真・恋姫呉√アナザー〜戦場に響く二つの鈴の音〜第1話
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ヒュー…カッ…ヒュー…カッ…

 

…「…ふう、こんなもんかな。でも師匠はこんなもんじゃないし、もっと撃つまでが速いからもっとやらないといけないな…ふっ」

 

そう呟くと、神経を研ぎ澄ませ的に狙いを定める。一つ一つの動作を確認し、それでいてすばやく次の矢を放てるように…

 

俺は姓は北、名は郷、字は江清、真名は一刀という。父と母は酒屋で酒好きの中ではかなり有名な店の息子である。そんな酒屋の息子が何故弓の鍛錬をしているかというと、家の酒を盗んだ賊を取り押さえたときに、たまたま酒好きの武官がそれを見て、武の才能があるから鍛えてはみぬかと誘われ、今に至るわけである。ちなみにその酒好きの武官は、今自分の師匠でもある。

 

…「おう。今日も精が出るな一刀よ」

 

声をかけられ振り向くとそこには、師匠が立っていた。

 

彼女は、姓は黄、名は蓋、字は公覆、真名は祭という。呉の宿将と言われ皆から慕われる。

大のお酒好きでうちのお店をいつも贔屓にしてもらっている。一刀に武の才能を見出し、そして

鍛えている。武器は弓を主としている。

 

一刀「あ、師匠。お疲れ様です。」

 

そう言うと露骨に、嫌な顔をする。

 

…「はぁ…だから師匠はやめんか!祭でいいというのに…」

 

一刀「いや、でも…」

 

祭「でもじゃないわい。祭じゃ、さ・い。次師匠とかぬかしよったら、もう鍛錬には付き合わんぞ。」

 

一刀「はぁ、分かりました。祭様」

 

祭「様はいらん。もっとほかの言い方にしろ。ったく何回言ったら分かるんじゃ」

 

一刀「はぁすみません。」

 

祭「ん。まぁ謝られるほどじゃないがの。それにしても…ほう、かなりうまくなったのう。そこら辺の将よりもよっぽどうまいわい」

 

そう言って、嬉しそうな顔をする。

 

一刀「いえ、そんなことはないですよ。」

 

祭「何を謙遜しとるんじゃ。そんなことをしても別にかわいくわないぞ?」

 

一刀「ちょ…そういう意味で言ったわけじゃなくですね。」

 

いきなり変なことを言われ思わず顔が赤くなった。

 

祭「ククク…すまんすまん。じゃがあまり自分を下に見るのはよくないぞ。確かに過信しすぎるのもいかんが、それでも自信をもたんと何かあった時にうまく動けんからな。」

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一刀「はい。分かりました」  

 

祭「うむ。それでじゃ、まだ続けるつもりか?」

 

一刀「そうですね、もう少し撃っていこうとは思っていますが…」

 

そう言うと驚いた顔をした。(いったい何をそんなに驚くことがあるのだろうか?)

 

祭「おぬし、まだ撃つのか?そう根を詰めてもうまくはならん。少しは休憩でもせい」

 

そう言ってやめるように言って来た。

 

一刀「そうですか?まだまだいけると思うのですが…」

 

事実まだ集中は切れておらず、少し気を張ればさっきと同じ用に撃つことができるであろう。

だが祭さんはそれでも、やめるように言って来た。

 

祭「だめじゃ。お主はまだいけると思っとるじゃろうが、ワシから見たら今が止め時じゃと思うぞ?」

 

一刀「そうですかねぇ…。分かりました。これでやめることにします。それで?」

 

祭「それでとは?」

 

一刀「祭さんのことですから、このあとまた何かにつき合わされるのでしょ?今日はなんです?」

 

そう言うとニカッと笑いあるモノを取り出した。

 

祭「おう、さすがじゃのう。なぜ分かる」

 

そう言いながら、惚けているかをする。

 

(分かるに決まっているでしょう。何回同じようなことをしていると思っているのだろうか?)

 

そう思いながから答える。

 

一刀「まぁ祭さんのことですし、短い付き合いじゃないですからね。」

 

と笑いながら言った。

 

祭「まぁそうじゃの。ほれ、そうと決まればいくぞ。」

 

そう言うと、自分に背を向けて歩いていった。

 

歩いている途中、何かを思いついたように祭さんが尋ねてきた。

 

祭「そういえば、おぬしいつも鈴を付けておるがそれは大事なものなのか?弓を扱うものは時には人に見つからず矢を射ることも必要となる。その時に音が鳴ったらまずいじゃろ?」

 

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一刀「そうかもしれません。でもこれは俺にとって”絆”なんですよ。昔大切な人に同じものを送っていて、そいつとある誓いを立てたんです。なのでこいつをはずす事はできません。」

 

すると、面白そうなものを見つけたと言わんばかりにワクワクとした顔をこちらに向けてきた。

 

祭「ほう。なかなか興味深い話じゃのう。どんな誓いをたてたのじゃ?」

 

一刀「え、それはさすがに…」

 

祭「なに、はずかしがっとるんじゃい。ワシはお前の師じゃぞ?隠し事など許さん。」

 

かなりむちゃくちゃな事を言ってきた。

 

一刀「それはないでしょ!?だいたい師匠と呼ぶと怒るくせに…」

 

と文句を言うと、

 

ゴン!!

