真・恋姫†無双 外伝 蓮樹伝 第二章 幕間 ‐1‐
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真・恋姫†無双 外伝 蓮の元に降りし御遣い

 

 

 

第二章 幕間 『北郷家と時雨家』

 

 

 

 

 

 

古くから日本の重鎮として名を馳せている二つの名家が存在していた。

その名家の名は北郷家と時雨家という……

 

 

 

 

北郷家は先祖代々より男系家族として続いており、

武に携わる者からは絶大な影響を持っている表の名家として崇められている。

 

 

 

 

しかし、孫の世代にて北郷家に初めての女子が生まれたのが事の始まりだった。

 

 

 

 

一般家庭であれば、子供が生まれればおめでたい事であるが北郷家ではそうはいかなかった。

それは、北郷家においては女子禁制というしきたりがある。

 

 

 

 

何人たりとも、女児を道場に入れる事を禁ず。

 

 

何人たりとも、女児に敷居を跨がせる事を禁ず。

 

 

何人たりとも、女児と同居する事を禁ず。

 

 

掟を破りし者は、破門なり。

 

 

 

 

 

女児が生まれる事で、禁を破ってしまう事に恐れた北郷家の一面はこの事実を隠蔽することにした。

徹底的に男子として育て、義務教育が終われば全寮制に移して事実上の本家からの追放であった。

更には、男子として生まれし時につける名であった『 一刀 』と命名させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その同時期に、時雨家でも男児が生まれた。

裏の世界では名家として通っているが、表の世界では一般家庭なのである。

 

 

 

女系家族の中で唯一の男児な為に、過保護な程に育てられていた。

そんな中で、時雨家の息子である時雨樹夜の身に不幸が襲いかかる。

 

 

 

裏の世界に携わる者から畏怖の存在として知られている。

時雨家には逆らうなというのが、暗黙の了解で通っていた。

 

 

 

とある表の名家が権力に過信してしまい、時雨家の息子を拉致したのがきっかけだった。

時雨家の面々は息子が帰ってこない事を心配していた矢先に、犯人らしき人物から脅迫文が届く

 

 

 

時雨家の面々は、息子が拉致された事を知ると行動に移していた。

翌日には、何事も無かったように生活をしている。

 

 

 

 

その当時の樹夜は、自分の身に何が起こったかすら覚えていない。

 

 

 

 

犯行をおかした名家は一家心中したという記事が新聞に大見出しで踊っていた。

 

 

 

 

 

警察も最初は名家が突然の一家心中という事で事件性があるではないかと疑ったが……

それらしき証拠も見当たらないので、捜査は打ち切りとなり迷宮入りとなった。

 

 

 

 

 

 

事件というのは時代の波に埋もれて、静かに風化していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数年後……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれれ……学園へ行く道はどこだったかなぁ……地図無くしちゃったし、どうしよ……」

 

 

私は道に迷っていた。それは、生まれてから屋敷の外にあまり出た事がないからだ。

可笑しいと思うかもしれないけど、これが現実であり方向音痴ではなく地理に疎いだけ。

どうしたものかと、ひとりで考え込んでいたら見覚えのある青年に声をかけられた。

 

 

「んっ? 道に迷ってるんか?」

 

「お、おぅ。ちょっとな、聖フランチェスカ学園へ行く地図を無くしちまってな……あっははは、はぁ〜……」

 

 

私は危なく女口調で喋りそうだったので、言葉に詰まってしまったが何とか誤魔化せた。

 

 

 

「それなら、一緒に行くか? 俺も今年からそこに通うから、仲良うしてな♪

 名前は時雨 樹夜っていうんや。気軽に樹夜って呼んでな!」

 

「あ、ありがとな。樹夜、これからもよろしく頼む。俺の名前は、北郷一刀だ。

 呼ぶ時は、一刀でかまわないからな」

 

 

 

 

 

 

 

この出会いが、私が幼い頃に親に内緒で遊んでいた少年、時雨 樹夜との再会であった。

 

 

 

 

 

貴方は覚えていますか? 子供の頃に約束した、秘密の誓いを……

 

 

 

 

 

貴方は私を忘れている様ですが、私は覚えています……

 

 

 

 

 

一人で寂しく泣きじゃくっていた私を見て……

 

 

 

 

 

『ほら、この飴ちゃんやるから泣きやみ? 僕の魔法の飴ちゃんや、めっちゃおいしいんやで♪』

 

『うん……ありがと。この飴……甘くておいしいね』

 

