リリカルなのはstrikers if ―ティアナ・ランスターの闇― act.9
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スバル「ヒドイ! ヒドイ! ヒドイですよシャマル先生ッ!」

 

 病院へ駆け込むなり、シャマルへと食い掛かるスバル=ナカジマ。

 昨日 テロ事件の現場となった ここではあるが、病院という場所柄のせいか、一夜明けた今では すっかりと日常を取り戻している。

 たとえ大事件があろうと、大天災が起ころうと、患者に巣食った病魔は休業してはくれない。だから病魔と戦う医者や看護師にも休業はないのだった。

 そんな中、病院内の一室に集ったのは、医務や病気とは まったく関係のない人々。

 医務官であるシャマルを筆頭に。

 フェイト=T=ハラオウン。

 エリオ=モンディアル。

 キャロ=ル=ルシエ。

 さらにスバル=ナカジマ。

 そして、もう一人………。

 彼女らが集った理由は、他でもない、先日のテロ事件によって滞在が明らかになったティアナ=ランスターのことだった。

 特にスバルは、機動六課時代からティアナに もっとも近しい親友でありパートナーとして、彼女の失踪から5年経った今でも捜索を やめてはいなかった。

 そのティアナが こんなに近い場所にいた、ということに戸惑いを隠せないスバルなのである。

 だからこそ、度を忘れてシャマルへ詰め寄る。

 

スバル「どうして教えてくれなかったんですかシャマル先生! 私が ずっとティアを捜してるって知ってたのに! 私にティアのこと黙ってたなんてッ!」

 

エリオ「落ち着いてくださいスバルさん! シャマル先生を責めたって どうにもなりませんよ!」

 

フェイト「そうだよスバル、お医者さんには、患者さんのプライベートを守る義務があるんだよ。自分の病院に来た人のことを、おいそれと人に喋ることはできないんだよ?」

 

 仲間たちに諭され、スバルはシュンとうつむく。

 

スバル「……………………ごめんなさい、シャマル先生」

 

シャマル「いいのよ、その件に関しては、昨夜のうちに はやてちゃんから こってり絞られちゃったから……」

 

 シャマルがコロコロと苦笑する。

 夜天の主・八神はやての守護騎士であるシャマルは、主・はやてや騎士仲間たちと同居して生活しており、その家族たちにも昨日のテロ事件で秘密がバレてしまったようだった。

 

シャマル「はやてちゃんたらヒドイのよー。私がテロ事件で危機一髪! だったってのに、私の安否は そっちのけでティアナちゃんの件を何時間も お説教……、挙句ヴィータちゃんやシグナムまで お説教に加わってくるし。…昨日は私の厄日だったわ」

 

スバル「当然だと思います、ぶー」

 

シャマル「スバルちゃんが優しくないっ」

 

 シャマルは その場に「よよよ」と泣き崩れる。

 

キャロ「そういえば、八神部隊長たちは今日は来られないんですか? せっかくティアさんが見つかったって言うのに……」

 

 ここに集った面々は、当然ながら5年間の失踪の末に 姿を現したティアナ=ランスターとの再会を望む人たちであった。

 ティアナと直接の絆があるスバルやエリオは もちろんだが、元・部隊長 八神はやてたちも機動六課の仲間として、ティアナのことを心配していた。だからこそ、彼女らにも この場にいる権利はあるだろうが………。

 

シャマル「はやてちゃんが『あんまり大勢で押しかけるのも悪いから』って言って、日にちをズラすことにしたの。今日はフォワードメンバーで再会を喜びあってくれって」

 

スバル「………父さんや、ギン姉や、ウェンディやノーヴェも同じことを言ってました」

 

 既にティアナとの再会を果たしたマリエルやシャリオなども同じ理由で今回は席を外しているし、聖王教会のディード、陸士隊のヴァイスやアルトなども、既に連絡が取れており、後日の面会を希望している。

 それだけ沢山の人が、ティアナのことを心配して、ティアナと再び会うことを望んでいる。なのに何故ティアナは、そんな人たちから逃げたのか。

 

スバル「それでシャマル先生、ティアは? 肝心のティアは どこにいるんですかッ?」

 

 待ちきれないとばかりに そわそわと問うスバル。

 この部屋に、まだティアナの姿はない。ここは、彼女との再会を望む人を一旦集めた、いわば控え室だった。

 

シャマル「ティアナちゃんは まだアレクタちゃんに付き添ってるから……。とりあえず看護師さんに呼んできてもらうようにするわ。さすがに こっちから いくには人数が多いし……」

 

スバル「ねえねえッ、エリオやキャロは 昨日ティアに会ったんでしょうッ? どうだった、ティア変わってた?」

 

キャロ「……おっぱいが、大きくなってました」

 

エリオ「キャロッ? 何故とりたてて そこを挙げるのッ?」

 

フェイト「たしかに、アレを見たシャーリーが『私も旅に出たら あんなに大きくなるのか?』って真剣に悩んでたし……」

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スバル「なんですか それッ? 私 ティアに会う前に どういう心構えをしたら いいんですかッ? 混乱します、大混乱ですよッ?」

