アクセル全開! 真・恋姫†無双  第11話
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アクセル全開! 真・恋姫†無双  第11話  決戦の火蓋

 

 

定軍山の戦いから、一ヶ月ほどが経った。

 

「兵士からの要望で圧倒的一位に輝いていた張三姉妹の慰安公演は、予定通りに行えそうなんだな。これが」

 

一刀は軍議の中、そんなことを話していた。

 

「良くやったわね。なら、一刀と美沙緒はそのまま月や詠達と一緒に調整に入ってちょうだい。時間も無いから、手が足りないところは他の部署にも協力を要請して構わないわ」

「じゃあ会場の設営は、工兵の訓練を兼ねてやって貰うでいいんだっけ?」

「後は指示を出すだけよ……これで兵の士気も十分。ようやく孫呉攻略の準備が整いましたね」

「ええ……」

「あの、華琳様……」

 

孫呉攻略と聞いて、季衣と真桜が華琳に聞く。

 

「なぁに、季衣」

「この間の軍議で、劉備の所と孫策の所、同時に攻めるって言ってませんでした?」

「ウチもそう聞いたんですけど……あれから方針、変わったんですか?」

「そう言えば季衣と真桜は、あの後西に遠征に出ていたわね……」

 

真桜達が帰ってきたのはつい先日のことで方針転換の軍議には当然いなかったのだ。

 

「他に分からない者はいる?」

 

華琳がそう言うと皆が一斉に春蘭に視線を集中させる。

 

「な、何で私を見るんだっ!?」

「いえ、別に…」

「なら春蘭、二人に説明してあげてちょうだい」

「はっ。二人とも、先日の定軍山の事件は覚えているな?」

「はい。秋蘭様と流琉を助けに行ったあの時ですね」

「うむ。あの一件で劉備達蜀の側はこちらを必要以上に警戒するようになったようでな。ならばこの機を逃さず、呉を一気に攻め落としてしまえと…そう決まったのだ。分かったか?」

「分かりました!」

 

季衣は元気よく返事をするが、真桜はあまりのことで口を開けたままであった。

 

「………」

「………」

「………」

「だから、何でお前達そこで驚くんだ!」

「春蘭さん、頭どこかで打ってあたしや一刀とは別の記憶喪失になったの?」

「なんでそうなるのだ!?」

「ちゃんと覚えてたなんて意外……なんてことは思ってないわよ……」

「思ってたんだな! そう思ってたんだな!」

「そうなんだな。これが!」

「北郷ーーーーー!」

「何で俺だけ責めるんだよ!」

「うるさーーーーーーい!!」

「まあ、そう言う事よ。蜀の動きが鈍っている間に、私達は呉を攻め落とす」

「ヴァリュザがどう出るかも気になるけど、とりあえず派手な行動はしない奴だからな。そう簡単には動かないはず……」

「この戦い、とにかく時間が勝負よ。皆、互いに連携して迅速に行動してちょうだい」

「次の議題は……季衣、西方遠征の報告をしてちょうだい」

「はい。えっと、遠征そのものは問題なかったんですが……街で馬超と馬岱に……」

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それから数日経ち、その日の夜になった。

夜でも遠くから歓声が聞こえてくる。それは近くの演習場で天和達が特別コンサートを開いているからだ。

そんな中、一刀と美沙緒が城壁を登ってみると真桜と季衣が居た。

 

「どうしたの? 二人とも」

「あ、なんや隊長達かぁ〜」

「張三姉妹の慰安公演、始まってるけど? 行けばいいのに……」

「あー。もうそんな時間かぁ……」

「この間の会議から、二人とも元気ないよね。自分達がいない間に方針が変わってたの、気にしてるの?」

 

美沙緒が二人に尋ねてみた。

 

