極楽幻想郷(紅) その2
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時間にして数分前。

 

彗星の如く幻想郷の空を切り裂く一筋の閃光は徐々に速度を増してゆく。

 

箒に跨った魔理沙は高らかに声を上げた。

 

「今日の私は調子がいいぞ!ピチュリたい奴から前に出てきな!」

 

「ま、魔理沙ー! スピード、スピード落とせ! お、落ち……アーッ!」

 

箒の先を掴みレーザーに焼かれる横島を気にせず魔理沙は箒の舵を取る。

 

しかし、ふと箒が軽くなったことに気付いて後ろを向くとそこには横島の姿が無かった。

 

あれ? と一瞬魔理沙の思考が止まりキョロキョロと辺りを見回す。

 

上空を飛ぶ箒よりかなり下の位置に、横島は落下していた。

 

「あ」

 

気付いた時には既に横島は地面へと激突する瞬間だった。

 

間に合わない、と判断した魔理沙は両手を合わせ……

 

「すまん。安らかに眠ってくれ……」

 

「少しは助けようとする努力をせんか……ぐへぇぁっ!?」

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極 楽 幻 想 郷 (紅)

紅魔郷編 リプレイ その2

 

 

真昼間だと言うのに薄暗く感じる日の光が入ってこないような森に横島は呆然と佇んでいた。

 

正確には地面に人型の穴を空け、そこから這い上がって休憩中なだけであるが。

 

「あー死ぬかと思った……。

 

たく、頭の中に爆弾がある訳でもないのになんで落とされなあかんのや……」

 

ボタン一つで簡単に落とされる自分を想像してブルリと震える。

 

あかんあかん、と気持ちを辺りを見回す。

 

とにかく周りは手入れもまるで入っておらず人が歩けるような道は見えないし、そもそも無い。

 

あちこちが草と木だけと言う状況に横島は深く溜め息を吐いた。

 

「あぁ……高いとこから落とされるシチュってのはやっぱ悪い事ばっかや……。

 

まぁ今回は地面に埋まっただけだからマシだよなぁ」

 

一番キツかったのは大気圏突入だし、と呟き立ち上がる。

 

幸いと言うか何と言うか、魔理沙からそんなに離れていないらしく少し耳を澄ませば魔理沙の声が聞こえてくる。

 

横島を待って少々スピードを落としてくれている……なんてことは無いと思うので素直に声が聞こえる方へと進路を取った。

 

「おーい魔理沙ー返事してくれー! お兄さん寂しくて死んじゃうぞー」

 

「ここに居るぜー。あと誰がお兄さんだ」

 

遠くから聞こえてくる魔理沙の野次を確認し、そのまま進む。

 

こうやって適度に叫んだりしてれば声が途切れたりはしないだろうと浅はかな考えによって、それは現れた。

 

「って、なんだあの黒玉は……?」

 

歩いているとフヨフヨと森の中を漂う黒い塊?と遭遇し思わず一歩下がる。

 

そして狙ったかのように魔理沙の声が聞こえてきた。

 

「言い忘れてたけどその森に人喰い妖怪がいるぜー」

 

「先にそれを言わんかい!?」

 

絶対これだー!? と叫びたくなるくらい目の前の黒玉を凝視する横島。

 

触らぬ神に祟りなし、ということなのでそろりそろりと慎重にその場を後にしようとした時ベキッと嫌な音が周囲に響く。

 

「……あ」

 

足元をみると、僅かながらも枝を踏んづけ、そのまま圧し折っていた。

 

こうなってしまえば後の祭り。音を聞きつけた黒玉がぐるりと反転して横島へと向かってくる。

 

「のわぁっ!?」

 

無茶な姿勢で避けてそのまま木へと頭突きして頭を押さえていると、黒玉から少女が現れる。

 

「ねぇ、あなたは食べていい人類?」

 

「どちらかと言うと食べたらお腹を壊す方だと思います! ほらイカ臭いし!」

 

言ってて悲しくなるがな! と心の中で呟くも、顔から汗をダラダラ流しながら穏便に済ませようと後ずさる。

 

「臭いお肉は焼けば何とか食べれるって巫女から聞いたことがあるわよ?」

 

「あんの腋モロ巫女なんつぅ事を教えやがったんやぁっ!?」

 

ガブリッ! からスライスされて焼き肉状態という恐ろしい想像をした横島はブンブン首を振る。

 

そのまま背後の木にぶつかることも気にせず、思いっきり後退する。

 

ジリジリと近寄ってくる妖怪少女に横島は待ったを掛けた。

 

「ストーップ! 俺を食べたって美味しくないぞ! 考え直せ!

