宇宙戦艦ヤマト 2001ALTERNATIVE
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 【12月24日10:15 CVS‐011EFS飛龍飛行甲板】

 

 飛龍級戦略航空母艦一番艦である彼女の飛行甲板では旗艦である“ヤマトU”からの司令を受け攻撃隊の発艦準備が整っていた。

 

 最初に発艦したのは4機の“SE‐12C イーグルアイ早期警戒管制機”である。

 

 それに続くのは巨大なデルタ翼が特徴的な重攻撃機だった。

 

 その名は“SHA‐17D サラマンダー”。

 

 2220年から配備が始まった最新鋭の全領域重攻撃機であるこの機体は今回の遠征に際し2個中隊分32機+α(損耗予備機含む)が飛龍と姉妹艦“雲龍(CVS‐013)”にそれぞれ一個中隊づつ配備された。

 

 この機体の役割は正しく“破城槌”である。

 

 “F2000‐WE‐400”波動エンジンを4基(胴体部2基、翼部左右1基づつ)を装備し凄まじいまでの加速性と高速性能を実現した。

 

 無論装甲及び火力も60mm速射衝撃砲4門、40mmガトリングパルスレーザー1門を筆頭に恐るべき物であるのは言うまでも無い。

 

 それを生かして敵艦隊や要塞、そして軍事施設の防空能力を根こそぎ奪い去る事がサラマンダーに与えられた役割なのだ。

 

 今回の作戦に於いても重要な役割を与えられている。

 

 即ち“光線級”や“重光線級”そして先程発見された新種BETAを完全に無力化する事だ。

 

 やがて主飛行甲板中央部にある巨大なリニアカタパルトに接続され発艦準備が整う。

 

 シグナルが緑に変わると同時に凄まじい勢いでサラマンダーが打ち出されていく。

 

 この調子で次々と射出されて行く鋼鉄の破城槌。

 

 そして合計32機のサラマンダーが怒涛の如く佐渡島に向かい突撃する。

 

 それは程なくヤマトU上空をフライパスして行った。

 

 それを合図にVFS‐161を筆頭としてヤマトUの艦載機も次々と発艦していく。

 

 「ROCKS01からROCKRIVERS、高度12,000mで編隊を組む。遅れるな!」

 

 「「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」」

 

 幾多の実戦を潜り抜けてきた彼等は鮮やかに一糸乱れぬ編隊を組み、再び地獄の坩堝と化した佐渡島へ突入していくのだった。

 

 VFS‐154“Black Knights”、VFS‐102“Diamondbacks”所属の烈風24機が続く。

 

 「Knight01よりBlack Knightsへ、ROCKSばかりにいい格好をさせるな」

 

 “Knight01”、154戦闘飛行隊隊長である“ヴィルフリート=アイヒベルガー”中佐が部下に発破をかける。

 

 「Viper01よりVipers、ちんたらやってる奴は飯抜きだ!!」

 

 “Viper01”、102戦闘飛行隊隊長“イヴァン=ルッキネリ”中佐も負けじと続く。

 

 CVW‐5所属3個戦闘飛行隊の烈風が全機無事発艦を終える。

 

 それらに続いてヤマトUの飛行甲板に現れたのは歴戦の古強者、“コスモタイガー六四型”だ。

 

 “第115攻撃飛行隊(VAS‐115)Eagles”所属機である老兵は聊かの衰えを感じさせる事も無く次々と発艦していった。

 

 「Eagle01からEaglesへ、“真打”の意地見せてやろうではないか!」

 

 Eagle01、第115攻撃飛行隊隊長“北村 開”中佐が部下を激励する。

 

 やがて12機の古兵は蒼空へと駆け上がって行く。

 

 

 【同時刻、ヤマトUブリッジ】

 

 

 「艦長、全艦載機発艦完了致しました!」

 

 土門艦長がオペレーターからの報告を受けていた。

 

 と、そこへ。

 

 「艦長、司令。日本帝国海軍の小沢提督から通信が入って来ましたが」

 

 通信士が古代と土門に伺いを立てる。

 

 「解った、メインパネルに映してくれ」

 

 古代が通信士に指示を与えた。

 

 「私は聯合艦隊司令、日本帝国海軍中将小沢です」

 

 「地球防衛軍第7機動艦隊司令、防衛軍中将古代 進であります」

 

 メインパネルに投影された小沢と名乗る提督の表情には無念の色が見て取れた。

 

 「最早敗残の将たる私が言える義理ではないが、日本を・・・・・いえ、人類をよろしくお願い致します」

 