 

 賑々しい室内、ティアナとの再会を目前にして彼女らの心は明らかに、沈むのではなく、躍っていた。

 この場に集うのは、医務官のシャマルを筆頭に。

 フェイト=T=ハラオウン。

 エリオ=モンディアル。

 キャロ=ル=ルシエ。

 スバル=ナカジマ。

 そして、もう一人………。

 ずっと沈黙を続ける、もう一人…………。

 

 

   *

 

 

ティアナ「……おっぱいには、何が詰まってると思う?」

 

アレクタ「は?」

 

 また唐突な姉の妄言に、ベッドで安静にするアレクタは眉をしかめる。

 多少、思考を吟味してから、不承不承に答えてみる。

 

アレクタ「…ゆ、夢と希望?」

 

ティアナ「後悔と哀愁よ」

 

アレクタ「なんか ヤだ! すごく苦い母乳が出そう!」

 

 ここは病室。

 昨日はテロリスト撃退に活躍したアレクタも、今日は入院患者としての本分を思い出し、ベッドで大人しくしていた。

 その付き添いとしてティアナも、ベッドの隣で椅子に鎮座しているものの、その表情は物憂い。

 今の妄言も、その物憂さから出た精神防衛行動だろうか? あえてフザけた態度をとることによって、頭の中から深刻な考えを追い出そうと?

 クワッコー、と ひなフェリが鳴いた。

 もう正午か、アレクタは病室に備え付けてあるテレビを付ける。

 

アレクタ「あ、お姉ちゃんがテレビに出てるよ?」

 

ティアナ「なんですとッ?」

 

 テレビが放映しているのは お昼のニュース。そのトップを飾ったのは先日ミッドチルダを大いに騒がせた あの病院立てこもりテロであり、特に 逃亡した主犯格テロリストの大捕り物が、最大のハイライトとして紹介されていた。

 そして その映像に出ているのが、逃亡犯と一騎打ちを演じるティアナ=ランスター。

 

ティアナ「こんなの どこから撮ってたのよ? ……マスコミはやること たくましいわね」

 

アレクタ「デジタルハイビジョンだからスゴイ画質 綺麗だよ? お姉ちゃんの顔までクッキリ」

 

ティアナ「アングルが胸や尻を追ってるのに作為を感じるわね」

 

 画面内では、既に分身したティアナがテロリストを圧倒し始めていた。

 自分自身の戦いを外から見るというのも妙な気分で、ティアナはシガレットケースからタバコを取り出し火をつける。

 

アレクタ「……ねえ、お姉ちゃん」

 

ティアナ「んー?」

 

アレクタ「お姉ちゃんが昨日 会ってた人たちって、お姉ちゃんの友だち?」

 

 昨日の事件解決後、犯人護送や人質救出などで ごった返す現場でアレクタが目撃したのは、見知らぬ人々に囲まれる大好きな姉の姿。

 姉のことを取り囲む人々が誰か、アレクタには知るよしもなかった。

 しかし取り囲む皆の顔が、喜びの涙で濡れているのは わかった。金髪の人、長い黒髪のメガネをかけた女性、白マントの女の子、かわるがわるティアナに抱擁して顔をうずめ、その一歩離れた場所から赤毛の男性が、温かく見守っている。

 それは遠目から見ても、懐かしい仲間との再会の光景だった。

 

ティアナ「……古い知り合いよ」

 

アレクタ「バイザーの白い先生より?」

 

 アレクタが言っている『先生』とは、彼女がティアナと出会った“不死鳥の祝福の地”で、彼女を診ていた医師のことだった。非常に病状の重いアレクタのために わざわざティアナが呼び寄せた医師で、それだけに非常に腕がよく、設備の乏しい僻地でアレクタの病状を適切に抑えてくれた。

 ティアナは彼のことを『モグリ医者』と呼んでいた。彼女同様、謎の人だった。

 

ティアナ「なんで ここでソイツが出てくるのよ?」

 

 ティアナは疑問を口に出し、アレクタが答える。

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アレクタ「だって あの人、お姉ちゃんの恋人なんでしょう?」

 

ティアナ「ゲホゲホゲホゲホ……ッ!!!」

 

 猛烈な勢いで咳き込む。

 タバコの煙が どこかヤバイところに入ったようで、背中を激しく揺らし、驚いて ひなフェリがバサバサ飛んだ。

 

アレクタ「……違うの?」

 

ティアナ「違うわよッ! 私はタバコと結婚したのッ!」

 

アレクタ「そういう使い方もあるんだ、その決め台詞…」

 

 思い出されるのは、“不死鳥の祝福の地”で見た、言語に絶する怪しさをもつ医者の姿。全身 不自然なまでに白く、そのクセ不衛生で、失った視力を補うために機械的なバイザーを着けた怪人医師。

 常にヘラヘラした態度で、命を扱う職業にしては軽薄すぎるように思えた。

 それでも、日頃の会話から、誰よりティアナと心が通じ合っているように思えた。

 ……ようやく落ち着きを取り戻したティアナが、重々しい溜息を吐く。

 

