仮面ライダー×真・恋姫†無双 呉編  地を! 海を!  越える戦い  後編
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「お腹がすいたのじゃ〜。蜂蜜水が飲みたいのじゃ〜」

「静かにしてください」

 

明命が袁術をとめるが……。

 

「私まで悲しくなっちゃうじゃないですか……」

 

袁術に釣られて少し泣きそうな明命。

 

「美羽様と周泰ちゃん。二人並んで見るととってもかわいいぞ〜」

 

とてものんきな張勲。

 

「蓮華様。私この人達一緒にいるのがとてもつらいです」

 

明命がそういうも蓮華は考え事をしている。

 

(どうすればこの牢屋から抜け出せれる?)

 

そこに牢屋の部屋の扉が開く音が聞こえる。

 

「あら? 誰か来たみたいですね」

「きっとわらわに食べ物を持って来てくれたのじゃ」

「とてもそうとは……」

「食べ物はないぞ」

 

そこに入ってきたのは男。しかし蓮華と明命、それに袁術と張勲はその男に見覚えがあった。

 

「「か、一刀(様)!?」」

「七乃、誰じゃこの男は? どこかで見たことある気がするが……」

「忘れたのですか、美羽様? この人はええ〜と……」

 

見覚えはあっても忘れていた袁術と張勲。

 

「一刀、どうしてここに?」

「一刀様はどうやってこの船に侵入してきたのですか?」

「順を追って説明したいが、そんな時間はない。単刀直入に言う。

俺はお前達の知っている北郷一刀じゃない」

「ふええ?」

「俺はお前達の知ってる北郷一刀がいた世界とは更に別の世界から来た北郷一刀だ」

 

そうこの北郷一刀はディケイド一刀が協力を頼んだ魏の一刀であったのだ。

その戦闘能力はディケイドに変身できる一刀に劣らない。それどころか正規の軍人で訓練をつんだことのあるアクセル一刀くらいかそれ以上に強いのだ。

 

「まだ分かってない様だな」

「ええ。何のことかさっぱり……」

「とりあえずはこの船を脱出した後にゆっくり説明する。

それよりはその格子から出ることだな」

 

魏の一刀は外にかけてあった牢屋の鍵を取って、牢屋を空けた。

 

「随分無用心だな。あの天照も……」

 

魏の一刀は鍵と一緒にかけられていた明命の武器と蓮華の剣『南海覇王』を手渡す。

 

「それじゃあ、逃げましょう」

「逃げるなら上じゃなくて下に行くぞ」

「何故じゃ?」

「甲板にはかなり兵士がいるぞ。俺一人なら上でもいいが、君達じゃ無理だ。だから下だ。

それにしたまでの逃げ道は既に確保済みだ。行くぞ」

 

そして魏の一刀に連れられて4人は脱出ルートに入る。

その脱出ルートの関係上、船室に入ったが……。

 

「これはなんじゃ?」

「棺おけみたいですね」

「誰のでしょうか?」

「恐らくは仙人・徐福の遺体」

 

棺おけの前で蓮華は立ち止まってしまう。

 

「蓮華様?」

「……徐福の遺体を燃やすしかない」

 

蓮華はつぶやくように言った。

 

「不死の霊薬を使い、死者を甦らせるなどと、そんな邪悪な……事……」

 

蓮華は自分で言っていてあることを思い出す。

それは壱与が最初に邪馬台国を助けて欲しいと言った時のことであった。

蓮華はその時のことがブラッシュアップされるように思い出す。

 

 

 

『見返りとして……『不死の霊薬』。

一壺あれば一人、二壺あれば二人、死者を甦らせる事が出来ます。それを二壺差し上げます」』

 

 

 

今思えばこの言葉を聞いて蓮華は行く気になったのだ。一刀と喧嘩中だったとは言え……。

 

(私も雪蓮姉様や冥琳を生き返らせようとしていた!?)

 

ようやくその時考えていた事の真意に気付いた。

そんな時、船が大きく揺れ、棺おけの蓋が少しずれた。

そして棺おけの中からなにやらどす黒いなにかが出てくる。

 

「孫権、離れろ!」

 

どす黒い何かが蓮華を少し包みそうになり、魏の一刀が何とか蓮華を無理矢理後ろに下げて、蓮華を黒い何かから離し、棺おけの蓋を閉めた。

 

「あまりこういうものは開けるべきではない。ましてや仮面ライダーの技術を持ってる奴なんて……」

 

魏の一刀が蓮華の方を見る。

蓮華は少し棒立ち状態だったが……。

 

「蓮華様?」

「明命」

「なんでしょう?」

「今、お姉様と冥琳の声が聞こえた」

「え?」

「孫策と周瑜のか?」

「ええ」

「(さっきの黒いのに何かされたのか?)それで何か言っていたのか?」

「姉様は走れと……。そして冥琳は船室を出てまっすぐ走れ」

「まっすぐな……」

「そうはさせんぞ」

 

船室に何と月読が入ってきたのだ。

 

「貴様らをここで逃がすわけにはいかん」

「悪いが逃げさせてもらうぞ」

 

魏の一刀が月読の前に出て阻む。

 

「貴様、何者だ?」

「天の道から来た男とでも言っておこう。孫権達は早く走って逃げろ」

「あなたは?」

「俺は大丈夫だ。こいつを少し相手したら適当に逃げる」

「逃げれるのですか?」

「逃げれる」

 

魏の一刀は断言した。

 

「それでは……」

「させんぞ!」

 

月読が蓮華達に詰め寄ろうとしたが、それを魏の一刀が阻む。

 

「だから俺が相手してやる」

「このまままっすぐ動いても海だぞ?」

「ああ、それはここまでの逃げ道を探ってた俺が良く分かってる」

「なら何故行かせた?」

「あいつらなら生き延びる。そう信じているからだ」

「その信じる気持ちが無駄になる事も知らずにか?」

「無駄になるのはお前がここに来た事だ」

「ほざくな!」

 