 「仔細は承知しております、後事はお任せください」

 

 古代と土門は老提督に対し最大限の敬意を持って返礼するのだった。

 

 それに続くようにヤマトUのブリッジクルー全員が直立不動の防衛軍式敬礼で老提督を労う。

 

 小沢もまた敬礼で謝意を示した。

 

 「有難う、諸君等の武運を祈る」

 

 「感謝致します、無事の帰還を祈念致します」

 

 その言葉を最後に通信は終了した。

 

 そして古代は意を決し次なる命令を下す。

 

 「これより本艦隊は佐渡島への突入を開始する!!」

 

 それを受けて土門は操艦担当士官に指示を与えた。

 

 「波動エンジン最大戦速、目標佐渡島“甲21号ハイヴ”。ヤマトU、発進!!」

 

 「ヤマトU発進します!」

 

 操艦担当士官が復唱する。

 

 ヤマトUは愈々最大戦速で佐渡島への進撃を開始した。

 

 クラスター配置された計4基の統制型波動エンジンが咆哮を上げ基準質量12万5,000tもの巨躯を一気に最大戦闘速度へと押し込んでいく。

 

 それに続くのは俊足を持つ駆逐艦や巡洋艦で編成される水雷戦隊だ。

 

 改ヴァンガード級(紀伊級)戦艦“尾張”を中心にヴァンガード級戦艦で編成される戦艦部隊は光線級の射程ギリギリの地点まで進出、突入部隊への支援砲撃を実施すべく移動を開始する。

 

 ヤマトU級は本来戦略指揮戦艦として後方で全艦隊を指揮統括する役割を持つのだが機動艦隊その物の戦術的変換によって航空突撃戦艦の顔をも持つ事となった。

 

 要するに古代が意図したのは文字通りの“攻城戦”なのだ、ヤマトUその物が巨大な“破城槌”となり敵の“城砦”であるハイヴを護る防壁たるBETAの群を粉砕。

 

 その上で後続の上陸部隊が通る道を開通させるのが目的である。

 

 先程の第一撃目は島に取り残された国連軍、アメリカ軍、日本帝国軍を救出するために実施された“SAR(探索と救出)任務”の一環としての物であった。

 

 即ち心置きなく全力で戦う為の下地作りと言えるのだ。

 

 アメリカ、日本帝国及び国連軍は先刻退避、失意の内に戦場を後にした。

 

 それと入れ替わるように艦隊のほぼ半数を引きつれたヤマトUは一路佐渡島へと向かう。

 

 そう、理不尽なる侵略者共に引導を渡すために!

 

 

 

 

 

 宇宙戦艦ヤマト 2001ALTERNATIVE

 

 ACT1‐3佐渡島攻防戦3

 

 

 

 

 

 

 

 【12月24日 10:30 日本海上空】

 

 飛龍所属“第27攻撃飛行隊(VAS‐27)Royal Maces”と雲龍所属“第195攻撃飛行隊(VAS‐195)Dambusters”のSHA‐17サラマンダー重攻撃機、計32機が佐渡島に向かい飛行している。

 

 彼等は“沢崎鼻”方面から突入、真野湾を掠め“弾崎”へ突っ切るルートと“姫崎”方面から両津湾を横切り尖閣湾に抜けるルートに別れ突入を開始した。

 

 一方迎えるBETA側もいち早く戦力の建て直しを済ませていたらしく再び一面地が見えない程の数で埋め尽くされていた。

 

 「“Chippy01”よりChippysへ、一気に突入する。びびんじゃねぇぞ!」

 

 「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」」

 

 「“Meteor01”よりMeteorsへ、我々で総て喰らい尽くせ!!」

 

 「「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」」

 

 両隊は先陣を争うように切り込んで行った。

 

 光線級、重光線級や新種がいち早く迎撃に当たるものの32機のサラマンダーはそれすら意に介さず攻撃を開始。

 

 次々と“AGM‐999”空対地多弾頭ミサイルが発射されていく。

 

 再びBETAにとっての地獄絵図が始まった。

 

 またもや波動エネルギーが猛威を振るう。

 

 光線級のレーザーが運良く当たってもサラマンダーに施された重装甲と重力偏向磁場によって阻まれ完全に無力化されてしまうのだ。

 

 新種が放つEMPも全くの無力である。

 

 防衛軍側にしてみれば今まで常軌を逸した侵略者達と鎬を削ってきたのだ。

 

 当然想定しうるあらゆる脅威から機体やパイロットを保護し無事帰還させる為に長年の間腐心して来た。

 