 

という音とともに頭の上に星が回った。

 

一刀「いってぇ…」

 

祭「ええい、ごちゃごちゃとうるさい。さっさと答えんか!」

 

一刀「はぁ…わかりましたよ。でも笑わないでくださいね。」

 

無駄だと分かっていてもとりあえずは予防線を張っておく。

 

祭「わかっとる、わかっとる。それで、いったい何を誓ったんじゃ?」

 

(そんなにワクワクしないでほしい)

 

一刀「それは…………です。」

 

祭「なんじゃ聞こえんぞ?男ならはっきりと言わんかい。」

 

一刀「だから、”みんなが笑えるような国にしよう”です。俺の家酒屋なのはご存知だと思うのですが、店でお酒を買っていく人の笑顔が俺は好きなんです。そいつとはよく遊んでて、家にもよく来てたんですが、同じようなこと思ってくれていて、俺がその話を言い出したときに一緒にやろうと言ってくれたんです。その時にこの鈴を証として二人で持つようになったんです。ッて何笑ってるんですか!!」

 

あの頃を思い出しながら話していると、隣では腹を抱えながら笑っている祭さんがいた。

 

祭「わっははは…あー可笑しい。何が可笑しいって…ククク…」

 

一刀「そんな笑わなくてもいいじゃないですか。えーどうせガキの戯言ですよ。」

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口では適当に言ってみるが、内心では笑われたことに深く傷ついていた。するとそんな心を読み取ったように祭さんが言う。

 

祭「いや、すまんすまん。バカらしくて笑ったわけじゃない。お主が小さい頃にそんなことを胸張って言っている姿を想像したら可愛くてな。それにその志は悪くない。むしろ良い。その志がある限りお主はきっと良い男になるじゃろう。」

 

一刀「あ…ありがとうございます…」

 

テレながらそう答えた。

 

祭「して、その志をともにしている者は今どこに居るのじゃ?」

 

一刀「それは分かりません。前いた村で一緒に遊んでいたヤツでこっちに移り住むときに別れたっきりです。それに…」

 

祭「それに…なんじゃ?」

 

一刀「それに、前いた村は私腹を肥やす太守になり疲弊して最後には賊に襲われ壊滅したといわれました。」

 

祭「!!…そうじゃったか、すまん。」

 

しまった。と言ったように急に顔をしかめる。そしてすまなさそうにこちらを見つめる。

 

一刀「いえ。ご心配ありがとうございます。それにこれは俺の勘でしかないんですが、きっと生きていると思うんです。あいつは俺よりも武の才能が有りましたから。」

 

そう言って少し遠くを見つめる。そこには少し寂しさが映っていたのかもしれない。そしてそれを感じとってか、祭さんが明るい物言いで話しかける。

 

祭「そうか、会えるといいのう。ワシもお主がそこまで信を置いているやつに会ってみたいわい。」

 

一刀「ええ、きっと気にいると思いますよ。ただちょっと…」

 

祭「ちょっと…なんじゃ?」

 

一刀「いえ、あいつは人見知りが激しくてそして頑固なところがあるので心を許すまでは時間がかかると言いますか…なんというか…ただ人を見る目はあると思いますのでその人の人となりが分かれば大丈夫だと思います。」

 

祭「なるほどのう…つまりお主とは逆の人物と言うわけじゃな?にしてもそいつのことをよくわかっとるようじゃが…んコレか?…ん女なのか?」

 

いきなりなんてことを言ってくるのだろうか?この人の武人としての心構えなどは尊敬に値するけどこういう所はだめな人だなぁと思ってしまう。

 

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一刀「ちょっとやめてください。っていうかなんで小指立ててるんですか!?あーもーこの話はおしまいです。もうだからやめてください。先に行きますよ。」

 

祭「なんじゃつまらん。お主から女の話を聞くのは初めてじゃからな。ほれ話せ。師匠命令じゃ。」

 

一刀「嫌です。はぁ何でこの人を師と仰いだんだろ」

 

そう言いながら目的地へと歩を進めるのだった。

 

