北斗の恋姫の拳 第14話
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第14話  紫苑よ! お前の血をくれ!

 

 

一刀「あたあっ!」

 

一刀が華琳に拳を振るう!

 

華琳「はっ!」

 

華琳は目を覚ます!

 

華琳「はあ……はあ……」

 

華琳は息を切らしたように息継ぎをする。

 

華琳(この曹操が……世紀末覇者覇王が夢にまで怯えるというの!?)

 

華琳が自分の寝床を見る。その近くには桂花が座っていた。

 

桂花「曹操様! ようやくお目覚めに!」

華琳「華琳で良いわ。桂花」

桂花「華琳様……」

 

桂花は嬉しそうな顔をする。

 

華琳「桂花、これはあなたが?」

 

華琳は自分の怪我に包帯がされていることに気付く。

 

桂花「……」

華琳「どうなの?」

桂花「確かに私も包帯を巻きましたが……その大半はそこにいる関羽が……」

華琳「何ですって!?」

 

華琳が近くに立っている愛紗を見る。

 

愛紗「まだ戦おうと言うのか? もう勝負はついたはずだ」

華琳「なんですって!?」

 

愛紗は言いたいことを言ってその場を去った。

 

華琳「愛紗、あなたこの私に情けを!」

桂花「華琳様……」

 

華琳は立ちあがる。

 

桂花「華琳様! まだ起き上がるのは……」

華琳「よい!」

桂花「は、はい!」

 

華琳は立ちあがり、外に出て、雲でうっすらと隠れている太陽を見る。

 

華琳「この曹操もはや覇王の名は要らぬ! 魔王となりて北郷一刀を血の海に砕き沈めてくれるわ!」

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それから数日後、愛紗が華琳に連れ去られたことが紫苑達の耳にも入った。

 

紫苑「愛紗ちゃん……いえ、関羽様が!?」

愛紗の従者A「はい! 曹操に奪われ、なおかつ北郷様は眼を!」

人和「そんな……」

愛紗の従者B「なにとぞ黄忠様の助けを!」

愛紗の従者A「お願いします!」

紫苑「え……ええ……」

 

紫苑は戸惑う。

 

紫苑(でも私には璃々や他の子供達が……)

璃々「おかあさん!」

紫苑「え?」

子供A「戦って!」

子供B「僕達なら大丈夫だよ!」

子供C「そうだよ。僕たち母さんの子供だから大丈夫!」

紫苑「……分かったわ」

 

紫苑が従者と共に行こうとすると……。

 

紫苑「あれは!?」

 

紫苑達の前には覇王軍の部隊、そして華琳がいた。

 

華琳「黄忠! あなたが動かずともこちらから出向いてあげたわ! 

この肉体より恐怖をぬぐいさり、魔王となるにはあなたの拳と命が必要なのよ!」

霞「何で愛紗を連れ去った曹操がここにおるんや?」

華琳「万人にして善の黄忠。だが今の私に必要なのはあなたに流れる鬼の血!」

紫苑「何故鬼の血を望む! 北郷との対決を前に恐怖したか!」

華琳(………)

 

紫苑の言っていることは的を射抜いていた。

華琳はそれをごまかすように言う。

 

華琳「黄忠よ。鬼神となって戦いなさい! さもなくば子供達を殺すわ!」

 

華琳が兵達に殺しの準備をさせる。

 

紫苑はその行動を見て、紫苑は覚悟を決める。

 

紫苑「いいでしょう。少し待っていなさい、曹操」

 

紫苑は戦いの準備をする。

その間に華琳は思いだす。黄忠の恐怖を……。

それは華琳が北斗神拳を学び始めてそんなに経っていない頃であった。

黄忠はその時はかなり荒れており、拳法道場の道場破りをして、金や食料を奪っていた。

その一つとして北斗神拳の道場を破りに来たのだ。

その時の華琳はまだ学んで間もなかったため、黄忠と戦うことはなかった。

そのため、黄忠の相手は他の門下生がやっていたが、全員が返り討ちにあった。

華琳は黄忠を倒そうかと思ったが、その時の黄忠のするどい眼と気迫に華琳は圧され、動けなかった。

 

華琳(あの時の眼、あの眼はまさに鬼神の眼。あの時は動けなかった…この曹操が……。

恐怖は隙を生み、身を滅ぼす。一刀に抱いた恐怖をぬぐい去るにはあなたの鬼の気を飲み込む以外ない!!)