 EMPや電子ウイルスによる攻撃そしてシステムへのハッキングは最も想定しやすい物の一つと言える。

 

 防衛軍の装備には漏れなく幾重もの対電磁波シールドや厳重なセキュリティ、そして強力なファイヤーウォールが施されているのだ。

 

 現在の所BETA側に対抗手段はない。

 

 ただ一方的な蹂躙を甘受する他は無いのだ。

 

 最早言うまでも無い事だが奴等に対する憐憫の感情を持つ者はただの一人も存在しない。

 

 奴等が人類に対して行ってきた事をそっくりそのまま返しているに過ぎないのだ。

 

 やがてサラマンダーはミサイルや爆弾を使い果たすと次は固定兵装による攻撃に切り替える。

 

 左右主翼に2門計4門の60mm速射衝撃砲と機首40mmガトリングパルスレーザー砲が一斉に火を噴く。

 

 その様は正に空飛ぶ“火蜥蜴(サラマンダー)”その物と言えた。

 

 毎分120発と言う圧倒的火力を持って恰も業務用掃除機の様に佐渡の大地を掃き清める。

 

 BETAと言う名の汚物を文字通り駆滅していくのだ。

 

 対するBETA側も光線級、重光線級そして新種が抵抗を試みるが自らの数百倍に相当する火力の前では所詮焼け石に水でしかない。

 

 やがて第27、195攻撃飛行隊が一通り攻撃を終え母艦へと帰投していくがそれと入れ替わるように今度はヤマトU所属の161、154、102戦闘飛行隊の烈風36機に115攻撃飛行隊のコスモタイガー六四型12機が殺到した。

 

 「ROCKS01からROCKRIVERSへ、奴等を一匹たりとも生かして島から出すな!!」

 

 「「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」」

 

 武の命令を受けるや真紅の雷光を垂直尾翼に纏った12機の猛禽が眼下の肉絨毯に猛然と襲い掛かった。

 

 他の飛行隊もそれに続く。

 

 更に飛龍所属第41、84、143戦闘飛行隊と雲龍所属第1、2、11戦闘飛行隊の烈風72機が更に追い討ちかけるべく突撃してくる。

 

 それから少し遅れて飛龍所属第34、185、93攻撃飛行隊と雲龍所属第35、52、64攻撃飛行隊のコスモタイガー六四型72機が鉄槌を打ち下ろさんと降下していく。

 

 やがて戦艦部隊からの支援砲撃が始まり20インチ衝撃砲から放たれるエネルギー弾がBETAの群を地獄の坩堝に叩きこむ。

 

 そこへ勇躍突入して来たのはヤマトU率いる突入部隊であった。

 

 

【真野湾上空11:05ヤマトUブリッジ】

 

 

 「艦長、全艦近接砲撃準備よし!」

 

 オペレーターが土門へ総ての準備が整った事を告げる。

 

 「解った。司令、全艦近接砲撃準備完了しました」

 

 それを受け、土門は古代に指示を仰ぐ。

 

 「うむ、全艦砲撃開始! 下等生物共に分を弁えさせよ!!」

 

 古代は間髪入れず攻撃命令を下した。

 

 「全艦砲撃開始!!」

 

 土門は砲術士官に指示を出す。

 

 「了解、撃(て)ーーーーーッ!」

 

 ついにヤマトUが装備する20インチ4連装衝撃砲計20門が一斉に火を噴いた。

 

 それに続くようにダンケルク級巡洋艦の15インチ衝撃砲やC型駆逐艦(バッヂB)の8インチ衝撃砲が恰も暴風雨の如く海岸線に殺到していた醜悪な肉塊を無慈悲に薙ぎ倒して行く。

 

 光線級や重光線級が放つレーザーも堅牢な神盾イージスの如く彼女達を守護する重力偏向磁場フィールドの前にその力を失う。

 

 それに対する返礼と言わんばかりにエネルギー弾の集中豪雨が再びBETAの群を完膚なきまでに粉砕していくのだった。

 

 

 【佐渡島旧市街上空 同時刻】

 

 

 上空では鋼鉄の猛禽達による宴が佳境を迎えていた。

 

 光線級や重光線級、そして新種の殆どを無力化されすでに哀れな獲物と成り果てたBETAの群は抗う術も無く只為すがままの蹂躙を享受する以外にない。

 

 さながらその光景は“鳥葬”の様にも見える。

 

 30mmパルスレーザーバルカンや波動弾頭装備型ミサイルが肉絨毯を切り裂き焼き尽くす。

 

 そんな中、武は冷徹なまでに状況を考察していた。

 