月読の腰から謎のベルトが姿を現し、魏の一刀はカブトゼクターを手に持つ。

 

「「変身」」

「Henshin」

 

魏の一刀は仮面ライダーカブトマスクドフォームに変身。

月読はその魏の一刀が微妙にだが見たことあるような姿に変身する。

 

「その姿は……仮面ライダーイクサにサイガを加えたデザインだな」

「何を言っているこの姿の名は『仮面ライダー斬裏(ざんり)』だ」

「名前の通り切れやすそうだな」

「そうだ。お前を黄泉路に誘ってやろう」

「悪いが俺を待ってくれてる人がいるからその誘いは断る!」

 

斬裏が半月刀を取り出し、魏の一刀もカブトクナイガンを持つ。

 

「ふっ!」

「はっ!」

 

二人の武器がぶつかり合う。

 

「せやぁ!」

「はあっ!」

 

二人は武器がぶつかると同時にキックをするが、そのキックはまたしても相殺された。

 

「ふん!」

 

斬裏が半月刀で突いてくるが……。

 

「はあ!」

 

魏の一刀が回り込むようにして、自分の脇に斬裏の刀を持つ腕を取る。

 

「くっ!」

「一つ聞く。徐福は一体どんな存在だ?」

「徐福様は仙人だ!」

「誰もそんな事は聞いていない。異世界人か管理者のどちらかと聞いてるんだ」

「管理者? なんだそれは?」

「知らないのか。まあいい、天照辺りにでも聞くとする」

「天照様にだと?」

「そうだ。それと俺はそろそろこの船から脱出させてもらうが、ついでにこの船も壊させてもらう」

「この船を壊すだと? 無理だな。この船は徐福様が作られたもの。そう簡単に壊せれるわけが……」

「それが出来るから困りものなんだよな」

 

魏の一刀はカブトゼクターのゼクターホーンを少し傾ける。するとカブトマスクドフォームの鎧が少し出っ張ってくる。

 

「キャストオフ!」

「Cast Off」

 

音声と共に銀色の鎧は飛び散り、腕を掴まれている斬裏はその飛び散った鎧を完全には防ぐ術がなくまともにダメージを受けた。

銀の鎧のしたからは赤い装甲をしたカブトムシ仮面ライダーカブト、ライダーフォームが姿を現したのだ。

 

「Change Beetle」

 

魏の一刀は斬裏の腕を放す。

 

「1,2,3」

 

魏の一刀は後ろを向いたままゆっくりとカブトゼクターにあるボタンを三つ押し、ゼクターホーンを最初の位置に戻す。

 

「ライダー……キック」

 

その言葉と同時にゼクターホーンを再び倒す。

 

「Rider Kick」

 

ゼクターから右足にタキオン粒子がたまる。

 

「おのれーーーー!」

 

斬裏が半月刀を上から振り下ろそうとするが……。

 

「はっ!!」

 

半月刀はライダーキックで破壊され、ライダーキックは斬裏の顔に命中し、斬裏はその場で倒れ、爆発した。

 

「……クロックアップ」

「Clock up」

 

魏の一刀がベルトの腰にあるクロックアップのスラップスイッチを押す。

その場から高速移動で去ったのだ。

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「さてと……」

 

変身を解いていた魏の一刀が次にブレイバックルを腰につけていた。

 

「変身」

「ターンアップ」

 

オリハルコンエレメントをくぐり、魏の一刀は仮面ライダーブレイドに変身した。

 

「一気に壊すか」

 

次に魏の一刀はラウズアブソーバーから二枚のカードを取り出す。

 

「アブソーブ、クイーン」

 

残った一枚をアブソーバーにラウズした。

 

「エヴォリューション、キング」

 

そのアブソーバーの声と共に13枚全てのカードがブレイドの体のいたるところに張り付いて融合し、ブレイドはキングフォームへと変化した。

そして重醒剣キングラウザーが現れた。

 

「はっ!」

 

ブレイドキングフォームは飛び上がり、遥か上空へと飛ぶ。

そして5枚のカードを手に持ち、それらをキングラウザーに挿入する。

 

「スペード10、ジャック、クイーン、キング、エース」「ロイヤルストレートフラッシュ」

 

キングラウザーの音声が終えると共にブレイドキングフォームの前には挿入したカード5枚が壁のように現れる。

そしてブレイドキングフォームはその5枚の金色の壁を通っていき、通った後、キングラウザーの剣先が異様にまで伸びていた。

 

「ウェエエエエエエエエエエイ!!!!!」

 

剣先が異様に伸びたキングラウザーが戦艦ヤマトを中心から真っ二つにしていく。

そして船底ギリギリのところでブレイドキングフォームは止まる。

何故ギリギリで止まったのかというとこのままでは自分が海に沈んでいくからである。

 

「はっ!」

 

ブレイドキングフォームは戦艦ヤマトの船壁を思いっきり蹴り、キングラウザーを引き抜いたと同時に自身は再び遥か上空へと飛び上がっていた。

魏の一刀は空中で変身を解く。そして次にアギトのベルト「オルタリング」を体内から出す。

 

「変身!」

 

魏の一刀は仮面ライダーアギトに変身。

そのアギトの元にマシントルネイダースライダーモードが飛んできて、アギトはマシントルネイダーに乗ってその場を去っていった。

その後ろには戦艦ヤマトが沈没していく姿があった。

 

「………」

「天照様!」

「逃げられたようね。しかも月読を倒されただけでなく簡単にこの戦艦ヤマトを真っ二つに割るとは……」

「申し訳ありません! まさか別に侵入者がいるとは……」

「まあいいわ。徐福様の遺体を海に沈めるわけにはいきません。すぐに脱出艇の準備と徐福様の棺おけの回収を」

「棺おけなら既に回収済みです」

「よろしい。ならば脱出しましょう」

 

そして天照はヤマトを脱出した。

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「終わったの?」

 