ティアナ「……あのモグリ医者と知り合ったのは、ここ(ミッドチルダ)の人たちよりも後だけど、付き合いはアイツとの方が長いかもしれないわね。旅暮らしの5年間、怪我するたびにアイツの世話になってたし」

 

アレクタ「…お医者さんだから?」

 

ティアナ「そりゃそうよ、アイツは今でこそモグリだけど、昔はドコそこの大病院で『神の手』呼ばわりされてたんだから。なんか病院内の政権抗争に巻き込まれて追放されて、そのショックで ネジ飛んじゃったらしいけど……」

 

 フッと紫煙が流れる。

 

ティアナ「モグリ医者には、全部見られちゃってるからね……」

 

アレクタ「全部?」

 

ティアナ「全部よ、私の、恥ずかしいところも、みっともないところも全部」

 

 そう言うティアナの表情は、どこか優しげで、儚げだった。

 

ティアナ「アイツは医者で、私はアイツの患者だから。……本当に全部見られたわね、裸はもちろん、腹の中の内臓も見られた。レントゲンで骨も見られたし、CTで輪切りの脳ミソも見られた。アイツの前で『死にたい』って泣き叫んだこともあった。両手を大怪我したときは、アイツにパンツを下ろしてもらって、アイツに尻拭いてもらったりもしたわ」

 

アレクタ「…………」

 

ティアナ「普通だったら そんな女、結婚相手として見れないでしょう?」

 

 おどけながら言うティアナ。

 しかし その言葉の端々からは、彼女の これまで歩んできた半生の壮絶さが垣間見え、アレクタは息を飲んだ。

 この人が何故こうまで強いのか、その理由の一端が見えた気がした。

 

ティアナ「でもまあ あのモグリ医者は言うわけよ、いつも通りのヘラヘラした態度でね。『医者が患者の手助けをするのは当然だヨ』って。…ねえアレクタ」

 

アレクタ「なっ、何?」

 

 いきなり名を呼ばれ、ドキリとする。

 

ティアナ「アンタも いずれ大きくなって恋愛とか結婚とかするでしょうね。そういうときはね、自分を受け入れてくれる男を選びなさい、自分の弱さも醜さも受け入れてくれる、そんな男を……」

 

アレクタ「弱さも……?」

 

ティアナ「そう、……大体、女は弱くていいの、男に守ってもらえばいいんだから」

 

 そう微笑みながら言う姉に、アレクタは少し反感を覚えた。男だって女だって、強いに越したことはないのではないか。自分の身は自分で守るべきで、そのために強くなるのは いいことではないのか。誰かに守ってもらうのは甘えではないのか。

 

ティアナ「そうね、たしかにその通りよ。…でも覚えておいてアレクタ、強さを肯定しすぎる人間は、弱さを否定してしまう。弱さを許せなくなってしまうのよ」

 

アレクタ「……弱さを、許せなくなる?」

 

 ティアナは頷く。

 

ティアナ「たとえばね、昨日の立てこもり事件のとき、アンタはテロリストたちに怒ったでしょう?」

 

 アレクタと、幻態で作られた偽ティアナが人質として捕まったとき。他の人質たちと合わせて一階ロビーに拘束されたとき。卑劣なテロリストのおこないにアレクタは怒り心頭に奮い立った。フェリックスの魔力を使い、犯人たちを焼き払おうとした。幻態のティアナが止めなければ本当に そうしていただろう。極大すぎるフェリックスの魔力で大きな巻き添えを出しながら。

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ティアナ「アンタが あそこまで怒った理由は何?」

 

アレクタ「…………」

 

 アレクタは押し黙り、あのとき言った自身の言葉を思い出す。

『アナタたちを見ていると心が荒むわ。教団に騙されて、いいように使われてきた昔の自分を思い出すから』

 

ティアナ「アンタが怒ったのは、あのテロたちと同じ間違いを、自分も犯したから。間違った自分のことを許せないように、同じ間違いを犯したアイツらが許せなかった。だからでしょう?」

 

アレクタ「許せるわけないよッ!!」

 

 幼いアレクタが悲痛に叫ぶ。

 自分が かつて犯した間違い。誤解のために、自分を助けてくれたフェリックスに逆恨みし、罵倒し、命を奪おうとした。今は大好きなフェリの心を沢山傷つけて、その上 黄昏教団という悪人に協力し、何の罪もない人たちにまで迷惑をかけた。現在 目の前にいるティアナにだって、どれほどの傷を負わせてしまったか。

 そんな自分が許せない。

 過ちを犯した、自分の弱さが許せない。

 だから あのテロリストたちも許せなかった。かつての自分の間違いを突きつけられるようで。

 

ティアナ「だからね、アレクタ…。これは私からのお願い」

 

 少女の頭を そっと撫でる。

 

ティアナ「アンタは今、自分の弱さを、ヒトを許さないために使っている。でもそうじゃなくて、自分の弱さは、ヒトを許すために使ってほしいの」

 