 

紫苑もまた思いだす。

 

紫苑(確かにあの頃は倒し奪い、食らい飲む悪鬼の生活だったわ。でもあの時……)

 

紫苑は北斗神拳の道場破りをして間もなく、南斗の道場にやってきたのだ。

そこでも暴虐の限りを尽くそうとしたら、まだ小さかった愛紗が門の先にあるものを守ろうとしていた。

紫苑は愛紗を無理矢理どけて、門を開けるとそこには雌犬がちょうど子犬を産み終えたところであった。

愛紗はその生まれたばかりの子犬を紫苑に抱かせた。

そして紫苑は命の暖かさを感じた。

それからほどなくして紫苑は子を宿し、その子を産んだ。それが璃々であった。

璃々を育ているうちに心からその時の愛紗の取った行動の意味を理解した。

 

紫苑(許して愛紗ちゃん…璃々)

 

紫苑は手甲をつけ、袖に防具をつける。

 

紫苑(私はまた鬼神となって戦うわ。汚れ無き命のために!)

華琳「恐怖などあなたの血と共に飲み込んでくれよう!」

 

華琳は自分の前の地面に線を作る。

 

華琳「よいか! この曹孟徳の体、一歩でもここより退いたら容赦は要らぬ!

この背に向かい、矢を放て!」

覇王軍兵士達『ははっ!』

 

兵士達は矢の準備をする。

 

華琳(もし退くようならこの曹操の死! 弟に勝てぬただの愚姉!!)

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その頃一刀は……。

 

覇王軍兵士Q「ぐええええ!」

一刀「華琳はどこだ?」

 

一刀は華琳の居城に一人で乗り込んでいた。

そして兵士の一人の頭に指を一本付ける。

 

覇王軍兵士Q「誰が手前なんかに!?」

 

そう言われて一刀はその兵士に向かって平手打ちを食らわせる。

 

覇王軍兵士Q「俺は口が固えんだよ」

一刀「そうか……」

 

一刀は額に置いた指を兵士の頭の上におく。

一刀は先ほどよりも威力のある平手打ちを食らわせ、その兵士はその場で勢いよく回る。

 

一刀「もう一回回るか?」

覇王軍兵士Q「言わせていただきます! 覇王様はこの居城を捨て黄忠の村に!」

一刀「何! 黄忠の村だと!」

 

一刀は急いで紫苑の村へと向かった!

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それから少しして、紫苑達の村では…。

 

紫苑「くっ!」

 

戦いは紫苑が一方的にやられると言う状態であった。

 

華琳「黄忠、私の血をすする気で来い! さもなくばお前に勝ち目はない!」

紫苑「はあああああ!!」

 

紫苑は長くした防具の袖を華琳に当てようとするが、華琳はそれを拳を振るうことで防ぎ、それと同時に紫苑に傷を負わせた。

 

紫苑「きゃっ!」

 

紫苑はその場に倒れこんでしまう。

 

華琳(感じぬ! 恐怖など微塵に感じぬ! やはり一刀に感じた恐怖は気の迷いに過ぎなかったようね)

紫苑「あなたが鬼を見るのはこれからよ!」

 

紫苑が突撃して行くが、華琳はそれを真正面から立ち向かい、紫苑の腹に拳を当てる。

 

璃々「お母さん!」

華琳「これが鬼の拳か。やはり情は拳を曇らすのみか!」

 

華琳が紫苑の腹にやった拳を抜こうとしたが、紫苑がそうはさせまいと、華琳に抱きつく。

 

華琳「むっ!」

 

紫苑は華琳を睨みつける。

華琳はその眼を見て思う。

 

華琳(これだ! この哀しき眼光こそ私が恐怖を感じたもの! 今こそお前の血と共に恐怖を飲み込んでくれるわーーー!)

 

華琳はなんとか手を抜いて、手を垂直にして紫苑の体に当てた!

しかし紫苑は怯まなかった!

 

紫苑「そうやすやす秘孔は突かせないわ! 曹操、あなたはここで果てるのよ!」

華琳「ぐはっ!(憎しみでも怒りでもない。この眼気が生み出すものは何!」

 

華琳がなんとかもう片方の手を抜きだし、紫苑の腰付近の秘孔を突く!