蓮華達が沈んでいくヤマトを見る。

蓮華達はあの後、海に飛び込んですぐに助けられたのだ。

蓮華達を助けたのは袁術と張勲とはぐれてしまった華雄であった。

実は華雄達はスワンボートで移動していたのだが、華雄はそのスワンボートに取り残されたままだったのだ。

 

「改めて礼を言うぞ。か…殿」

「私の名は華雄だ!」

 

華雄の名前はどこかの残念さんくらいに忘れられていた。

 

「しかしこれで終わったのだろうか?」

「あれで終わったら苦労はしない」

 

そこにマシントルネイダーに乗ったアギトが来る。

 

「おわぁあっ!」

「誰だお前は!?」

「お前は……一刀か?」

「ああ。さっき君達と会った俺だ」

「その姿は?」

「仮面ライダーアギトだ。まあ知らないだろうけど……」

「ところであれで終わらないとは?」

「あんなオーバーテクノロジー……。つまりは明らかに技術の先取りをしていた連中だ。

簡単に終わるわけがない。ましてや仮面ライダーがいた以上きちんと倒さない限り安心は出来ない」

「倒してないのか?」

「ああ。あの船を壊して時間稼ぎを考えていたからな。倒そうとまであまり考えなかった。それにお前達を助け出す事が最優先事項にしてたからな」

「そうか……。それはすまない」

「謝る事じゃない」

 

華雄がスワンボートをしばらくこいでいると……。

 

「一刀、あそこ!」

「あれか?」

 

そこに高速艇に乗ってきたアクセル一刀と美沙緒が蓮華達を発見したのだ。

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蓮華達はアクセル一刀達に連れられて大蓮花とたどり着いた。

 

「お姉ちゃーーーーん!」

 

小蓮が泣きながら蓮華に抱きつく。

 

「お姉ちゃんがいなくて、すごく心配したんだから……」

「ごめんね、小蓮」

 

それを見ている三人の一刀と美沙緒は……。

 

(やれやれ)

(大変だなこれは……)

(………)

(いい場面だなーー)

 

 

(DC部分の初め)

 

 

そう思っていると……。

 

「あ、そういえばあんたどこの一刀?」

 

美沙緒が魏の一刀に尋ねる。

 

「俺は魏に拾われた北郷一刀だ」

「え?」

「お前も魏……つまりは曹操に拾われたのか?」

「お前もと言うことは……お前達もか」

 

アクセル一刀と美沙緒は魏の一刀と話す。

自分達が居た外史で起こった事を……。

 

「華琳の前で消えるってのは俺もそっちのお前達も変わらないんだな」

「でもいいな〜。すぐに華琳さんと会えたんだから……」

「まあ俺にしてはまだ数日しか経ってなかったけど、華琳達にとっては一年は過ぎてたんだよな……」

「それでも羨ましいかな」

「俺達も早く俺達のいた世界の華琳達に会いたいぜ」

「だったら管輅にでも頼めば良いんじゃ? 俺の時は頼んだが……」

「ああそれなら……」

「断っちゃった♪」

「? 何でだ?」

「俺達は決めたんだ。自分達の世界の技術であの世界に戻るってな」

「そうか……。それだけの力があるんだな。俺にはそんな力が無かったからな……」

 

魏の一刀は空を眺めて言う。

 

「俺もお前達のことが羨ましいと思うよ」

「そう?」

「ああ」

 

 

(DC部分終了)

 

 

そして蓮華達は天照の企てを呉の一刀と呉の将達、そしてアクセル一刀と美沙緒に話した。

 

「そんなこと考えてるなんて……」

「どこの世界にいるんだな。不老不死を企んでる奴」

「どこの世界って……」

「あたし達の元々いた世界でも似たような事考えた人間がいたんだよね」

「結局は野望と共に滅びたけどな」

「何にしてもあいつらの野望は絶対阻止する」

「それでどうすれば……その不死山にあるとしてもどこにあるのか……」

「それなら私が知っています」

 

壱与が会話に入ってくる。

 

「あの霊薬は不死山の麓の鍾乳洞にあるのですが、その鍾乳洞は罠だらけです。正しい道を知らないと罠で命を落とす場合も……」

「それで君はその正しい道を知っていると?」

「はい」

「それなら安心だね」

「だが天照のことだ。何か考えて先にとりに行く可能性もある。いくら時間稼ぎのために俺があの船を壊したといってもな……」

「そうだな」

「ともかく私がその不死の霊薬までの正しい道まで案内するでござります。どちらにしろ皆様に力を貸してもらったお礼として取りにいく必要もありましたし……」

「分かった。そうしてもらおう」

「とりあえずは誰が行くかだな」

「壱与さんは当たり前として行くのは、俺に蓮華に明命、後は亞莎かな」

「言っておくが俺と美沙緒も付いていくからな」

「なんで?」

「俺と美沙緒は特殊部隊出身だ。そういった潜入は俺と美沙緒が良く知っている」

「それに護衛とかやっぱり必要じゃない?」

「まあそうだけど……」

「俺もいくからな」

 

魏の一刀も付いていく事を言う。

 

「何故そこの俺まで?」

「相手は仮面ライダーだ。それに仮面ライダーとか怪人を一番相手しているのは多分俺だ。そういった人外的な力を相手にするには経験豊富な俺が行くべきだろ」

「……それもそうか」

 

そして一部の人間はアクセル一刀と美沙緒の用意した高速艇に乗った。

その一部の人間というのは美沙緒、蓮華、亞莎、明命、呉の一刀、壱与であった。

美沙緒は幻影体の力を使って自分にものが触れられない状態にして人が一人いられるようにしたのだ。

ちなみにその状態でも美沙緒は高速艇の運転は出来る。

そして残ったアクセル一刀と魏の一刀は……。

 

「どちらが早く付くか勝負だ」

「いいだろう」

 

魏の一刀はカブトライダーフォーム、アクセル一刀はアクセルトライアルになっていた。

 

「それじゃあ、レディーゴー!」

 

美沙緒が発進の合図をする。

 

「クロックアップ」

「Clock up」

「トライアル!」

 

カブトとアクセルトライアルはものすごい速さで海の上を走る!