 人を許すために、弱さを使う。

 

ティアナ「アンタが間違いを犯したのは、アンタの心が弱かったから。でも人は、間違いを犯すからこそ、同じように間違った人を許すことができる。弱い心があるからこそ、同じように弱い人に優しくすることができる」

 

 それを弱者同士の傷の舐め合いだと言うのなら、そう言うヤツは たった一人で生きればいい。

 強者とは、人の助けがなくても生きていける人間のことだ。そんな人間には他人など必要ない、だから人の心を理解する必要もない。

 

ティアナ「屁理屈かもしれないけれど、『人は弱いからヒトを許しあえる』、私はそう思っている。……だからアレクタには、自分の弱い心を嫌いになってほしくない。自分を許せる、ヒトを許せる人間になってほしいの」

 

アレクタ「でも お姉ちゃんも、教団の女を許さなかったよ?」

 

ティアナ「あいたたたたたたた……!」

 

 痛いところを突かれてティアナは苦笑する。

 テレビでは調度、テロリストの頭に銃口を突きつけるティアナを、フェイトが止めるシーンだった。

 

ティアナ「その通りよ、私は出来の悪い人間だから、思うとおりのことなんて一度もできたことがない。人並みの経験を積んで、それなりに正解を知っても、気付いたら同じ間違いを繰り返してる」

 

 本当に私は、

 

ティアナ「悟ったつもりで迷ってばかり……」

 

 ティアナは寂しげに笑った。

 その微笑みの意味を、幼いアレクタに推し量ることは不可能だった。

 

ティアナ「でもだからこそ私はアンタを当てにしてるのよ。……大人はね、自分にはできなかったことを、子供に託したがるもんなの」

 

アレクタ「私……ッ!」

 

 アレクタは弾けるように口を開いた。今このとき、言わねばならない気がした。

 

アレクタ「私、体が治ったら魔導師になりたい! お姉ちゃんみたいな魔導師に……ッ!」

 

 クアッと ひなフェリが鳴いた。嬉しげに。

 

ティアナ「私みたいな? そんなの目標が低すぎるわ、二、三年で達成できちゃうわよ?」

 

 そういってティアナは こそばゆげに笑った。

 きっと彼女は 本当はこう言いたいのだ、アレクタの弱さを許すと、間違いも、痛みも、許すと。

 それが十二歳の少女の心を どれだけ優しく照らすか。

 少女は、この大人へ、伝えたいことが山ほどあった。大人から少女へ注がれた言葉と同じぐらい、返したい言葉が山ほどあった。

 感謝、

 憧れ、

 希望、

 託された問いへの答え、

 そのすべてを吐き出そうとしたそのとき、不意に病室のドアが開き、看護師が入室してきた。

 

看護師「…すみません、ティアナ=ランスターさんはおられますかっ、……ってランスターさん! 病院内で煙草はダメだって言ってるでしょう!」

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ティアナ「私はタバコと結婚したのよ。……ウソです ごめんなさい。マジごめんなさい。ええ、はい! やめますから! 今すぐ やめますから!」

 

 看護師の凄まれて しぶしぶ携帯灰皿に吸い殻を捨てるティアナだった。

 色々 台無し。

 

看護師「まったくもう…。で、ランスターさん、シャマル先生が お呼びですよ。第三会議室まで来てほしいと……」

 

ティアナ「あー、はいはい、ただいま行きますよー」

 

 快諾して立ち上がるティアナ。

 傍に立てかけてある松葉杖を取った。昨日の戦いで必殺技・ヴェノムブレイカーを放った彼女は、その代償で右足の義足をメチャクチャにしてしまっていた。魔法デバイスとしても機能し、ティアナの魔法力を感知して本物の足のように動く高性能義足だったが、それも壊れてしまったため、今は病院から借りたチタン製の普通の義足を使っている。

 だから杖を使わないと歩行するのにも危なっかしい。

 

ティアナ「それじゃ、いってくるわ。年貢の納めどきが来たみたい」

 

アレクタ「お姉ちゃん……」

 

ティアナ「アレクタ。自分の弱さを、自分の財産にできる人間になりなさい」

 

 自分のことを姉と呼んでくれる少女へ、ティアナは最後に明るく笑った。

 

 

   *

 

 

 病室のドアを閉めて、廊下にたたずむティアナ=ランスター。

 

ティアナ「自分の弱さを、自分の財産に、か……」

 

 本当に、自分にできないことを他人に押し付けるものだ。ティアナは自分の勝手さに苦笑した。

 自分は、自分の人生を何一つ財産にはできなかった。積み上げるのは負債ばかりだ。

 その負債の一つと、これから向き合わねばならない。

 

ティアナ「第三会議室ね」

 

 ティアナは また新しいタバコに火をつけて、松葉杖を使いヒョコヒョコと歩き出した。

 

 

   *

 

 

 

 そして、その第三会議室。

 そこで待たされているスバル=ナカジマは焦れに焦れきっていた。

 

スバル「ティアまだですか? …ティアはまだ来ませんか?」

 

シャマル「……スバルちゃん、落ち着いて」

 

 スバルにとって目の前のドアが開くまでの時間は、膨らむ期待が はちきれんばかりであり、また重くなる不安に押しつぶされそうであった。

 5年ぶりに会うことになるティアナ。

 彼女は その間に、どのように変わってしまったのか? 今でもまだ自分を友だちだと思ってくれているのだろうか? そもそも友だちだと思ってくれているなら、どうして何も言わずに失踪してしまったのか? 不安が疑問を呼び、疑問が不安を呼ぶ。

 もしも、このドアを開けてやってきたティアナが、自分のことを他人として見たら?

