

 

戦いの前に一刀は美羽の部屋を訪ねた。控えめに扉を叩き室内に入る。

  「美羽入るぞ?」

一刀が部屋に入ると美羽が窓の外を見ていた。

美羽「どうしたのじゃ?一刀?」

一刀に気づき振り向く美羽。

  「いや……美羽こそ外を見てどうしたんだ?」

一刀の質問に美羽は笑って答える。

美羽「色々と考えていたのじゃ……」

そこでさらに続ける美羽。

美羽「一刀がここに来てからずいぶんと経つのじゃ。色々とあったがとても楽しいものであったのじゃ。」

美羽の言葉に苦笑しながら答える一刀。

  「俺もだよ……いろいろと振り回されたけどとても楽しかったよ」

一刀の言葉に嬉しそうな顔をする美羽。しかし、その表情はすぐに変化した。

美羽「これからもずっと続くと思っていたのじゃ……でも「続くさ」…」

美羽の言葉を遮る一刀。一刀はさらに続けた。

  「続くさ…これからもずっと…孫策なんかに終わらせはしない」

そこで美羽を見る一刀。目の前の少女はまだ子供と言っても差支えがない。我がままだけどとても素直ないい子である。いつも笑顔でいるが現在、その顔は暗かった。

  「美羽…お前はどうしたい?」

一刀を見る美羽は一刀の雰囲気が変化していることに気づいた。

  「このまま孫策に全てを奪われるのを黙って待つのか?」

一刀の言葉に下を向く美羽。そして、美羽の体が震えた。

美羽「……じゃ……。……なのじゃ……」

震える声で喋る美羽。そして、顔をあげて一刀を見る。その顔には涙があふれていた。

美羽「……嫌なのじゃ!!このまま終わるのは嫌じゃ!!妾はもっとみんなと、一刀と!七乃と!月や詠と!みんなとずっと一緒にいたいのじゃ!!」

それはその少女の心からの願いであった。純粋な想いであった。美羽はそのまま声をあげて泣く。そんな美羽に近づき頭を撫でる一刀。美羽が一刀の顔を見ると一刀は笑顔を浮かべていた。

美羽「……一刀…。妾はどうしたらいいのじゃ?」

一刀はそのまま肩膝をついてしゃがみ美羽と目線を合わせる。そして、言った。

  「美羽は笑ってくれるだけでいい……。美羽の願いは俺達が…俺が叶える。だから、美羽は俺が帰ってきたら笑顔で俺を迎えてくれ……。」

美羽「………そんなことでいい…の…か……?」

  「ああ。美羽…あとは俺に命令をしてくれ」

頷いて言う一刀。そんな言葉に美羽は頷いた。そして、いつもの調子でこう一刀に命令をした。

美羽「一刀!!命令じゃ!!妾の願いを叶えるのじゃ!!」

  「御意。我が主よ。その命令承りました」

そう言って、臣下の礼をとる一刀。

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  「『天の御使い』だ!!」

一刀の言葉が戦場に響き渡る。その言葉を聞いた孫呉の兵達に動揺が走る。『天の御使い』という言葉は大陸中にひろがっていた。

『混乱の世を治めるために白く輝く衣を纏った御使いが天より現れる』といったものであった。

しかし、御使いは現れることはなかった。それでも今だに信じられている話であった。その御使いが今目の前に現れているのである。しかも、自分達の敵として…。

それは、自分達の主が玉璽を手に入れたことよりも遥かに衝撃を与えていた。

黄蓋「落ち着け!!あんなのただのはったりじゃ!!」

動揺する兵達に声をかける黄蓋。しかし、その混乱はおさまらない。

周瑜「北郷にやられたな…」

そう呟く周瑜。一刀が御使いであることは信じていない。しかし、一刀には兵達にそれらを信じさせる要因がある。呂布を圧倒した武と自分と同等の智を兼ね備えた将。十文字の旗は一種の象徴になっていた。北郷一刀はすでにその名を大陸中に広げていた。そして、現在彼が着ている服は白く輝き見たことないものであった。次々に混乱が広がる孫策軍。しかし、そこで孫策が兵達を一喝する。

孫策「落ち着け!!相手が誰であろうと関係ない!!」

孫策の声に落ち着きを取り戻していく兵達。

孫策「全ては戦いが終わった後にわかる……孫呉の勝利によって!!」

そう言うと南海覇王を構える孫策。

孫策「全軍抜刀!!狙うは袁術の頸だ!!今こそ我らが宿願を果たさん!!」

孫策「全軍………突撃!!!!」

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孫策軍が向かってくる中一刀は考えていた。

  「さすが孫策だな。たった一声で兵達を統率した。」

一刀が御使いであることを言うことにより相手に混乱を与えることを狙った。しかし、孫策は一喝により混乱を抑えた。

  「……だがこれでいい。相手に知られたことが重要だ。」

  「それに、十分にこちらの士気もあがったしな……」

一刀がそう言うと城から大量の矢を放つ袁術軍。その指揮を執っているのは詠であった。

詠 「続いて第二射………撃てーーーー!!!!」

詠の指揮に矢を放つ袁術軍。

  「さすがだな……詠」

詠 「まだまだこんなものじゃないわよ。ボクも……そして相手もね。」

一刀の言葉にそう答える詠。戦いはまだ始まったばかりである。

  「ああ、そうだな…」

 