二人とも沈むよりも早く動いているため、事実上水の上を走っているのだ!

 

「トライアルより速いとは……」

 

美沙緒達はかろうじてアクセルトライアルは目で見えているがカブトは既に自分達の目の前から姿がなかった。

 

「こりゃあ帰ったら改造しなきゃいけないかな?」

 

そう言いつつも高速艇はアクセルトライアルから引き離されている。

 

「とにかく急ぐぞーーーーー!」

 

高速艇は猛スピードで二人のあとを追う。

そしてその高速艇をさらに追う船が一隻。

 

「さあ漕ぐのじゃ。かゆうま!」

「私は華雄だーーーーー!」

 

袁術は華雄とスワンボートを使って一刀達を追おうと言うのだ。

その目的は不死の霊薬を自分達が飲もうという魂胆だったのだ。

 

「急ぐのじゃーーーー!」

「無理言うなーーーーーー!」

 

 

邪馬台国もとい日本では既に天照達が到着していた。

実はアクセル一刀が持っていた高速艇よりは劣るものの天照達も小型の高速艇を持っていたのだ。

しかも距離的には天照達の方が近かったため、先に日本にたどり着いたのだ。

しかし天照達は鍾乳洞への正しい道を知らなかったためどうしようかと考えていたら……。

 

「見張りの報告で樹海近くの川に船が一つ発見されたそうです」

「来たか……。では私達は孫権達を待ち伏せしましょう」

「待ち伏せですか?」

「そう。そして孫権達に道案内をさせる」

「分かりました」

「神はまだ私を見放してなかったようね。それとも徐福様の神通力のおかげかしら?」

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一刀達が不死山の鍾乳洞への道に入ろうとするが……。

 

「つけられているな」

「はい」

 

魏の一刀がすぐに気付き、明命も気付いていた。

 

「どうする?」

「ここで足止めするか。俺が……」

「いえ、ここは明かりに頑張ってもらいましょう」

「なるほどな……」

「明かりの囮か……」

 

そして明かりがずっと同じ位置にあることに気が付いた天照は……。

 

「どうやら気付かれていたようね。あのたいまつに向かって矢を放ちなさい!」

 

天照の指示を受け、兵士が矢を放つ。そのたいまつは落とされ、たいまつをもっていたのは即興で作った案山子であった。

 

「急ぐぞ!」

 

天照達が鍾乳洞に入っていく。

その頃一刀達は何とか最後の関門にたどり着く。

 

「大きい岩だね」

「壊すのか?」

「いいえ、動いてもらいます」

「?」

 

壱与が岩の横の壁をつつくと水の流れが変わり、水に流されて岩が動く。

 

「大した仕掛けだ」

「ご苦労だったわね」

「やはり来たか……」

 

魏の一刀が最初に後ろを向く。そこには天照達がいた。

 

「不死の霊薬はこの天照が貰い受けましょう!」

「それは出来ない相談だな」

 

そうしている間にも岩が動いて完全に動き終わるとそこにあったのは……。

 

「あーおいしかったのだ」

 

そこにいたのは二つのからの壺と袁術と張勲であった。

 

「何故お前たちがここに?」

「実は皆さんの後をつけてきたのですが……途中で迷子になってしまい穴に落ちたらここに来まして……」

「ここにとても甘くて美味しいものがあったのだ」

「それは不死の霊薬です……」

「何!?」

 

その言葉を聞いて一番驚いたのは天照であった。

 

「貴様ら……よくも……よくも私の積年の望みを!

許さん! 許さない! 貴様らここで皆殺しにしてくれる! 変身!!」

 

天照の体が黒いものに包まれ、黒いものが晴れ、天照は仮面ライダーアマテラスへと姿を変えた。

 

「天照様……」

「お前達は邪魔だ!」

『ぐわあああああ!』

 

アマテラスは自分の後ろにいた兵士達を黒い波動波で消滅させた。

 

「何?」

「ちょっとあんた自分の仲間でしょ!? 何であんな事を!」

 

美沙緒が怒る。

 

「ふん! 役たたずを捨てて何が悪い」

「許さん!」

「キバット! タツロット!」

「俺の怒りは今結構いってるぞ」

「アクセル!」

 

魏の一刀はオルタリングにドラゴンネイルがついたものを出し、アクセル一刀はアクセルメモリを出し、呉の一刀はキバットとタツロットを呼び寄せる。

 

「「「変身!!!」」」

「アクセル!」

 

魏の一刀は一気に仮面ライダーアギトシャイニングフォームに変身。呉の一刀も仮面ライダーキバエンペラーフォームに変身、アクセル一刀は仮面ライダーアクセルに変身した。

 

「そうか……ならこちらはこうさせてもらおう……はあああああ!」

 

するとアマテラスから先ほどとは別の黒いものが現れ、それはアマテラスの後ろを覆い、その黒いものが消えるとそこには先ほどの兵士とは全く違う、黒い兵士達が姿を現した。

その兵士達はどこかしらゾンビのようなものであった。

 

「なんかやばそうな兵士さん達が出てきたね……」

「やれ!」

 

アマテラスが指示をすると現れた兵士達は一刀達を襲おうとする。

 

「仕方ない……。アマテラスはお前に任せる」

「美沙緒、俺達はこいつらの相手だ」

「OK!」

「私も及ばせながら力になります」

 

アギト、アクセル、美沙緒、明命が現れた兵士達に立ち向かっていく。

 

「その前に少し離れてな。地斬疾風刀!」

 

アクセルがエンジンブレードを順手で持ち、上から振り下ろした後、すぐに下から振り上げる!