 

吉牛の牛丼を三杯まで奢るから!」

 

「……それって、外のご飯?」

 

「おうとも! 安い美味い早いの三拍子を揃えた庶民の味方!

 

今なら更に味噌汁もお新香も付けるから見逃して!」

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ゴクリ、と少女の姿をした妖怪は喉を鳴らした。

 

横島としてみればこのまま見逃してもらえば儲けものなのだが、そうはいかなかった。

 

「……十杯」

 

「……何?」

 

「牛丼……十杯で手を打つよ?」

 

じゃなきゃあなたを食べちゃう、と妖怪少女は瞳の奥でそう語る。

 

原作終了後も給料がそんなに上がらず財政がピンチな横島にとって、それは地獄に突き落とすかのような絶望を呼び込む一言だった。

 

だが、今まさに命が掛っている状況下で出し惜しみはしてはいけない。

 

「……四杯」

 

「えー、じゃぁ九杯」

 

「……五杯だ、これで勘弁してくれ! というかお願いします!」

 

「えぇーどうしようかなー?」

 

生活面にしても命を掛けた交渉は熾烈極まりなく――

 

ついには吉牛の牛丼六杯+味噌汁お新香付きで収まったのであった。

 

「悪魔やぁ……ここに悪魔がおるぅ……」

 

「私は妖怪だよ♪

 

じゃーねー人間さん。今度会ったら吉牛を奢ってねー♪」

 

えっぐえっぐと財布の中身を見て泣き喚く横島を、妖怪少女は満足げに眺め上機嫌でその場を後にした。

 

 

 

「よう、案外に遅かったじゃないか」

 

「意外だな……置いて行かれると思ってたぞ」

 

森を出てすぐに上空から声がかけられる。

 

そこには箒に跨った魔理沙が手を振っていた。

 

「何、落とした荷物を拾いに来ただけだぜ」

 

「だったらそのまま下に降りて来たら良かったやないか……」

 

「森の中は箒で移動し辛くてな。お前だったら無事に来てくれると信じてたぜ」

 

「その台詞は正面を見て言ってくれ」

 

顔を背けて言った魔理沙の台詞にジト目で返しながら横島は頭を掻いた。

 

「取りあえず高度を下げてくれ。俺が乗れないから」

 

「何だ? お前も跨るのか?」

 

「股が痛いからパス。

にしても、俺の知ってる魔女でも箒に腰かけて空飛んでるのによく跨っていられるな」

 

「なに、ドロワーズの下に中敷きパッドを縫い付けてるだけだぜ、ほら」

 

チラリとスカートを捲って魔理沙はウィンクする。

 

一瞬横島がおぉっ!? 反応しかけたが、すぐさま取り繕い慌てて魔理沙を叱った。

 

「女の子がそんなはしたない真似をするんじゃない!」

 

「……煩悩の塊のお前に言われるとは私も思わなかったぜ」

 

横島の反応に呆然としながらも、魔理沙は顔を赤らめながら静かに高度を下げる。

 

どうやらやってみて後悔したらしい。

 

横島を箒に乗せて、魔理沙は森を飛び立った。

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あ と が き

 

うーん……うまく横島や魔理沙を表現できたらいいなぁ……。

 

作者は紅魔郷Easyでもコンティニュー2回ぐらい使わないと咲夜さんまでたどり着けなかったヘタレシューターです。Nomalもクリアできねぇw

 

ご感想、できればお待ちしています。

説明
投稿は一カ月に三本ぐらい上げられたらいいなぁ……努力はしますが期待はしないでください。
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コメント
なんだよ……魔理沙かわいいじゃないか……(スカートちらりのやつ)。どうもこんにちは。初めてコメント書きます。横島の幻想入り作品、少ないですよねー。しかもどれも続きが気になり奴ばっかりで。次回も期待してます!(K-999)
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