 

紫苑「あああ!!」

 

紫苑はそのため怯んで華琳を放してしまう。

 

華琳「はああああああ!!」

 

華琳は拳の連打を紫苑に浴びせ、紫苑は後方に吹き飛ばされる。

 

紫苑「くっ……」

 

倒れる紫苑の元に子供達が駆けよる。

 

紫苑「あなた達…見ていたの?」

子供B「僕達は母さんの子供だ!」

子供D「母さんと一緒なら怖くない!」

 

子供達が紫苑の前に出る。

紫苑はそれを見て子供達を庇うように前に出る。

 

華琳「いいでしょう。見事この私をここより退かせて弓を射させよ!」

紫苑「やはりなにも分かっていないようね……」

華琳「何!?」

紫苑「見なさい」

 

紫苑が子供達の眼を見るように華琳に言う。

 

紫苑「この歩を進ませるのは子供達の心。あなたに見えるかしら! この哀しき瞳に宿る力が!」

華琳(哀しさ…この眼は……)

 

華琳は子供達の瞳から一刀のあの時の哀しき瞳を感じた!

 

華琳「一刀!!」

紫苑「曹操覚悟!」

華琳「はあああ!!」

 

紫苑と華琳が拳を振るおうとする。

しかし華琳の脇をかすめるかのように矢が飛んできて、その矢は紫苑に刺さる。

 

華琳「まさか!?」

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華琳は自分の下をよく見る。すると自分の足が自分が引いた線より後ろにあることに気がついた。

 

華琳「この覇王が退いていた!!」

紫苑「あなたは私の拳と子供達の眼に一刀さんの姿を見た! その肉体に再びが甦ったのよ! 曹操!

恐怖に硬直したその肉体は退かなければ砕け散っていた! 勝ったのは私と一刀さんよ!」

 

華琳はそのまま硬直してしまう。

そして華琳の後ろからは大量の矢が射られたが、その標的は華琳ではなく、紫苑であった。

 

璃々「お母さん!」

 

紫苑に矢が当たる!

いや、当たらなかった。

何故なら紫苑に当たる前に何者かが矢を全て叩き落したのだ。

 

???「全く本当に俺がいないと危ない世界だな」

 

その叩き落した者は別世界の一刀(変身体)であった。

 

華琳「一刀!」

一刀(別世界)「また会っちまったな」

華琳「………」

 

華琳はこの別世界の一刀には恐怖は感じない。

今はそれ以上に大事な事がある。

華琳は兵達のところに駆け寄る。

 

覇王軍兵士X「覇王様!」

覇王軍兵士S「一体どうなされたのですか!」

覇王軍兵士Y「まるでデクの棒のように!」

覇王軍兵士X「我々が射ねば今頃覇王様は……」

 

華琳は自分に意見を言ってきた兵士を殴った!

 

一刀(別世界)「お前!」

華琳「貴様ら! 何故この覇王を射なかった!!」

覇王軍兵士S「しかし…あの時黄忠を射ねば……」

華琳「………!! どこまでも下衆な者どもめ! 敗れて命を拾おうとは思わぬわ!!」

 

華琳は兵士達を拳で殴りつける!

殴って! 殴って!

そして別世界の一刀に止められる。

 

一刀(別世界)「そのへんにしろ!」

華琳「一刀! だが!」

一刀(別世界)「お前には他にやることがあるはずだ!」

華琳「………いいでしょう」

 

華琳はなんとか殴った兵士達を連れてその場を去っていった。

 

一刀(別世界)「全く……。それより黄忠だな」

 

別世界の一刀は黄忠の元に近寄る。

 

璃々「お母さんに近づいちゃダメ!」

 

璃々が一番前に出て、別世界の一刀に立ち塞がる。

 

一刀(別世界)「俺は君達のお母さんを助けたいだけなんだけどな……」

 

別世界の一刀が困っていると……。

 

一刀「紫苑」

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華琳と入れ違いになるかのように一刀がやってきた。

 

一刀(別世界)「一刀」

一刀「……その人は悪い人間ではない」

璃々「うん」

 

二人の一刀は璃々と一緒に紫苑の元に行く。

 

紫苑「一刀さん」

一刀「大丈夫か?」

紫苑「これからはその手で、子供達を…そしてこの時代を抱き包んでください」

一刀(別世界)「勝手に遺言を遺そうとするな」

紫苑「あなたは……」

一刀(別世界)「ちょっとくすぐったいぞ」

 

別世界の一刀が紫苑を突く。

 

一刀(別世界)「どうだ? 痛くないだろ」

紫苑「ええ。さっきまでと同じように動けますわ」

一刀「何を突いた?」

一刀(別世界)「適当な秘孔を突いただけだ。それにあれくらいの怪我ならお前でも治せる」

一刀「そうか……。紫苑、お前はまだ死ねない。いや、死んではならんのだ」

紫苑「……はい」

 

紫苑は涙を流す。

 

一刀(別世界)「それじゃあな」

一刀「どこへ行く?」

一刀(別世界)「さあな…」

 

別世界の一刀はその場を去った。

それから一刀はしばらく紫苑を看病した。

そして一刀は向かおうとする。最後の戦いへ!