 今までの“シロガネ タケル”達が持つ情報を基にした場合、自分達の世界の技術レベルならばBETAを充分に殲滅可能だ。

 

 しかし、問題が一つ。

 

 即ち、BETAを創造した造物主たる“珪素生命体”の存在である。

 

 容易ならざる相手である事は充分に想像が付いた。

 

 あの銀河交錯すら引き起こすほどのテクノロジーを持つのだ。

 

 しかも彼等が何処の次元宇宙に存在しているのかさえ未だに解っていない。

 

 『見つからないのならば“引きずり出す”までだ』

 

 武は一人ごちた。

 

 その為には“この次元世界”の太陽系からBETAを一匹残らず駆逐する以外に無いのが現実と言える。

 

 自分達で無ければ対処不能な相手だと思わせる必要が有るのだ。

 

 『なら精々派手にやるさ!』

 

 声なき宣言の後トリガーを引き絞り眼前に蠢く汚物の集団をパルスレーザーで八つ裂きにしていった。

 

 

 【ヤマトUブリッジ 11:15】

 

 

 「艦長、ハイヴ上部モニュメントを破壊する。波動カートリッジ弾を使用せよ」

 

 「はっ、波動カートリッジ弾による砲撃を実施します!  砲術班、前部20インチ砲塔総てに波動カートリッジ弾装填砲撃準備に入れ!!」

 

 古代の指示を受け土門が砲術士官に命令を与える。

 

 「了解、砲撃準備にかかります!」

 

 砲術班長“上条 了”大尉が命令を復唱し実行に移した。

 

 ヤマトU前部に集中装備されている20インチ衝撃砲砲身に“Mk777 波動カートリッジ弾”が自動装填されて行く。

 

 このMk777は特殊な弾頭となっており着弾後まずは“第一弾頭”が炸裂し敵の装甲や外壁、そして間接防御区画を無力化させる。

 

 そして本命である“第二弾頭”が時間差で起爆、敵艦や要塞の内部を蹂躙するのだ。

 

 いわば嘗てディンギル帝国軍が使用していた“ハイパー放射ミサイル”の技術を応用した物であり現在防衛軍の使用する対艦、対要塞兵器への弾頭搭載が進んでいる。

 

 「前部一番二番、三番四番五番砲塔装填完了、砲撃準備ヨシ!」

 

 「誤差修正プラス0.3、目標ハイヴ上部モニュメント。艦長、砲撃準備完了致しました!」

 

 報告を受けるや土門は上条に命令を下した。

 

 「よし! 一番、五番、三番、四番、二番の順で砲撃開始、全弾必中を期せ!!」

 

 「了解、各砲塔一番、五番、三番、四番、二番の順で砲撃を開始せよ!!」

 

 「各砲塔了解、砲撃を開始致します!」

 

 「一番砲、撃てッ!!!」

 

 その瞬間、ヤマトU上部甲板にある“第一砲塔”の20インチ砲4門からエネルギー弾とは違う光が奔り空気を切り裂く轟音が鳴り響いた。

 

 続いて下部甲板の第五砲塔、右側面の第三砲塔、左側面の第四砲塔、そして上部甲板第二砲塔が立て続けに発砲、周囲に砲声が轟く。

 

 計20発のMk777波動カートリッジ弾は音速をも遙に超えるスピードでハイヴ外壁に叩きこまれる。

 

 その瞬間第一弾頭が炸裂、ハイヴの外壁を無力化させながら内部に捻じ込まれて行く。

 

 そしてモニュメント内部で第二弾頭が爆発、波動エネルギーの奔流が周囲を押し流し破砕する。

 

 かくして長きに亘って人類に絶望を突きつけてきたBETAの象徴とも言えるハイヴのモニュメントは恰も内部を爆破された高層ビルの如く音を立てて崩れ去った。

 

 この世界に生きる人々が絶望の中で待ち望んだ瞬間でもある。

 

 しかし、戦いはまだ終わったわけではない。

 

 「フェイズ2完了、これより作戦はフェイズ3に移行。揚陸部隊に発令“ビッグ・レッド・ワン”を上陸させよ!」

 

 古代は通信士官に命じ空間騎兵隊の投入を指示した。

 

 やがてメインパネルに歴戦の兵だけが纏えるオーラを発する一人の漢(おとこ)が映し出される。

 

 “第一空間騎兵師団”、通称“ビッグ・レッド・ワン”を率いる“古野間 卓”少将であった。

 

 その表情にも幾多の修羅場を潜り抜けてきた古強者だけが持つ威厳がある。

 