 

 

 

 

貴方の優しさが、飴玉の様に甘く溶けだして私の心に染みわたる……

 

 

 

 

貴方の笑顔が忘れられない……そして、この想いも……

 

 

 

 

だから、あの時の誓いが嬉しかった。 子供の頃の口約束でも……

 

 

 

 

『俺、『‐‐‐』の事、好きや!! だから、大きくなったら結婚してほしいんや』

 

『私も樹夜の事が大好きだよっ!!』

 

『ずっと、俺の傍でいてや?』

 

『うん!! 樹夜の事、絶対に放さないから!!』

 

 

 

 

 

あれから、家の都合で離れてしまう事になったけど……

数年ほど経ってから、樹夜が入学するであろう学園にやってきた。

 

 

偶然とはいえ、早くも樹夜と再会できたけど私の事を忘れてるなんて……

思い出すまで、『‐‐‐』って呼ばせてあげないんだから。

 

 

 

 

「一刀? 何や、考え事か?」

 

「いや、何でもない。ただ、これからの学園生活を考えていただけだ」

 

「そかそか……まっ、退屈せんですむのは間違いないは俺がおるからな!!あっははは!!」

 

「なんだよそれ……でも、樹夜と一緒なら楽しみではあるかな……」

 

 

 

 

私は、一人呟く。これからの学園生活を思い描いて……

 

 

 

 

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- 聖フランチェスカ学園 -

 

 

 

樹夜と学園で再会してから1年が経ち、

再会して以降も、以前のように仲良くしているのだが……

 

 

私は、未だに『‐‐‐』であるという事を隠していた。

 

 

何故かというと、男友達として仲良くなった事もあり言い出すタイミングが遅れたのだ。

それに、ずっと隠していた事を樹夜に喋ったら、親友関係が崩れるのではないかと……

 

 

仲良く一緒に遊ぶ親友で居たい……でも、子供の頃の関係にも戻りたい……

 

 

第二次成長期を過ぎると、どうであれ自分が女だという事がばれてしまう。

服装やら髪型などでごまかしてるが、ばれるのも時間の問題だ。

 

 

このまま隠し続けるのは無理だという事はわかっている。

だけど、本当の事を話すのが怖い。

 

 

 

例え、樹夜の事を信頼していても恐怖には打ち勝てず。

話すのが怖くて、秘密を言い出せずにいた。

 

 

 

ある日を境に、樹夜からの連絡も姿も消えた。

もしかしたら、ばれたのかもしれないという恐怖に駆られる。

 

 

 

学校もまともに行く気になれず、風邪で体調が悪いので休むと先生には連絡した。

寮の部屋で茫然と窓を眺めたまま、ひとり呟く。

 

 

 

「樹夜はどこにいったんだろぅ? もぅ、会えないのかなぁ……このまま、会えないなんて寂しいよ。

 子供の頃みたいに、貴方に『‐‐‐』って呼んでほしぃ……」

 

 

 

私はベッドに横になって思考に耽っていると、ノイズ音が耳にはいってきた。

 

徐々にクリアに聞こえてくる。

 

 

 

『ザーザーザザー……一刀は何してるんやろうなぁ……あいつのことやから、心配してそうやなぁ。

 

 でも、今は世界が違うもんな……会えるわけないか……ザ‐ザザーザー』

 

 

 

再びノイズが酷くなってゆき、音が消えた。

 

 

 

「樹夜……違う世界ってどこなの? 逢いたいよ……樹夜」

 

「お主、そんなにもそやつに逢いたいのか?」

 

「えっ?!」

 

 

幻想的な服を纏う女性が、私の隣に座っていた。

 

 

「あなたは何者ですか!?」

 

「世話焼きが趣味な女仙と答えようかの。それで、先程の問いは是か否かどっちじゃ?」

 

「決まってます!! 逢いたいに決まってます!!!」

 

 

私の答えは決まっていた。チャンスがあるなら、絶対に逃さないと。

 

 

「この世界と決別する事になってもかの? お主は将来を約束された道じゃぞ?」

 

「そんなのいりませんっ!! 今は、樹夜に逢うことが大事なんですっ!!」

 

「逢って、どうするのじゃ? お主が黙っておる事を話せば、受け止めてくれるのか?

 今まで、黙っていたお主を許してくれると思っておるのか?」

 

 

たしかに、軽蔑されるかもしれない。親友関係も崩れるかもしれない。

でも、私は何もしないで後悔するのは嫌だった。

 

 

「ただ、逢いたいだけです。私は許してもらおうなんて、そんなことは考えていませんっ!