(思春お前は今どこで何をしているんだろうな?俺はお前との約束を守って何とかやっているぞ?きっとお前も同じように頑張っているんだろ?俺はお前が死んだなんて信じちゃいない。だから近くにいるなら俺のところに来い。また一緒に遊ぼうぜ。)

 

歩きながら遠くを見つめるのであった。

 

 

そして二人は出会うこととなる。

 

 

 

 

 

それはけして遠くない未来。

 

 

 

 

鈴の音が彼らを引き合わせているのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

しかし今はただお互いを思い、思いをはせるだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祭「一刀!教えんか!?師匠の命に背くというのか?もう教えてはやらんぞ?」

 

一刀「あーもー、だから教えませんって、分からない人だな。(ダメだこの人はやくなんとかしないと…)」

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はいどーも、秋華です。

 

思春「おい」

 

今回はここまでとなりましたが、いかがだったでしょうか?

 

思春「おい!!」

 

みなさんが少しでも楽しいと思ってくれているのであればこれ幸いです。

 

思春(チャキ)←剣を構える音

 

ビク!!あのーなんでしょうか?

 

思春「この話は私とあいつが主人公なんだよな?」

 

はい。そのつもりですが?

 

思春「じゃあ何で今回私が出てないんだ?事によっては…チリーン…わかるよな?」

 

ヒイィ!!えーとそれはですね今回は一刀君をメインに書いているので…それにまだ再開もしてないのに出るのはおかしいと思いますが?

 

思春「だったら速く次の話を書け…(せっかく私がメインで出ることになったのに何故私が出ないんだ)」

 

そうは言いますが、リアルのほうが忙しいので…

 

思春「そういって、ほとんど寝ているだけではないか!」

 

いや睡眠は大切ですからそれに今はってだけでいつもは学校も有りますから。

 

思春「ふん!せいぜい読んで下さる人たちの思いを無駄にせんこどだ。」

 

サーイエッサー!わかっていますとも。

 

それで今回一刀君が出てきてるので少し補足を。

 

一刀君はまだ転生前のことを思い出してはいません。これはストーリーが進むにつれてわかってきますが、今のところはまったくのゼロです。

そして一刀君の強さに関してはこれからどんどん強くなっていく予定です。(いきなりチートも面白いとは思いますが…)あと武器は弓となります。専用武器もこれから登場させていきます。

 

今言えるのはこれだけですかね。

 

思春「…ほとんどこれからって言っているだけで詳しいことは何も書いていないと思うのだが?」

 

そこは気のせいと言うことで…

 

思春「はぁ…(ほんとにダメだコイツ)」

 

それでは次回ですがまた新たに登場人物が増え、もしかしたら思春登場かも?です。

 

思春「おい待て!また増えるのか?しかも登場かも?ってなんだ、かもって!?」

 

アーアーキコエマセン。それでは皆さんにツンデレサービスを思春さんしてもらい終わりとします。あでゅー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思春「な///!?……えと……べ、べつに次も見てほしい!なんか言わないんだからな!…で、でも次見てくれたらう、嬉しいぞ?」

 

ぷっ

 

思春「コロス…」

 

やべマジで追っかけてきたあああぁ…ギャー

 

思春「フン///」

説明
今日はこれで2つ目の投稿です。と言ってもこれ以降はここまで早くに投稿しないと思います。

さてとうとう一刀君の登場となります。そして呉には欠かせないあの人も登場します。(やっぱりこの人がいないと真・呉って感じが僕はしません)

でわ楽しんでくださいね。

注意
このssではキャラをなるべくは壊さないようにしていくつもりですが、多分壊れます(笑
なので原作通りじゃないと嫌!!と言う人は見られないほうがいいかもしれません。

またご指摘があればそのつど直していきます。
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コメント
ツンデレ思春可愛い(BX2)
思春のツンデレは華琳以上に可愛いな(VVV計画の被験者)
逢魔紫さん_ありがとうございます。訂正しました。(秋華)
一刀「いえ、そんなことはなですよ。」←そんなことはないですよ ワシから見たら今が止めど気じゃと←止め時(トウガ・S・ローゼン)
2828さん_ご指摘ありがとうございます直しました。(秋華)
6p 呼んで下さる 読んで では?(2828)
たねう・・・一刀はもう呉の元にいるんですね。早く思春と合流してデレてほしいですねw(おやっと?)
思春・・・イイ!(よーぜふ)
え〜と、最後の思春に普通に萌えた俺がいるわけでw(闇羽)
思春と一刀の出会いはどんなかんじになるのかな〜(sink6)
思春、頑張れwwもうすぐ好きな男に会える、かもよ?(mighty)
更新待ってます!!(リンドウ)
タグ
真・恋姫無双 恋姫無双  一刀  

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