「そんなんじゃないよー」

「ウチかてそこまでケツの穴小さい女やないで?」

「女の子がケツの穴とか言うな!」

「隊長達こそ張三姉妹の公演、行けばええのに」

「まあ、色々あるんだよ」

「で、二人はどうしたの?」

「うん……」

「言うんか?」

「うん。…兄ちゃん、姉ちゃん。華琳様には内緒だよ?」

「内緒ねぇー。まあいいさ。とりあえずどうぞ」

「ボク達、定軍山の後、涼州に行ったでしょ?」

「ああ、月や詠から聞いたが、向こうの平定とかが大変だったとは聞かなかったが……」

「……あのね。街で馬超と馬岱で会ったの」

「そんな話もしてたな。馬騰の墓参りって言ってたな。確か」

「ウチら、こうやって無理矢理領地を併合していくのって、ええことなんかなぁ……って」

「ボク達の村は黄巾党や盗賊で困ってたから、華琳様が治めてくれてすごく良くなったけれど……。西涼の人って、特に困って無かったんだよね……?」

「そりゃ、黄巾党の頃や袁紹のところに比べりゃ、華琳様の政治の方がええで? けど、それを無理に押し付けるも、どうなんやろって思うたんよ」

「…………」

「………なるほどな………」

 

一刀は馬騰の亡骸を見た華琳を察した時と同じように手を頭にやり、美沙緒と一緒に少し考え込む。

 

(そう言うのって明確な答えないよね)

「(それが戦争だ……戦争てのは平和の反対じゃない。平和の反対は混沌。戦争は政治の一部だからな。俺達の世界では……)

このままじゃ、戦えないか?」

「戦うよ。華琳様のためなら……」

「でもなぁ、何か前ほど割り切れんっちゅうか」

「そっか……」

「俺と美沙緒が教わってた教官が言ってたことがある。『戦いに疑問を持つと死ぬ』ってな」

「じゃあ、隊長達は戦いに疑問を持もたへんのか?」

「いや、たまに疑問は持つさ。その教官は戦闘中に動揺していると敵にやられると言いたかったのさ。それにこれは俺達の世界の時代の話だ。

俺じゃなくて華琳と話してみればいいと俺は思う」

「華琳様と?」

「ああ。俺よりはこの世界でこの時代で最初っから生きてた華琳の方が良い答えを出すと思うぜ。

俺が事情を言って、話のできる場を作ってもらうさ。華琳と直接話すのが不安なら、秋蘭や風に頼むが……」

「ホンマ?」

「いいの?」

「さっきも言ったが、割り切れない気持ちで戦うと死ぬぞ?」

 

そんな時、外からの兵達の歓声が聞こえてくる。

 

「まだ公演、続いてるみたいだね」

「明日はもう呉に出発だから、今日はとりあえず楽しんでおいた方がいいんだな。これが…」

「……うん! 真桜ちゃん、行こ!」

「せやな。隊長、おおきに!」

 

真桜と季衣が城壁から降りて公演会場に向かう。

 

「本当に良いと思う?」

「俺は良いと思うぜ。俺達の時代の考えを押しつける方が良くないだろ」

「この世界はこの世界でって……ことか……」

「そう言うこと。まあでも戦いに疑問を持つなってのは無理があるんだよな」

「あたし達、人間だもん♪」

「ああ」

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そして翌日になり、呉の遠征の行軍中に一刀と美沙緒は昨日の夜に季衣と真桜と話しておいたことを華琳に伝えた。

 

「……そう。二人が不安がっていると」

「ああ。馬騰の所は今までとは相手が違ったからな」

 

その違うと言うのは、今までは賊退治は自領の防衛による領地拡大だったが、馬騰の時は華琳の方からの完全侵略であったのだから…。

 

「そうね。二人には見聞を広めてもらうつもりだったけれど……最初から少し厳しすぎたかしら」

「だからさ。この行軍の間にでも、ちょっと話をしてあげて。華琳さんと話せば、少しは安心すると思うの」

「……良いでしょう。戦場で迷いを持たれても困るしね。呉に着くまでには一度話をしてみましょう」

「頼む」

「あなた達はいいの? そういう迷いは、あなた達にもあるのでしょう?」

「無いと言えば嘘になるかな……」

「だが俺達も一応は部隊を率いて戦ってたんだ。それに最初からこうなるのは予想してたからな」

「……そう。天の国も、それほど安穏な所ではないようね」

「場所によるな。俺達の生まれた国は結構安穏だったが、俺達が行ってたところはかなり荒れてたところでもあったからな……」

「そう……。ところで一刀、妙に医薬品の量が多くない? 沙和と稟に指示したのは、あなただと聞いたけれど……どういうつもり?」

「南方じゃ風土病が多いらしくてな。それのせいで軍が崩れたら元も子もないだろ? 稟がそう言うの詳しいから、美沙緒と協力して対応できる薬を出来るだけたくさん揃えてもらった」