しかも下から振り上げる際にエンジンブレードのグリップのトリガーを引く。

 

「ジェット」

 

エンジンブレードの先から出たエネルギー弾が地面に留まり、大きくなった後、エネルギー弾はエネルギー刃となって地面を駆け、目の前の兵士達を切り裂いた。

 

「やるな……なら」

 

アギトシャイニングもシャイニングカリバーを取り出し、力を溜める。

 

「はあっ!」

 

そしてシャイニングカリバーからエネルギー刃が出され、シャイニングクラッシュが敵兵達を倒していく。

しかしそれでも敵の数は中々減らないようであった。

 

「まだあんなにいるなんて……」

「なに、俺と美沙緒はあれ以上の数を一度に相手した事あるさ」

「そうそう」

「俺もだ」

 

アクセルと美沙緒、そしてアギトシャイニングはまだまだ余裕であった。

その後ろでは……。

 

「まずはその私の姿に似た奴から殺してやろう」

「蓮華、亞莎、壱与さんと一緒に下がってて……ついでに袁術達も……」

「一刀様……」

「一刀、勝てる?」

「勝てる」

 

キバエンペラーは言い切った。

 

「そう……なら下がるわ」

 

蓮華達はキバエンペラーに言われてひとまず安全であろう場所に下がる。

 

「孫権達は貴様を倒してからにしよう」

「そんなことは……」

 

キバエンペラーは構える。

 

「させない!」

 

キバエンペラーが駆け出す!

 

「ふっ! はっ!」

 

キバエンペラーが拳を突き出し、アマテラスはそれを避ける。

キバエンペラーは避けられるのを想定していたかのようにすぐに蹴りが繰り出された。

しかしアマテラスはその蹴りを見事に受け止める。

 

「!」

 

アマテラスの手から小さな波動波が発射され、キバエンペラーの腹部に命中。

キバエンペラーは後ろに飛ばされる。

 

「一刀!」

「大丈夫だ。このくらいなら……」

「ふん!」

 

アマテラスは再び先ほどと同じ波動波を発射し、キバエンペラーは前転でその攻撃を避けた。

 

「ザンバット!」

 

タツロットの口からザンバットソードが出され、キバエンペラーはザンバットソードを手に持つ。

 

「たあっ!」

 

前転を終えたと同時にアマテラスの腹部を斬りつけ、アマテラスは思わず後ずさりする。

 

「くぅ……」

「はあ!」

 

キバエンパラーが上からザンバットソードを振り下ろそうとするが、アマテラスはその攻撃を受け止める。

その攻撃を受け止めたのは剣。しかもザンバットソードによく似ているが、ザンバットソードの金色部分をダークキバのメインカラーにしたもので、刀身も黒に近い色であった。

 

「何?」

「ザンバットソード?」

「違うわ。この剣の名は『十束剣(とつかのけん)』よ」

「なんだと?」

 

しばらく二人はつば競り合いを行う。

つば競り合いの中、アマテラスは片手を剣から放し、キバエンペラーに再び波動波を繰り出そうとするが……。

 

「させるか!」

 

キバエンペラーはそれを予測していたかのごとく、アマテラスが波動波を放とうとした手を蹴り上げて、目標をそらし、波動波は鍾乳洞の天井へと当たる。

鍾乳洞に出来ている突起物が強い雨のように二人の元に落ちてくる。

 

「くそっ!」

「今だ!」

 

キバエンペラーは何とかアマテラスを自分の手で遠ざける。

そしてザンバットソードについていたウェイクアップフエッスルをキバットに噛ませる。

 

「ウェイクアップ!」

 

噛ませた後、とっさに左手でザンバットバットを一気に剣の上にまでやり、そして戻した。

 

「でゃああああああああ!!」

 

キバエンペラーはザンバットソードを十束剣の刃にぶつける。

十束剣は瞬く間に破壊されていき、十束剣は真っ二つにされた。

 

「なっ!」

「たあああああああ!」

 

キバエンペラーはアマテラスの腹部に蹴りを入れて、アマテラスは後ろに飛ばされる。

 

「くっ……」

「「光刃閃!!」」

 

そんな時後ろにいた兵士達は皆、アクセルと美沙緒が最後の兵達を倒したところであった。

 

「さてと……こんなものだな」

「後はお前だけだーーーーー!」

 

アクセルと美沙緒とアギトシャイニングがアマテラスの方を向く。

明命はこれ以上は危険として安全な場所に下がらせたのだ。

 

「あれだけいた兵達を倒すとは……」

「悪いがあれ以上の相手は何度もしてるんでね……」

「覚悟しなさい!」

「………はははは、はははははははは!!」

 

アマテラスは大いに笑う。

 

「何がおかしい?」

「まだ何かあるという事だな」

 

アギトシャイニングはこういうときに限って敵は何か隠し玉を持っているものだと感じている。

 

「お前達……やはりここで皆殺しにしてやる!」

「そう……だ」

「うん? 全員、伏せろ!」

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アギトシャイニングが全員に伏せるように指示し、アマテラス以外の全員がその場に伏せた。

すると伏せた上から何か黒い影が通り過ぎ、その影はアマテラスの隣に現れた。

その影を見て、蓮華は驚く。

 

「あれは……徐福!」

「え?」

「なんだと!?」

 

徐福と聞いて、皆が驚く。

 

「あたしと違って本物の幽霊?」

「幽霊中の幽霊、悪霊だな」

「まさに化け物だな」

「徐福様……」

「天照、お前はまだその力を完全に使いきれてはおらん」

「何ですって?」

「お前の体を私によこせ」

「え?」

「お前の体を使って私は復活するのだ!」

「徐福様、それは……」

 

そういうと徐福の影が天照の体に入っていく。

 

「う…うう……ああ……!!」

 

するとアマテラスの体が先ほど体から出ていた黒いものに加え、金色の光を放つ。

 

「これは……」

「やばいのは確実だな……」

 