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別の居城に行った華琳は燃え上がる炎の前で考える。

 

華琳(哀しみを知る人間こそ強者。哀しみを知らぬ人間に勝利はない。……哀しみ……)

 

華琳は燃え上がる炎の前に手をやり、炎の中にある岩を炎の中で粉々に砕く。

 

華琳(燃えさかる炎もこの完璧な肉体を焼くことはできない。我が肉体は無類無敵!!

されど哀しみはこの肉体を凌駕するというのか!!)

 

別の場所では愛紗と桂花が華琳に殴られた兵士達の看病をしていた。

 

愛紗「何故、華琳は部下であるお前達を……」

桂花「簡単な話よ」

覇王軍兵士Z「我らの思慮の足りなさが覇王様の怒りにふれました」

桂花「それに華琳様の頭にあるのはもはや天の覇者への野望ではないわ!

ただ…ただ北郷一刀との勝負のみ!!」

愛紗「一刀との……」

 

それからしばらく経つ。

華琳は未だに考える。

 

華琳「(私を私を恐怖させたものそれは……愛!!)

ならば一刀に勝つ道は一つ!!」

 

華琳は愛紗の元にやってきた。

 

愛紗「華琳」

華琳「この曹操、未だに愛を知らないゆえに哀しみが見えぬ。愛とは…哀しみとは……知るすべは一つ!!

愛紗! あなたの命をくれ!!」

 

 

華琳の口から告げられた驚くべき言葉!

果たしてその言葉は何を意味しているのか!?

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ついに最後の戦いの時がやってきた!

最後の戦いを見守る強敵達!

そしてついに北斗神拳同士の戦いに終止符が打たれようとしている!

 

次回 北斗の恋姫の拳  最終回!!

 

偉大な巨星よ! お前が俺には最大の強敵だった!

 

 

一刀「最後の戦い、俺はこの戦いに全てを賭ける!!」

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おまけ

 

 

作者「ヒャッハー! 第14話だ!」

一刀「次で最終回か…」

作者「また書き忘れたことがある。と言うか完全に宣伝になっちまうけどな」

一刀「何だ?」

作者「実はこの作品と言うか俺がここに作品を投稿する前に見て、最近になってまた見始めた動画が二○ニ○動画にあるんだ」

一刀「何だそれは?」

作者「アイドルマスターと北斗の拳のクロス話だ」

一刀「変わった組み合わせだな」

作者「この北斗の拳を書き始めてからまた見始めたんだが、今見ても面白い作品だと思う。詳しくは『アイドルの拳』で検索してもらえれば分かる」

一刀「完全な宣伝だな」

作者「そして前回言った記憶喪失ネタについてだが、一刀を記憶喪失にするのはいいが、なんかほとんどアクセルになってしまいそうなんだな」

一刀「どういう意味だ?」

作者「もう一刀の名前を名乗ってるアクセルみたいと言うことだな」

一刀「よく分からん」

作者「戦わせるにしても人殺しをするかどうかが悩みどころと言うことだ。

そして次回の最終回はたぶん今日の夜くらいに投稿だ! 待っててくれよな!

そして最終回後はディケイドアフターストーリーだがまだ冒頭部分を書いてる途中だ。

映画風だから長くなるから投稿するのに時間かかると思います。

それでは!」

説明
この作品では特に人が喋っていない部分には「北斗の拳」でおなじみのナレーションの声が出ているものと思ってください。
なお、可能な限り控えめにしておりますが流血表現があることをご了承ください。
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コメント
この戦闘シーン好きですね。(ブックマン)
主のディケイド一刀がとっても好きです!最終回と次回楽しみにしてます!(rukaruka)
いよいよ次が最終回ですか 二人の決着しっかりと目に焼きつけたいです 25のアイマスは何でもできますからねぇ 魔法使うわ(RPGとのリンク)ガン〇ムに乗ったりするわでw(村主7)
タグ
真・恋姫†無双 一刀 北斗の拳 真・恋姫無双 

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