 

孫策「敵はなかなかでてこないわね」

目の前の城を見てそう呟く孫策。あれからいくら攻めてもなかなか開門しない

周瑜「当然だ。そう簡単には出てくるはずがない。」

陸遜「篭城戦は相手の三倍近くの兵力が必要ですからね〜」

周瑜「とりあえずは正門の攻略を軸に行く。だが……明命!!」

周泰「はい!!」

周瑜「城の周辺に抜け道がないか調べろ。」

周泰「御意!!」

そう言って消える周泰。

孫策「気を抜かずに行くわよ。引き続き祭や思春を中心に正門の攻略をするわよ」

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孫策軍の攻撃は止むことなく続いていた。

  「さすが孫呉だな……」

詠 「士気・統率どれをとっても一流ね」

あらためて孫呉のレベルの高さに関心していた。そこに兵が報告にきた。

兵士「相手はこちらの抜け道に気づいたようです。」

一刀「ならおびき出して罠に嵌めろ」

一刀は兵に指示を出す。詠は現在の状況を整理する。

詠 「相手の戦力は削れてきているわ……でもこのまま時間が経てばこちらが不利だわ。」

  「そうだな……」

現在の状況は五分五分といったところである。しかし、城門を突破されるのも時間の問題である。

  「ちょっと行ってくる。」

詠に伝えると一刀は自ら城門の守備に向かった。

 

一刀が城壁に向かうとそこには奮闘している兵達がいた。

副官「全員決して城門を突破させるな!!この城門、命を懸けて死守しろ!!」

指示を出す北郷隊の副官。一刀は声をかける。

  「状況は?」

副官「………非常に厳しいです。」

  「………わかった。」

副官の報告を聞く一刀。そして、指示を出す一刀。

  「相手が火矢を使ってきたら濡らした布が有効だ。城中の布を集めておけ。女中たちにも協力を求めろ。飲み水と糧食も確認しておけ」

副官「わかりました。」

  「後は……たくさんの矢と槍を集めろ。」

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黄蓋「火矢を放て!!狙いはどこでもかまわん!!」

黄蓋は兵に指示をだす。

黄蓋「篭城戦は儂の専門外なのじゃがの…」

そうため息をつく黄蓋。隣にいた甘寧も続ける。

甘寧「しかし、我らが圧倒的に攻めています。」

黄蓋「そうじゃな。あと少しで城門も突破できるじゃろ」

そこに兵士が報告に来た。

兵士「報告します!城壁に北郷の姿が見えました!」

黄蓋「何じゃと!!」

黄蓋と甘寧が城壁を見るとそこには一刀の姿が見えた。

甘寧「一体何をするのだ?」

一刀は弓を構えていた。そして、矢を放つ。その矢は確実に兵の急所を捉えていた。そして、間髪をいれずに次々と矢を放つ。

黄蓋「何と奴は弓の名手でもあったのか……!!狙いも確実。速度も儂を凌駕しておる。」

黄蓋は一刀の弓の扱い方に感嘆の声をあげた。それは弓の使い手として尊敬の念を抱くほどであった。

甘寧「本当に厄介な奴だ。」

苦々しく一刀を見る甘寧。すると一刀は弓を捨てて次に槍を持った。そして、その槍を投擲する。その槍も確実に相手をしとめていた。

 

 

  「一応兵は減らせたな……」

一刀は呟く。これで少しでも時間を稼ぐことが一刀の狙いである。

  「気休めでしかないな……」

そこで目を瞑る一刀。やるべきことはやった。あとは……待つだけであった。こればかりは一刀は運任せであった。

  (駄目だった場合は最悪、美羽だけでも守る。)