そして黒と金色の光が止むとそこには姿が変わったアマテラスがいた。

そのアマテラスは先ほどのダークキバ+キバーラだったものがキバーラの要素がなくなり、中心には仮面ライダーデルタのような模様とフォトンブラットの線。

そしてクウガライジンアルティメットのような金色のものが体中につけられていた。

 

「これが仮面ライダー神祇(じんぎ)だ」

「神にでもなったつもりか?」

「違う。私は神だ」

「いいや。人だ」

「そうだ、そうだ!」

「人はどこまでいっても人だ!」

「貴様らが言える台詞か!!」

 

神祇の体全体から衝撃波が放たれる。

 

「うおっ!」

「くっ!」

「「はあああああ!!」」

 

最初に駆け出したのはアクセルと美沙緒であった。

 

「てゃあ!」

「とりゃあ!」

 

アクセルがエンジンブレードを、美沙緒が氣の刃を神祇に当てようとするが……。

 

「……」

 

神祇はその二つを素手で受け止めたのだ。

 

「え?」

「俺の攻撃はともかく幻影体の美沙緒の攻撃を防ぐとは……」

「うううん!」

 

神祇は二人の武器を持ったまま先ほどの衝撃波を二人に集中させて放つ。

 

「ぐああ!」

「きゃあ!」

 

アクセルと美沙緒は後ろに飛ばされるも何とか洞窟の壁にぶつかる前に、壁に足をついて態勢を立て直す。

 

「ふぅ……」

「ギリギリ……」

「はあ!」

「たあっ!」

 

次にアギトシャイニングとキバエンペラーが素手で神祇に立ち向かい、パンチとキックを繰り出す。

 

「!」

 

二人の攻撃も防がれるが……。

 

「たあ!」

 

アギトシャイニングがとっさにシャイングカリバーを出し、神祇の体に当てる。

 

「ぐう」

「たあ!」

「甘いわ!」

「どわあ!」

 

アギトシャイニングは神祇の拳を腹部にくらい、後ろに飛ばされるもそのアギトに気を取られてる隙にキバエンペラーが態勢を変えてパンチを神祇に当てる。

 

「!」

「もう一発!」

「させん!」

「ぐわあ!」

 

キバエンペラーも神祇のキックをくらい、後ろに飛ばされる。

 

「「「「一刀(様)!!!!」」」」

「くそ……思ったより重い攻撃だ……」

 

その思ったよりも重い攻撃で四人とも少し怯んでいた。

 

「ここを貴様らの墓場にしてやる!」

 

神祇の体が震える。すると神祇だけでなくその場全体が震えだす。

 

「な、何!?」

「この揺れ……まさか!?」

「そうだ。この不死山の火山を噴火させるのだ!」

「なんだと?」

「そして火山に飲まれて貴様らは死ぬのだ!」

「お前はどうなんだ?」

「私は火山に飲まれたくらいでは死なん!」

「あ、そ」

「だったら火山に飲まれる以上の攻撃を……」

「俺達が与えてやる!」

 

攻撃を四人が立ち上がり完全に態勢を立て直した。

 

「トライアル!」

「変……身!」

 

アクセルはアクセルトライアルに変身する。

 

「俺と美沙緒がどうするか、分かるか?」

「この状況だ」

「おおよその検討は尽くし、検討外れだったら何とかこちらで持ち直す」

「そうしてくれ。行くぞ、美沙緒!」

「OK!」

 

アクセルトライアルのスピードをフルに使うため一気にマキシマムドライブをする。

 

「トライアル!」

 

アクセルトライアルはトライアルメモリのボタンを押す。

そしてアクセルトライアルと美沙緒は一気に駆け出す。

 

「無駄な事を!」

 

神祇が腕を出し、アクセルトライアルと美沙緒に向かって衝撃波を繰り出そうとしたが……。

 

「はあああああ!」

 

アギトシャイニングがシャイニングカリバーを既に両手に持っており、シャイニングクラッシュを神祇の腕に目掛けて放ち、神祇の腕は少しだが切れる。

 

「ぐお!」

「美沙緒!」

 

アギトシャイニングがシャイニングカリバーをシングルモードにして、走る美沙緒に投げ渡す。

 

「そいつを使え!」

「OK! そっちの一刀」

 

アクセルトライアルと美沙緒が高速移動し、神祇を二人で何度も斬りつける。

そしてアクセルトライアルが神祇の後ろに回りこみ、神祇の背中をエンジンブレードトンファーモードの刃で刺す。

 

「ぐおっ!」

「美沙緒!」

「今思いついた必殺技いくよ!」

 

美沙緒はシャイニングカリバーをツインモードにして目の前にいる神祇を何度も斬りつける。

 

「ぐおおおおおおお!」

「そりゃあ!」

 

頃合だと思って、アクセルトライアルは神祇を斬り上げる!

 

「おい!」

「準備はもう出来ている」

「ウェイクアップ・フィーバー!」

 

アギトシャイニングは既にシャイニングライダーキックの態勢、キバエンペラーはエンペラームーンブレイクを発動させる。

 

「「「はっ!!」」」

 

三人のライダーがジャンプする。

アギトシャイニングはアギトの紋章を突き破りながらキックしていく!

キバエンペラーは可能な限り大きくバック宙で飛び、自身の後ろにはキバの紋章が映る。

アクセルトライアルはジャンプしていく中、トライアルメモリのボタンを押す。

 

「トライアル! マキシマムドライブ!」

「コード……トライアルグランツァー!!」

「はああああああああああああ!!」

「たああああああああああああ!!」

 

宙に舞う神祇の正面からはアギトシャイニングとキバエンペラー、背後からはアクセルトライアルのライダーキックが迫る!

そして三人のキックは同時に神祇の体に直撃した!

