真・恋姫無双 刀香譚 〜双天王記〜 第六話 前編
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 「じゃあ、また旅に出るんだ」

 

 一刀が目の前の三人に問いかける。

 

 「ええ。私と風はもともと、?州の曹操様に仕官するつもりでしたので」

 

 「そうか、華琳に。なるほど、彼女なら主君として申し分ないだろな」

 

 「あの〜、今のは曹操さんの真名でしょうか?」

 

 「ああ。私塾時代の友人でね。何でか俺を気に入ってくれて、預けてくれたんだ」

 

 「はあ・・・」

 

 呆気にとられる、稟と風。

 

 「それで、趙雲さんは?」

 

 「私はこの二人を?州まで送ってから、また旅に出るつもりです」

 

 「惜しいな。出来ればその武、うちで振るって欲しかったんだが」

 

 白蓮が残念そうに言う。

 

 「それは光栄ですな。・・・まあ、私としては、公孫賛殿より、そちらの御仁が気にはなりますが」

 

 一刀を見る趙雲。

 

 「俺?俺に仕えたって、たいしたことは出来ないよ?」

 

 「ふふ。まあ、そういうことにしておきましょうか」

 

 

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 趙雲たちを見送った一刀たちは、そのまま、幽州へと帰還した。

 

 その三日後、今度は涼州へ戻る華雄を、みんなで見送っていた、その時だった。

 

 幽州の牧、劉虞から送られてきた早馬の知らせで、隣接する併州が賊徒に制圧されたと聞かされた。

 

 小さいとはいえ、州一つを制圧する規模の賊である。

 

 一刀たちはすぐさま、賊徒鎮圧に乗りだした。

 

 最後にもう一働きさせてもらう、と華雄も協力してくれることになり、翌日、白蓮と一刀率いる三万の軍勢が北平を出立した。

 

 その途中で劉虞率いる二万と合流し、総勢五万が、併州に入った。

 

 だが、

 

 「なんか、抵抗らしい抵抗もなく、ここまで来ちゃったんだけど」

 

 桃香の言うとおり、併州に入ってから、ここ、州都に至るまで、賊軍は全く現れなかった。

 

 「周辺に斥候を放ってるから、状況はすぐにわかると思う。けど問題は・・・」

 

 「ああ、城に立つ旗だな。・・・なぜ、ここにあの旗がある」

 

 一刀たちの視界に映る、城に立てられた旗には、信じられない文字が書かれていた。

 

 黒地に赤でかかれたその文字は、「徐」。

 

 「義兄上、あの旗と字をご存知で?」

 

 愛紗が一刀に問う。

 

 「ああ、よーく、ね」

 

 「・・・あれ、輝里(かがり)ちゃんの旗だよね?」

 

 「間違いない。・・・徐庶元直だ」

 

 

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 併州城の城門前。

 

 その上に立つ人物に、一刀が声をかける。

 

 「輝里!!これはどういうことだ!!」

 

 「・・・見てわからない?この城は私が貰ったの」

 

 その人物、青い装束をまとう、黒髪の女性が、一刀に答える。

 

 「輝里よ!!賊を率いて城を乗っ取るなど、気でもふれたのか!!」

 

 今度は白蓮が、徐庶に対して叫ぶ。

 

 「・・・私は正気よ。・・・白蓮、いえ、公孫賛伯珪、そして劉翔北辰。ならびに全ての幽州の軍に告げる。この城に住む者たちの命が惜しくば、そこにいる劉虞の首を差し出しなさい。返答の期限は日没まで。いいわね?」

 

 それだけ言って引っ込む徐庶。

 

 「輝里!!おい待て!!」

 

 「・・・劉虞どの、何か心当たりは?」

 

 「な、何じゃその目は。わしは何もしとらんぞ!!あんな女、見たこともない!!」

 

 あからさまに狼狽する劉虞。

 

 「・・・どちらにせよ、何か対策を立てないとな。相手はあの輝里だ。生半可な手じゃ通用しない」

 

 「斥候が戻ってきたら、すぐに軍議を開く。愛紗、陣を」

 

 「は!!」

 

 走り去る愛紗。

 

 「さて、その前に」

 

 くるりと、劉虞のほうを向く一刀。

 

 「洗いざらいしゃべってもらいますよ?劉虞殿?」

 

 冷徹な顔を劉虞に向ける一刀。

 

 「あ、いや、その、じゃな」

 

 おろおろとする劉虞。

 

 日はいまだ中天にあった。

 

 

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 あとがき

 

 さて、時間がなくて短いですが、六話の投稿です。

 

 風と稟はやっぱり華琳のところに行かせることにしました。

 

 星はもう少し後で、仲間に入る予定です。

 

 

 で、賊徒討伐に来たはずなのに、とんでもないのと再会した一刀たち。

 

 果たしてその真意とは。

 

 劉虞との因縁とは一体?

 

 

 

 第七話で、またお会いしましょう。

 

 それでは。

 

 ご意見ご感想、お待ちしております。

 

 

説明
刀香譚、六話です。
 
黄巾の乱が終結し、幽州へと戻った一刀たち。

そこにもたらされた一報。

歴史が動き始めます。

では、駄文の世界へ逝きましょう。
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コメント
先に 北朝の更新版を読んだのだが?  一部 共通してるのか(qisheng)
gemさま、わざわざありがとうございます。お楽しみに、です。(狭乃 狼)
更新お疲れ様です。前話での感想は、私の台詞読み込み不足からの勘違いでした。大変な失礼を。改めて今話の感想です。史実や演義は無学故存じないですが劉虞が何かやらかした様子。一刀と桃香、白蓮も除庶とも深い友好があるようで今後が気になります。では次回更新を楽しみにしています。(gem)
はりまえさま、一刀は外道には容赦しませんよ。(狭乃 狼)
マフェリアさま、もちょっとおまちを。(狭乃 狼)
腹黒くなっていく今日この頃な一刀君。日は明るいが拷問された人は嵐のごとく厳しいよ。(黄昏☆ハリマエ)
急展開になってきましたね。次回の更新が待ち遠しい(マフェリア)
hokuhinさま、演義ですね。いいとこつくな〜www(狭乃 狼)
砂のお城様、って、桃香のオンドゥルですかwwまあ、どっかで出ますよ。一刀がいるんだしww(狭乃 狼)
徐庶が登場しましたが、なにか裏があるのかな(まあ演技の徐庶はヤクザ者だったらしいからこういうこともやりそうだが・・・)(hokuhin)
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