一刀は『白夜』と『月詠』を強く握った。そこに、兵士が報告に来た。

兵士「報告します!!」

一刀は目を開き兵士の報告を聞いた。

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周瑜「あともう少しで城門を突破できる…」

孫策「そうね。ねえ冥琳…」

周瑜「却下だ。」

孫策の意見を一刀両断する周瑜

孫策「ちょっと!!私まだ何も言ってないわよ!!」

周瑜「お前の考えていることは大体理解している。北郷と戦いたいというのであろう。」

図星をつかれ黙る孫策。その様子にため息をつく周瑜。

周瑜「雪蓮…お前は、私達の王だ。わかっているな?」

孫策「わかっているわ…でも北郷を止めないといけないのも事実でしょ。」

周瑜「…それについては最悪北郷に我が呉の精鋭を全てあてる。その者達の命をもって北郷を止める。」

孫策「そうよね……それしかないわよね」

周瑜の言葉に苦々しい顔で頷く孫策。そこに、兵士が慌てた様子でやって来た。

兵士「報告します!!」

孫策「どうした?!」

兵士「せ、西方より約三千の兵がやってきています!!」

孫策「袁術軍の伏兵?」

周瑜「それは有り得ない……袁術軍の兵力をこちらは把握している。おそらく援軍だろう。」

孫策「でも、袁術に味方する諸侯はいるのかしら?曹操や劉備は有り得ないわ」

周瑜「おそらく袁紹であろう。」

周瑜の予測に孫策は意外そうな顔をする。

孫策「それこそ有り得ないわ。あの袁紹が援軍を寄越すなんて。それにむこうは今、曹操達を相手にしているでしょ?」

周瑜「だが北郷ならあえて有り得ないことをしかねない。」

そう言う二人に兵士がさらに続ける。

兵士「そ、それが…」

周瑜「どうした?」

次に言った兵士の言葉は孫策達の予想を遥かに超えていた。

兵士「相手は……深紅の呂旗……飛将軍・呂布です!!」

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兵士の報告を聞いた一刀は笑みを浮かべていた。

  (月がやってくれたか……)

一刀が月に頼んだこと。それは、恋に援軍を求めるための使者であった。ただし、孫策軍に気づかれないように月には商人になりすましてもらい数名の護衛だけをつけ恋の元に向かってもらった。その時、そのことを知った詠に死ぬほど足を蹴られた。恋は国境付近の小さな城で軍師の陳宮と呂布隊と一緒にいた。一刀は恋の力が必要と感じていた。しかし、自分や自分達の兵が行っても多分協力してもらえないと考えていた。そこで、恋達と面識がある月を使者として派遣したのである。そして、それは成功したのである。

  (これで……全て揃った…)

そして、一刀は双剣を構え兵達に告げる。

  「みんな、よく今まで耐えた!!時は来た!!今こそ…反撃の時だ!!!」

袁術軍の、一刀の反撃が始まる。

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後書き

月の役割をある程度みなさん予想できていたと思います。優秀な将がいないから恋ぐらいは仲間にしてもいいのかな〜?と思い最初のころから考えていました。連合の後からすぐに仲間にしようと思いましたが一刀が色々と苦悩する様を書きたいと思い援軍という形にしました。

あと霞と華雄も仲間にしようと思いましたが先ほどの理由で断念しました。ではみなさんまた

 

 

説明
投稿です。生暖かく見守ってください。
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コメント
こういう展開大好きです。(readman )
美羽様の心情の変化が切なくて思わずホロリと。一刀君が無双してくれるのも面白そうでしたが月ちゃん伝で恋ちゃん達に救援を頼んでいたとは…面白い展開ですね。これで孫呉の勝ちは薄くなりますが果たして討ち取る事が出来るのか…次回更新が楽しみです。(自由人)
恋の援軍により孫呉の敗北が確定しましたwwwむしろこの城どうやったら落とせるのかがしりたいww(おやっと?)
更新お疲れ様です。美羽と一刀のやり取りに、グッときました。(tokitoki)
こういう少年漫画のような展開はいいですよね(yosi)
食費は・・・・・覚悟だな(スターダスト)
恋きた〜〜  (かもくん)
こ、ここで恋とねねの援軍だと・・・熱いぞーーーー!(sk)
なんて、なんて、暑い・・・いや熱い展開だ!?(mighty)
この展開は・・・熱いですね!!(PETIT)
予想が的中しました。しかしそれよりも一刀くんのスキルの高さには驚かされますね。また美羽の可愛さと純粋さは原作ではあらわされてないものでとても魅力的です(tomasu)
やばい!!早く続きがみたい!!(リンドウ)
なるほど・三国無双でも袁術は呂布に援軍をもとめてましたもんね、ここで結びつけましたか、お見事です!(brid)
恋+冥琳+祭並みのスペック持ちがいるだけで反則なのにそこに詠と恋と音々音?  うむ!この城落とせる気がしない!w(闇羽)
執筆乙です! 前に一刀、後ろに恋ちゃんとかw 孫呉オワタ・・・  にしても袁術軍にどんどんマスコットキャラが出てきますね〜武官だけなら大陸最強クラスですね(狩人)
更新お疲れ様です。恋が来た事で孫呉にとって大変な事になりそうで、wkwkしてます。一刀君が少しは楽が出来るようになるかな(笑)(アカスズ)
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真恋姫無双 美羽 七乃 

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