目の前の人物の自己紹介を聞いた一刀は・・唖然としていた。

一刀（趙雲・・？ 趙雲って・・あの、三国志の・・？ でもあの人ってたしか男・・けどこの人が嘘を言ってるようじゃなさそうだし・・けどどう見ても女・・）

趙雲「どうしました？ 鳩が豆鉄砲喰らったような顔して。」

一刀「あ・・い、いや、なんでもないよ・・趙雲・・さん。」

趙雲「・・？」

「星ちゃーん。」

　どこからか幼い声が聞こえてくる。

一刀「ん？」

　目を向けると、頭に人形を乗せた金髪の女の子と、眼鏡をかけた女性が向かってきた。

趙雲「おお、風に稟か。」

「星殿、どうしたのですか、いきなり走って。」

「おや？誰ですか？そのお兄さんは。」

趙雲「ああ、先ほど賊を追い払った人でな。」

一刀「北郷一刀といいます。」

「性が本、名が郷、字が一刀ですか？」

一刀「あ、いや、性が北郷で名が一刀、字は無いよ。」

　眼鏡の言葉に対して訂正する一刀。

「字が無い？」

「それはまた、変わってますねえ〜。風は程�cと申します〜。」

「私は郭嘉と申します。」

　それを聞いた一刀はさらに愕然、二人共三国志の人物の名前だったから。そして、一刀はある一つの結論へたどり着く。

一刀（パラレルワールド・・か？）

趙雲「ところで、北郷殿。」

一刀「ん？」

趙雲「先程の武を拝見させていただいたが、なかなかのようだ、私と一つ、手合わせをしてもらいたい。」

一刀「え？」

趙雲「どうだろうか？」

郭嘉「そうですか？その手甲と足甲は変っていますが、北郷殿自身は、そんなに強そうに見えませんが。」

程�c「まあ人は見かけによりませんからね〜。」

一刀「いいよ、手合わせは嫌いじゃないしね。」

　実は一刀、結構好きである。

趙雲「では、稟、審判を頼みたい。」

郭嘉「わかりました、それでは−」

　星は自らの武器、龍牙を、一刀は迦楼羅を構える。

郭嘉「始め！！」

趙雲「はあ！！」

　まずは趙雲が突きを放つ。

一刀「ふっ！！」

　一刀は左手の迦楼羅で受け流し、右回し蹴りを放つ。

趙雲「ぬっ！」

ブンッ　

　趙雲はそれを避け−

趙雲「はっ！」

　一刀の軸足を払おうとする。

一刀「はっ」

トンッ

　しかし一刀は、片足のバク転でよけ、体勢を立て直す。

趙雲「今のを避けるとは・・」

一刀（こりゃあ・・少し本気を出すか。）

趙雲「ん・・？」

　一刀の両手に青白い気の光が灯る。そして、一刀は両手を合わせてさらに気を溜め−

一刀「喰らえ！青龍鱗！！」

ズドオオォーーー！！！

　一気に前方に放つ。

趙雲「な！！」

ドガアアアーーン！！

趙雲「ぬう！！」

　趙雲はそれを避けるが、足元で大爆発を起こした為、体勢を崩す。なんとか体勢を立て直すが−

一刀「終わりだ。」

　いつの間にか一刀が趙雲の後ろに回りこみ、首筋に迦楼羅のブレード（ドラゴン�]クロウについてる三つの棘）を当てる。

郭嘉「そこまで！！」

　一刀は趙雲から離れる。

趙雲「いや、お見事、まさかこの私がこうも圧倒されるとは・・」

一刀「いえ、それほどでも・・」

趙雲「ご謙遜を・・どうやら、あなたは信頼できるようだ、あなたに私の真名を授けよう。」

一刀「え？真名・・？」

　一刀は真名の説明を受けた。真名とは、個人が持つもう一つの名前で、許可無く呼べば首をはねられても文句は言えないらしい。一刀は思った。

一刀（こりゃうかつに名前を呼べないな。）

趙雲「私の真名は星です。」

程�c「では風も、真名は風です、よろしく。」

郭嘉「二人が教えるのであれば・・私の真名は稟です、よろしく。」

一刀「俺には真名は無いから・・一刀と呼んでくれ。」

星「承知しました。一刀殿。」

　こうして、一刀は三人から真名を授かった。