「……あなたにしては随分と気が利いているのね」

「俺にしてはは余計だ。それにどちらかと言うと言いだしたのは美沙緒だしな」

「えへへ〜ん」

 

美沙緒が照れていると……。

 

「あの……華琳様」

 

そこに季衣がやって来た。

 

「どうしたの季衣」

「呉に入っていた間諜から報告が来ましたけど」

「分かった。すぐに行くわ。…それから季衣」

「はい?」

「今晩、真桜と一緒に私の所に来なさい。他の仕事があるなら、一刀か他の誰かに代わってもらって」

「あ……兄ちゃん……姉ちゃん」

「そう言うことなんだな。これが」

「いいわね?」

「はいっ! 分かりました!」

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魏軍は呉の国境を少し越えた辺りのある城の少し前までに付き、華琳は間諜から届いた報告を聞いていた。

 

「……黄蓋と周瑜が?」

「はい。どうも、降伏するか否かで揉めた後、黄蓋は軍議を退場。それから周瑜に公衆の面前で懲罰を受けたとか……」

「そう……。その割には、向こうの連中はやる気十分のようね。督戦を受けているようにも見えないけれど……」

「恐らく、その報が届いてはいないのでしょう。初戦から最前線の兵に恐怖を与えても、無駄に死兵になるだけでしょうし」

「なるほど……呉の司令官は周瑜ね」

「はい」

「相当な切れ者ね。さすがだわ。……孫策といい周瑜といい、早く戦ってみたいわね」

「華琳様ー。敵の将が出てきたようですが、どうなさいますか?」

「旗は?」

「桃地に孫。恐らく、孫家の末娘ちゃんでしょ〜」

 

孫家には孫策だけでなく、妹の孫権と孫尚香がおり、末娘とは孫尚香のことである。

 

「孫策ではない、か。突出してきたということは、舌戦を交わしたいと言うことでしょうけど……」

 

そして華琳は舌戦のために出て行った。

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「………」

「………」

 

華琳と孫尚香はにらみ合ったままであった。孫尚香はかなり小さく、体も年齢も風くらいであった。

 

「…………ふっ」

 

華琳が鼻で笑った。

 

「な、なによ! 今、シャオのこと鼻で笑ったわね!」

「まずは名を名乗ってもらえるかしら? 私の名は知っているだろうけど、私はあなたの名を知らないの。真名で呼んで良いのなら、そのまま呼ぶけれど」

「だ……っ! 誰があんたなんかに真名を呼ばせるもんですか! 我が名は孫尚香! 江東の虎、孫策の妹が一人!」

「そう……孫策の妹」

「そうよっ! この江東に攻め入って来たこと、後悔させてあげるんだから!」

「まあ、あなた達が、我ら曹魏の兵に抗ったことを後悔する方が早いでしょうけれど……」

「ムキーっ! なによ、偉そうに! 背だっておっぱいだって、シャオよりぺったんこのくせにっ!」

「な……っ! あ……あなたも似たようなものでしょう!」

 

話が脱線していた。その様子を遠くから見ていた一刀は思う。

 

「何怒ってるんだ? あの二人?」

「なんとなくわかるな〜」

 

美沙緒が苦笑いしていた。

 

「へっへーん。シャオはこれからばいんばいんになるんだから、今はこの可愛らしい体を満喫してあげてるのよっ。可愛い服もたくさん着られるし!」

「そ……っ、そんな保証は……!」

 

その様子を見ている一刀と美沙緒は……。

 

「華琳が怯んだ?」

「すごいね〜」

 

華琳が怯んだところを見たこと無い二人が驚く。

 

「雪蓮姉様も蓮華姉様も母様も、あんなにすごいんだもん。シャオのおっぱいが大きくなるのは、孫家の血筋的にも保証済みなのよっ!」

「……たまに、例外っているわよね」

「むっかああああああああ! なんですってぇ!」

「知らない? 足の速い馬から、常に足の速い馬が生まれるわけではないって……」

「なら、アンタだって同じ事よね! そのまんまおっぱいも小さいまんまかもよ!」

「……それがどうしたの?」

「………!」

「胸の大きさなど、支配者の度量とは関係なものだわ。むしろ、大きな方が邪魔になるでしょうよ」

 

