真・恋姫無双紅竜王伝定軍山の戦い編A〜平和なひと時・戦いへの狼煙〜
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「愛紗、いいのか?」

「はい、やってください」

愛紗と舞人がいるのは許昌城王宮内にある愛紗に与えられた大将軍邸の一室。大きな鏡台のまえで長い黒髪を下した愛紗と、その後ろに愛刀『雲台仲華』を携えた舞人が立っていた。

「いくぞ」

舞人は神妙な顔つきで刀を構え、愛紗は目をつぶって静かにその時を待つ。そして―――

「はっ!」

刀を一閃させ、彼女の長く美しい黒髪がはらりと床に落ちる。鏡に映る彼女の髪は、肩までバッサリと斬られていた。

「これよりお前の名は関平、真名は愛華(あいか)だ」

「・・・関平、『関(漢)』を『平』和に、という意味ですか・・・」

愛紗―――いや、愛華は何度もその名を口の中で繰り返し、納得したようにうなずいた。

「織田大将軍閣下。この関平、漢の平和の為、ひいては民の平穏の為にこの武を奮わせていただきます!」

「・・・今さらながら聞くが、劉備は、いいのか?」

彼女の決意を疑うようなことはしたくはなかったが、それでも舞人は聞かずにはいられなかった。かつて死すらともにしようと誓った彼女たちを裏切る行為になりかねないのだ。

「・・・舞人殿に降った当初は、私の胸にあるのは『早く桃香様のもとに帰りたい』という想いだけでした」

それが変わっていったのは、皇帝・劉協や彼女を操っていると思われていた華琳達との交流。合肥合戦や天和城合戦での魏軍の将との共闘。そして―――

「・・・そして?」

「・・・な、内緒です」

愛華はこちらを見上げて頬を染めながら「それでは陛下たちに御挨拶をしてくるので・・・」とそそくさと去って行き、部屋にはポカンとした間抜け面の舞人だけが残された。

「・・・なんなんだ?」

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「・・・陛下が?」

「はい、おそらく間違いはないかと・・・」

その頃華琳は、戦勝報告のため訪れていた許昌城の自室に訪れた女官長からある報告を受け取っていた。

「あら、おめでたい事じゃない。陛下のご懐妊なんて」

「ええ。まったく・・・やっと陛下のお気持ちがあの方に伝わったというか・・・」

華琳は手を打って微笑み、女官長は肩の荷が下りたとばかりに溜息をつく。

「ふふっ、それにしても陛下に先を越されてしまったわね。この曹孟徳ともあろうものが」

「あら、丞相閣下も織田様を狙っておられたので?」

「ふふ、どうかしら?・・・それはともかく、早急にお子様の為の準備を整えなくては・・・こんな忙しさなら、いつでも歓迎なのにね」

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しかし、そんな穏やかな日々も長くは続かなかった。益州を制した劉備が南蛮をも平定し、いよいよ魏を討つべく軍を北へ向けた。黄忠を先鋒大将とした蜀軍は交通の要所にして、前漢の創始者・劉邦の本拠地であった漢中を制圧すべく軍を進める。

それに対して魏の与党である張魯は、弟の張衛を大将に要所・陽平関を守らせると同時に援軍を求める使者を魏軍に向けて走らせた。

 

 

―――しかし―――

 

 

燃えさかる張魯居城・南鄭城。そして大将として派遣したはずの弟に追い詰められる五斗米道師君・張魯の姿がそこにはあった。

「張衛貴様・・・自分がしようとしている事がわかっておるのか!」

訴える兄に弟―――張衛は冷笑を浮かべる。

「漢中は私が守ってみせます。曹操にも、ましてや織田にも頼らず、ね。兄上には退場していただきましょう―――この世からね」

「ま、待て―――」

「放て」

張衛の号令とともに放たれた矢が、張魯を冥府へと旅立たせた。

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「私は漢中を守る・・・我は劉備殿にお味方し、夏候淵殿には生贄になっていただきましょう」

説明
皆さんアンケートありがとうございました!第2話です!そろそろ就職活動が足音を立てて近づいてきます。恐ろしいですね・・・
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コメント
執筆お疲れ様です。愛紗は取れましたか・・・此処で秋蘭を助けるかどうかが分かれ目に・・・助ける事が出来れば、原作の魏√ 愛紗と有利に。討たれれば愛紗は取った者の最古参を失いやや不利に・・・此処がまさしく舞人にとっての桶狭間・・・ 次作期待(クォーツ)
他と違った関羽が見れて良かったです。この調子で頑張ってください(流狼人)
ふむ、やはり一筋縄ではいきませんよねぇ・・・・さて、舞人達はどうでるのか?ほんでこれによって桃華がつけ上がらなければ良いのですが・・・・ 愛紗はやっぱりこうなりましたか、しかも既に舞人にwwwww(峠崎丈二)
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