 スバルの全身を、暗闇の恐怖が包む。

 

スバル「どうしようシャマル先生……、私、だんだん恐くなってきちゃった………!」

 

シャマル「大丈夫、大丈夫」

 

 シャマルは暖かく微笑むのみ。

 

 コンコン。

 

 ドアから控えめなノック音。

 その音にスバルがビクリと反応する。

 

スバル「……やっぱ私 ダメだ、お腹痛い、欠席する!」

 

エリオ「落ち着いてくださいスバルさん! もうティアナさん来ますよ! 観念してください!」

 

 しかしスバルの乱心は留まらない、席を蹴って逃げ出そうとするのを、エリオが止める。

 

スバル「離してエリオ! 私もうダメ! っていうか ちょっと もつれる! ああっ!」

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 エリオと揉みあいになって よろけたところへ、開いたドアが頭に直撃。

 ガツン!

 

スバル「あいたッ!」

 

エリオ「ぐえッ!」

 

 不幸なことに巻き添えをくうエリオ。

 

スバル「いたたたたたたたたた………ッ!」

 

ティアナ「何やってんのアンタは?」

 

 頭を押さえて うずくまるスバルを、ドアを開けて入室してきたティアナは呆れ顔で見下ろす。

 

スバル「いたぁ〜……、いたい〜ッ!」

 

ティアナ「…ったく、アンタは5年経っても変わらないわね」

 

 うずくまったスバルの手を取り、立ち上がらせるティアナ。二人の視線が、正面から交わる。

 

スバル「…………ティア」

 

ティアナ「久しぶり」

 

 その瞬間だった。

 スバル=ナカジマは、『頭が真っ白になる』という感覚を味わった。

 何も考えられなくなった、それまで頭の中でドロドロ渦巻いていた不安も疑問も、宵のうちに薄く積もった雪のように消え去り、ただ空白だけが残った。

 そして この空白を涙が満たし、すぐに許容量を越えてスバルの体から溢れ出た。

 

スバル「………うぅ〜ッ」

 

ティアナ「うわっ、なんなのッ?」

 

 古い親友が 会うなり突然泣き出したのだから、ティアナにとっては慌てるしかない。

 涙が止まらない。

 ティアナが自分のことを嫌いになったとしても、どうであっても、もう そんなことはスバルには どうでも よくなっていた。

 ティアナが そこにいる。

 ただ それだけでよかった。

 それだけでもう涙が止まらない。

 

スバル「ティアぁぁ……、ティアがいるよぅ……、よかった、よかったぁ〜……」

 

ティアナ「ああもうアンタは、わかったから顔拭きなさい、涙でメチャクチャになってるわよ?」

 

 そう言ってハンカチを取り出す。

 厄介なパートナーに悪態つきながら世話を焼く そのさまは、5年前の二人で一人の半人前の頃と、少しも変わらなかった。

 ちなみに、スバルと一緒に頭をぶつけたエリオは、まだ床で悶絶していた。

 シャマルも、フェイトも、キャロも、再会を果たした親友たちの姿にホッと息をついた。

 

 そして もう一人、

 

 この部屋には もう一人、ずっと沈黙を続けている人がいた。

 皆が喋りあっている間も、ただ一人、静寂を守っている。

 その一人が、この部屋にいる誰もより早くティアナへ歩み寄り、勢いよく手を振り上げた。

 

 

 

 

 

 パンッッ!

 

 

 

 

 

 乾いた音が部屋に鳴り響く。

 出し抜けに頬を はたかれたティアナ。

 叩いた者と、叩かれた者。

 その二者に、残りの者たちの視線が釘付けとなる。

 

スバル「…なのは、さん?」

 

シャマル「なのはさん?」

 

キャロ「なのはさんッ?」

 

エリオ「なのはさん!」

 

フェイト「なのは……ッ!」

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 その手でティアナのことを容赦なく打ちつけたのは、時空管理局 戦技教導官、管理局の内外を問わず、すべての魔導師の中でも最高最強と称えられるエース・オブ・エース、高町なのは その人だった。

 機動六課時代には、本隊を屋台骨から支える隊長格として、並びに、新人たちを鍛え上げる教導官としてスバル、エリオ、キャロ、ティアナの もっとも近しい先輩だった。

 特にティアナにとっては、同じスターズ分隊の隊長と隊員として、中距離射撃型という戦闘スタイルの共有者として、もっとも身近に接してきた師弟でもあった。

 かつての教師と、生徒。

 その二人の再会を告げたのは、なのはからの平手の一発だった。

 