その瞬間、神祇を中心に小さな爆発が起こる。

 

「ふん!」

「ふっ!」

「絶望がお前のゴールだ」

 

三人も同時に着地し、三人の遅れるように神祇が上から落ちてくる。

 

「ぐううううううう!!」

 

神祇の体からはやられたように電流が何度も走る。

 

「貴様ら如きに私の野望が……」

「あたし達如きにね〜……」

「貴様らは……不老不死は欲しくないのか?」

「欲しくないね」

「人間はいつか死ぬ。そんなの生きてるもの全てにいえることだからな」

「それにいつか死ぬから人生楽しく生きてられるんだよ」

「だが……不老不死なら……過去に自分が大切にしていた人間の夢を叶えることだって……」

「そんな過去に振り回されてたら、また戦争が起こるに決まってるだろ」

「時代や世界を作るのは過去の人間じゃない。今の人間だ!」

「!」

 

アクセルトライアルとキバエンペラーの言葉を聞いて蓮華は確信した。

自分はただ雪蓮や冥琳と過去の人間の夢を叶えようとしただけで、また戦争を起そうとしていた可能性があることを……。

 

「思いを継ぐななんては言わないけど、悪い事は継ぐべきではない」

「悪い事だと……」

「お前のやってる事だ」

「………私の望みを否定するのか?」

「当たり前だ!」

「………ならばここで私と共に死ぬがいい!」

 

神祇の体は大爆発を起し、消滅した。

それと同時に鍾乳洞全体が再び揺れだす。

 

「こりゃあやばいかも……」

「さっさと脱出するぞ!」

「蓮華! 皆! 来て!」

「ええ!」

 

避難していた蓮華達を連れて仮面ライダー達は鍾乳洞からの脱出を始める。

そんな時、洞窟の天井が崩れたのだ。

 

「きゃっ!」

「蓮華!」

 

キバエンペラーが蓮華の体をかばう。これによって出口に近い組とそうでない組に分かれてしまった。

そうでない組は呉の一刀に蓮華、ついでに袁術と張勲であった。

 

「蓮華様!」

「くそ! 分かれちまった…」

「とりあえずお前達は先に脱出してろ」

「でも一刀様や蓮華様が……」

「俺達仮面ライダーなら遅れても脱出は出来る。だが君達はそうじゃない」

「ですが……」

「早くしてくれ! 俺達を困らせたいのか!?」

 

 

(DC部分初め)

 

 

そんな時、出口の方から何かが飛んできた。

 

「あれは?」

「オートバジンだ」

「何故あれがここに?」

「恐らくあいつの危機を察知してきたんだろ。とりあえずお前の主人は向こうだ」

 

アギトシャイニングがオートバジンに呼びかける。

 

「お前の主人は無事だろうからこいつらを先に逃がしてやってくれ。いいな?」

 

オートバジンはアギトシャイニングの言う事を聞くかのように、明命、亞莎、壱与を腕に抱きかかえる。

 

「それじゃあな」

 

 

(DC部分終了)

 

 

「は、はい!」

「分かりました」

「必ず蓮華様達を……」

「「「任せろ(なさい)!!」」」

 

そして明命、亞莎、壱与は先に脱出した。

 

「さてと……」

「この邪魔な壁壊さないとね」

「そうだが……うん?」

 

アギトシャイニングが何かに気付く。

 

「どうした?」

「この感覚……あいつか……」

「あいつって?」

「俺が良く知ってる世界を渡れる俺だ」

-7ページ-

 

 

「うう……」

「大丈夫か? 蓮華」

 

蓮華が目を開ける。

そこには自分を庇ってくれたキバエンペラーの姿があった。

 

「一刀!」

「俺は大丈夫だ。それより……」

 

キバエンペラーがその場をどいて周りを見渡す。

周りが明かりがなく、暗い状態であり、ほぼ四方八方で塞がっている状態であった。

 

「これからどうすれば……」

「……一刀」

「どうした?」

「あなたの後ろに……」

「うん?」

 

キバエンペラーが後ろを向く。そこには死んだはずの雪蓮と冥琳がいた。

 

「雪蓮、冥琳……」

「生きていたのですか? 姉様! 冥琳!

だから天照の戦艦に居た時の声も姉様達の……。

何故教えてくれなかったのですか? 私、寂しかった。姉様と冥琳がいなくなってからずっと、ずっと!」

 

蓮華は泣きながら雪蓮と冥琳のところに駆け寄る。

 

「雪蓮、冥琳。ここからどう出れば?」

「それは俺がやる」

 

そこに現れたのは仮面ライダーディケイドであった。

 

「ディケイド……」

「お前は……」

「この状況での俺の説明は省いておくが、助けに来たのは事実だな。

……それと……そろそろ」

「ええ」

 

ディケイドや雪蓮に冥琳の後ろには銀色のオーロラの壁が現れる。

 

「行くのか?」

「ええ」

「あまり長居は出来ないからな」

「待って! 行かないで!」

 

蓮華は雪蓮と冥琳の手にしがみつく。

 

「蓮華……」

「行かないで! 私と一緒にいて!」

「蓮華様、そういうわけには参りません」

「何で!?」

「私達はもう死んでいるのよ」

「死んでいる……でもなんでここに!」

「俺が死後の世界から無理矢理連れてきたんだ」

 

ディケイドが簡単に説明した。

 

「死後の世界……」

「ああ。死後の世界は生きてる人間が本来行く事は不可能だ。

だが俺なら何とかいけたが、死んだ人間がまた生前の世界に長居は出来ない。強制的に戻される。

そしたら二度と生前の世界には戻れないからな。だからその前に死後の世界に帰るしかない」

「そういうことだったのか」

「という事でこの二人は死んでいる。それを受け入れろ」

「私……信じたくない!」

「信じなきゃいけないこともあるのよ」

「そして受け継いでもらいたい。我らの『終わりなき夢』を」

「ああ」

「それじゃあね。次の外史でまた会いましょう」

「……ああ」

 

そして雪蓮と冥琳は銀色のオーロラをくぐり、オーロラが消えると二人の姿も消えていた。

 

「さてと……」

「後はこの邪魔な壁を壊すとするか」

 