華琳の態度の変化を見る一刀達は……。

 

「何か華琳、開き直ってると言うか何と言うか……」

「やせ我慢とみたいな……負け惜しみみたいな感じだね」

 

どことなく何を話しているのか分かっている二人。

 

「ふんっ。大きくならないからって、悔し紛れにそんなこと……! それに支配者の幸せと女の幸せくらい、両立出来るに決まってるでしょ?」

「覇者としての幸せの前では、女の幸せなど小さなものよ。それに、そんなものに………興味はないわ」

「あらあら、そんな人生の十割を損している相手に、このシャオ様が負けるわけにはいかないわね」

「そう、なら、こんな言い合いは時間の無駄ね。戦う気があるなら戦ってあげても良いわよ。さっさと決着をつけましょう?」

「ええ。江東の兵の恐ろしさ……たっぷり教えてあげるんだから!」

 

そして二人は下がった。

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「お帰りなさいませ、華琳様」

 

春蘭が華琳を迎え入れた。

 

「一刀はいるっ!」

「俺がどうした?」

「………」

「………」

「………」

「…………」

 

華琳は自分の体と一刀と美沙緒を見る。

 

「……華琳?」

 

すると華琳は突然一刀のすねに蹴りを入れた。

 

「痛ぁっ!」

「……ふんっ!」

「ど、どうなさいましたか? 華琳様」

「………」

 

華琳は次に春蘭の胸を見て、春蘭の胸に手を伸ばす。

 

「ひゃふっ!? か、華琳様っ? い、いやゃこんなところでは……ちょっと、胸は……っ」

(なるほど、やっぱりさっきの舌戦は……)

(胸の大きさの事だったみたいだね)

「……春蘭」

「……あ、はぁ……。な、なん……ですか……?」

「……やっぱり一刀も、胸が大きい方が……」

「そんなことはないぞ、華琳」

 

一刀が意見する。

 

「一刀」

「確かに胸は大きいのは好きなのは否定しねえ。だけど華琳の大きさや美沙緒の大きさもなかなかのものだと思うんだよな。これが!」

「つまりは……」

「おっぱいの大きさなんて気にしねえ!」

 

その言葉に華琳は頭に来たのか、一刀を思いっきり殴った!

 

「な、何故だ?」

 

一刀はそのまま倒れてしまった。

 

「総員、攻撃準備! 江東の連中は散る気十分なようだから、遠慮なく叩き潰してやりなさい!」

 

一刀が気絶したまま、戦闘が始まり戦闘は魏軍の勝利で終わり、呉軍は撤退し、城を放棄した。

そしてその城を魏軍の前線基地として使うことになった。

一刀が戦うことなく戦闘が終了し、一刀は美沙緒にどうなったのかと聞こうとしたが……。

 

「一刀はデリカシーないんだから……」

 

しばらくはその答えしか返ってこなかった。

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おまけ

 

 

作者「第11話なんだな。これが!」

一刀「早いな、おい」

作者「ふん。色々あるんだよ。それこそ忙しいっての!」

一刀「そう言えばこれも魏編の時は無い話だな」

作者「ああ。新しく動画を見ながら書いたものだ」

一刀「しかし俺戦わなかったな」

作者「たまにはいいだろ。そんな時もあって……」

一刀「何でだよ…」

作者「それはそうと次回からいよいよ終わりに近づいてきたぜ」

一刀「ほう」

作者「それと色々あって少し雑な文章になっている」

一刀「直せよ」

作者「可能な限り直すけどな……。それでは!」

説明
この作品では一刀の態度や口調が原作と違うことをご了承してください。
また本作の一刀の設定のため、一刀のパートナーとなるオリジナルキャラクターがいます。
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コメント
むしろ華琳ならなんだってOKさΣd(゚ω゚ )(トウガ・S・ローゼン)
 馬鹿め、俺ならペッタンがいいから小さい方がいいと言うのに・・・(ヒトヤ)
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