なのは「ティアナ………、なんで自分が叩かれたのか、わかっているよね?」

 

 この部屋に入って初めて口を開いた なのは。

 叩かれたティアナの頬が、見る見る赤くなる。ティアナは無言で なのはのことを見返した、路傍の石でも見るかのような虚ろな視線だった。

 

スバル「待ってください なのはさん!」

 

 すぐさまスバルが、二人の間に割って入る。

 

スバル「あのあの…ッ、なのはさんの言いたいことは わかります、けれど、今はいいじゃないですか! その、会ったばっかりだし、ティアが無事だっただけでも充分ていうか……!」

 

なのは「私はアナタに言っているのよ、ティアナッ!」

 

 響き渡る なのは の怒号。

 管理局すべての新人たちを畏怖させる眼光が、ティアナに直撃する。

 

なのは「アナタは…、どれだけの人に迷惑をかけたか わかっているのッ? 突然消え去って、八神部隊長や、フェイト隊長や、スバルや、他の たくさんの人に心配をかけて! いなくなったアナタを探すために、どれだけの人が動いたと思っているのッ? どれだけの労力が費やされたと思っているのッ! 謝りなさいティアナ! アナタを心配してくれた全部の人たちに謝りなさい!」

 

 なのはは六課当時、新人を直接指導する立場にあった。

 だからこそティアナの失踪は、なのはに直接の責任があるとされた、少なくとも本人は そう思ったことだろう。その責任感が今、烈火のごとき叱責となって表れている。

 ………それに対し、ティアナが浮かべたのは氷の冷笑だった。

 

ティアナ「…5年前のぺーぺーだった頃ならともかく、今さら その程度で私がビビると思ってるんですか?」

 

なのは「……………」

 

 なのはは無言のまま。

 

ティアナ「今の私は、アナタより強い。アナタを恐れる理由なんてありませんよ」

 

 パンッ!!

 再びなのはの手が、ティアナの頬を打つ。

 その力が あまりに強くて、切れた唇から血が流れ落ちる。

 

スバル「やめてください なのはさんッ! ティアも さあッ、そんな言い方しないでよ! なのはさんはティアのこと本当に心配して……ッ!」

 

ティアナ「…心配? 脱走者を出したことで自分の経歴に傷がつくって心配でしょう?」

 

なのは「……ティアナッ!!」

 

 三度目、手が振り上げられる。

 

シャマル「ハイハイそこまでッ! 熱血指導は それぐらいで充分でしょう?」

 

なのは「シャマル先生……」

 

 シャマルの制止には、なのはも従わざるをえない。

 機動六課の健康管理を一手に引き受けてきた医務官としての発言力は、その関係者には絶大だった。

 

シャマル「本当にアナタたち二人は……。強情なところがホント似た者 師弟なんだから……」

 

 溜息をつくシャマルを余所に、ティアナは無言でタバコの煙を吐き出す。

 

スバル「ティア…、タバコ吸うようになったんだ?」

 

ティアナ「私はタバコと結婚したのよ」

 

 スバルは改めて、5年ぶりのティアナをマジマジと観察する。

 伸びた背、膨らんだ胸、最後に会ったときと比べて あからさまに女性的になったティアナは、なるほど同性ですら惑わすような魅力の保持者になっていた。

 キャロやシャリオが変になってしまう気持ちもわかる。

 それに加え、口のタバコに、右足の義足、聞くのが躊躇われるような変化の部分もある。

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 どうやって問うべきか、スバルは戸惑った。あるいは何も問うべきでないのか。

 

なのは「ティアナ、その右足は どうしたの?」

 

 そこを迷わず問い詰める なのはだった。

 

なのは「アナタのことだから、また何かムチャをしたんじゃないの? アナタは そうやって自分の良い所をないがしろにして……!」

 

シャマル「はいはい! なのはちゃん、いいから……!」

 

 抑えるシャマルも一苦労だった。

 

シャマル「あのね…、私が最初、ティアナちゃんが帰ってきたことを秘密にしたのは、……医者としての守秘義務もあるんだけど……、もう一つは、お互いに気持ちを整理してから対面してほしかったの。その方が、お互いの心が ちゃんと伝わると思ったから……」

 

フェイト「シャマル先生……」

 

キャロ「シャマル先生……」

 

 周囲のメンバーも、シャマルの気遣いに感服する。

 

シャマル「だからね、こうして不測の事態でティアナちゃんのことがバレたとしても、本当は皆をティアナちゃんに会わせるのは止めようかと思っていたの。お互い納得しないまま会って、余計こじれたら大変だから」

 

 実際なのはとティアナの衝突を見れば、まったくの杞憂とはいえない。

 では何故、シャマルは こうしてティアナを引き合わせたのか。

 

シャマル「悠長にやってる暇はないって、悟ったからよ。………ティアナちゃん、医者として、アナタに入院を勧めます、この病院で治療を受けてほしいの」

 