ディケイドはディケイドライバーを展開させ、一枚のカードを挿入する。

 

「ファイナルアタックライド、ディディディディケイド!!」

 

ディケイドの前には金色のディケイドの紋章が描かれた壁が何枚も現れた。

 

「離れてろ。はあああああああ!」

 

ディケイドはディメッションブラストではなく、ディメッションキックで壁を突破し、壁を粉々にした。

そして壁の向こうにいたアギトシャイニングとアクセルトライアルと美沙緒と合流した。

 

「お前は?」

「やっぱりお前か……。何でここにいるんだ?」

「色々あるんだよ。事情なんか後で教えてやる。とにかくは脱出だ」

「ま、待つのじゃーーーー!」

「置いてかないでくださーーーーい!」

 

袁術と張勲も皆の後を追って鍾乳洞を脱出した。

-8ページ-

 

 

不死山の戦いから数日が明ける。

 

「それじゃあ、あたし達はこれで……」

「世話になったな」

 

大蓮花の甲板で、アクセル一刀と美沙緒を迎えに来た管輅と他の面々が別れようとしていた。

それだけでなく魏の一刀もディケイド一刀に連れられて自分のいた世界に帰ろうとしていた。

 

「礼を言うのはこちらの方だ。別の世界に人間に助けられたのだからな」

「困った時はお互い様ってやつだ」

「そういうことだ」

「ところでなんでお前はこの世界に来たんだ? 結局」

 

ディケイド一刀は元々はこの騒乱は主に魏の一刀に任せて、自分は送り迎え程度にしようと考えていたのだ。

しかし……。

 

「実は私があることを知らせたのです」

 

そこに管輅が会話に入ってくる。

 

「お前が?」

「はい。この世界の孫権さんが元気ないのは最初に会ったときにすぐに分かり、色々考えてみた結果恐らくは死んでしまったあの二人の事とか、

自分が呉王として背負っている責務に悩んでいるだろうと思いまして……」

「それで自分の世界に帰ってた俺にどうにして欲しいと言ってきてな。考えた結果、この世界に繋がる死後の世界からあの二人を連れてきたんだ。

本当に苦労したんだからな。あっちの世界は俺が今まで行った世界とはわけが違うし、あの二人を見つけるのにも苦労したしな」

「それは……済まなかった」

「まあ一番謝るべきはお前なんだけどな」

 

ディケイド一刀が呉の一刀を指差す。

 

「俺……そうだな」

 

呉の一刀は納得した。

 

「きちんとお詫びはしておけよな……」

「ああ……俺も帰ったらお詫びしておかないとな……」

「相変わらず大変だな」

 

ディケイド一刀の苦労が少しだが分かる魏の一刀。

 

「とは言っても俺も華琳に詫びを入れさせられるかもな……」

「あの二人、何を話してるんだろ?」

「よく分からんが、詫びとかで苦労するという事だ」

「でも一刀も詫びは必要じゃない? 訓練生達にお詫びの品とか……」

「訓練生に詫びを入れる気は無い」

「うわ、ひど」

 

 

(DC部分初め)

 

 

「今思ったんだが、天照とか徐福って結局何者だったんだ?」

 

魏の一刀が管輅に聞いてみる。

 

「そうですね。この中だと一番分かるのはあなただと思いますよ」

 

管輅が魏の一刀を指差す。

 

「俺か?」

「ええ。色々調べたりしましたけど、天照はともかく、徐福はあなたの居た世界の司馬懿のような者です」

「司馬懿か……」

 

魏の一刀は司馬懿との激闘を思い出す。

 

「確か俺が居た世界の司馬懿は世界がなくなりたいと思う気持ちでできたんだよな」

「はい。まあ徐福の場合は世界がなくなりたい思う気持ちとそうでない気持ちとの板ばさみになった状態で生まれたみたいですから、司馬懿ほどの力は無かったみたいですが……」

「その代わりに未来的な技術と仮面ライダーの力の設計能力があったということか」

「そうなりますね」

「本当に俺達は世界に振り回されてるな」

「しかしその世界を正すのもあなた方の役目だと思いますよ」

「そう言われると照れるな〜」

「褒めてないんだな、これが……。美沙緒」

 

美沙緒にツッコミを入れるアクセル一刀。

 

 

(DC部分終了)

 

 

「とりあえず帰りますよ」

「ああ」

「それじゃあ、皆元気でね♪」

「美沙緒さんもお元気で」

「じゃあな。この世界の俺」

「ああ」

 

そして異世界の人間達は自分達の元居た世界へと帰っていった。

 

「終わったな」

「いえ、まだよ」

「え?」

「帰るまでが戦よ」

「……そうだな」

 

蓮華の言葉に一刀達は笑う。

一刀は笑いながら青い空を眺める。

 

(雪蓮、冥琳。次の外史で会えるかは分からないけど、また会えることを信じてるぜ)

 

一刀は空を眺めながらそう思ったのであった。

説明
これは仮面ライダー×真・恋姫†無双 呉編の最終話のエピローグ前にあたる作品ですので、本編を読まないと分からない部分が存在します。その事をご了承下さい。
そのほかにも「仮面ライダー×真・恋姫†無双 魏編」、「仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双」、「アクセル全開! 真・恋姫†無双」、「仮面ライダー×新・恋姫†無双×仮面ライダー」を読んでいない分からない部分もありますことをご了承下さい。
またこの作品はライトノベルで発売されている「真・恋姫†無双 呉書・外史」のものを原作としているため、本と同じような表現が部分部分に出てきますことをご了承下さい。
そしてオリジナルキャラやオリジナル仮面ライダーもいることをご了承ください。
なお本作は長編のため前後編があります。前編はインスパイア元からどうぞ。
少しですが追加修正しました。
その部分はディレクターズカット風にするため、文の前後にDCと表記します。
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コメント
長編お疲れ様です。袁術たちは不老不死になったんですか?(sasaru)
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