 私の事を……真実を話したいだけなんです」

 

 

ただ、私の気持ちを知って欲しい。逢いたいという、素直な気持ちだけ。

 

 

「ふぬ……合格じゃ」

 

「ふぇっ……」

 

 

気の抜けた返事を返してしまう。

 

 

「だから、合格じゃといっておろう。お主を樹夜のいる世界に送ってやろう。

 それとだ、ただのおなごでは危険だからのぅ。最初は、並の武将の力を授けてやる。

 それを生かすも殺すもお主次第じゃ。

 

 潜在能力は悪くない様じゃから、鍛えれば有名所の武将とも並べるじゃろう。

 鍛練に関しては、わしにまかせるがよい」

 

 

 

自分でもわかる。私は満面の笑みを浮かべているだろう……樹夜との再会が待ち遠しくて……。

 

 

 

 

「ふふっ、これでわしも樹夜の元に行く口実ができたわい。あぁ〜、樹夜よ……楽しみにまっとれよ」

 

「あの、何かいいました?」

 

「いや、なんでもないぞ♪ さぁ、ついてこい。しばらくの間は、わしの元で修行させてやる」

 

「はいっ、よろしくお願いします!!」

 

 

 

 

 

 

 

私はお師匠様と鍛練した後に、案内された部屋で食事を取り眠りについた。

 

 

 

 

 

 

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一人になると、女仙は虚空より酒を取り出し猪口についでゆく。

 

 

 

「この酒天童子と呼ばれし、伝説の鬼女にとって不可能はないのじゃ。

 前回は、いけすかない狐女が邪魔しおったから出るに出れんかったからのぅ。

 奴は、ここには来とらんし安心じゃわい。ふふふっ、樹夜の剛の物が楽しみだのぅ」

 

 

 

酒をゆるりと運びながら、楽しみを待ち遠しく感じている酒天童子であった。

 

 

 

 

 

 

 

‐漢中の竹林‐

 

 

 

「ふふっ、鬼も気付いてない様子ですね。私はすでにこの地に来ているというのに……

 

 あぁっ、樹夜様。璃狐は、早くお会いしたいです……」

 

 

闇夜の竹林にて、謎の女仙が一人呟く。

 

 

 

 

 

 

 

嵐の前の静けさが漢中を覆っていた。

 

 

 

 

 

 

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次回予告

 

 

 

ついに明かされた北郷家と時雨家の実態。

 

果たして、一刀は樹夜に真実を打ち明けられるのか。

 

 

 

樹夜に隠された過去が存在していた。

 

幼き心に刻まれし闇の真実

 

 

 

 

小さな約束は『‐‐‐』にとって、大切な誓いとなっていた。

 

その想いが、戦を引き起こす。

 

 

 

「樹夜を必ず取り返す……私の大事な樹夜を……」

 

 

 

天の御使いは、再び舞い降りた。

 

平和を求める仁徳の王の元へ……

 

 

 

表と裏、光と闇。それは、いかなる時も相対す。

 

遂に、本当の意味での再会を果たす二人。

 

 

 

 

 

「なんで、『- - -』がここに……」

 

「私は貴方に逢いたいという想いだけで……この世界にやって来た……」

 

 

 

 

乱世は、群雄割拠の幕が開ける

 

 

 

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あとがき

 

 

北郷家と時雨家の実態を書いてみました!

一刀君は、実は女の子でした。

 

 

次章で再会しますが、さてはてどうなるやら……

本編として、更新させていただくつもりなので

更新は遅くなります(´>ω<`)

 

 

内容を濃く長く、読みやすいように頑張りますので

応援のほどよろしくお願いします。

では、失礼しますっ(´・ω・`)ノ

説明
注意:オリキャラ成分がたくさん含まれています。オリ主でメインで進みます!一刀君がオリ設定もなってもかまわないという方はどうぞっ!


一刀君……特殊事情でサブメインとして出ています。


オリ設定満載ですが、よろしくお願いします。
では、注意をしっかりと確認した上で読んでくださいまし♪


コメントが頂けると、作者が喜んだりします♪

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コメント
一刀が女の子なんて?!驚きの設定ですw(さくっち)
タグ
真恋姫†無双 オリキャラ 北郷一刀 時雨樹夜 北郷家 時雨家 過去 真名『‐‐‐』 表と裏 

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