ティアナ「は?」

 

 シャマルの突然の発言に、そこに集う全員が虚を突かれ、首を傾げる。

 ただ一人、言われたティアナ本人だけは、とぼけたように言い返す。

 

ティアナ「何 言ってるんです? 治療が目的で ここまで来たのはアレクタですよ。私はただの付き添いじゃないですか?」

 

シャマル「アナタは既にわかってるハズよ、自分の体がボロボロだって」

 

スバル「ええッ?」

 

なのは「……ッ!」

 

 シャマルが、白衣のポケットから一枚のカードを取り出す。それはクロスミラージュ、昨日もティアナと共に戦ったインテリジェンスデバイスだ。

 

シャマル「……インテリジェンスデバイスにはね、使用者の体調を、簡易的だけどチェックする機能がついているの。クロスミラージュは昨日の戦いのとき、アナタの体をスキャニングしてた。…そのデータを見させてもらったわ」

 

 ちっ、と舌打ちするティアナ。

 

シャマル「それでわかったの、アナタが この5年間で どんなムチャをしてきたか。そのムチャが、どれだけアナタの体を蝕んでいるか……!」

 

スバル「どういうことなんですかシャマル先生ッ? ティアの体、そんなに悪いんですかッ?」

 

シャマル「見てちょうだい」

 

 シャマルが携帯端末のスイッチを押すと、大き目の空間ディスプレイが部屋の中央に出現する。そのディスプレイには、記号化された人の絵が描かれていた。

 健康診断を受けた患者の健康状態を、わかりやすく図式化するためのデフォルメ絵だ。

 

シャマル「診断を受けて、異常のあった部分が『赤く』表示されるように なっているの。このデータは、言うまでもないけどティアナちゃんのデータ…」

 

スバル「体の、問題のある部分が赤く塗られるわけですか……?」

 

シャマル「そうよ…」

 

スバル「でも、この人型の絵、全部赤いじゃないですかッ!」

 

 真紅。

 ディスプレイに映し出されたのは全身真っ赤の人の絵だった。

 赤は異常のしるし、すなわちティアナは、ほぼ全身に何かしらの疾患を抱えているということだった。

 

シャマル「まず皆も気付いていると思うけど…。ティアナちゃん、右足を失っているわね。切断面の状態からして負傷から三年は経っている。……でもそんなのは序の口に過ぎないわ」

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 空間ディスプレイに様々なデータが開いていく。

 

シャマル「失っているのは右足だけじゃない。ティアナちゃんの腹部には、腎臓が一つしか見当たらなかったわ、普通なら二つあるハズの腎臓が。小腸も通常より短くなってる、よく探してみたら、一度切り取って繋げた手術痕があった。明らかに内臓摘出の跡だわ」

 

ティアナ「…………」

 

シャマル「両腕の骨には、数え切れないほどのビスが埋め込まれてあった。一度 腕をズタズタになるくらい傷つけられて、根気よく治療した跡と思われるわ。これぐらいボロボロになって、また精密射撃がおこなえてるのは奇跡としか思えない。治療に当たった医者の技術と、ティアナちゃん本人の気力の凄まじさが伺える」

 

ティアナ「…………ッ」

 

シャマル「他にも、利き目の視力が かなり落ちてるとか、タバコで肺が真っ黒だとか、細かく挙げればキリがない。…ティアナちゃん、アナタはまさしく満身創痍なのよ。こんなボロボロのアナタを、また旅に出すわけにはいかない。危険すぎる。だから私は、皆を ここへ呼んだの。皆からもティアナちゃんを説得してほしいから!」

 

スバル「ここにいてよティア!」

 

 最初に吠えたのは、やはりスバルだった。

 

スバル「ティアに何処にも行ってほしくないのは もちろんだけど、こんなヒドイ怪我をしてたら なおさらだよ! これじゃあティアが死んじゃうかもしれない、私そんなのイヤだよ!」

 

エリオ「僕も そう思います。こんなに酷い状態なら、まず体を治すことが先決です!」

 

キャロ「ティアさん、自分の体を大切にしてください!」

 

ティアナ「…………ッッ!」

 

フェイト「私も…、アナタに執務官になってほしい件は まだ諦めていないけど、それも体を治してからだと思う。アナタは多分、ムチャをしすぎちゃったんだよ…」

 

なのは「ティアナ、皆がアナタのことを心配してるんだよ、それを、ちゃんとわかって!」

 

ティアナ「…………い」

 

なのは「え?」

 

 いつの間にか、ティアナの額に玉のような汗が浮かんでいた。

 脂汗だった。

 ティアナの状態が尋常ではないと、最初に誰が気付いただろうか?