 現在強襲揚陸艦“桶狭間”に指揮所を設け上陸作戦開始を今や遅しと待ちわびていたのである。

 

 「待ち草臥れましたぜ司令、愈々上陸ですかい」

 

 不敵な笑みを浮かべ古野間は師団の上陸準備が完了している事を伝えた。

 

 「それはすまなかった、早速だが第一師団を佐渡へ上陸させて欲しい。詳細はデータを送るが大雑把に言うと主にハイヴの制圧をやってもらう」

 

 古代も悪びれる事無く手短に用件を伝える。

 

 「了解、お安い御用です」

 

 「師団長、“反応炉”は必ず破壊してくれ。まだ奴等に我々の手の内を見せる訳にはいかないからな」

 

 「解りました、今夜のパーティまでには制圧して見せますよ」

 

 「ああ、それだがうちの給養長からの伝言で“七面鳥を無駄にするな”だそうだ。頼む」

 

 かくして通信終了と同時に作戦も“フェイズ3”に突入したのである。

 

 

 

 【LPCS‐101“EFS桶狭間”内、第一空間騎兵師団指揮所 11:25】

 

 

 「やっと出番か、剛田を呼び出せ」

 

 「了解」

 

 そして通信用スクリーンにはふてぶてしいまでの表情で仁王立ちしている男の姿があった。

 

 “剛田 城二”中佐“第一空間騎兵師団 第7装甲歩兵大隊”を率いる猛者である。

 

 嘗て“ガトランティス戦役”時勇名を馳せた故“斉藤 始”中佐(戦死による二階級特進)以来の傑物として空間騎兵隊内に於いて一目置かれる人物だ。

 

 彼の表情は如何にもアドレナリンが無駄に漲っているのがスクリーン越しからでも良くわかる。

 

 「おう、元気そうじゃねぇか中佐」

 

 古野間も良く解っているらしく何時もの調子で指示を与える。

 

 「師団長、皆痺れ切らしてますぜ」

 

 剛田は目を血走らせながらも冷静(?)に出撃許可を求めた。

 

 「わかった、仔細はヤマトUからのデータを確認しろ。存分に暴れて来い」

 

 「了解であります!」

 

 手短に用件のみを伝え通信を終わらせる。

 

 そう、これからは時間との勝負になるからだ。

 

 「さあて、こちらも行くか。指揮車に俺の“10式”を積み込め」

 

 「はっ!」

 

 古野間は近くにいる副官に声をかけ指揮所を後にした。

 

 

 

 【LPCS‐102 “EFSテルモピュライ”格納庫 11:30】

 

 

 「傾注!!」

 

 そこには2m以上にも及ぶ巨大な甲冑が居並ぶ。

 

 “10式重装甲服”、所謂パワード・スーツである。

 

 それを纏う選りすぐりの狂戦士達、“第7装甲歩兵大隊”の精鋭が今や遅しと命令を待っていた。

 

 その場に現れた大隊長である剛田もまた10式に身を包んでいる。

 

 そして良く通る声で怒号のような訓示を始めた。

 

 「我々はこれより敵陣の本丸に攻め入る、立ちはだかる汚物共は総て排除しろ! 銃剣で切り裂きレールガンで蜂の巣にしてしまえ! ソル・ガンで消し炭に変え重力子砲で塵芥に帰せ!!」

 

 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「応ッ!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 「いいか、奴等には何一つ与えるな! 奴等から総てを奪い去れ! 支配者面の汚物共に犠牲を、出血を強要してやれ!! 雌豚共貴様等は防衛軍を愛しているか!?」

 

 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「生涯忠誠! 命懸けて!! 闘魂! 闘魂!! 闘魂!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 「さあ答えろ雌豚共、貴様等は何者だ!!?」

 

 「「「「「「「「「「「我等第7装甲歩兵大隊、“ビッグ・レッド・ワン”の尖兵、剣の切先なり!!」」」」」」」」」」」

 

 「上等だ、雌豚共! さあ、戦争の時間ださっさと乗り込め!!」

 

 出陣前の儀式を終えた第7装甲歩兵大隊の兵士達が続々と“09式SLC グリフォンMk‐V”強襲降下艇に乗り込んでいく。

 

 全員の搭乗を確認するやグリフォンMk‐Vのハッチが閉じ同時に格納庫のゲートが開いた。

 

 そこには地獄が待ち受けているのだった。

 

 

 

 

 

 

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 宇宙戦艦ヤマト 2001ALTERNATIVEの第3話でございます。
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