 多分誰が気付くよりも先に、ティアナは松葉杖を離し、床に倒れこんだ。

 

スバル「…ティアッ!」

 

 慌ててティアナを抱きかかえる。

 四肢を脱力させて、ティアナはスバルになされるがままだった。頬が上気し、呼吸も荒い、急な発作を起こした病人のようだった。いや、まさに病人そのものだ。

 

スバル「ティアッ、ティアッ、どうしたのティアッ?」

 

ティアナ「……たい」

 

スバル「え?」

 

ティアナ「いたい……!」

 

 その様子から、既にティアナが正気を失っているのは明白だった。半ば意識を失い、うわ言のように「痛い」を連呼する。

 

ティアナ「いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい………ッ!」

 

スバル「どうしたの、一体何処が痛いのッ? ねえティアッ!」

 

フェイト「シャマル先生ッ!」

 

シャマル「ちょっと待ってッ! クラールヴィント、ティアナちゃんをスキャニング……ッ!」

 

ティアナ「いたぁぁぁいッ! いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、いたいッッ!」

 

スバル「ティアッ! しっかりしてティアッ!」

 

 ティアナの痛がりようは、もはや狂気じみていた。

 これがあの、テロリストを容易く屠り去った戦士なのか? そう疑いたくなるほどティアナは、子供のように痛みに打ち震え、泣き叫ぶ。

 もはや周りの者の声も聞こえていない。

 

ティアナ「いたいッ! いたぁぁいッ! あああああああッ! いたぁぁぁぁぁッ!」

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スバル「シャマル先生ッ! 早く診察を、一体ティアの体、どうなっちゃったんですかッ?」

 

シャマル「それが……」

 

 ティアナが痛みを感じている部分を突き止め、シャマルは呆然とした。

 クラールヴィントでスキャニングするまでもなかった。ティアナは、身が引き裂けるほどの痛みを感じる部分を、自分の手で押さえているのだから。

 痛みを感じているなら、そこを押さえ、痛みを和らげようとするのが本能だ。

 だからこそティアナは、その部分を押さえていた。

 たぶん無意識に抑えていた。

 正気を失うほどに激しい痛みを発している、

 

 

 

 右足の、義足を。

 

 

 

ティアナ「いたい、いたい、いたい、いたい、いたいッッ!!!!」

 

 義足を押さえてティアナは叫ぶ、体と繋がっていない、ただの代用品のはずのチタン製の義足を押さえて。

 

シャマル「ファントムペイン……」

 

 シャマルは戦慄と共に呟いた。

 ファントムペイン、またの名を幻肢痛。怪我や病気などで体の一部を失った後、その失ったはずの肉体部分が痛むという謎の症状。

 ティアナは今、あるはずのない右足に、正気を失うほどの痛みを感じているのだ。

 痛みに耐えかね暴れまわるティアナを、スバルが必死に抱きとめた。

 

スバル「しっかりしてティアッ!」

 

ティアナ「いたい、いたい、いたい、いたい、いたい、殺してやる、いたい、いたい……!」

 

スバル「……え?」

 

 ティアナの うわ言に、別の言葉が混じりだす。

 

ティアナ「殺してやる、殺してやる…、殺してやる! 殺してやる! 殺してやるアイツら! 穴ぐらの中で、黒炭になるまで焼き殺してやるッッ!! ガイストと同じ苦しみを味あわせてやるッ!」

 

スバル「ティアッ! どうしたのティアッ! ねえッ?」

 

ティアナ「いやぁぁッ! やめて! やめて! ガイストを殺さないでえぇぇぇぇッ! なんでもしますから、アナタたちのオモチャになりますからあぁぁぁぁぁぁぁッッ!」

 

シャマル「ファントムペインに…、フラッシュバックが併発してる……ッ?」

 

なのは「………………」

 

シャマル「…と、とにかく処置をッ! エリオ君、キャロちゃん、看護師を呼んできて! 鎮静剤をもってくるようにってッ!」

 

エリオ&キャロ「「はいッ!」」

 

 ティアナが予想外の症状に陥ったことで場は騒然となり、彼女を引きとめようとする話も、彼女を治療しようという話も立ち消えになった。

 ティアナ=ランスターの闇は、彼女らの考える以上に、深い。

 

   to be continued

説明
リリカルなのは のifモノ。ティアナを主人公に、strikersのラストから5年後のストーリー。ティアナが執務官の道に進まなかったとしたら? 放映当初の、他人を寄せ付けない彼女のまま成長したら? という仮定の下に妄想される話です。

 ついに突入、魔王激闘編。
 なんか重い話しになりすぎてない? と不安かつ反省仕切りです。
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コメント
投影さま>なのはさん ぶっ叩きのシーンは、ティアナと なのはの対立構造を明確するために書いたもので、実際のなのはが ここまでするかどうかは わかりません。っていうかしないと思います。なのはさん悪役にしてゴメンナサイ(のぼり銚子)
いきなりなのはが打ちましたが、心配してるのは分かりますけど、なんだかこれも押し付けてるように見えます。失踪したことの理由も聞かずただ間違っているとして謝罪を求める、世間体を気にする親みたいに見えました。(投影)
好きな人は綺麗なところだけでなく汚れたところも含めて愛する。いい言葉ですね。尊敬と妄信は違うといいますし。(投影)
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リリカルなのは if ティアナ フェイト スバル なのは 

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